2015/07/20 のログ
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」にシャーロットさんが現れました。
シャーロット >  
すっかり立派に育った緑のカーテンの下、前まで屋根裏の木窓だった廃材から風見魚のパーツを切り出す。
蹴り破ってしまった手前、何にも使わずに捨てるのは何だか悪い、そんな気がしてしまったのだ。

「風受けのプロペラにするからさ、機嫌直してよ」

切り出した廃材を軽くなで、紙ヤスリでなでつける

シャーロット >  
紙やすりですっかりツルツルになったプロペラを目を閉じてゆっくり撫でる。
良い手触り。

私は人の手が入った物の手触りが好きだ。
こうやって撫でていると時間を忘れそうになってしまう。

私は人じゃないけれど、人と同じものが作れる
そんな今の状況を感じて嬉しくもなる。

シャーロット >  
風見魚はどこに据え付けよう。
やっぱり風通しのいい、屋根の上だろうか。
それとも店の前に建てようか。

自分で作った風見魚を眺めていられたら、お客さんのこない日も少しは暇をしないかもしれない。

撫でていたプロペラを机の上に置き、店の奥から板切れと珈琲ポットを持ってくる。

カップに珈琲を注ぎ、板切れにマジックで魚の形を書き込む。
風見魚の胴体、一番大事な部分。

「トビウオ、トビウオってどんな形だっけ」

空をとぶ風見魚だ。やっぱり空をとぶトビウオがいい

シャーロット >  
「前に、魚市場で見たんだけどな。
 ……あ、今日の晩御飯焼き魚にしよう。」

にやと笑いながら木材に描きつけたお魚を撫でる。
形が決まればあとはノコで切り出して、またヤスリをかけよう

シャーロット >  
風見魚を切り出し終え、手を休める。

緑のカーテンの隙間から空を見上げ、目を閉じる。

肌を通して感じる陽の暑さ。
遠くに気の早い蝉の鳴き声。
鼻孔をくすぐる石畳の匂いと目の前の草花の匂い。
瞼の裏に焼き付いている空の青さと真っ白な雲。

……ああ、もう夏なんだ。
そんなことを改めて思い、笑みを浮かべる。

「折角だし、どっか出かけたいな。」
切り出した風見魚を頭上に掲げ、空を泳がせる。

この世界での夏。
どんな新しいことを体感できるだろう。

ご案内:「異邦人街大通り/商店街」からシャーロットさんが去りました。