2015/09/14 のログ
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」にラスタチカさんが現れました。
■ラスタチカ > 時は夕暮れ少し前、漂うものは屋台から漂う料理の匂い。
そして、異国情緒ならぬ異世界情緒というものなのかも知れない。
食材を扱う店先で、じいと熱い視線を注いでいる、小さいのが一人。
ブレザー姿で身分は学生とは知れるだろう。
「これは…ええと、マンドラゴラなのかな…」
外の世界では知ることが出来なかった植物や、あるいはそこで肉になっているのは幻獣と呼ばれるものの類だろうか…と目を輝かせている。
「切り身になった所しか見てなかったからなあ…」
■ラスタチカ > 「やっぱり異世界の方には異世界の食材の方が馴染むのかもなあ…」
同じ種でも育つ大地が違えば、また変わるものだ。
生き物もまた然り。
とはいえ、異世界の遺伝子を持つものであれば、やはり親しいものの方が良いのかなとも思ってみる。
「例え、育った大地は違っていても、文化とか嗜好宗教もあるからね。」
流石に店先を占領しているのも悪いと思ったのか、適当な焼売の肉を注文してみる。
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」に坂島こやぎさんが現れました。
■ラスタチカ > 一般的な商店街で扱っているものであれば、まあ、異世界からやってきたものであっても食べられるだろうという結構アバウトな判断である。
「いや、流石にいきなりヒュドラの毒抜きしろとか言われた時にはどうしようかと思った…」
料理部のよくある日常なのかも知れないが、普通の人間でしかない娘には
「………、死ぬかと思った。」
この一言に尽きるのである。
■坂島こやぎ > 「そうね……今日はそれが良いかしら。
あら、内原印のお肉もあるのね。それもお願いするわ。
そうね……1kgあればいいかしら。」
店先で買い物をする女が一人。
量としては大分多い。
■ラスタチカ > 見た目は焼き鳥っぽい感じの一串を齧る。
「ん?ハチュかな…、いや、鶏っぽい??」
ワニかな、オオトカゲも割と鶏に近いし、蛙の可能性も…。
そんなことを考えていると、割とすぐ側から声が聞こえ、そちらに視線を向ける。
異邦人の容姿にはまだ慣れないせいか、ぱちぱちっと目を瞬く。
しかし、すぐに女性の目利きがかなり正確なものと気がついた。
「あの、貴女は…!?失礼ですが…、食事処「月鏡」の女将ですか?」
■坂島こやぎ > 近くに他に客がいることは認識していたが、声をかけられるとは思っていなかった。
呼びかけに顔を向けて相手を見る。
勿論、知らない相手だ。
「確かにそうだけれど……ええ、と……貴女は?」
聞き返しながら、失礼にならない程度に相手を観察する。
見た感じは『此方側』ではない、普通の人間のようだ。
異邦人の街を見学に来たという辺りだろうか。
■ラスタチカ > 思わず声を掛けていたのだ。
流石にこれは不審すぎるだろうと気が付くと
あわわ、と今更ながらに慌てたように、一礼。
「お買い物中の所、急にに声を掛けてすみませんでした。
僕はラスタチカと申します、最近、入学したばかりですが学園の生徒です。
ええと、こちらに来てからは、色々食べ歩いているのですが、「月鏡」にもお邪魔したことがあります。とても、美味しかったです!」
一息に言い切ると、やはり、今更のように、「ひゃあ」と声を上げて、憧れの存在を思いがけず目にした女子学生のようにはしゃいでいる。
■坂島こやぎ > 「あら、そうだったのね……入学したばかりなのに、うちに来てくださったなんて嬉しいわ。」
微笑みながら、記憶を探る。
確かに、お客の中にこんな子がいた記憶はある。
あまりはっきりしないのは、この姿になってから脳の働きも人間並みになってしまったせいだろうか。
「でも、見たところ貴女は普通の人間のようだし……異邦人ではなさそうね。
此処には何をしに? 危ない……とまでは言わないけれど、慣れていないとトラブルを起こすことは有るわ。」
■ラスタチカ > 「女将の店は、場所にしては…その、雰囲気が良くて…入りやすかったですから。」
流石に落第街には足を踏み入れる度胸はないが、評判を聞いて一度は行ってみたいと思った店の一つだったのだ。
「この島へは、料理人の修行を兼ねて進学したんです。
これからは異世界の食材も外の世界に流通するようになるでしょうし、逆に異世界の方にもこちらで揃う食材で美味しくいただける調理法を考えることもあるかと思いまして。」
串を握ったままの両手を握り、キラキラと目を輝かせる。
普通の人間のようだという言葉には、その通りです、と素直に頷いた。
実際、異能も魔術も全くなく、肉体的にも普通の人間である。
「…と、トラブルって…ぐ、具体的にはどんなことが………」
そうして今更ながら、そういえばアウェイだったということに気がついたらしく、冷や汗を垂らして周囲を見回してみる。
■坂島こやぎ > 「場所は……そう、そうね。本当は、もっといいところが有るんでしょうけれどね。
普通の学生さんなら、仕出しもしているからそちらを利用するのもいいかもしれないわね。
それと、女将さん、なんて。お店でもないから……坂島こやぎ。こやぎ、でいいわ」
歓楽街の端。落第街の端。異邦人街の端。
何処にも当たらない、中途半端な立地の我が家を思い出しながら教える。
それでも、入りやすかったというのなら……そう、少しは報われるのだろう。
微笑みながら伝える。
「料理人志望……
確かに、異世界との関わりを持ちやすいとすれば此処は最適かもしれないわ。
それにしても、なかなか大胆な決断をしたものね……」
なんとなく自分に生えた角に触れながら応える。
自分もまた、彼女から見れば異邦人、なのだ。
してみれば、こうして話しあえているのも彼女にとってはいい機会なのだろう。
「具体的に、というと難しいわね。例えば、習慣の違いとか常識の違いとか……
大抵は違いを理解している事が多いからトラブルにはなりにくいけれど。
ああ、でも。貴女の場合は別の意味で気をつけたほうが良いかもしれないわね。」
ふと、視線を相手の手元に向けていう。
その視線の先は、焼き鳥の串。
■ラスタチカ > 「あのお店が、あの場所にあるってことは…意味があるってことですよね。
そういうこだわりって、結構大事だと思います、だから、一度ば行かないと、って思って…。」
それは、知識として知るのではなく、彼女が料理に込める思いを感じ取るためだった。
最も、ただの一介の学生では、店の雰囲気が土地柄にも関わらず荒んでいないことや、どこか、ほっとするような空気だったとか、料理があったかくて美味しかったとか、そんな程度のことしか感じ取れなかったとしても。
名乗りを受けると、料理人としての先輩を気安く呼んで良いものかしばらく迷ってから、
「こ…こやぎさん…」と、ためらいがちに復唱。
「もともと、料理は好きですし、異世界の食材や調理法にも興味がありましたから。
食べるものが美味しいと嬉しいのは、皆さん、きっと同じだと思うんです。」
角に触れている指先をちらとだけ見て、後先は考えなかった、と照れくさそうに笑って肯定した。
「……べ、別の意味?」
視線を追って自分の手を見る。食べかけの焼き鳥の串だ。
口に入れた時には、ジビエ程度にしか考えていなかったらしく、これ、なんですか?と尋ねる声が震え声になる。
■坂島こやぎ > 「拘り……そうね、拘り。
そうやって言ってもらえると、お店を続けていて良かったって思えるわ。
ありがとう。」
賞賛が欲しくてやっていることでもないけれど。
だからといって褒められて嬉しくないわけがない。
それに、受け入れてくれる相手がいるのだとしたら……
それはきっと店の意義にもなるのだから。
「どこでも、案外みんな食いしん坊なのよね。
自分のところだけじゃなかったと知って、最初は苦笑したものよ。」
食べるものが何であろうと、意外と食に拘るものは多い。
そう、たとえ悪人であろうと……
ためらいがちに自分の名を復唱した相手を微笑ましく思いながら、
しかし正鵠を射ている意見に感心していた。
「それは、コカトリスのお肉。ああ、心配しないで。特に毒ではないわ。
ただ、此処の食べ物は場合によって体に合わないこともあるから気をつけたほうが良いわ。」
■ラスタチカ > 「あ、つい、生意気なことを…。
でも、味は嘘をつきませんって言いますし。」
ありがとうなんて言われてしまうと恐縮したように、そうして嬉しそうにも顔を赤くして、肩を竦めた。
「食べないと行きていけないのは基本ですから。
それならやっぱり美味しく食べた方が、そうして食べてあげた方が、みんな、幸せかなって。」
そこに善悪はないと思っている。
ただ、一介の料理人(の卵)としては、美味しいものを作るだけなのだ。
善悪は食べてから、命を繋ぐモノが意味を与えれば良いとも。
「こ、コカトリ…っ!?」
今明かされる衝撃の事実。
え、あの視線だけで石になるヤツですよねとか、いろんな考えがグルグルと回る。
幸か不幸か、串に頭はついていない。
勇気を振り絞って、がぶりと喰いついてみる。
「……あ、でも、ハチュっぽい野性味の中に鶏の旨味も広がって、コリコリの歯ごたえ…、なかなかこれは美味しいですね…!」
食い気が恐怖に勝った瞬間だった。
■坂島こやぎ > 「いいのよ。お客様の貴重なご意見だもの。
私としては聞かせてもらって嬉しいのだから、生意気、なんてことはないわ。」
美味しい、の一言でさえも意外に聞けなかったりする。
店の外でも何か感想が聞けるのであれば喜ばしいことだ。
恐縮する姿が可愛らしいわね、と思いながら応える。
「あ……そう、そうよね。うん。食べることは基本……
そうね。幸せなのは、大事なことよね。」
命が軽い側にいると、つい忘れてしまうが大事なことだ。
命が命を紡ぐ……思わず目の覚める思いだった。
「あ……」
相手の驚く反応を見て、事実をありのままに伝えすぎたかしら、と反省する。
刺激の強い事をいきなりいうものではなかった……
と思っていると、威勢よく串にかぶりつき始める姿が目に写った。
……杞憂だったのだろうか。
「鳥と蛇の間の子、みたいな生き物だから……だいたい間違っていないわね。
調理すれば此方の人も普通に食べられる方の食材ね。
ただ、火のとおり具合がいい加減なお店とかもあるから気をつけないとね」
■ラスタチカ > 「また、食べに行きますから。」
どうやら出過ぎたものいいではなかったのだと、彼女の言葉にぱあっと表情を明るくする。、
勿論、仕出しも美味しい。
それでも、調理人(の卵)としては、美味しいものを生み出す場所、への憧れもあるのだ。
「大事ですよ?だって、幸せな方がいいじゃないですか。できれば、沢山。」
とはいえ難しいことまではわからないです…、とへらりと笑った。
「怖いかどうか、食べないことには、わからないですし。
怖くたって、美味しいものはやっぱり美味しいですし…。」
彼女の気遣いも他所に、むぐむぐ、と咀嚼。
食欲が恐怖に勝ったとしても、恐怖自体が消えたわけでもなく、若干涙目ではあるが。
でも、…コレ美味しいです、なんて思えてしまう程度には神経は太かった。
完食して、ごちそうさま、と一礼。
流石に、もう一串、別のものを注文する勇気まではなかったが。
「ああ、すいません、もしかしなくても仕入れの途中でしたよね?
お邪魔して、すみませんでした。でも、お話出来てすごく嬉しかったです。」
ふと時間に気がついたように声を上げて、慌てながらも、店の外での女将の顔を知ることが出来たのはすごく貴重な時間だったと告げる。
■坂島こやぎ > 「いつでもどうぞ、ラスタチカさん。
お望みでしたら、異邦のお料理もお出し出来ますから」
熱意もあり、食への敬意も有る。
そんな少女なら、無碍に扱うこともないだろう。
そう思って明るくなった表情を見ながら告げる。
「難しいことは……そうね。必要なら、考えればいいんじゃないかしら。
多分今は必要がないのだから、気にしなくても平気だと思うわ。」
そもそも理屈をこねれば料理がおいしくなるわけでもないし。
「ラスタチカさんは、きっと良い料理人になれるわね。
なによりも、おいしくものを食べられるのが一番の才能よ。」
食べたい、と思いながら作るのは意外と大事なことだ。
食に対する貪欲さは一つの才能といえる。
「ああ、気にしなくてもいいわ。そう、慌てることでもないのだし。
私も、お話出来て楽しかったし嬉しかったわ。」
手を振って応える。
久しぶりに店以外で人と話した気もする。
こういう時間も悪くはないものだ。
■ラスタチカ > 「………、はいっ!
ぜひ!…あ、その、一般的な人間の消化器官で消化出来るものからお願いします…」
これ以上ない僥倖とばかり、勢い良く頷いた。
だが、若干、未知の食材への不安もあるのかごにょりと付け足して。
「うわあ、こやぎさんにそう言われるなんて、すごく嬉しすぎますよ~。
頑張らない訳にはいかないですねっ!」」
きゃ、と両手で頬を押さえて、はにかんだ。
彼女が異邦人ならば、こちらは異邦人や異能が普通に存在する世界へと踏み入れた、逆の立場の異邦人のようなものだ。
未知の世界に挑んだ先輩からの言葉ほど、今はまだ慣れぬ土地で学び始めた己にとって励まされるものはない。
人間は、自分一人ではないと思うだけで、割とガンバレてしまう単純な生き物だ。
「はい、そう言っていただけると僕も嬉しいです。
それでは、僕はそろそろアルバイトの時間なので、お先に失礼しますね。」
手を振って応えてくれた彼女に、退出の礼を込めて、ぺこりと丁寧に頭を下げる。
もっと腕をあげますから、と若干興奮気味に宣言もして。
そうして、名残惜しげにその場を後にするのだろう。
■坂島こやぎ > 「流石に、そこは考えますよ。
実験的なお料理なんてお客様には流石に出せません」
少しだけ困ったように笑う。
お客の耐久度を測るような料理は流石に出せない……とはいえ、
どこかで誰かが試さないと新しい境地は開けないというアンビバレンツな世界がそこにあるのも確かだ。
「がんばってくださいね。
世界の未来は貴女の肩にかかっているかも知れません。なんて」
冗談めかせて応援する。
ただ、目的を共有できる相手、という意味では実際未来への希望が掛かっているのは確かかもしれない。
お互い相手から見れば異邦人……それを繋ぐ、という意味では。
「はい、いってらっしゃい。
気をつけてね」
名残惜しげに去っていく少女を、手を振って見送る。
店の方はまだ余裕もあるので少しくらいゆっくり見送ってもいいだろう。
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」からラスタチカさんが去りました。
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」から坂島こやぎさんが去りました。