2015/09/20 のログ
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」に日下部 理沙さんが現れました。
日下部 理沙 > 「よし」
 
小さく気合いを一ついれて、新入生、日下部理沙は異邦人街大通りにて息巻いていた。
異邦人街は相変わらず、異邦人によってごった返しており、中には有翼人も珍しくない。
故に大きな翼を持った理沙もそれほど目立たずに済んでいる。
いや、真っ白なその翼は有翼人達からすれば一目で「生来のものではない」とわかるのだろうが。
まぁ、それは今回は横に置く。 
自分が緊張しないかどうかが理沙にとっては大事である。
 
今日、理沙は先日のヨキのアドバイスに従って、一つ奥の通りにある公園を目指していた。
そこにある面白い形のオブジェとやらを見に行きたいのである。
といっても、理沙はこの異邦人街は此処から先に行くことは殆どない。
余所者の自分がこの町をうろつくのは申し訳ないような気がするというか、単にビビっているのである。
今日だっておっかなびっくりだ。
だが、恐れていては、先には進めない。
 
先には進めないが、怖いもんは怖い。
慣れないものは慣れない。
 
結局理沙は、息巻いたはいいが、一歩前に踏み出せずに駅前でうろうろしていた。

日下部 理沙 > 理沙は翼は生えているが、飛ぶことができない。
そもそも人間に翼が生えたくらいで空を飛ぶことが出来ない事は既存の科学でも明々白々である。
だが、翼が生えていれば、普通は飛べるのではないかと思われる。
昨今は異能でも魔術でもなんでも使って人が飛ぶことは珍しくない時代である。
 
故に、余計に外見からそういう誤解を受けやすい理沙であったが、飛べないものは飛べないのである。
有翼人と同じような格好ではあるが、そこが致命的に違うのだ。
だからこそ、有翼人なら普通に飛べてしかるべき異邦人街ではどうにも引け目があるのである。
かといって普通の学生街にいけば「異邦人」に間違われるのだから、どっちだって理沙からすれば怖かった。

日下部 理沙 > 常世島に来る以前。
本州の片田舎にいた理沙にとっては、そこでもこの翼のお陰で居心地はよくなかった。
だが、こっちにきても向こうとは違う理由でいつまでたっても居心地は悪かった。
学生街に行けば翼の生えている異邦人に似た異能者として扱われ。
異邦人街に行けば後付の翼をつけている異能者だ。
蝙蝠か何かにでもなったような気分である。
 
だが、ヨキは諭してくれた。
理沙にとって彼らが恐ろしいように、彼らにとっても得体のしれない自分は恐ろしのだと。
どちらにとっても……自分にない物があるものは、恐ろしいのだと。