2015/10/01 のログ
ご案内:「異邦人街/商店街」に迦具楽さんが現れました。
迦具楽 >  
「……よ、っと。
 おじさん、これでいいかしら?」

【商店街の、ある胡散臭い店の前。
 自分の背丈よりも大きいだろう籠を下ろして、その蓋を開ける。
 中には何種類かの植物。
 その内には奇妙な形をした地球上のものとは思えないような物が混ざっていた】

『おお、いつも助かるよ。
 ……アレはちゃんと入ってるのかい?』

「そりゃあ、もちろん」

【籠を覗き込む店主の前で、重なっていた草葉を除けると。
 その下には形容しがたい、冒涜的な生き物の死骸。
 ある種の異界と化した青垣山。
 そこでは時間や空間、法則すら捩れる瞬間がある。
 そんな拍子に迷いこんだ奇妙な生き物や、何かの拍子に入り込んだ植物などが繁殖している場所があるのだ。
 それを狩り、採集してくるのが、迦具楽の新たな日課の一つだった】

迦具楽 >  
『よし、じゃあこれは今日のぶんな。
 またその内頼むよ』

「はーい、毎度あり。
 またよろしくねおじさん!」

【封筒を一つ受け取ると、店主は店の中へと消えていく】

「……さ、て。
 これで何買おうかしら」

【ようやく出来たささやかな住まいは、まだ小さな六畳間。
 風呂やトイレは不要だから用意しなかったけれど、衣服は作るし、布団は良い物が欲しい。
 とはいえ、服も布団も、作った物がそこそこにある。
 だとすれば収納スペースだろうか?
 そう何を買おうかと考えながら、商店街を歩き始めた】

迦具楽 >  
「んー、急ぎで欲しい物って、案外ない物ね」

【商店街を気の向くままに歩き回り。
 けれど目に付くのは食べ物ばかり。
 ただでさえ、まともな収入もなければ学生でもない迦具楽とっては、僅かな収入も無駄にするわけにはいかない。
 もちろん、いくらあってもキリがない食事に使うなんてもってのほかだった】

「……一度帰ろ」

【帰って、封筒をしまい込んでおこう。
 間違って使うことがないように、可能な限り温存しておかないと。
 ……と、こうして閉まったままになっている封筒は一体何通あったか。
 まあ、いずれまとまったものが必要になるかもしれない】

「今は特に、困ってないものね」

【――ああでも。
 友人に一つ、お土産でも買ってくとしようか】

ご案内:「異邦人街/商店街」から迦具楽さんが去りました。
ご案内:「異邦人街大通り」にビアトリクスさんが現れました。
ビアトリクス > ある休日の昼下がり。
チェックのシャツにカーディガン、カーゴパンツという
カジュアルな装いでビアトリクスは異邦人街を訪れていた。

目的はスケッチである。
異世界の風景を再現している――と言っても
さまざまな世界の住人の住まう異邦人街の風景は
どこかパッチワークめいた雑多なものだ。

そういった奇妙な風景はモチーフとしてはうってつけなのだが、
ビアトリクスはあまり足を運ぶことはなかった。

広場の、通行人のじゃまにならないような場所に
小さな折りたたみ椅子を置き、スケッチブックと色鉛筆を広げる……

ビアトリクス > 数日前まで、ビアトリクスは
絵を描くたびに異能が暴発するという現象に悩まされていた。
不承不承に母、イーリスへと相談したところ、
割りとあっけなく解決した。
彼女は魔術の教官としては優れていることは、やはり認めざるを得ない。

スケッチをしていると、
建築物といった景観とともに、通りがかる住民も目に入る。
異世界人――異邦人と言えば、例えばリザードマンやフェルパーといった
いわゆるヒューマノイドを想像する者も多いかと思われる。
もちろんそれらはそれなりの数にのぼるが、
この世界の一般人類とほとんど見分けの付かない者も多い。

イーリスが、自らを次元を渡る能力を持つ魔法使いであると
自称したことがある。
それが真であれば、おそらく彼女は《門》の外からの来訪者――
異邦人なのだろう。
すなわち、自分は異邦人の血を引いていることになる。
その事実はビアトリクスにとっては大して重要ではなかったが、
この異邦人街を眺める眼差しはほんの少しだけ変わった。

ビアトリクス > 異邦人街に立ち並ぶ建物も様々だ。
直視すると目眩を起こしそうな奇抜なものから、
ほとんどこの世界の建築様式と区別が付かないが、
よく見ると窓や扉の様式に異世界固有のものが見られたりするようなものまで。

色鉛筆を置いて小休止していると、
見習い絵描きの姿が物珍しく映ったのか、
異邦人の子供たちが何人か集まってくる。
その年頃はいずれも十に満たない。
常世島で結ばれて産まれた子供だろうか。

「逆テアトル広場だな……」

そんなことを呟きながら、子どもたちにせがまれるままに。
著名な漫画やアニメのキャラクターの絵を描いてやった。
もちろん代金をとったりはしない。

『うわー、にてなーい!』
(うるせえ)

子供は遠慮がなかった。

ご案内:「異邦人街大通り」に轍ヒロムさんが現れました。
轍ヒロム > 絵描き?の少年の前に列をなす子どもに混じって、明らかに大きな人影が一つ。
前の子らのリクエストににてるー!だの○○はそんな表情しなーい!だのと野次りながら待ち、自分の順番がくれば嬉しげにぴょんと前に。

「わーい私の番だ!
 あれ描いてあれ、常世学園非公認ゆるキャラの、トッキー!」

島内のイベント会場等でたまに見かける、ゆるキャラをリクエスト。
ちなみにトッキーのモチーフは、蚕の幼虫。

ビアトリクス > 面倒くさそうに子供のリクエストに応じつつ
どのあたりで退散しようかタイミングを測ろうとしていたが、
ついぞうまい機会を見つけられないままにリクエストされたのはトッキー。

「随分と大きい子供が混じってた……」
呆れ顔でそう口から漏らしてしまった。
トッキー。他にもこの島にはトコヨンなどというキャラがいたような気がする。いろいろいるんだな~。
(ビアトリクスのセンスからすれば)イヤなモチーフと、
絶妙なブサイクさを持ちあわせたキャラクターだった。気がする。

(……どんなんだったかな…………)
しかめつらで頑張って思い出そうと色鉛筆を動かした結果――
画用紙にはキュビズム的な見ていて不安を醸し出される絵が完成された。

轍ヒロム > 大きな子どもという言葉には、自分が言い訳するより早く子どもがこのネーチャン精神的には子どもだから!とフォローを入れてくれる。

「ちょ!これピカソのやつじゃん!
 あのほら、ハダカのおねーさんが何人かいるあれ!!」

アヴィニョンの娘たちを意味している台詞。
あらゆる角度からのトッキーを一枚に閉じこめたトッキーの絵を指差し、騒ぎ立てる。

「これもらっていい!?
 すげーねきみ、ピカソのうまれかわりだわ!」

感嘆し、トッキーの絵を金も払わず要求する。

ビアトリクス > 「あーそうなんだ……」
見れば他の子供ともずいぶんと仲のいい様子だった。
異邦人にもいろいろいるので、身体の成長だけが早いような種族もあるのかもしれない。
目の前の彼女は多分そういう事情ではないと思われるが。

「あ、思ったより知ってるな……ただのリスペクトだよ。
 正しいトッキーの絵かどうかはわからないけど、
 持ってっていいよ」

スケッチブックからトッキーの描かれたページを切り取って差し出した。
雑なイラストであるし、相手は(大きい)子供だし、代金を取る気は元からない。

轍ヒロム > 頭脳は子ども、で納得されたが特に気にするでもなく。
思ったより知ってると言われればドヤ顔。

「何年かまえに、美術の授業でならったんだ。
 ピカソ本人についての話がおもしろかったから、
 おぼえてるよ。
 リスペクトってことは、ピカソ大すき?」

差し出されたトッキーを一度受け取るが、また返すように差し出し、

「やった!
 ……あの、ここに、サイン入れてくれる?
 将来きみが有名になったら、
 お宝鑑定してくれるテレビ番組とかに出すんだ!」

失礼な発言。
だが少年の絵の才能を信じ込んでいる。

ビアトリクス > 「偉大な芸術家だし尊敬はしているよ。
 大好き、かと言えば答えづらいところだけど。
 あいつひどいやつだし」
芸術家にありがちなパブロ・ピカソの非人間的なエピソードのことを指して。

「ずいぶんとあけすけだなおい。
 ……じゃあそのときまで、劣化しないようちゃんと保存しとくんだね」

率直にほどがある提案に苦笑する。
ぶっきらぼうなもの言いをするが、
それだけの評価を受けていることはわかるのでそう悪い気はしない。
Beatrix Hienoとおもしろみのない書体で署名をして、改めて差し出す。

「ここには随分馴染んでいるみたいだけど、
 きみも異邦人なのかな」

ふと興味の湧いたので、そう尋ねてみる。
パッと見はこの世界の人間と変わらないように思えた。

轍ヒロム > ひどいやつと聞けばニヤリと口元を歪める。

「愛人いっぱいいたり、
 おじいちゃんになってから下ネタ絵ばっか描きだしたり?
 うけるよね!」

自分で言ってけらけら笑う。

「ありがとー!!
 …………べあとり……えっくす……ひえの?」

綴りがローマ字読みでしか読めない。

「あ、うん。
 ばーちゃんがね、異邦人つか、ウチュー人。
 つっても私は1/4だから、ほとんど人間だね~。
 ひえの君は、純人間かな?」

少年の姿を伺いながら。

トッキーの絵を羨んで手を伸ばしてくる子どもらには、これは私のだからダメー!あげなーい!と大人げなく奪われないよう絵を頭上に高く掲げる。

ビアトリクス > 「絵描きにしろ舞踏家にしろミューズとかなんとか言って呆れるよね。
 当時の芸術家を取り巻く時代背景もあったってのはわかるけど。
 ……あー、ビアトリクス、って読むよ。ヒエノは苗字ね」
どうも知識がアンバランスな少女だ、とビアトリクスは思った。

「へえ、宇宙。つまり異星人?
 わりとレアな出自だな……」
瞬きを数度。

「ぼくは……この世界出身だけど、親が異邦人。
 と言っても、別にこの世界の人間とは変わらないし、
 純人間扱いでいいんじゃないかな」

少し自信なさげな声でそう答える。
少女の周りに群がる子どもたちをおいおいと制止する。

「わかったわかった。
 きみらのぶんも描いてあげるから、喧嘩するな」
ため息を吐いて新しいページをめくり、他の子たちのために
トッキーを描いて、渡す。

轍ヒロム > くくく、と笑いを噛み殺す。

「私は時代背景とかはわかんないけどさ、
 芸術家って、好きほうだい生きてるかんじでいいよね。
 ビアトリクス・ひえの君は、破天荒な芸術家タイプ……ではないのかな」

そんな生き方に呆れるのなら、むしろ逆のタイプなのかなと思う。

「んー。
 たしかに、異邦人の中では少数派かもしれないね。
 けど三世だからばーちゃんのうまれ故郷なんて行ったことないし、
 あんまウチュー人の血ぃひいてる意味ないねえ」

軽い口調。

「へー、親が異邦人なんだね!
 見た目はほんと、純人間ぽい。
 なんか人間ぽくない特徴とかあるの?」

実はしっぽがあるとか、背中にウロコがあるとか!と親しげに質問。

「おお、ひえの画伯やさしいね。
 おーい子どもら、私もやさしいぞ!
 わだち画伯もその横になんか描いてやるから、
 いったんよこしなさい!」

自分も子ども達に優しいと思われたい。
子ども達に配られていくトッキーの横に何か書き足そうとして、子ども達に逃げられるわだち画伯。