2016/10/17 のログ
ご案内:「異邦人街」に久世藤士郎時貞さんが現れました。
久世藤士郎時貞 >  
目がくらむばかりの光を抜ければ
そこは異世界でした

とはいえ本人はそんなことを知るよしもない

「くっ・・・・・・なんじゃこれ――は?」

背後には見覚えのあるようなないような神社があるがまわりを囲む森が消え失せている
かわりに総石造りの城が建っていた
少なくとも元の場所ではない

「・・・・・・は?」

何が起こったかわからず呆けたように見上げる

ご案内:「異邦人街」に宮比 奏楽さんが現れました。
宮比 奏楽 >  
ドドドドドドドドドドド

後ろから走ってくるおとがきっと侍には届いている。
走ってくる、何かが――そして――

「こんのおおおおおお、ばかざむらいがああああああ!!!!」

ドロップキック。腰痛にさせようとばかりの――

完璧な、腰を狙ったキックだった。
浴衣がバサバサと揺れる

もちろんはいてなかった

久世藤士郎時貞 >  
「ぬぅ?」

腰痛どころか背骨を折らんばかりのドロップキックをそのままに受ける
が、鍛えに鍛えた身体はビクともしない
それよりもてつほう対策に鉄板まで仕込んだ胴を素足で蹴っていたくないのかと思う

それはそれとして衝撃に我に返る

「さ、さてはきさんか!
 これは幻覚の類いか!?
 まさか黄泉比良坂ということはあるまい?
 元の場所にかえせ!」

多少剣術に優れるだけの自分にこんな力は無い
となれば神鬼となのるこいつの仕業に相違ない

そう決めつける

宮比 奏楽 >  
「んぎゃあああああっ、かたい、いたい!!!?」

痛くないわけがない。当然ながら、痛覚がないわけでもないので
足を抑えて、ごろごろごろごろと転がってる。
威厳もくそもない、哀れな姿である

「うるせえええ、わらわのせいなわけあるか!? くそざむらい、おまえのせいだ、おまえの!! おまえがとった、耳飾り。あれが神器だったんだよっ」

涙目になりながら、ごろごろ転がりつつ罵倒

「変なとこに飛ばされた程度でよかったな!! しんでたらどうしてくれる、おおばちあたりのこんこんちき!!!」

うぎゃあああっと騒ぐ。でも転がる

久世藤士郎時貞 >  
「なに!?某が!?」

掌を開いてみるが当の神器がない
思えば奏楽も光に包まれたときよりも離れたところから走ってきていた
とすれば神器も別の場所に飛んだのだろう

しかし握ったままのものが消えたとなればあれが神器だったのは間違いないだろう

「まさか神器持ちがそう何人もほいほいおるなんておもわんだろう!?」

あの戦は負けるべくして負けたのだろう
とはいえ命は拾ったようだ
この鬼神を何とかすればの話ではあるのだが

みれば今まで恐れていたのはなんだったのか
地面を転がる姿は何ともみっともない

これはひょっとしていけるのではないだろうか・・・・・・?

宮比 奏楽 >  
「そうだよ! おまえがだよ!! 詫びて、こびて、謝罪しろっ。よくもまきこんでくれましたねぇ!!? あぁん!?」

ようやく痛みが治まったのが、ごろごろするのが止まる。

「いるんだよ! 世の中ってのは非情なんだよ! あそこで死ぬのが運命だったのかもしれないだろっ。受け入れとけよっ」

ぐすんっと、涙を流しつつ。あー、痛いともう一度つぶやく。

「――で、あの耳飾りはどこだよ」

じとっとして見つつ。

――んー、でも帰らなくてもいいななんて。
そんなことを心の中で思いつつ。

なにせあっちにもう信仰者がいないし

久世藤士郎時貞 >  
神器がないことがばれればさらなる癇癪を起こすことは目に見える
ついでにぷちっとひねりつぶされてはたまらない
彼我との能力差はそれほどまでにある

――これはやられる前にやるしかない

一人勝手に崖っぷちに立ち精神はまさにクライマックス
さりとて思考は冷静に殺気は秘めて、体は反復し続けた動きを流麗になぞる

「耳飾りは―――」

「ない」

チンという音が静かに鳴る
刀はすでに鞘に舞い戻り刀身を見たものは誰もいない

神速の抜刀

あとは首が泣き別れるのを待つのみ―――

宮比 奏楽 >  
「――……」

ひゅううっと、いう風の音。
音の振動でずれ堕ちる――
そういう、居合……

「――はああああああ!!? ないっておまえ、どういうことだよおまえええええっ」

のはずだった。

詰め寄り、さささっと、肩をつかみがくんがくんっと侍をゆする。
がくんがくんがくんっと。
何事もなかったかのように

久世藤士郎時貞 >  
「!?」

二人の距離は一足一刀すらなかった
故に間違いなく刀は首を抜けたはずだった

そんなことなどまるで無かったかのように詰め寄る彼女を見る彼の心境はいかばかりか

まさかこちらに気付かせずに何かをしたのか?
目に見えぬほどの斬撃に対して・・・・・・?
先の先すら制され看破され渾身の不意打ちすらきかないとなれば――

「・・・・・・」

呆然とする肩ををつかまれがくがくと揺すられると
そのままがくりと膝を折り、地に手をついてうちひしがれる

やはり神鬼に挑むなど無謀だったのだ――

そして彼は勝手に窮地に立ち、勝手に挑み、そして勝手に負けたのだった

宮比 奏楽 > がくがくゆすって、地に落ちた。

「おいお前!! 話聞いてんのかっ、おい――うぷ……」

追い立てようとすると、急に何かがこみあげてくる。
少女は気づいていないのだ、切られたことに。
そして――血反吐を……

「おえ――……おろろろろろ……」

おや? 暖かいが、血なまぐさい、鉄のにおいがしない。
むしろもっとねばっこい、そして酸っぱいにおい……

「おえええ、おろ、うぷ……おえええ……」

吐いていた。
酒から何から何まで。
いわゆる――

    飲みすぎによる嘔吐である。

酒を飲んで急な運動。
この、童女。酒に強いわけではないのである。
そして上下に揺さった反動もあって――
吐いた。

当然真下に。

真下ということは――つまり……

久世藤士郎時貞 >  
「くっ・・・・・・」

甘んじて受ける
自分は負けたのだ
生殺与奪の権利は彼方にある

それにしても これ はひどいのではないだろうか・・・・・・

「ひと思いに殺してくれ・・・・・・」

ちょっと泣きそうである

そうしてはきだされるそれを受け続けるのだった

宮比 奏楽 >  
「うぷ……おえ……おろろ――おえ……げほ、ごほ……」

結構大量に吐いた。
たぶん鎧の中も、ぐしゃぐしゃだろう。

「なんだ、おま、おえ……死にたいのか?」

口をぬぐいながら、尋ねる

久世藤士郎時貞 >  
「そんなわけなかろう・・・・・・
 言葉のあやというものだ」

なにせまだ自分は守るべき地位も名誉も得ていない
存在しない誇りを守れというのも無理なものだ
とはいえさすがにこのままゲロでおぼれろと言われたら流石に考えるかも知れないが

考えていると流石に気持ち悪くなったのかよろいを脱ぐ

そこそこ仕立ては良いのだろうが今は見る影もない

宮比 奏楽 >  
「うっぷ……おう、だよな」

じゃなきゃ、逃げるなんてことしないだろうし。
あんな風に、なりふり構わずってこともないだろう。

「んじゃ、お前、これからわらわの信仰者ってことで」

よーくよーく、見てから。
侍の汚れてない服のところに手を置いて――

「生かしておいてやるから、しっかり私のために働け」

ハートマークが出るほどに、ウィンクをすると。
また、頬がパンパンに張り、真っ青になって――

「お、お――……」

吐き出しそうになる

久世藤士郎時貞 >  
「致し方ない・・・・・・」

一体何をさせられるのか気が滅入るばかりだ
かぶりを振り胡座を組んで座り直す

「それでなにをすれば――」

と顔を上げればまた吐く寸前にしか見えない

「まて、まてまてまて
 まさかそれを受けるのが仕事とは言うまいな」

ともすればお恵みか
絶対受け取りたくない

思わず前言撤回したくなる

宮比 奏楽 > ぶんぶんっと首を振って――近くにある穴――
道のわきにある穴――排水溝に、おろろろろろろっと吐き出す。

「ちっげぇし。わらわを信仰しろ、お前、寸前のところで銭投げたろ。信仰者、いなくなったら、わらわたちがどうなるか――」

あぁ、考えたくもない。
まだ堕ちていなかったということはあの世界ではまだ信仰者は数名いただろうが。
ここでは、こいつだけがたよりだ。

「わらわの信仰者を増やせ。あとは、わらわの生活を養え。いいな……?」

きりっと言ってみるが、そのあとまた吐いた。
まったくもって――威厳もかけらもない

久世藤士郎時貞 >  
「う、うむ。了解した」

とはいえ何をすれば良いのかもわからない
ここがどこかもわからない
移動したにしてもこのような建物を見たことがない

ないないづくしの中どれだけ遠くまで来てしまったのだろうか

まさかまるで違う次元、異世界に来ているともつゆ知らずそんなことを考える

それよりも

「ああ、風呂に入りたい・・・・・・」

ぼそりとそうつぶやいた

宮比 奏楽 >  
「聞き分けがいいな。いいか、わらわたちは運命共同体――……うらぎろうなんてしんでも――うぷ……」

おえええ――……っと最後に盛大に吐いて。
少しして、すっきりした顔をしながら。

「さて――ところで侍」

ふぅっと息を吐き。

「――……家はどこだ?」

二人の生末は前途多難である

ご案内:「異邦人街」から宮比 奏楽さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」から久世藤士郎時貞さんが去りました。