2015/06/11 のログ
ご案内:「みかんの祠」に志葉恭介さんが現れました。
■志葉恭介 > 【数日振りに祠を訪れ、慣れた手つきで履き掃除を行う。以前誰かが行ってくれた徹底的な掃除により、日々の手間は随分と緩和された、気がする】
【……慣れた手つき、と言っても何処かその動きは固く、動作に違和感を覚えるもの。時折足首を庇うような所作をして眉を顰める事も多い】
【ともあれ、主が現れるまでは手持ち無沙汰だ。ゆっくりと、掃き掃除を続ける】
ご案内:「みかんの祠」にみかんさんが現れました。
■みかん > ご苦労信者一号。
何も言わずとも掃除を始めるとは感心感心。
【そこへ現れたのは祠の主である。
威厳はなくとも主は主である。】
■志葉恭介 > 【予兆無く現れる姿にも慣れたもの。視線だけをそちらに向け、ふむ、と嘆息】
日課みたいなもんだからな。
【そう短く応えて、白い紙箱を差し出す。甘い香りが風に乗り、みかんの鼻をくすぐる】
差し入れ。ドーナツってやつ。
なんか、女子はこういうのが好きだそうで。
■みかん > おおーおおお!
これがドーナツか!話に聞いたことはあるが、目にするのは初めてじゃ!
【ここでいう「話」とは、ネットサーフィン的なやつなのだろう。
スイーツに関する世間話が出来るほど交友関係が広いとは思えない。】
■志葉恭介 > ……なんか矢張り俺よりも使いこなしているんだな。
【目を輝かせるみかんの様子をぼんやり見やりつつ、自身の買ったばかりのスマホを取り出し、恨めしげに睨む】
結局俺も骨董品使いからスマホ持ちに進化を果たすことになった訳で。
なんだか異邦人だの異界の神だのより遅れを取っていると学友にからかわれたものだよ。
……で、食わんのか。
■みかん > よいのか!如才のない男じゃのう、褒めてつかわす!
いただきまーす!
【若干、キャラがおかしくなっている部分があるようにも見受けられるが。
供物といえば大部分が恭介による寄進なわけで、それを楽しみにするのも当然なのかもしれない。】
おお、少し見ない間に物理キーがなくなっておる。
今時ガラケーを取り出すのも周囲から浮くじゃろしなー。
【それにしても、少々現代社会に馴染みすぎではないのか。
砂糖と油と小麦のかたまりを幸せそうに頬張りながら、恭介の手の中のものを眺める。】
■志葉恭介 > そりゃまあお供え物だからな。俺も一つ頂くけれど。
【オールドファッションを一つ箱から摘み、もそもそと頬張る。此の男なんだか物を食う様が酷く侘しい】
恐るべしインターネット。君本人の適応の早さもあるのだろうけれど……何というか。
マッハで世俗擦れしたものだ。
【遊びのないソリッドなデザインは耐久性を重視したモデルなのだろう。不慣れな様子で片手操作していたが、もうなんだか面倒くさくなってきたのかポケットの中に突っ込む】
……少しは、君に外を見せるという約束の緒が掴めそうだ。
■みかん > ほへははほほは。
【げっ歯類めいた頬袋を膨らませ、やがてその中身をゆっくりと咀嚼して嚥下し、小さく咳払い。】
……それはまことか。
正直、こんなじゃし、期待しておらんかったのだが。
【背後の石搭を見やる。具体的な距離は本人にもよくわかっていないようだが、どうもこの神はこの祠から離れるということが出来ないらしい。】
■志葉恭介 > ……。
【まるきり子供のような様相に、無言で珈琲牛乳のパックを手渡す。微笑ましい、と感じる一方で肩入れしすぎていると言う自覚と――】
【『不都合があるのは俺じゃねえ、お前やーーあいつ自身さ。
お前にだって思い出したくない昔話のひとつやふたつ、あるんじゃねーのか?』】
【枳と自ら名付けた少年の言葉が脳裏を過り、胸の奥に澱を残した】
何というかね。その、スマホ内に斎場を作る術式を組み上げ、其れを分社とする事で君も出歩けるようになるのではないか、と。
……まぁ、どうやって其れを為すのかは俺には正直さっぱり分からんのだけれどね。
■みかん > じ、自分でも分からんことを言っているのか。
……しかし分社か。神霊は無限に分割し勧請できる、とかいうやつじゃな。便利な考え方じゃのう、神道というやつは。
【刹那、暗い淀みを見せた恭介の表情には気付かず、コーヒー牛乳を飲み下す。】
これうまい!
■志葉恭介 > 発想は在ったが実現可能かどうかは分からん。
が、実現出来そうなやつが居たから頼んだ。
という話だ。
【一旦中断していたオールドファッションの咀嚼に戻り、またもそもそとやりつつ】
【顔を綻ばせるみかんにそう言えば、という思いを得る】
君もまた神霊なのだろうけれど。
普通にドーナツ持ってきて食べさせたんだが空腹とか、そういうのはどうなってるんだ?
■みかん > うむ、当然の疑問じゃの。
まあ今しがたこうして食物を捧げられた、この口で言うのも少々気が引けるが、妾は本来の意味での「食事」は必要ないらしい。
――が、虚無への供物というわけではないぞ?信徒が手ずから選び持ってきた甘物、それはつまり妾への信仰の顕れである。妾の権能を取り戻す一助になっているはずじゃ。
……ありがとう、恭介。
【偉そうにまくしたてた後で、少しはにかんだ笑顔を見せる。】
■志葉恭介 > ……成程。供物はそれ自体信仰を表すものであるが、それを神霊本人が取り込む事でより顕とする、か。
爾来、多様な文化圏に於いて食べると言う行為には特別な意味を持つ物であるけれど。それは神様においても同じって事かね。
【己の見解を述べ、少し残ったオールドファッションを名残惜し気に口中へと放り込む】
【向けられた笑顔と、素直な感謝で首筋がこそばゆい。いつもの調子でそちらに手を伸ばし】
【……脇腹に巻いた包帯の下の傷が引き攣れた】
どういたしまし……って、いってぇ……
【眼鏡を光らせながら、控えめに悶絶する少年である】
■みかん > ど――どうした?
どこか痛むのか?怪我でもしたのか?
【慌てて駆け寄り、恭介の顔を見上げる。
ついでに小さな掌で、その細く引き絞られたような肢体を無遠慮にまさぐる。】
■志葉恭介 > 【いともたやすく行われるえげつない行為、という言葉が脳裏を領空侵犯して来る】
【否、事情を知らないのであるから当然であるが――】
ちょ、っと、ま、いだい。全身痛いから。
あ゛っ待っ、い、いでででででっで
【ぺたぺたと小さな掌が触れる度に奇矯な舞踊を踊る本人は全く笑えない心地である】
【やがて哀れにも少年はぐったりと大地に倒れ伏す】
……先日、本業の方で、ちょっと、な……?
■みかん > 地面で寝るほどにか。それはすまなんだが……。
……。
……どうにかならんかの。
【息を切らせて天を仰ぐ少年の脇腹を、優しく撫でさする。
傷が痛まない程度に、触るか触らないかのソフトタッチ。
みかんが瞑目すると、かざした手が暖かい光を発して――。】
■志葉恭介 > 【ぜーぜー言いながら仰向けになり済まなさそうな顔で此方を擦る幼い顔を仏頂面で見返して】
薬着けて大人しくしておけば治るものだ、こんなのは。
大人しくしている暇があまりない学生という身分が少々疎ましいものだが――
【脇腹の傷口に感じる温かい感覚。目を伏せたみかんを訝しげに見つめ】
……?
■みかん > ……出来ると思えば出来るものじゃの。
どんな塩梅じゃ?
【かざした手を引っ込めて、目を開ける。
恭介が自分の脇腹をまさぐると、引き攣れた傷口はほとんど消え失せていた。】
■志葉恭介 > ……。
【思わず傷を確かめ、それが塞がった事を理解する。手先が淡く光った時、予想しなかったと言えば嘘になる】
【だが――彼女が顕現させる権能は、矢張り】
ん、あ。あぁ。
随分良くなったけれど。吃驚した。
【推理の材料が揃い始めてきた事を探偵は薄っすらと感じ、どこかそら寒い思いすら得る】
【まるでそれは、願えば新たに得られる力とでも言うような――】
……いや、その。ええと、ありがとう。
【今度は最早「随分と都合が良い」などという軽口は、口に出来なかった】
■みかん > なんじゃ、いやに殊勝じゃの。
だが遠慮をすることはないぞ、いつもおぬしに助けられているのは妾の方じゃ。
【そう言って微笑むみかんの顔は、何の陰りも見受けられない。
……あるいは、恭介と同様の懸念を抱きつつも、覆い隠した表情なのかもしれないが。】
■志葉恭介 > 傷を治して貰って感謝もしない薄情者に見えていたとしたなら、なかなかに心外だな。
【皮肉で返し、そのように笑うが今ひとつ上手く鎧えているかも分からない】
【今更ながらに、目の前の小さな神の得体の知れなさを実感する】
【だからと言って――今更依頼を下りる事など考えようも無いし、己の権能を取り戻す彼女の笑顔に充足を感じるのも確かな事なのだ】
しかし、力はともかくとして。記憶の方はどうなのか。
何か手掛かりになりそうな事を思い出したりはしていないのかね?
■みかん > ……記憶と言ってよいものか、わからぬがの。
【近頃は、繰り返し垣間見えるイメージがあるのだという。
豪奢な建物。
かしずく無数の人々――信徒?
何不自由ない満たされた日々。
全てを与えられた万能感。】
それと――うう、む。
これは余計に漠然としたイメージなのじゃがな。
妾には弟がいたような気がする、のじゃ。
■志葉恭介 > ふ、む。
【探偵の頭脳が回る】
【与えられた材料と手持ちの知識から推論を重ね、みかんと名付けた幼い神の正体を類推する】
【それは何処かしら楽観的な、ある意味腑に落ちる、懸念する程のものでも無い想像ではあるのだが】
弟……?
【その一つの項目が追加された事で、再び胸の内が奇妙にざわつき始めたのは無理からぬ事であろう】
【起き上がり、地面の上にあぐらをかいて眉間に指を当て、黙考する】
■みかん > ……まあ、なんかおかしな話じゃろ。
もちろんどこの神話にも神の兄弟姉妹なんぞざらに出てくるがの、なんというか……妾のイメージは所帯じみておるというか、実質的というか。
【確かに、彼女の記憶(らしきもの)は、神々の来歴というよりも、まるで貴族や王族の暮らしぶりを髣髴とさせる。
――王族――。】
■志葉恭介 > ……お姫様、か。
【少年が繰り返し口にした呼び名を舌に載せる】
【それは彼女と、自身の想像の延長線上に容易に浮かび上がる物であり――】
……まぁ、生前王侯貴族だった人間が死後神として祀り上げられる、ってのも無い話じゃあないだろ。
こっちの世界にだって色々在る事だしね。神話における神々の争いは其實部族間抗争だった、という歴史的研究だって枚挙に暇がない。
【半ば平静を保つための饒舌であった。それ故に】
【その他の条件で祀られた者、という可能性を無意識に蓋をしたことにすら、気づかない】
■みかん > 人間、死後、か。
妾は一体何者なのじゃろうな――。
【もはや何度目になるのか、その疑問。
しかし今となっては意味合いが変わってきている。
それは「どうか暗い謂れの存在ではなきよう」という、祈りのような――。】
■志葉恭介 > 【その想いは恭介の想像を絶するものであるのは確かであった】
【寄る辺は無く、己が何者かも分からず。どれだけの時をたった一人で過ごしてきたのだろう】
【そして知己を得た今、己の謂れに不安を持ち、恐れる】
【人の身では想像もつかない。その不安と恐れがどれほどのものであるかなど――】
少なくとも今の俺にはドーナツ食って珈琲牛乳飲んで携帯弄って喜んでるお子様にしか見えんけれどもね。
【――けれど】
【その怯え自体は、ただの女の子のそれと変わらないものだから】
【皮肉めいた物言いをした後、手を伸ばしてその蜜柑色の髪を叩くように撫でる】
今のところは、仮の名のみかんって事でよかろうさ。
■みかん > んぐ。
またおぬしはそうやって嫌味たらしい物言いを――。
【しかし、あえて無遠慮に撫で付けられた掌を、払いのけようとはせず。
自身のものに比べれば大きく頼り甲斐のあるそれに、自分から掌を重ねて。】
――そうじゃな。
何も焦ることはない、今の妾はおぬしが見つけた野良の神、ただのみかん――じゃ。
■志葉恭介 > で、そのただのみかんに、一つ、頭を下げてお願いしたい事があるのだけれど。
……このスマホのアドレス登録というのをだな……説明を受けてもなんというか全件削除とかそういう恐ろしい事態を自ら引き起こしてしまいそうで怖い。
【やたらに恭しく、真新しいスマホを差し出すのであった】
■みかん > ……。
任せておくがよい、暇にかまけて電化製品の扱いを習熟した神、今こそその偉功を知らしめる時!
【そう自らを腐して、しばらくの間、スマホの操作を教授するのであった。】
ご案内:「みかんの祠」から志葉恭介さんが去りました。