2015/07/21 のログ
ご案内:「宗教施設群」に自販機さんが現れました。
自販機 >

 ォ
  ォ
   ォ
    オ
     ォ
    ォ
   オ
  ォ
 ォ
 オ………(という謎のうめき声を響かせる聖堂があった。)

自販機 > (ボロ屋のようなみすぼらしさ。
 歯車や真空管などをこれでもかとてんこ盛りにして作られたいわば機械の神殿である。十字架のようなものはなかったが、歯車と回路ででっち上げたシンボルがネオンによって輝いていた。
 二階建てのオンボロ建築なので神聖さの糞もない。
 しかも奥に安置されているのは自販機である。)

「     」

(電子部品でめっちゃ綺麗に飾られている。
 いやあの自販機なんですが何か勘違いしてないですかと)

自販機 > (謎の神殿にありがちなォォォォといううめき声であるが、二階の部分にスピーカーが仕掛けられている。誰かがBGM代わりにうめき声を仕掛けているらしい。
 まず宗教施設として認められないレベルのお粗末な糞建築があること自体おかしい。きっと宗教の糞自由で糞主張したに違いないね。そうだね、常世学園。)

「………」

(動かない。
 気に入ってるのかもしれない)

自販機 > (そのとき、ふしぎなことがおこった!
 自販機さんの両側から固定装置らしきものがせり出てくると、本体をがっちり固定したのである。さらにオンボロな外見からは想像できないよくある悪の科学者が発狂しながら叩いているキーボード的な操作装置が聖堂のオルガンをメキメキと破壊しながら出てきたではないか。
 隠されていた内部のハイテク装置が次々生えてくる。
 通行人のお兄さんと紙コップがびびって逃げ出した。)

「………」

(いやなよかん)

自販機 > (買いに来る人? ロール【役割】? 乱入?
 そんなものはどうでもいい。
 自販機は某雷鳥の人形劇に登場するスライド式の装置に吸い込まれていった。しばらくして出てきた。聖堂の中庭がぱっくり口を開き、ロケット的な乗り物が顔を覗かせる!
 でんどんどんでんどんでんどんでんどんでんどん!
 腕組しながら自販機さんが出……腕が無いから普通に出てきた。ロケット的な装置にがっつり固定されてはる。これはアカンで)

自販機 > (航空宇宙開発部の偉いオッサン二人組みが聖堂の片隅で不敵な笑みを浮かべていた。)

「はじまったな」
「ああ」

(何も始まってないです。
 ロケットフリーク共にとっては打ち上げられることが重要なのであって、打ち上げるブツの内容はどうでもいいのだ。
 ロケットのノズルがかすかに蠢いた。)

「ブーン」

(セリフこれしかないからね、しかたないね)

自販機 > 「打ち上げしまーす!」

(ペラまわしまーす的な軽いノリで部員の人が声を張り上げる。許可は取ってない。捕まっても構わん! 出撃だ! といわんばかりの連中である。
 このひとたちあたまおかしい。
 作業員が退避していく。
 ちゃっかり聖堂の池に住んでいたカエルさんが不穏な空気を感じ取って逃げ出そうとする。)

「打ち上げ3秒前ー」

(ブースターに点火。)

「ブースター点火ー 2秒前ー」

(自販機は逃げられない。固定がきつすぎる)

「1秒前ー」

(ちょっと宇宙行ってくる。自販機のパネルがぽろっと落ちた)

「ゼロー」

(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
 火炎が噴出する。静かな宗教施設群に唐突に火の柱が創造された。ブースターの勢いでカエルさんが吹き飛んでいく。かわいそうないきものである。
 自販機をくくりつけたそれは瞬く間に速度Free! 大気圏Free!)

自販機 > (殺人的な加速だ! と人間が居れば唸っただろうが自販機である。人が死ぬようなGにも耐える。
 あっという間に常世島が饅頭サイズに見える高さへと登っていく。
 第一段目のブースター切り離し。
 速度を得るためには推進力が必要だ。そのためにブースターを増設し、結果重くなってまたブースターを必要とする、の悪循環を断ち切るべく開発された機構である。冷戦期に開発されだけあってきわめて信頼性の高いシステムとなっている。
 切り離された本体はさらに軽くなって速度を上げていく。
 常世島は既に豆粒サイズだった。
 地球の丸さが見え始める。)

「………」

(なにも返事が無い。)

自販機 > (ドカァァァァァァン!)

(空の彼方でロケットは爆発した。
 爆発オチとかそういうんじゃないからね。ほんとだからね。
 自販機は爆発に巻き込まれてしまったがきっと数時間後には温泉にでもつかっていることだろう。
 一方地上では撤収作業に追われる部員たちが憤怒の表情を浮かべる風紀委員と熾烈な殺し愛でディープキスしていた。
 世界は平和です)

ご案内:「宗教施設群」から自販機さんが去りました。