2016/01/20 のログ
ご案内:「宗教施設群」に城 北風さんが現れました。
■城 北風 > 宗教施設群、とされる建物群に、一人の男子学生が足を踏み入れる。
それまでは表情に幾分か疲れのようなものが見えていたが、立ち並ぶ異形の建物を見ると、瞳孔が開き気味の目を輝かせ、足を速める。
「これは…… ここは、一体……!」
風土も様式も違う、様々な建物を高揚気味に見回すと、突如バッ!と大きく両手を広げた。
「ここだ! ここに我が信仰の砦を築こうではないか!」
……わけのわからないことをがなり始めた。
■城 北風 > 「我が頭脳が告げている。ここはかの輝かしき生命たちの信仰の拠り所にして、彼らの魂の帰る場所であるのだろう…」
どうやら、異邦人たちが信仰している神々が祀られている場所なのだろう、と言いたいらしい。
「なればこそ!ここに我が神の砦を置き、我らが幸福なる世界を撒く第一歩として悪いわけがあろうか! 否!! 否である!!
我はここにたどり着くべきさだめであったのだ…
神よ、しばしお待ちを!汝が信徒・この城 北風にお任せあれ!
必ずや、神…… あなたの清浄にして永劫の砦を、ここに築き奉る……」
一人で物騒なことをがなりながら、城北風と名乗る男子生徒は、辺りを見回しながら、砦とやらを築くための適当な場所を見繕い始めた。
異邦人にしてみれば、これほど失礼な話はあるまい…。
■城 北風 > 「そうだ… ここに神のよりましが祀られれば、我が信仰も一層強固なものとなろう。
神…… 神よ……
我が祖国の俗物どもは、汝が存在を認めなかった… 汝の崇高な教えを理解しなかった…
だが!!
汝が剣は、決して折れはしませぬ……!」
高揚しているのか、男子生徒は一人で、しかも大声で、ブツブツと話し続けている。
「…ええい。よさそうな場所にはもう既に他の建物があるではないか…!
輝かしき生命たちよ… 汝らの土地を見る目は正しい…!
何故ならばここなんかすごく日当たりがよさそうだし、道に面しているからお参りにもわかりやすそうだ。
くっ…… 人間はあまりにも脆弱だ……!」
目を付けた場所には既に立派な建物が建っていたようだ。
■城 北風 > 「だが…… 神よ……
汝が剣は、このようなことでは決してくじけはしませぬ……!
場所がなければ… 作ればいいだけのこと!」
言うと、建物と建物の隙間にある、僅かな空き地の雑草を抜き始めた。
ここを整備して、砦とやらを築くつもりらしい。
「思ったより小さい場所になってしまったが… 我は形とか大きさにはこだわらぬ。
大事なのは気持ちだ。そして信仰の強さだ。神もそう告げているはずだ。」
しゃがんでブチブチと雑草を抜く姿は、傍から見ると清掃のボランティアか何かのように見えるだろうか?
「フフ…… 見ておれ、いつかここにある他の建物にも負けぬ立派な砦をここに築いてみせよう……
幸福な世界はもう間近であるぞ!
ハーーーッハッハッハッハゲホ!!ゴホッ!!」
清掃のボランティアらしからぬ野望を口にし、男子生徒は不敵な高笑いを上げ、むせる。
■城 北風 > 「ゴホッ、ゴホッ……
いや、やめよう。あまり大きな声を出すのは近所迷惑だと神も告げている。
しかし… ここは普段あまり人が来ないのか? 宗教施設群だぞ?
輝かしき生命たちには信仰の心というものがないのだろうか……」
あらかた草むしりを終えると、次は空き地中を這いずり回って小石を撤去し、ゴミを拾う。
拾ったゴミや抜いた草をまとめながら、人が来る様子もない施設群をどこか心配そうに見回す。
あれだけ大声で高笑いまでしたのに、注意すらされないのだ。
信仰に生きる男子生徒としては、やや不安になる静けさである。
■城 北風 > 「……いや。
そうだな。信仰とは心の中にあるものだ。
形あるものばかりではない。偶像にすがり、絵画に頭を垂れるばかりではない。
少々気合が入りすぎていたようだ。我もまたひとりの信徒として、この都市の信仰を支える礎となろう…」
フフ…と満ち足りたような笑みを浮かべ、一人で勝手に納得しながら、空き地の片隅にゴミと草と拾った石をまとめる。
「今日はゴミ袋の持ち合わせがない。少しだけここに置かせておいてもらおう。
我が神よ… 汝が信徒の不用意を許したまえ…」
積み上げられたゴミたちを前に、膝をついて祈りを捧げる。
…ブツブツと題目のようなものを唱えながら、かなり長い時間祈っている。
■城 北風 > 「……さて。片付けはまた日を改めるとしよう。
どういう砦を築くか、それが問題だ…。
しかし、神よ… 我は必ず汝が玉座をここに示そう!
この島を、我らが信仰の第一歩としよう!
我は決して!歩みを!止めることはしない!
ハーッハッハッハッハッハッゲホ!!ゲホッゲホッ!!」
やおら立ち上がると、バッ、バッ、と芝居がかったポーズをつけながら、やはり大声でがなり立てる。
どうやらこの場所が大いに気に入ったようだ。
高笑いを響かせ…やはりむせるのであった。
■城 北風 > 「……うむ。だいぶ冷えてきたな。
今日のところは、これで構わないだろう。
しかし…住む場所も早く見つけぬとな…」
どうやら男子生徒は島に来たばかりらしい。
どことなく不安そうに、綺麗に片付けたばかりの空き地を見ると、ブンブンと首を振って気を取り直す。
「いかんな。神の第一の信徒である我がこのような有様では…。
大丈夫だ。何とかなる。神もそう告げている。
我がこの地に安寧を見出すことを、神はきっと望んでおられるはずだ…」
そう言うと、立ち上がって学ランについた砂を払い、歩き始めた。
今夜寝る場所も決まっていないようだが、恐らくは、なんとかなるだろう…という思いで。
ご案内:「宗教施設群」から城 北風さんが去りました。