2016/02/04 のログ
ご案内:「宗教施設群」に城 北風さんが現れました。
城 北風 > 「ふふ……そろそろ我が神の砦の完成であるな……」

(物騒なことを呻きながら、木材を満載した荷車を引いて歩く一人の男子高生。
 宗教施設群の一角にある小さな小さな空き地に、勝手に立てた限りなく犬小屋に近い神殿が、もうすぐ完成を迎えるとあって、彼の足も軽い。)
(彼を見かけるたびに注意を促してくる風紀委員や公安委員を撒くルートも既に見つけてある。)
(勝手に作った監視装置の感度も上々、足取りも軽くなろうというものである。)

「砦ができたら名前をつけねば…… ん……?」

城 北風 > 「………あれ………?」

(男子生徒は足を止める。昨日まで確かにここにあった、ボロい犬小屋(みたいな砦)の姿はどこにもない。)
(ただ、土を掘り返したような跡と、散らばった僅かな木っ端があるだけである…)

「………」

(呆然と立ち尽くす男子生徒の目の前の小さな空き地に、北風がぴゅ~…と吹きすぎていく)

「………お、おかしいな……?
 我は確か昨日まで……ここで……あれ……?」

城 北風 > 「………ん?」

(呆然と空き地を眺めていた男子生徒の目に、ふと地面に置かれた、折りたたまれて飛ばされないように石で重しをされた紙を手に取る。
震える手でそれを開いた男子生徒の顔がこわばる。)

「強制撤去……だと……!?
 何がゴミ置き場か!!我と我が神の聖なる砦に向かってなんたる暴言を!!くそっ絶対許さんぞ!!」

(紙をぐしゃぐしゃに握りしめて地団太を踏む。
どうやらせっかく建てた犬小屋は、ゴミと間違えられて撤去されてしまったらしい。)
(数か月分の苦労が水の泡になったことを差っ引いても、男子生徒は憤っていた。自身の神を汚されたように感じたらしい。)

城 北風 > 「……ううっ……せっかく作ったのに……」

(思う存分地団太を踏んだ後、男子生徒はがっくりと項垂れる。
不審者扱いされながらも、せっせと材料を運び、慣れない大工仕事をした日々が思い出される。)
(自身の神に玉座を用意する… たったそれだけのことが受け入れられない。理解されない。
そのことは、傲岸不遜ながらも強靭極まりない男子生徒の思いをかすかに揺らがせる。)
(はぁ、と大きく深いため息をつき、引いてきた荷車に腰を下ろす。)

「まぁ…それもそうであるな。ここは異教徒の信仰の場。新参が好き勝手をしていていは、示しがつくまい」

(反省はしているようだが、根本的な問題には気づいていないようだ…)

城 北風 > 「む…… なんだか少し疲れたな……」

(すっかり気の抜けてしまった男子生徒は、あくびをかみ殺しながら袖で目をこする。)
(何もなくなった空き地を目の当たりにし、慣れない土地で慣れない環境に少しずつ積み重ねてきた無理が、疲労として噴出したようだ。)

「………少しだけ、休むか」

(引いてきた荷車の木材を片側に寄せると、荷台に小さく丸まって横たわる。
たちまち寝息を立て始めた。)
(傍から見たらかなり窮屈そうだ…が、本人はあまり気にしていないようだ。)

城 北風 > 「………ぐー………ぐー………」

(心地よさそうに寝息を立てているが、眠っているのは安定性の低い荷車の上。)
(あっという間にバランスを崩し、地面に投げ出される。)

「! つつ……しまった、寝ていたな。いかんいかん」

(こわばった肩をほぐしながら立ち上がる。はぁ、とまた一つため息をついた。)
(再度、空っぽの空き地を眺めると、顔を引き締める。)

「……また、新たな聖地を探さねばならんだ。
 案ずるな。我は神の僕。神の剣。この程度のことで、くじけたりはせぬのだ。」

(きっぱりとそう言い放つと、ガラガラと荷車を引いて、その場を後にした。)

ご案内:「宗教施設群」から城 北風さんが去りました。