2016/06/05 のログ
■迦具楽 >
「……うん、わかった。
本気で数百年後を狙ってるつもりなのは分かったけど。
うん、あのね」
【これだけ楽しそうにしてるんだから、現実を突きつけるのも悪いような気がしてくるが、そうは言っても教えないとどこでも構わずやらかしそうなのが不安である】
「たぶん画用紙じゃ、どうしたってその頃まで原形とどめてないと思うよ。
それに今はそういった土地の権利関係とかって厳しいみたいだし、簡単にはいかないんじゃないかしら」
【それこそ今の文明が滅びるくらいでもなければ、その目的は達成できないように思った。
いや、ちょっとだけなるほど、とか思いそうになったので、計画自体は悪くないとはおもうのだけれど】
■石蒜 > 「??」
あのね、と前置きされて、この完璧な計画のどこに指摘するべき点があるのか、と首を傾げる。
一通り計画の穴を突かれて、しばらく顎に手を当てて考える。
「んー……画用紙はダメかぁ。じゃあやっぱり、木の板が良いのかな?教科書でも、見つかったのは木の板だったし。
あと、けんりかんけい…?は、わかんないなぁ。石蒜のって書いたのが出てきたら、石蒜のじゃないの?」
異世界からこの島に来て一年ほどしか経っていない上、言語も勉強中とあって、サヤが受けている授業は初歩的なものがほとんどである。
その範囲で習う中に、土地の所有権を取り扱うものは無かった。
■迦具楽 >
「うーん、木の板だって普通は分解されちゃう気がするけど……。
まあ権利関係については私も分からないから置いて置くとして」
【どうしたらいいんだろう、と思いつつ肩を落としながら。
石蒜の掘った穴まで歩いていく。
片手にはいつの間にか大き目のスコップを持っていた】
「とりあえず、埋めない?
計画を続行するにしても、考え直すにしても、このままじゃダメでしょ」
【そういって、自分のスコップを使って山になった土に差し込んだ】
■石蒜 > 「うーん…ばっぽんてきな見直しが必要だなぁ……。」
恐らく覚えたばかりであろう、少し発音の怪しい語彙を使いながら、腕を組んだ。
何を考えているのやら、うんうん唸っていたが、穴を戻すように言われれば、腕を解いて頷いた。
「ああ、うん、そうだね。埋めよう、もしかしたら計画通り行くかもしれないし。
上手く行ってたら、ちょっと土地分けてあげるから、それまで生きててね。」
土の山に突き刺したスコップを掴んで穴に戻し始める。
肉体派の二人がかりならそれほどかからず終わるだろう。
全て土を戻し終えて、少しへこんだ地面を、スコップでぺんぺん叩く。
「ふぅー。お疲れ様ー。」
巫女装束の袖で汗を拭う。
■迦具楽 >
「あー、良くそんな難しい言葉知ってるわねー。
まあたぶん、私は食べるものさえあれば死にそうにないし、生きてるんじゃないかしらねー」
【なんだかだんだんと、子供の相手をしているような気分になりつつある迦具楽である。
一体この友人に何があったんだろうかと思いつつも、せっせと土を運んで穴を埋めていくのだ】
「はいはい、お疲れ様。
……それで、石蒜はなんで突然こんなこと思いついたのかしら。
まさか家が欲しいからってだけじゃないわよね?」
【行動には動機が必ずあるわけで、もしかしたらそれが今の石蒜と関っているのかもしれないと思い。
家が欲しいなら他にもいくらでもやり方はあるし、そもそもどうして家が欲しいのか、という部分も気になるところだった】
■石蒜 > 「えへへ、ドラマでねー、覚えたよ。なんだっけ、えーと、でかたんって奴。
じゃあさじゃあさ、隣に住んでよ、そしたら毎日遊べるから。」
どこか投げやりな褒め言葉にも、ニコニコ笑って応じるのである。
言動や思いつきの内容はほとんど完全に幼い子供そのもの。そしてそれを変だとも思っていないようだ。
「えー?家はねぇ、欲しいよ。おっきい奴。でもそれだけじゃなくてねぇ。
うーん……なんかねぇ……迦具楽になら言っていいかな……。
最近サヤがねぇ、居なくなろうとしてる感じするんだ。
勉強とか、洗い物とか石蒜にやらせたがって、そうでない時はずっと刀に宿って寝てて、体使ってるのほとんど石蒜なんだよね。」
眉を指先で擦りながら、頭の中で気がかりになっている記憶を整理して、説明しようとしている。
「ずっと考え事してるみたいなんだけど、記憶も最近のはほとんど読ませてくれなくてさ。
体の主導権を石蒜に譲ろうとしてる気がするんだ。だから石蒜は別の体の宛があるのかなと思って。
畝傍も千代田っていう人格が出来て、交代しながら暮らしてるんだ、だからもしかしたら家族が四人になるのかなーって、それで、いつか皆で暮らせる家が欲しいんだー。」
推測に推測を重ねた末の結論だし、数十年か数百年後では間に合うとは思えない。だが石蒜が思いついた、とりあえず今すぐ出来ることは遺跡づくりなのだった。
■迦具楽 >
「んー、私も今は家があるからなぁ。
そうねえ、気が向いたらねー」
【隣に住んでという要求は適当にはぐらかしつつ、しかしほんとに幼子そのものだなあと眉をしかめた。
そして、ひとしきり話を聞けば、顰めるどころか眉間にしわを寄せつつ頭を抱える】
「……私があの駄神の小間使いしてる間に、なにがあったのよ」
【畝傍にも別人格が生まれて、サヤは精神的な引きこもり、恐らくそれの影響と畝傍との関係の変化に伴って石蒜も精神的な幼児退行……色々起きすぎてないだろうか。
とりあえず今聴いた話の限りでは、その程度の事しか思いつけないが】
「えっとね、石蒜。
ちょっとだけサヤと変われないかしら?
久しぶりに会ったんだし、サヤとも少し話したいの」
【今の石蒜は言語力も思考力も記憶力も随分退行している。
そうなると、状況を一番理解していそうで、迦具楽が話せそうなのはサヤだけだと思ったのだ。
それに――サヤが本気で消えようとしているのだとしたら。
それは迦具楽にとって、絶対に看過できない事なのだ】
■石蒜 > 「そっかぁ、じゃあねえ、石蒜が遊びに行くよ。住所教えてね。そしたらねぇ、今度はちゃんと遊んでねぇ。」
友人と話すのが楽しいのか、適当にあしらわれても上機嫌でしゃべり続けている。
「なんかねぇ、色々あったよ。畝傍もなんか変な奴に命狙われてさぁ、1回倒したけど、あんま安心出来ないんだぁ。」
つぶやきを質問と解釈したか、またぽろりと重要情報を漏らした。
サヤと変わるように言われると、えー、と口を尖らせる。まだまだ喋りたいようだが、渋々といった様子で頷く。
「いつもは全然変わってくんないんだけど、迦具楽相手なら来るかなぁ、ちょっと呼んでみるね。」
だらりと手を垂らし、軽く上を向いて、薄紫の瞳をまぶたが覆う。
ご案内:「破壊された祠」から石蒜さんが去りました。
ご案内:「破壊された祠」にサヤさんが現れました。
■サヤ > 雲がどいて月明かりが大地を照らすように、すぅっと巫女装束の色が変わる。黒と真紅から、白と紅へ。
開いた目の色は薄茶へと変わっていた。
「あ、えと、迦具楽さん……その、お久し、ぶりです……。」
どこか気まずそうに、口の前で手を合わせる。どこか媚びるような、不安そうな目線はサヤのもの。
■迦具楽 >
「……うん、久しぶり。
ごめんね、長い間会いにも行ってあげられなくて」
【こちらもまた、サヤに変わったのを確認できれば、同じようにどこか気まずそうな表情を浮かべる。
生活環境が変わって、生活基盤を整えるので精一杯だったとはいえ、友人を放っておいたのには変わりないのだ】
「え、っと」
【何から話せばいいんだろうか、と視線が泳ぐ。
話したいことは沢山あるのだけれど、何から話せばいいのやら。
まあ間違いなく、石蒜の事をたずねるべきなのだろうけど、それよりも】
「サヤ、何か辛いことでもあった?」
【まずは目の前の、かけがえの無い友人の心配が先だった。
なにかあればすぐにでも手を差し伸べられるように、距離を一歩詰めて】
■サヤ > 「あ、いえ、そんな…顔を出さなかったのは……私も、同じですから…。」
両手の指先を合わせて開いたり閉じたり、何か考えている時のサヤの癖。
話題を探しながら、目を泳がせる。口を開こうとして、しかし声を出すことはなくそのまま閉じるのを繰り返している。
「えぇ、と…あの……つ、辛いことですか………無い、と言いたいんですが…。」
距離を詰められると、怯えるようにビクリと肩が動いた。ほんの僅かに後ろに引いた足が草に当たり、微かな葉擦れの音が立った。
「……あ、あり、ます…でも、その………きっと、私が悪いんです……。」
それだけ言うと、口を閉じて俯いてしまう。
■迦具楽 >
「じゃあそこは、お互い様っていう事にして……」
【――ああ、やっぱりサヤは変わっていない。
自分が悪いというのなら、『きっと』は必要ないだろうに。
この自信がなくておどおどした、おびえた子犬のような姿は、間違いなく『記録』されている通りのサヤだ】
「……サヤ、あの時も言ったでしょ。
自分を責めるばかりじゃ、何も解決されないのよ」
【そう言って、口を噤むサヤに手を伸ばす。
俯いた顔を上げさせるように、頬に手を添えようと】
「ちゃんと話して?
アナタ達に何があったのか、サヤがどうして苦しんでいるのか……ううん、違うわね。
まずは、そう。
辛かったら、苦しかったら、そう言って良いの。
今の私なら、ちゃんと受け止めて上げられるから」
【そう、安心させるように、心を開いてもらえるように。
可能な限り優しく、落ち着いた声で、表情で伝えた】
■サヤ > 「す、すみません……。」
口をついて出るのは謝罪の言葉。ああ、また謝ってしまった。しかし自分が悪いとしか考えられないのに、他に誰を責めればいいのだろう。
頬に触れる温かい手。鼻腔を満たすのは、物が燃える時の芳しい香り。
顔を上げたサヤの目は、既に涙で潤んでいた。
「その……私が、石蒜と仲直りして……しばらくしてから、なんですが………。」
話していいものかまだ確信が持てないようで、迷いながらも、ポツリポツリと言葉を紡いでいく。
「剣の腕が……どんどん、落ちていくんです……最初は…………気のせいかと思ったんですが…鍛錬するうちに………はっきりしてきて……。
でも、石蒜は……相変わらずなんです……元から、石蒜の方が剣の腕は少しだけ上だったんですが…………その差もどんどん開いていって……。」
軽く持ち上げた右手に目をやる。動きを確かめるように開いたり閉じたり。
今は意のままに動くのに、剣を握ると、動きは途端に鈍りだす。もう巻藁一つ斬れるか怪しい。
「最近、わかったんです……。私は、剣を恐れているんです…。また心を奪われて、凶行に走るんじゃないかって思うと……剣と精神を一つにすることが出来なくなってしまいました…。
剣を持てない剣士なんで……私には剣の道しかないのに………だから、もう、私は居なくなった方が良いんじゃないかと思って……。
私が居なくなっても暮らしていけるように……色々と石蒜にやらせるようにしていたんですが……勘違いしていたようですね、あの子……。」
力のない表情、どこか虚ろな目で、サヤは自らを苦しめている考えを吐露した。
■迦具楽 >
「……そう」
【話を聞いて、聞いたものの。
言葉は直ぐには出てこない。
だからまず、体が動いた】
「サヤ、よく頑張ったわね」
【頬に添えていた手を頭の後ろに回し、ぐいと引き寄せる。
胸に抱きかかえるように引き寄せれば、逃げ出さないようにもう一方の手も背中に回した。
自分の存在意義が失われていく、アイデンティティが崩れていく。
その恐ろしさは、恐怖は、いやと言うほどに知っていたから。
なにせ迦具楽自身が、自己の矛盾を抱えきれずに一度、それによって死んでいるのだから】
「辛くて、苦しくて、怖かったでしょ。
ごめんね、サヤが苦しんでるときに、傍にいてあげられなかった」
【自分のことに精一杯になってる場合じゃなかったのだ。
きっと、もっとはやく、彼女の元に駆けつけてあげるべきだったのだと、少なくない後悔をしながら。
まだなんて言ってあげるべきなのか、どう解決していけばいいのかは思いつかない。
きっと《検索》すれば最適解がでるのだろうけれど……今は『聲』に頼りたくない。
迦具楽としての経験と『記録』でなく記憶で答えたかった。
だから、今はまだ、抱きしめてあげる事しか出来なかった】
■サヤ > 言い切ってまず起きた感情は、恐怖。
その程度のこと、と切り捨てられはしないか、呆れてどこかへ行ってしまうのではないか、思いつく限り否定される可能性を想定して、震えそうになる顎を押さえつけた。
代わりに起きたのは否定でも侮蔑でもなく、頭が引っ張られて、背中を腕が回って……つまり抱き締められた。
普通の人間より温かく感じるのは気のせいだろうか。
「あぁ………うっ……うぅ………えぐっ…。」
暖かい抱擁に、慰めの言葉に、一人で貯めこんで、堪えていたものが涙と嗚咽となって溢れだす。
「こわ…こわ、がった、です……私には……剣じが、ないのに……!うぁぁ……っ…師゛匠゛に゛……も゛う、会えないのに……!!
剣も、出来なぐなっだら……!師匠との…絆まで……なぐな゛っぢゃう……気が…じで…っ!!」
弱々しくこちらも腕を回して、迦具楽の胸に顔を埋めながらわんわんと泣き続ける。
サヤは意図せずしてこちらの世界へ飛ばされてきた。当然サヤの師匠は元の世界にいて、連絡をとる術も戻れる見込みもない。
孤児だったサヤにとっては親も同然であり、教わった人刃一刀流の技こそがサヤに残された師匠の面影であった。
それすらも失いかけて、サヤはこの消極的で緩慢な自殺に及んだのである。
■迦具楽 >
「うん、うん」
【泣きじゃくるサヤを撫で続けて、ただ聞き続ける。
残された絆……伝えられた技。
身よりのないサヤにとって、それが元の世界との、これほど大切に思っている師との、唯一の繋がりだったのだ。
人間は、本当に孤独になってしまえば生きられない。
唯一の家族との繋がりすら失いそうになって、サヤは自暴自棄になっているのかもしれない】
「……大丈夫、大丈夫だから」
【そんなことはない、たとえ剣が握れなくなったとしても、絆が消えることなんて無い。
そういう台詞でも言えばいいのだろうかと思って、"くだらない"と否定する。
そんなのは気休めにすらならない。
そんな台詞は、本当に追い詰められた相手には絶対に届かないのだ】
「今は安心して、思いっきり泣いていいの」
【恐怖も、不安も、吐き出さなければ自分の中に溜まっていってしまうだけだ。
まずはそれを全部、吐き出させてあげたい。
そして、その全部を、受け止めてあげたかった】
■サヤ > 「帰゛りだいっ!がえ゛りだいよぉ…っ!師匠に゛…みんなに…会い゛だい゛ぃ……。
もうやだぁ!なんで…!どうじて…私だけぇ……!どうして…石蒜に…だげ……大切な゛人が居るの……!ずるいよ…!
私に゛は…居な゛い゛のに゛………!!暴れまわ゛っでだのは石蒜なのにぃ……!!…うわぁぁぁーーん…!!」
ずっと誤魔化して、目を逸らし続けてきた感情。
どうしてこの世界に飛ばされてきてしまったのか、どうして言葉もろくに通じない世界で一人生きていかねばならないのか。
どうして、どうして。
自分より辛い人も居る、と決して口にだすことのない憤りを、石蒜への妬みを、積み重なった負の感情を吐き出し続ける。
泣き喚く声が小さくなって啜り泣きになり、最終的に泣き止むまで、しばしの時間が必要だろう。
「すみ、ません………お見苦しいところを……。」
全てを吐き出し終えると、サヤはゆっくりと離れてから、喉を痛めたのだろう、掠れた声で言った。
目元は腫れていて、まだ鼻は赤い。
身も世もなく泣き崩れ、恨みつらみを泣き叫んだことを恥じているようだ。
■迦具楽 >
【ずっと誰にも言えずに、自分すら騙して抑えてきた慟哭。
サヤがずっと我慢してきた悲鳴。
その声が小さくなるまで、ただ聞いて、受け止める。
その慟哭に答えられる言葉を、迦具楽は持たないから】
「……ううん、見苦しくなんて無いよ」
【離れたサヤの目元を、《創造》した柔らかなハンカチでそっと拭う。
それでもやはり、言葉は浮かばない。
サヤは今、心のよりどころを失っているのだ。
けれど、それが分かったところで、一体何が出来るのだろう。
今はなにも、思いつけない】
「サヤはすぐ我慢しすぎるから。
今みたいに心をさらけ出してるときの方が、私は好きかな」
【だから本題とは関係ない事を言って、時間を稼いでしまう。
それは迦具楽の本心であっても、サヤが求めているものではないと分かっていながら】
■サヤ > しょんぼりとした様子はまるでイタズラが見つかった犬のようだ。耳と尻尾があれば、これ以上ないほど垂れ下がっているだろう。
「いえ……私…嫌な女です…。自分が可哀想で可哀想で……仕方なくて…。石蒜に…彼女は妹みたいなものなのに、嫉妬して………。」
柔らかい感触が目元を通ると、さっき頬に手を添えられた時を思い出してしまい、頬が熱くなる。
どうにも目を合わせることが出来なくて、また目が泳いだ。
「ダメです………困り、ますよ…そんな、そんなこと言われたら………迦具楽さんの前で、我慢が出来なくなってしまいます……。
た、ただでさえ……色々と恩があるのに………返しきれません…。」
もう顔全体が赤くなっているのがわかる、合わせた両手で鼻や口元を隠して、せめて見られまいとした。
■迦具楽 >
「それも、あの時言ったでしょ。
自分が可哀想になるのも、嫉妬するのも、恨むのも、人間なんだから当然の事だって」
【赤くなる様子を見れば、少しだけほっとした。
ちょっとくらいは、元気になってもらえたのだろうか、と】
「いいわよ、我慢なんてしなくて。
むしろ、うん。
私に恩があるとか返すものがあるとか思うのなら、私の前で我慢なんてしないで欲しいな。
私は、サヤが自分に素直で居てくれたほうが、嬉しいもの」
【顔を隠そうとする両手を止めようとしながら、自分もまた素直な本心を伝えていく。
根本的な解決に至るようなことは何もいえないけれど、それでもせめて、支えになれたらと思い。
精一杯の思いやりと、感謝と、親愛をこめて微笑んで見せる】
■サヤ > 「ううぅぅ………。す、すみません……。せっかく教えていただいたのに……忘れてしまって…。
あ、いえ、忘れたわけではないんですが……や、やっぱり、考え方が染み付いてしまって、いて……。」
二度目になる忠告を言われて、慌てて弁解する。覚えている、覚えてはいるが、咄嗟の行動を変えるのは難しい。
「そん、な……あうぅ……。か、感情のままに振る舞うなんて……こ、こんな時じゃなきゃしたことなくて………困り、ます……。」
顔を隠そうとした手が止められる。力を込めて振り払えば強引に隠せるだろうか、だが何故かそうすることは出来なかった。
そして、至近距離で見せられる微笑みに、茹だったように顔が更に赤くなる。
「は、恥ずかしいです……見ないで………。」
まるで降参するかのようなポーズで、涙まじりに、消え入りそうな声で懇願した。
■迦具楽 >
「んー、それも仕方ないか。
そうよね、長年の考え方を変えるなんて、簡単に出来るものじゃないものね」
【それでもこうやって、泣いて、叫んでくれるようになったのは、十分な変化のようにも思える。
それだけ信頼してくれているのだろうかと思うと、自然と嬉しさがこみ上げてきた】
「そうねー、そうやって恥ずかしがってるサヤも可愛いし、そういうところは、今のままでもいいかも、ね?」
【真っ赤になって恥ずかしがってる姿を見て、少しだけ意地悪く笑って見せる。
こうして恥ずかしがって見せてくれるのも、ある意味素直になってくれてるのかななんて思いながら】
■サヤ > 「すみません……努力します……。」
真っ赤な顔を晒したままではあまり大したことは言えない。口ごもった、少し不明瞭な声。
「ううぅぅ……か、迦具楽さんは……意地悪です…。手、離してください……。」
こっちは恥ずかしくてたまらないのに、それを楽しんでいるのでは、一つぐらい文句も言いたくなる。
手を軽く揺らして、解放を要求した。
「その………で、出来るかどうかわかりませんが……迦具楽さんには……で、出来る限り……ええと、素直に…なってみます……。
だから………。」
解放された手で、今度はこちらから、迦具楽の手を包み込むように握ろうとする。
「あ、ありがとう、ございました……!」
手はきっと迦具楽に負けないぐらい熱くなっていることだろう。
これが多分、今の自分の気持ちに最も素直な行動。
普段は自分から誰かに触れようとはしないサヤにしては大胆だろう。抱き締められた後では大した行動ではないが。
■迦具楽 >
「ふふ、そうよ?
私は意地悪だもの、サヤにはなおさら特別にね」
【そう言って、要求通り手を放してあげると、今度はサヤの方から手を握られて少し驚くように目を丸くする】
「……どういたしまして。
少しは、元気になったみたいね」
【大したことなんて出来なかったけど、とは言わない。
問題は山積みだし、石蒜の事も気になる。
どれもまったく解決になんて近づいていない。
それでもサヤは、もう勝手に消えようだなんてしない、そんな気がした】
「それじゃ、これからどんな風にサヤが素直になってくれるのか、楽しみにしてるわね」
【だからまだ、問題は数多く残っているとはいえ。
今はこれでいいんだと、そう思うことにしたのだった】
■サヤ > 石蒜もサヤも普段はやり込められてばかりなので些細な反撃だ。
驚いた顔を見ると、赤い顔のまま僅かに笑った。
「はい…お、おかげ、さまで……。」
だがそれも長続きしない。手を放して今度は自分の両頬を押さえる。どちらが熱いかなんていい勝負だ。
「えと……あー、じゃ、じゃあ、お住まいの場所とか聞きたいんですけど……よろ…えと、石蒜も聞きたがってましたし…。。」
よろしいでしょうか、を飲み込む。聞きたいから聞くのだ、一々許可を求めるのは何か違う気がする。
その後も、サヤは時折支えたり言い直したりしながら、お互いの近況を交換したり、そんな話を続けた。
夜の宗教施設群、しばらくの間二人の会話が途切れることはなかったそうな。
ご案内:「破壊された祠」からサヤさんが去りました。
ご案内:「破壊された祠」から迦具楽さんが去りました。