2016/06/19 のログ
■サヤ > 「三年生の方だったんですか、よろしくお願いします。」
格好いいポーズに対しては、自分の知らない挨拶の仕方なのだろう、と頭を下げて応じた。
「神様をお祀りする建物となると、やはり豪華に作りたい方が多いんでしょうね。
あ、そうですよね。色々な世界から来ている人が、それぞれの信仰を表現していて……私もこの辺りで迷うの好きなんです。」
道を覚えるとかそういうつもりは毛頭ないらしい。
「あ、えと………。」
なんだかよくわからない理屈と、語調の勢いに押されてしまう。
「じゃ、じゃあ、お願いして、よろしい、でしょうか…?」
なんだか断ったほうが失礼かも、と思い。承諾してしまう。
「でも、えと、私だけ道具を使うのも…私が手で抜きますから、鎌をどうぞ…。」
と、刃の方を持って、鎌の柄を差し出す。2つあればいいが、あいにく1つしか借りてない。
「あ、迦具楽さん!」
嗅ぎ慣れた香りとともに現れた相手に、声が弾んで明るい表情を浮かべる。
こちらもじゃーじゃーを来ている。流行っているのだろうか。
「ええと、そうです。祠の掃除をしていたら、真乃さんにお手伝いをしていただくことになりまして……。
迦具楽さんは、お帰りの途中ですか?ええと……畑の収穫でも?」
背負っている大きな籠に気付く。農家の人がこんな籠に作物を満載して歩いているのを見たことがあるが、いつの間にか畑でも作ったのだろうか?
■真乃 真 > 「君は昨日の…迦具楽さんじゃあないか!こんばんは!」
昨日おいしそうって言われた事など忘れたように声をかける。
…それは忘れてはいないけれども昨日特売を手伝ってもらった恩のほうが大きかった。
いや、その時も視線は怖かったのだけれども…。
「まあ、そんなところかな!迦具楽さんはあれかい?狩の帰りとかなのかい?」
迦具楽と知り合いであるらしいサヤとは違う考えを持った。
あの籠の中にはどんな生き物が入ってるのだろう?
うん、少し怖い…。
「いや、大丈夫だ!女子に素手でいかせるのは悪いよ。僕は素手でいけるしね!」
そういいながら素手で草をむしり始める。
草抜き慣れてるというのは本当のようで伸びきった草も根っこまで綺麗に抜けていく。
そう、不自然なほど力を入れずに異様に綺麗に!真の持つ異能の応用である。
■迦具楽 >
「そっかお掃除してるのね。
さすがサヤ、感心感心。
お兄さんもやっぱり優しいのね。
そう言う事なら私も手伝おうかな……っと」
【そういえばうちの祠も掃除してあげないと、なんて思いつつ籠を下ろし。
ソコソコ重い音をたてた籠は、中から少しゴトゴトと音がした】
「ん、私は練習と、狩りの帰りよ。
これは今日一日の戦利品」
【二人に答えながら籠を揺らす。
やはりゴトゴト音がなる】
「真、せめて軍手でも使った方がいいわよ、手が荒れちゃうもの」
【そんな事を言いながら真の隣に屈んで、手を差し出す。
すると、迦具楽の腕がもこもこと変形し、一瞬黒い液体のようななぞ物質になった……ような気がするかもしれないが、瞬き一つした後には手の上に軍手が乗っているだけ。
そしてまた、もう一方の手も同じようになって、一振りの鎌が握られていた。
どうやら返事も待たずに手伝う気満々のようだ】
■サヤ > 「ああ、いえ、そんな……。と、当然ですよ、私が管理しているんですから…。」
いきなり褒められて嬉しそうだ。不意打ち気味の喜びにニマニマと緩みそうになる頬を、両手で覆って隠した。
尻尾がついていればブンブンと勢い良く振られているだろう。ついてないので良かった。
「狩りでしたか、自給自足していらっしゃるんですね。」
確かに以前食事を奢ったらすごい量を食べていた、それを毎食どこかで買っていたらすごい出費になるだろう。
「それじゃあお言葉に甘えて…あ、迦具楽さんまで……あ、えと……。」
そうしていたら、真乃も迦具楽も草むしりと草刈りをそれぞれ始めてしまった。
自分だけ見ているわけにも行かず、自分も鎌を握り直した。
そして何も言わずに、祠の周囲を担当する。木製の祠を気遣いながらになるので一番面倒であろう部分だ。
すでに半分ほど終わっていたところだ、三人でやればさほど時間もかからず終わるだろう。
■真乃 真 > 「本当かい!?ありがとう!一人より二人、二人より三人の方が早く終わるからね!」
気合いが漲ってきたとばかりに首のタオルを鉢巻のように頭に巻く。
それでもやはり異様に長いそのタオルは垂れて地面に付きそうになりくるりと首に巻き付けた。
「おお…。気になるけど、見たいような見たくないような…。」
籠からゴトゴト音がする。
やっぱり怖い…。
「うわ!凄いね!軍手だ!完璧に軍手だ!凄いね!」
興奮した様子で差し出された手から軍手を受け取って手に付け嬉しそうにグーパーする。
中身は知らないけど感触は軍手である。
「それにしても凄い草だね。サヤさんならこまめに手入れしてそうに思うし。ここは草が生えやすいのかな?」
自らの異能を用いて草を引き抜きながら言う。
祠の手入れの具合からみて割とこまめに来ているように思うのだがそれにしては草が多い。
■迦具楽 >
「うんうん、サヤは偉いわね」
【そんな嬉しそうな様子を少しも隠せていないサヤに微笑んで】
「自給自足しないと、お金がいくらあっても足りないのよね。
あ、中身は草刈が終わったら二人にも分けてあげるから、楽しみにしててね」
【と、真の不安を知ってか知らずか。
とっても邪気のない笑顔を浮かべて、まるで良心100%】
「その方が気兼ねなく草も毟れるでしょ?
……確かに言われて見れば、手入れしてるにしては育ちがいいわね」
【土に触れつつ草を刈っていれば、確かに栄養豊富そうな土が出来ている。
その証拠にあちらこちらから虫やミミズが顔をだし、不幸にも迦具楽の近くに顔を出したそれらは、いつの間にかいなくなっていた】
■サヤ > 「ダメ、ですって、そんなに、褒めないでくださいぃ。」
踊り出しそうになるのを足踏みでごまかしながら、頬をむりやり吊り下げる。
「お二人とも、本当にありがとうございます。慣れてますけど、やっぱり時間がかかるので……。
あ、手伝っていただいた上にお裾分けまでいただくなんて、そんな…嬉しいですけど……そこまで、そんな…。」
確かにここ最近食費を抑えようと色々と策を講じていて、もらえるというのはとてもうれしい、しかし生来の遠慮がちな性格が、素直に受け取らせてくれない。
ゴトゴト言ってるが、大体の肉は醤油を塗って焼けば食べられるのだ。
「はい、毎週末来て掃除しているんですが、この辺りは植物の神様をお祀りしている一角でして、そのご加護がこっちにまで影響しているみたいなんです。
おかげで根っこから抜いてもすぐにまた生い茂ってしまって……土地が面積からしても安いのが妙だなと思っていたんですが、まさかこんな理由だとは思いませんでしたね……。
お祭りが重なって力が強くなってる時なんか、祠の周りを刈り終えて振り向くと、背後で私の腰ぐらいまで草が伸びてたことがありまして……。」
どこか遠いところを見る目で語る。あの時の絶望感はすごかった。
■真乃 真 > 「あ、ありがとう…。楽しみにするよ。」
…そんな顔を浮かべられては断れない。
でも、いけるはず!異邦人街のゲテモノ食材を攻略している自分ならいけるはず!
でも、生きてたらちょっと困るな…困る。
「ああ、軍手がない時よりもかなり捗るよ!」
実際は無くても変わらなかったかもしれないけども気持ちが違う!
気持ちとか精神論とかそんなものに影響されやすい真である。
「植物の神様か…神様か。それは不便だね。って…とんでもないな神様!」
神様とか言われてもピンとこないかったがそこまで分かりやすく草を生やすのなら信じそうになる。
「…いっその事ここで野菜とか育てたらどうだろう?凄い実りそうじゃないか!」
逆にそこまでいくなら有効活用しようと考える。少し、罰当たりかもしれない。
■迦具楽 >
「気にしない気にしない、一人で食べるにはちょっと寂しい物だし丁度良かっただけだから」
【二人の心情なんてやはりお構いなしらしい。
既に気持ちは草刈の後に半分飛びかけていた……けど手は止めない。
やる事はちゃんとやる、コレでも案外真面目なのだ】
「それならよかった。
草で手を切っちゃう事もあるし、真には優しくしてもらったしね」
【どうやらこの気遣いは昨日のお礼の続きらしい。
食べ物の恨みは云々と言うけれど、食べ物の恩も中々後にひくらしい】
「……ちょっと結界でも張って魔術的な隔離でもしたほうがいいんじゃないかしら。
それかもういっそ、薬剤で土を殺しちゃうとか?
芝生を植えるって言うのも有りかもしれないわねー」
【とは言いつつ、真の畑活用案には『それ凄く楽しそう!』と目を輝かせる。
やはり食べ物には滅法目がないらしい。
食べ物に繋がる話が出れば、一瞬で気持ちがそっちに偏ってしまうようで】
■サヤ > 「加護の制御が出来るなら上手く使えるかもしれませんが、あいにく私はそういった技術には明るくないものでして……。」
こうしてこまめに草を刈りに来るぐらいしかできないのだ。
真乃と迦具楽の会話、優しくしてもらった、という言葉に、サヤの振るう鎌が大きな音を立てた。
今まで丁寧に根本を刈っていたが、数秒の間、投げやりにも見える大げさで適当な動作となった。
「作物の栽培ですか、うーん……植物と関係ない神様の敷地でそういうことをするのはちょっと……。」
祠を建てて区域を割ったからにはここは神の土地だ、そこを人間の都合で利用するのは、サヤの感覚からするとあまり良いこととは思えない。
迦具楽さんは喜んでいるけど……。
「結界ですかぁ……魔除けぐらいならできますけれど、神気の類を除けるやり方はわからないですねぇ…。
それに、この草だって生きているんですから、それを土ごと殺してしまうのも、すぐ近くに植物の神様が居ますし。
芝生って成長しても上に伸びないんでしたっけ?だったら植えてみるのもありかもしれませんね。」
何かさっきから否定しかしてない気がする。失礼になっていないか気になって、そっと二人の表情を伺う。
もし不快そうならすぐにでも謝罪しなければ。
さて、サヤは祠の周りを綺麗に刈り終えたが、二人はどうだろうか、終わっていなければサヤは手伝いを申し出るだろう。
■真乃 真 > ちくわ二本分のお礼は昨日の件で済んだと思ったけれども…。
食べ物の恩はあの子の中では大分大きいようであった。
これはあの籠の中身にも何かお礼をしなくてはならないのかもしれない。
…何なんだろうなあの中身。
「果物の木とかもいいかもしれないね。畑より準備は簡単そうだ!」
そんな事を言いながら草をむしりむしり。…やはり軍手は良い。
草を生やさない事より土地の有効活用に気が行ってしまっている。
草?生えるたびに抜けばいい!
「ああ、やっぱり失礼だよね。我ながらナイスなアイデアだと思ったんだけど…。」
流石に駄目か。畑の真ん中に祠があるのとか家の方で見たことあったからそのイメージだった。
それに畑をするとなれば管理も大変だろうし…。
そんな事を思いながら周囲の草をむしって、むしる。
「うん、こっちは大体終わったよ!」
タオルを首に巻きなおして、一度大きく伸びをする。
その横にはかなりの数の草が積まれている。
根っこもきれいに抜けている!
■迦具楽 >
「果物もいいわね、それだけの加護があれば沢山実りそ……サヤ?」
【真と話していたら、サヤの方からザクっと言う音が聞こえた。
一瞬だけ何か嫌な予感がしたような気がして首を傾げる】
「神様ってそんな事でも気にするの?
むしろ採れた物を供物にすれば喜んだりはしないかしら」
【自分の同居人も一応神様ではあるのだが、勝手に家を改築したり、庭で小さな畑を作ったりしてもまるで気にした様子はなかったため、いまいちピンと来ていないようだ】
「芝生は多少伸びても刈り易いしね……っと、こっちもこんなものかしら」
【こちらの方もすっかり綺麗に刈り取られている。
しかし、刈り取られたはずの草はなぜか見当たらない。
その行方はきっと、あまり気にしない方がいい部類の物……かもしれない】
■サヤ > 「あ、あ、あ、えと、な、なんでもないです。ちょっと、力入っちゃって……。」
慌てて、また努めて丁寧に草を刈って取り繕う。
嫉妬は人間なら当然と言われても、やはり醜いものにしか思えない。できれば見せたくない。
「うぅーん……神様でもそれぞれなので、もしかしたら気にしないのかもしれません。
元の世界では道場の神棚にお祀りしていたので、こんな時どういう反応をされるのかまでは知らなくて……。
直接お伺いを立てられれば楽なんですが、どうやらこの祠には常駐されていないようなんですよね。」
「あ、終わりましたか。ではちょっと待って下さい。」
立ち上がって、疲労の溜まった腰を叩いてから、道具一式を入れた袋から、麻の袋をいくつか取り出す。
「刈った草はこちらに入れてください。近くのお社で集めて袋ごと肥料にするらしいんです。」
と真乃へと数枚渡す、迦具楽にも渡そうとして、刈り取られた草が無い。
本当になんでもいいんですね。
「いやー、本当にありがとうございました。こんなに早く終わったのは初めてです。」
と自分が刈り取った草を袋に詰めていくそれが終わると。
「あのー、これぐらいしか今持ってなくて……塩分補給にでもどうぞ。」
と懐から取り出したのは、コンビニで売っているような、カリカリ梅のパックだった。開封して、中身を二人に差し出す。
■真乃 真 > 「神様も色々いるだろうからね!もしかしたら野菜が嫌いな神様かもしれないし…。」
前にあった人は神とか呼ばれながらも蕎麦を売っていた。
美味しかった。
「やっぱり、三人でやったら早いよね!これからもばんばん人を呼んだ方が楽だよ!」
これから暑くなれば外での草むしりは更に過酷さを増すだろう。
「おっといただいていいのかい?それじゃあ一つ。」
こちらも草を袋に詰め終えてカリカリ梅を一つもらう。
うん、酸っぱい。汗をかいた体にはちょうどいい。
■迦具楽 >
「あ、うん、気をつけてね?」
【あんまり振りが大きいと怪我をする事もあるし、とちょっとだけ心配しつつ。
どことなく釈然としない表情】
「そっか、野菜が嫌いな可能性は思いつかなかった。
ならやっぱり芝生は良いかも知れないわね」
【そう言いつつ、自分は置いた籠へと向かう。
袋につめるような草はどこにもなかった、なぜだろう】
「塩分もいいけど、水分と糖分も大事だと思わない?」
【そう言って運んできた籠を、二人の前でひっくり返す。
そうすると、転がり出てくるのは緑と黒の球体が二つ。
ぱっと見た外見では一瞬何かと思うようなものだが、つやっとした緑に黒い縞。
それはまさしく、夏の風物詩とも言うべき玉】
「さっき、物々交換で貰ったの。
今日収穫したばかりなんだって!」
【迦具楽といえば、それをとても自慢げに見せて。
とっても待ちきれなさそうに、きらきらとした瞳で転がした玉の一つを抱き上げた】
■サヤ > 「芝生が角も立たなそうですね、芝生の種をどうやってか手に入れませんと。」
買うのが早いか、あるいはせっかく植物の神を祀っているお社がこの辺りにあるのだから、貰えるかもしれない。
「確かに早く終わりましたけれど、毎週やってますから、その度に呼ぶのも悪いですし……。」
そうなるともう手伝いというより仕事になるだろう、その都度お礼もしなくてはならないし。
「そうですね、では何か飲み物を……」
と迦具楽の言葉を受けて自動販売機に向かおうとして、ゴロリと出てきた特徴的な縞々の球体に驚く。
まさかこれは。そんなまさか…!
「お、おぉ、まさか……スイカですか…!」
地面に転がっている方を軽く叩く、響く音からして、相当な糖度!
「い、いいんですか、食べちゃって…!」
■真乃 真 > 「ああ、芝生なら見栄えもばっちりだしね!」
上手くいけば寝っ転がれるスペースになるかもしれない。
芝刈り機とか芝生とかいくらぐらいするんだろう?
「じゃあ、たまに呼べばいいよ!疲れてるときとか!」
それぐらいの頻度なら特に気にならないと思う。
「おお、立派なスイカじゃないか!いいね!夏だね!」
スイカ割りといくのもいいかもしれないが間違えなく等分出来ない。
何か切るもの…とサヤの刀が目に入った。あれなら綺麗に…。
いやいやと首を振る。
「迦具楽さん!包丁とかも出せるのかい?」
■迦具楽 >
「私も近所だし、呼んでくれれば手伝うからね」
【真に便乗するようにそう言って、抱きしめていたスイカを下ろす】
「そうっ、スイカよ!
夏と言ったらスイカ、スイカと言ったら夏のスイカ!
勿論、こんないいもの、一人で食べるなんてもったいないでしょ?」
【どうやらテンションあがりすぎて言語能力が低下しているらしい。
しかし、サヤにはむしろ食べろとばかりに親指を立てる】
「ふっふーん、私に掛かれば包丁の一本や二本、この通り!
ちょっとまってね、シートも敷かないと!」
【またもや迦具楽の手がうにょうにょと黒くなったり蠢いたりすると、包丁とビニールシートが用意される。
その上に改めて置かれたスイカは、なぜかとってもひんやりと冷えていた】
■サヤ > 「では、その時はお言葉に甘えさせていただきますね。改めて、お二人とも、本当にありがとうございます。」
二人に頭を下げる。決して勝利することのない不毛な戦いに、便りになる仲間が二人増えた。喜ばしいことである。
さっき触っていた方のスイカについた土を服の袖で払ってからビニールシートの上に置く。
「じゃあこちらは私が。」
と腰の刀に手を伸ばす。人刃一刀流は生存を第一とする流派、あらゆる状況を刀一本で生き延びる手段を教える。
つまりスイカも斬れる。
サヤの刀が閃く度に、スイカは綺麗に分割されていく、半球、4分割を経て16分割で終わる。
刃についた露を振り払い、鞘へと収める。
「さぁ、出来ました!」
■真乃 真 > 「流石だよ迦具楽さん!分かってるね凄く分かってる!そう、夏こそスイカなんだよ!」
テンションの高さに呼応するように真もテンションを高めていく。
言語機能も近いレベルに下がっている。
「うお!やるね!こっちは僕がやらせてもらうよ。でもこっちも切ったら多いかな?
…いけそうだね。」
迦具楽の顔をチラッとみて包丁を普通に構える。
普通に包丁を使い、普通にスイカを16等分に切っていく。
さっきの刀裁きを見た後ではかなり地味に見えるが均等に分かれている点については評価してもいいだろう。
「こっちもOKだ!」
…こっちもサヤに任せた方が早く切れたかもしれない。
■迦具楽 >
「そう、夏=スイカ!
さすがね真!」
【もしかしたら暑さで頭が素敵な事になってるのかもしれない。
というくらい、頭の中はたぶん赤い色で染まっているようだ。
そして見事に二人がスイカを捌くと、『おお』といいながら手を叩く】
「二人とも凄いのねいただきまーす!」
【まさに待ちきれなかったという様子。
二人への褒め言葉といただきますが切れ目なく融合していた。
そして本当に何気なく、たまたま近くにあったと言う理由で、真が切ったスイカを先に手にとって豪快に食いつく】
「――んぅぅ~~!」
【もはや言葉にならない、というような満面の幸せそうな表情。
たっぷりの水分、キンと冷えた温度、口の中に広がる甘い蜜。
そのどれもが労働の後の体に、染み込むような幸福を運んでくる!】
「ん~~~っ!
んぅぅ~~~!!」
【スイカを食べながら、じたばたと悶えている様子を見れば。
言語化できない喜びっぷりを、見て取れるだろう】
■サヤ > 「真乃さんもなかなかのお点前ですね。さぁ、どうぞどうぞ、お食べください。」
特に理由なく、二人が先に食べるのを微笑みながら待っている。
「…………。」
迦具楽がスイカを食べる姿を、より正確には、取ったスイカをじっと見て、一瞬だけ表情が凍りつく。
何故今真乃さんのスイカを取ったのか。
近くにあっただけだと理性は告げる。お前よりあっちのほうが良いのさと黒い何かが告げる。
なんだかんだで女より男の方が良いに決まってると黒い何かが喚く。約束しただろう、吐き出してしまえ、腰のものは飾りか?
「…………では私も。いただきます。」
同じ思考を繰り返しながらどんどんとどす黒いものを貯めこんでいくのはまるで螺旋のようだ。
それを押し殺して手を伸ばしたのは自分が切ったスイカ。
シャクシャクと一番甘いはずの頂点を食べても、まるで砂のようだ。水を含んだスポンジをかじったって、まだマシな味がする。
「とっても美味しいですね!」
にこやかに、嘘。
■真乃 真 > 「さあ、僕もいただこうかな!」
自分が切ったスイカを手に持つ。
切る時にも思ったがやっぱりかなり冷たい。
あの籠になにか仕掛けでもあるのだろうかとか見当違いな考えはさておいて。
「いただきます!」
ああ、今年初のスイカである。
一気に齧りつくファーストスイカ。
ここに来るまでのランニング、暑い中での労働とカリカリ梅の塩分で乾いた喉に甘さと水分が染み渡る。
「本当に美味しいよね!このスイカ!冷たくて甘くて!」
サヤの内面には一切気が付く様子もなくただスイカを褒める。
「この前の買い物に付き合ってくれた時といいホント迦具楽さんには感謝しかないね!」
■迦具楽 >
「……はぁ。
なんでスイカはスイカなのかしら。
スイカが美味しいの? 美味しいのがスイカなの?」
【あまりの幸福っぷりに、頭の中まで幸せになってしまったらしい。
普段なら一瞬の違和感でも気づいただろうに、サヤの様子にはまるで気づかない。
今はただひたすらにスイカ。
頭の中はスイカだった。
仕方ないもの、スイカなのだから】
「ん、うん。
それを言うなら私の方こそ、まだ恩返しできたような気がしないわ。
竹輪は美味しかったし、背中を押してもらったし、竹輪も美味しかったし!
だからコレも感謝の内、お相子って事で」
【やはり頭の中は食べ物の事で一杯のようです。
そして気がつけば一切れ二切れとスイカが消えてゆく。
二つ目以降はどっちの切ったものも、単に近い順に迦具楽の胃袋へ消えていった】
「あ、皮は漬物にするから残しておいてね」
【そして勿論、今美味しいだけでなく、次の美味しい物の計画も立てるのである。
食べ物へのこだわりは、やはり中々のもののようです】
■サヤ > 二人が食べ進めるのを、会話しているのを、にこやかに見守っている。
自分は知らない会話を、自分が居ない話を。
二人は、迦具楽がほとんどだが、スイカを食べ終わる。自分はいくつ食べたのだろう、思いだせない。
でもそんなことはどうでもいい。何もかも、どうでもいい。
「大変美味しかったです、ありがとうございました。では、草刈りも終わりました、私はこれで失礼させていただきますね。
それでは。お手伝いいただき、まことにありがとうございました。」
慌ただしく立ち上がって、早口にお礼を別れの挨拶。
もう限界だ。一秒でも早くこの場から立ち去りたい。
麻袋をまとめて掴み、道具一式を入れた袋を担いで、逃げるように立ち去る。
「さようなら。」
約束は守れなかった。
ご案内:「小さな祠」からサヤさんが去りました。
■真乃 真 > 「スイカは美味しいだけれど、美味しいのはスイカだけじゃない…。
皆で食べてるという事も美味しさに繋がってると思うんだ!」
きっと皆で協力して一つの事を成し遂げた後だからこんなに美味しいく感じるんだろう。
うん、単にお腹が空いているだけなのかもしれないけれども。
「まあ、恩返しとかいいんだけどね別に!そんなもの無くたって又、いつでも助けるよ!
…いや、でもあれだからね。おいしそうだから食べたいとかは無しの方向で!」
助けた人に感謝をされないこともある真にとっては感謝されるというだけでも十分だった。
「どうしたんだい?もう帰るのかい?暗いから気をつけて行きなよ!」
何か慌てた様子である心配になって声をかけるが聞こえていないように速足で立ち去って行った。
「どうしたんだろう?何か用事でもあったのかな?」
■迦具楽 >
「そうね、やっぱり一人で食べないで正解だったわ。
二人に会えた私は、とても幸運だったわね!」
【実はとても幸運とは言えない状況が水面下で進んでいるのだが気づかず。
幸せそうにスイカを食べ続ける迦具楽。
にこにこと、笑顔である】
「ふふ、ほんとに真は優しい……というよりお人よしなのかしらね。
仕方ないから食べるのは保留ね、けど美味しそうなのはほんとよ?」
【どうやら無しにはならず、保留の様子。
それだけ真が美味しそうに感じているようだ。
勿論今はスイカが一番だったけれど】
「えっ、あ、うん。
またやるときは声かけてね、手伝うから!
またね、サヤー!」
【と、あわてて去っていく様子を、スイカの皮を集めながら見送って。
その背中に声をかけるものの、聞こえてるのかいないのか】
「……うん、どうしたのかしら。
もしかして、スイカを食べ過ぎたとか」
【『水分多いし冷たいし』と、的外れな事を言いながら、それでも心配し。
食べ物が絡むと極端に頭が悪くなる事がある、それが迦具楽だった】
■真乃 真 > 「ああ!良く言われるよ!お人よしって!
よし!僕を食べない限りは助けるから安心してほしい!」
安心できないのは自分であるのだが少し安全に近づいた気がする。
少なくともスイカがある季節のうちは何とかやっていけそうな気がする!
「そうだね…お腹が痛くなったのかもしれない。」
結構無心に食べていたように思う。
お腹を壊していないのだろうかとか的外れな心配をする。
「さて、そろそろ僕も行こうかな?ランニングの途中だったんだ!」
そういいながらスイカの皮を揃えてシートの上に置いて立ち上がる。
そして何回か屈伸の動きをする。
「それじゃあね迦具楽さん!また一緒に何か食べよう!あとサヤさんにあったらよろしく!」
そんな事を言いながら手を振ると走り始めた。
さてと時計塔はどこだろうか?あれが見えないと帰れない。
ご案内:「小さな祠」から真乃 真さんが去りました。
■迦具楽 >
「ふふ、やっぱり言われてるんだ。
そうね、それじゃあ食べない代わりに何かあったら助けてもらうわね」
【思ったとおり、と笑いながら、頼りにしてるなんて事をいう。
もし食べられそうになってもきっとスイカがあれば万事OKだろう。
とはいえ、口約束でもこう言った手前、飢餓状態にでもならなければ食べたりはしない、はずであるが】
「あ、そうだったんだ。
うん、それじゃあね真。
次は美味しいお店を紹介してあげるわね!」
【なんて言って見送るが、居住区とは違う方向に走り出したのを見て首を傾げる。
いや、夜のランニングと言う事なら間違ってるわけじゃないのだろうけれど。
そして迦具楽も残された皮をシートで包み、包丁や鎌なんかも一緒に籠へ放り込んで背負い込む】
「……うーん、サヤ、大丈夫かしら」
【相変わらずどこか見当違いの心配をしながら。
スイカの皮を漬ける為に、家路を急ぐのだった】
ご案内:「小さな祠」から迦具楽さんが去りました。