2016/06/29 のログ
ご案内:「宗教施設群」に霧依さんが現れました。
霧依 > ゆうるり、ゆるり。女が建物の間を歩いて行く。
何かを考えているような素振りを見せながらも、一つ一つの建物で足を止め、見上げて。

「………いろいろな信仰があるものだね。」

さらりと口にしながら、また歩く。
何か目的があってやってきたわけじゃあない。
むしろ、ただの散歩と言ってもいい。

歩きながら、様々な世界の様々な信仰に触れられるだけで。
良い景色、とはまた違った散歩道になる。

霧依 > 旅慣れた様子の長身の女。
艶やかな香りをふわりと漂わせる身体をしながらも、力感の無い表情はそういった意識が無いようにも見える。
興味の赴くままに道を歩き、気がつけば日も紅くなり始め。

「………もうこんな時間か。
 ……野宿……は、無いな。
 流石にこの辺りの建物に泊まっていく、というわけにもいかない、と。」

周囲を見回してそんなことをつぶやき、ん、っと背伸びをして。

霧依 > ……おや。

「………廃墟、かな。」

不意に視界に現れたのは、渦を描いたような文様の刻まれる、赤レンガの建物。
………建物だったもの、と言った方が正しいか。
異世界の神を祀った建物だったのだろうけれど、建物は半ばほどまで崩れ落ちて、崩れかけた外壁と天井の一部を残すのみとなっていた。

好奇心は猫をも殺す。

殺される猫を自認する彼女は、ふらりとその廃墟へと足を踏み入れる。

霧依 > 踏み込んだ瞬間に、地面がぐに、っと妙な感覚があった。
地面を踏んでいるはずなのに、瓦礫を踏んでいるはずなのに、何故か足元が不安定になるような不思議な感覚。

一瞬で背筋に寒いものが走って、くるりときびすを返して廃墟から出る。

「………廃墟になるには、廃墟になるに足る理由があるってことなのかな。」

拒絶するような感じは受けない。
むしろ、歓迎をされているような。
入れ、入れと建物から言われているような、そんな気配。
誘惑に足を踏み出しそうになるのを、きゅ、っとこらえて。

霧依 > 今日は、もうやめておこう。

「また来るよ。」

その一言をなんとか押し出せば、引き寄せられるような感覚が薄れたような気がして。
……視線を、やっと切ることができた。

さてはて、………実際、次は何時にしようか。

この島は、本当に何処に行ってもスリリングだ。

ご案内:「宗教施設群」から霧依さんが去りました。