2015/06/01 のログ
ご案内:「歓楽街」に川添 孝一さんが現れました。
■川添 孝一 > (ポケットに手を突っ込んだまま夜の歓楽街を歩く)
(家にはいたくない―――所詮、借家で誰もいない)
(雑踏、騒がしい声、煌びやかなネオン)
(その中にいることで自分は誰でもない誰かになれる)
(不良でも生徒でも、人間ですらない)
(ただの顔の見えないナニカになれる)
■川添 孝一 > (ふとした瞬間、酔っ払いが川添にぶつかった)
「おっと……あははは、ぶつかっちゃったよ!!」
(ぶつかった相手が不良とも知らず、上機嫌に高笑いをする酔っ払い)
おい、気をつけろ。まず謝れ。
(鬱陶しそうに酔っ払いに話しかける)
「なんだぁ? 文句あるのか、学生のくせに!」
(中年男性は酔うと人に絡む癖があるのか、川添に顔を近づけて酒臭い息を吐いた)
『やめろよ親父!! 妹を殴るなって何度言ったらわかんだよ!!』
『うるせぇ孝一ぃ!! さっさと酒買って来い!!』
『もう酒はやめてくれよ!!』
『うるせぇって言ってんだろ、このガキぃ!!』
(心の奥の何かが、じわりと染み出してきた)
(仄暗く、熱を帯びていて、痛みを伴う何かが)
■川添 孝一 > (川添は自分が酔っ払いの襟首を掴んでいることに気付いた)
「おっ、おっ…な、何するんだ!!」
(川添は自分の中の衝動をコントロールすることができない)
おい……お前…家族はいるのか……?
(自分が今、どんな表情をしているのかもわからない)
「い、いるけどそれがどうした!!」
(酔っ払いが叫ぶ)
……それなのにこんな時間まで飲み歩いてんのか…?
(自分の中に膨れ上がっている感情、ああ、これは)
■川添 孝一 > 殺してやる………………
(自分の父親と、目の前の中年男性を重ねた)
殺してやるって言ってんだ………
(この感情は、殺意)
(周囲の人間が騒ぎに気付いて川添と酔っ払いの周りに人垣を作る)
(喧騒が広がり、囃し立てる声や風紀を呼べという声が混じる)
お前みたいな奴が死んでも誰も困らねえよ……なあ。
(震え上がる酔っ払いの襟首を掴んだまま、荒んだ瞳で睨んだ)
ご案内:「歓楽街」にカエラムさんが現れました。
カエラム > 人垣の中にひとつだけ、大きな山があった。
フードとゴーグルとマフラーで顔を隠した巨躯は人垣を抜けて、酔っ払いの襟首を掴む青年の腕にそっと手を乗せようとする。
■川添 孝一 > (巨躯から差し出された手が、川添の腕に乗せられた)
あ………?(血走った眼で見上げる)
何が言いてぇんだ………てめぇは。
(酔っ払いは必死に川添の手を引き剥がそうとしている)
カエラム > 「――nx.」
声のように喉で音を鳴らしながら、首を横に振っている。
やめろ、とでも言いたいのだろうか。
■川添 孝一 > やめろって言ってんのか……こいつは、だって…(視線を下げた)
(禿頭の中年男性は、自分の父親とは似ても似つかない)
あ…………(手を離す、すると中年男性は一目散に逃げ出していった)
う……(感情の制動がつかない、吐き気を堪えて口元を押さえる)
カエラム > 「――……g, gg」
ほっとしたように肩を上下したのもつかの間、
青年が口元を押さえるなり、不器用な手付きで彼の背中をゆっくりとさする。
■川添 孝一 > (背中をさすられると、少しずつ吐き気が治まる)
……大丈夫だ、もういい…場所、変えるぞ。
(少し目立ちすぎた――――巨躯の誰かに向けて指差し、あちらへ行こうと促す)
(ポケットに手を突っ込んで歩きながら星空を見上げる)
(先ほどまでの激情はどこに行ったのだろう)
お前、名前はなんだ。嫌なところ見せちまったな…
カエラム > 「――!」
促されるままについてきた巨躯は、はっとしたように両手を合わせる。
『ナマエ』、『ナマエ』と聞こえた。
マミコと名乗り合った時に聞いた単語だ。
その単語で問いかけてきているので、ここは名前を言えばいいのだろうか。
念のために巨躯は、自分の方を指差しながら答える。
「……かえらむ」
■川添 孝一 > カエラムって言うのか。(歓楽街を歩きながら不良と巨躯は会話を交わす)
俺は川添だ。川添孝一。レモンシード・メソッドでランクAAのルナティック……
(鼻で笑った)どうでもいいか、そんなことは。
……俺の親父はアル中だった。酒浸りでよく妹や俺を殴ったよ。
それで………つい、あのおっさんと重ねて………
悪かった、カエラム。(頭を下げるように、俯いた)
カエラム > 「――かわぞえ?」
二度出てきた言葉で呼べばいいのだろうか、疑問系の音を投げかける。
青年の言葉はまだよくわからない。
けれど、今必要なのは自分の理解ではなく、青年の安寧だ。
巨躯は屈みこんで、頭を垂れる青年の肩に手を乗せる。
カエラム > 「かわぞえ.」
気にするな、と伝わればいいのだが、大きく数回頷いた。
■川添 孝一 > ああ、川添だ。か・わ・ぞ・え。
(自分を指差しながら確認する)
………。(肩に手を乗せられる頃には理解していた)
(この存在は言葉を理解してはいないことに)
(それが、何故か心地よく感じていた)
……いいんだ、カエラム。人と人がわかりあうなんて、幻想だ。
でもわかりあったフリくらいは……してぇよな………
(星の幻燈が瞬く夜空を見上げて、男は言った)
(あの星の輝きが既に滅んだナニカの輝きだとしても、人は空を見上げるのだから)
……今日はありがとうな、カエラム。
帰って寝る、またな。(手を振って雑踏の中に消えていった)
ご案内:「歓楽街」から川添 孝一さんが去りました。
カエラム > 「………」
相変わらず言葉はわからなかったけれど、
彼の持つ深い悲しみと、それを少しだけ和らいだのを感じた。
それだけでも上出来な方だと思いたいカエラムだった。
「――YaYa.」
別れ際の挨拶は、「ばいばい」にも似ていた。
手を振り替えして見送ったあと、カワゾエの真似をして星空を見上げてみた。
ご案内:「歓楽街」からカエラムさんが去りました。