2015/07/13 のログ
■エアリア > ああ、やっとわかりやすくなった
貴方もその好きなことしかやりたがらないうちの一人ですよ?
もちろん私も
人はだれも自分がやりたいことしかやらない、だというのにやりたいことだけを追求して社会貢献になると勘違いをする
そしてそのために藻掻く様が面白いんでしょう?
わかりました
まず……旗揚げ代として、1枚用意しましょう
……定期公演代まで出すかどうかはあなたのぶっちゃけ具合を見てから決めましょうか
【白く細い指がテーブルの上に一枚黒いカードを置く
先ほどまでの苦労は何だったのかと思うほど安易に】
放映権だの何だのまだるっこしい説明はいいですから
金を出したくなる話だけを面白おかしく話してくださいな?
■『墓掘り』 > ――あっさりと、交渉が成功した事に。
拍子抜けするように、とさっとソファーに座る。
「……三文役者だなぁ、俺も」
結局、自分は自分でしかない、という事だ。
三文役者の芝居に金を出す客は居ない。舞台監督は舞台監督らしい事しか出来ないのだ。
「まったくその通りだ。人は自分の行動が何かの為だと思いたがる。
――さっきの俺のようにな」
はぁ、と溜息をつき。ありがたく、カードを受け取る。
これだけでも十分だが、目の前の少女(?)は面白い話を御所望のようだ。なら、話さなくてはならない。
「俺らは俺らのやりたい事をやるだけさ。
ミラノスカラ劇場。あの劇場を復活させ、もう一度、『グラン・ギニョール劇場の再現』を行う。クスリでトリップした連中が失神するまで、人間の本性を暴いた演劇をたたきつけてやるのさ」
面白そうに男は話す。そうだ、演劇の話ならまだ出来る。
「そしてお客様筆頭は公安の連中だ。
あいつら、俺たちの演劇を解せず、まぁとことん叩き潰してくれたからな。
今度は俺たちの番だ。泣き叫んでもうやめてって言うまで、エンターテイメントの何たるかを叩き込んでやるさ」
まぁこいつみたいになっちまうかもしれないけどな、と言いながら、隣に放置してあるスーツケースをぽんぽんと叩く。
「俺達は、大なり小なり狂ってる。
だから、舞台で演じるんだよ。俺たち自身を。
――こんな面白い俺たちを見てもらう為にな」
■エアリア > まあ、向いていることとやりたいことは必ずしも一致しませんからね
で、ここで論点はひとつです
単なる内輪受けの宴会なのか、エンターテイメントなのか
大変面白そうな話はして頂いていますが、現状はまだ、面白そうなことをする人間が集まって面白そうなことをする
という域を超えた話を伺っておりません
エンターテイメントとおっしゃる以上、面白いのは当然ですから
ゴールデンルールで良いので、どこまで楽しく転がすつもりかお話を伺いたいと思います
【劇団員で金の無心に来るのだ、正直、せめて誇大妄想狂でなければ意味がない
今日の彼らの仕事は、私の前で面白おかしく妄想をぶち上げることであって
私の仕事はそこにどこまで出せるかという話である
だから最高の結果として回ればどれだけ面白いか話せと言っているのだ
だいたい、やりたいことを聞くに採算など最初から無いのだ
金の作り方を知らない奴から金の作り方を説明してもらっても仕方がない
どうせ面白そうなことしか出来ないのだから、どれだけ面白くするかだけを考えてくれた方がいい】
ああ、そうそう……これは言っておきますが。
あなた方は至極まともだと思いますよ?
私から見れば、一般のかたがゲームや作品であればやってみたい、見てみたい
と思ってることを現実で試してるだけにしか思えません
タブーであることをやってみたいというのは誰にでもある感情です
人としての倫理感は主に教育と環境で形成されますから、それがたまたま為されなかっただけで
別に狂ってなどいませんよ?
現に、食人の風習を持つ部族は過去にいましたが、彼らは別に身内で諍いを起こしたりしないでしょう?
常識が少し一般とずれている程度を狂ったとは言いません
【白のエアリア、と呼ばれる人物がなぜ皮肉交じりにそう呼ばれるのか
人の命や感情にもともとあまり興味が無いどころか、映画に出資するかのような話しぶりからして
黒いとかそういうどころの話ではない
先ほどの公安の少女に対してもそうだ
通常であればもっと反応するだろうが、一瞥すらくれることもなくほとんど意味が無いようにすら感じられるのだから】
■『墓掘り』 > 「言った通り、俺らの舞台は常世島だ。
流石にこの島から出る、ってわけにもいかねぇ」
全世界興行も面白そうだが、そこまで出来るとも思っていない。
何より、劇団員誰もが、この箱庭を――常世島を愛しているだろうから。
「そして演劇って言やぁ、最終目的はあそこ以外有り得ねぇな」
指差した夜景の先にあるのは。
学園地区中心部。生徒会本部のすぐ側――常世第一体育館。その演劇用舞台のある3F――通称『常世劇場』。
「常世島の中枢部。生徒会のおえらいさんやら、普段お高くとまった連中の目の前で。これ異常なく凄惨で、目を覆いたくなるような、『俺たちの』演劇をぶち上げる。
普段絹のハンカチで汗を拭くような連中に、血糊をブチ撒け、下品な台詞を浴びせかける。
――愉しいぞ、きっと愉しい」
そうだ。落第街のミラノスカラ劇場は愛すべき公演拠点だが。
『墓掘り』は舞台監督として、それで満足はしない。
そうだ、やるならもっと派手に、そして盛大にやってやる。
「それを生中継で常世島中に流す。慌てた風紀と公安が寄ってたかって劇場内になだれ込み、惨劇の舞台は本物の惨劇となる!
舞台は常世劇場だけに留まらず。普段、何の疑問もなく学園地区で暮らす連中の居場所まで使って、本物の『惨劇の舞台』を演じるのさ!
俺達はそこで高らかに、常世島中に問いかける!
――本当に狂ってるのはどっちかな?」
あぁ、愉しいぞ、きっと愉しい。
安穏と暮らし、平和に慣れきった連中に。
思う存分、阿鼻叫喚をぶつけ、興奮させ、恐怖させる。
「――そりゃどうも。
確かに、あんたにとってみれば、そうなのかもな」
そう、目の前の少女の狂い方も大概だろう。
しかも『墓掘り』は、劇団の中でも一番狂っていない部類なのだから。
■エアリア > ……なるほど
だいたいの事はわかりました
ただ、一つだけ条件がありますね
この演劇、どうしてもその性質上、経済システムに大きな支障が出ます
まあわかりやすく言えば、定食屋の常連が全員いなくなれば定食屋は潰れますよね?
店が潰れれば、食品を卸している流通や生産者に影響が出ます
つまりその演劇は私達出資者も巻き込みますね、ということです
自身が巻き込まれるとわかっていて金を出すものはいません
ですので、好き放題やっていただくぶんには構わないのですが、可能な限りこちらに累が及ばないような形で
行っていただくことになります
とはいえ、影響がわかるような方はいないでしょうから、そこは指定させていただきます
直接影響をおよぼすのは学生に限ってください
協力者として教師研究員財団関係者その他が関わってくるぶんには構いません
また、学生が勝手にそういった教師などに影響を2次的に及ぼしてしまうことは構いません
そしてこの件で私及びその関係者は一切関知しませんし、こちらに累が及んだ場合、すみやかに幕を下ろさせていただきます
まあ、特に問題があるようには思わない条件ですので、ご了承いただけるかと思います
【わずかに目を細め、にこやかにカードキーをテーブルに置く
底の見えない赤い瞳が歪んだように微笑む】
……もし、承諾いただけるならお受け取りを、そうでなければお引取りを
おそらく面白い材料として喜んでいただけるかと思います
■『墓掘り』 > 「――分かりやすくて助かるな」
素直にカードキーを受け取る。
元々、教師その他に影響を与えるほど、まだ劇団は大きくない。
ここは、素直に支援を受け取っておくべきだろう。
……一応、告知だけ出しておこう。生徒相手にするようにって。多分聞かないけど。聞かないけど。
そこを何とかするのが、舞台監督の務めだ。
「パトロンに迷惑かけるのは劇団失格だ。
よくよく言い聞かせておく。あんたらには迷惑はかけないよ」
そう言って、ゆっくり立ち上がる。
さて、このカードキーの中身は何なのか……
■エアリア > 【カードキーは貸し金庫のものだ。これと暗証番号が身分証とキーを兼ねていることになる】
まあ、御満足いただけるものだと思いますよ?
先方に「テストを請け負ったものだ」と伝えてください
それで材料には事欠かなくなるでしょう
【言いつつ、数字と記号の書かれた、裏返したメモを渡す
……金庫には一つだけ登録番号の入った携帯が入っている
つまり、くれてやるからそっちで勝手にやれということだ
電話先には……しばらく前、落第街を中心に出回っていたアレ……「暴走剤」
それを改良し研究を重ねているところだ
またカードには100億入っている
当然これも誰が使ったか問題にならないカードだ】
おそらく面白い趣になるフレーバーに思いますので、存分に活かしてください
では、こちらはこちらで好きにやりますからそちらはそちらで好きにやってください
あとは相互不干渉、秘密厳守でよろしくお願いしますよ?
【そう言うと、ソファから立ち上がり、解散の準備を始めた】
■『墓掘り』 > 「ああ、承知した。
――おっと、でも、良ければ公演には来てくれよ。こっそり特等席を用意しておくからよ」
立ち上がり、一礼する。
目的は達した。これで金には困らないし、面白い土産も出来た。
さあ、舞台の準備をしよう。
男はスーツケースとチラシを持ち、部屋を出る。
――翌日。公安本部に哀れな公安の少女と、彼女の背中の皮を使ったチラシが届けられる。幸い、少女は一命をとりとめた。
ご案内:「歓楽街」から『墓掘り』さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」からエアリアさんが去りました。