2015/08/14 のログ
ご案内:「歓楽街東側通り」に美東暦さんが現れました。
美東暦 > [1d100→33=33]
美東暦 > 『またなんか爆発があったってよ』
『こえー』

聞こえてきた誰かの話し声に、手にした看板を肩でかついだ。
夕方を大分過ぎた空を見上げる。
「最近ほんとまた騒がしくなってるよなぁー」

誰にともなく呟くと、ひょこひょこと頭につけたうさぎの耳が揺れる。

歓楽街の東側――正確にはそこは中央というべきだ。
学園の説明では、まだ歓楽街はもっと東まで伸びている。だから位置的には中央だ。
それでも、バイトとして呼び込みで立っているこの通りが、実際的には歓楽街の東端になる――その先は落第街と呼ばれるから。

美東暦 > けばけばしい文字で『一時間三千円』と書かれた板がぐらぐら。
バニー服の上に羽織った白の燕尾が暑くて、パタパタと仰ぎながら、空の向こうというには近すぎる位置で燃える火を見上げる。

通り過ぎて行く通行人の口には様々な話が上る。
なんとかとかいうのが暴れていて弱小違法部活が潰されているとか、劇団がどうこうとか、
「まー、変わんないといえば、変わんないってことかねー」

学生としては四年前を迎えるがゆえの感想か。
ほへーっと息を吐いてから
「あっ、お兄さんお兄さんお店探してる? 探してるよね? 遊んでいこーーっ」
看板を持ち直して声を一段二段高くする。

美東暦 > 道の向こうでは喧嘩が始まっていた。
やはり実質的な歓楽街の中ではこの辺りは治安が悪い。

実のところ、こうして呼び込みのバイトをしている店も違法行為を行っている。
どこだかの魔術師が作り出したという合成麻薬を使用しているのだ。
知っていて、とくにどうとは思っていない。
まぁそういうものかな、ぐらいに考えている……。

最近も二人ほど風紀委員会の関係者にあった。
もしかしたら、見知った顔が強制捜査するのを眺めることになるのかもしれない。
などと考えながら通行人を引き止める。
「あっ、どうどうどう、いい店探してる感じ?」

ご案内:「歓楽街東側通り」にラメエルさんが現れました。
ラメエル > 喧嘩が乱闘になり、やがて魔術や異能が目立ち始めた。
その中にただ一人、服装がキラキラしてやけに目立つ少年が見えるだろうか。
ごつい指輪を嵌めた拳が時折閃光を放ち、一人、また一人とふっとばされている。

あっという間に人の山ができ、殴り合いの音はだんだん減っていく。

美東暦 > 別に金に困ってこんなバイトに手を出しているのか、と言われるとそういうわけでもなく。
こういう場所にいるのが好きだから、としか言いようがないか。
風俗行為も嫌いではない。
とはいえ肉体的にあまりそういう機会は多くない。前はパートナーになるような相手もいないわけではなかったけれども。

つかみそこねた客の背を見送りながらうーんと唸る。
「はいはい、次、次」と体を回せば、喧嘩がどんどん派手になっている。

「あー、ありゃ不味そうだなぁー」
つぶやく間にも判断の早い人間の動きは二極化する。
離れるか、見物か。
どっちにしろこれでは仕事になりそうもない。
だから仕方ない、と看板を下げてひょこひょこと近寄っていく。

ラメエル > 最後の一人がアッパーをくらって派手に打ちあがり、人ごみに突っ込むと悲鳴が上がった。
金髪の少年は、周囲の人だかりからの冷ややかな視線に気づくと、血糊のついた拳をポケットに突っ込み、肩をいからせて眉間にしわを寄せると、歯をむき出しにし、『あァ!? 見せもんじゃねーッぞゴラァ』と鋭い目つきで威嚇する。

しばらく睨んでいたが、やがて人ごみをかき分けて近づいてくるバニーガールを視界の端でとらえると、そちらに首を向けた。

美東暦 > 「おおおーー」
綺麗なノックアウト。
看板を脇に抱えてパチパチとしていたら相手がそのまま見てくるではないか。

別に積極的に人混みを抜けようとしたわけではなく、
終わりそうな喧嘩に周りが離れ始めたのに、のんきに拍手していたせいなのだが。
モーセが海を割りそこねたみたいになってしまう。

眼があう。
下手すると絡まれるなーとは考えるのは頭の中だけで、拍手をとめて手をあわせたままきょとんとした。

ラメエル > 「んん?んんん~~~~??」

怒るでもなく、困るでもなく。
2色に分かれた髪の色、灰色の瞳、中性的な体つきを頭からつま先までじろじろ眺めると、首を傾げ、傾げすぎてよろよろと倒れそうになってふらついた。
内ポケットからよれよれになった手紙のようなものを取り出して広げ、そこに描かれている似顔絵と目の前の人物を見比べる。
似顔絵の下は、『接触任務、対象:槍の登頂者』 と書かれている。

「ちーっと人捜してるんだが。
ねーちゃん、もしかしてミアズマって名前か?」

美東暦 > 何かの芸なのかな? と倒れそうになる相手に首を傾げる。
今の喧嘩も路上パフォーマンスだったのかもしれない。
でもここから打ち合わせ聞いてないけど。
「えッ、なんで? あっ…」

つい思考が飛んで気が緩んでいた。
すっとぼければよかったのに、つい聞き返す。これではそうですと言っているようなものだ。
この凶相には全く心当たりがないのだけれど、落第街がすぐそばのこの辺りは本当に何があるかわからない。
『おう、~~部のもんじゃ』から撃ちあいぐらいままある。

「…えー…っと。 あ、お兄さん遊んでいく~~~?」
聞いてみる。

ラメエル > 「お~~~ぅ、ビンゴォ」

なんで、と訊き返す言葉を肯定とみなすと、ついに見つけたと、ガッツポーズをする。
ポケットから抜いて掲げた拳がきらりと煌めくが、まだ赤く汚れていたのか、ハンカチを取り出して指輪部分を拭いた。

「おう、遊ぶ遊ぶ~~~~じゃなくてだな。
その、なんだ、あれだよあれ。
かーッ、要件なんだったっけかー」

眼をむいて空を見上げると、ややあって視線を戻す。

「……あ、思い出した。
なんかこう、俺の上役がねーちゃんの持ってる力について興味津々で。
ぜひ話してえって、あれ、名刺どーこやったっけかな」

がさごそとポケットをひっくり返すと、ひらりと一枚のカードがバニーガールの足元に落ちるだろう。
見ると、『魔術結社エグリゴリ第1支部長 粕代』と書かれている。

美東暦 > 「あ、ありがとうございます~~❤」
と名刺を受け取ろうとしたのは、職業病。

結局取り落とした名刺を見下ろすと、大仰な名前が印字されている。
「あ、あ、あ~…」
目が泳ぐ。
幼いころの記憶が蘇る。
この学園都市に来てから、こういうことはほとんどなかったのだけれど。

伺うように顔を上げ
「えっと~~~、忙しいっていうか、ほら、仕事中だしー…」

ラメエル > 裏返したポケットを元のように突っ込むと、少年は名刺を拾って突き出す。

「話聞くだけらしーけどなァ。ま、強制はしねェわ。
俺だって連絡先渡せって言われただけだから、その後どうしろなんて聞いてねーし。
裏にメアドあるから、ヒマな時でも連絡してくれってさ」

騒ぎを聞きつけたのか、それとも誰かが通報したのか。
遠くに風紀委員の制服を数人見つけると、やっべ、と慌てたようにきょろきょろと辺りを見回す。

美東暦 > 「は、はあ~~~…そう」
突き出されたら拒否もしきれず汚れた名刺を受け取って。
ピラピラと名刺を表裏と眺める。

ラメエルが慌て始めて、何だろ、と見やれば風紀委員。
違法店で働いているので、当然ながら参考程度でも連れて行かれると色々あまりよろしくない。
眼前の相手と同じく慌てかけて、
「あッ、店。 うち入らない? 女の子もお酒もあるし?
ね? ね? ほらほら」
派手なシャツを引いた。

ラメエル > 目立つ色の制服はどんどん近づいてくる、このままだと見つかってしまうだろう。
少年はどうやってとんずらしようか足りないおつむをフル回転させて考えるが、一向に名案は見つからない。
ふいにシャツを引っ張られれば、思考停止し、ええいままよ、と蟹股でついてゆく。

「お、おう、そうだなーしょうがねェなー。
呑むぜ呑むぜェー。
あ、でもクソマズイアルコールとかブス押し付けやがったら承知しねェかんな」

美東暦 > 「ダイジョブヨ~~カワイイコイルヨ~~」
わざとカタコトで返しながら。心のなかで「よっしゃどさまぎで客ゲット」とサムズアップ。

実際のところ、違法といっていわゆるボッタクリバーというわけではない。
多少は割高なだけでそれなりだろう。
そして薬やら何やら、本来は禁じられていることができる、というだけの
おかしな言い方をすればライトな違法店。

「はいはい一名様ご案内で~~~すっ」
扉の左右に立ち通りの方から視線を離さないスーツの男たちを越えていく。
あの店に入っていったとチクろうとする奴もそうはいないだろう。
街の作法がわかっている奴ならばだけれど。

ラメエル > 「何でカタコトなんだよ、余計怪しいじゃねーか」

店に入って後ろを振り返ると、風紀の制服が建物の前を通り過ぎていくのが見えた、しかししばらくは店内でやり過ごしたほうがよさそうだ。
怪しい光の差す、奥の部屋に入っていく──。

ご案内:「歓楽街東側通り」からラメエルさんが去りました。
ご案内:「歓楽街東側通り」から美東暦さんが去りました。