2015/08/23 のログ
ご案内:「歓楽街」にやなぎさんが現れました。
■やなぎ > 今宵も眠らぬ街で買い食いしよう。
自分の上官の結末も知らず、
自分の身の振り方も決めていない。
ただこうして毎日、『気晴らし』と自分を許して飯を食う。
そんな生活を長く続けていた。
罪悪感はある。どうにかしないとという気持ちもある。
しかし実行には中々移せない。
ひどく臆病だからだ。
そしてもはや自分の命ぜられた仕事も忘れてメシを食うだけの駄目人間と化していた。
「―あ、こんな暑いのにおでんのにおいがする…」
食う以外能無しなのか、街に漂う香りにつられて歩いていく。
■やなぎ > この街は昼間のように明るく、活気がある。
休日で人通りも多く、賑やかである。
人々が眠らぬ街を行き交っては様々な店に出入りしている。
それを眺めているだけでも、なんとなく癒される気がした。
「…流石におでんは暑いや」
自分にとってこの街は妙に過ごしやすかった。
軍に居た頃もこんな街が近くにあった。
どちらかというとスラムに近かったが、似ているということが余計にそう感じさせていた。
■やなぎ > 先ほど買ったおでんをゆっくり食べながら次の店を探す。
そして目についた食べ物を片っ端から買っていく。
胃袋は底なしだが、サイフはそろそろ底が見え始めるころだ。
しかしそれを気にする素振りは全くない。
金がなくなりそうになったら元の世界へ帰ればいいのだ。
「どうせもう、命令なんて来やしないんだ。」
ふと、事件を起こし、何らかの形で解決させ、そして自首したであろう自分の上官を思い浮かべた。
彼は機械なので、もしかしたら連絡はとれるだろうが――
自分は今、自由を味わっている。
苦くて孤独な、居場所のない自由だ。
彼の娘の存在とは会えたが、彼女は彼女のやることがあるのだろう。無能な自分は手を出すべきではない。
何もできない。
―
頭を横にぶんぶんと振る。
これはちょっとした休暇だ。そう自分に言い聞かせて納得させた。
■やなぎ > 街の出店を回ってだいたい食べつくし、腹九分目。
満足そうにふうと溜息をはいて、のんびりと出歩く。
怪しげな人々が行き交い、怪しいものを販売している店をぼんやりと眺めて。
――急に怖くなって、拳銃の入ったホルダーに手をかけた。
ここに味方などいない。自分にはコレしかない、と。
「…………。」
■やなぎ > 「……あぁ、考えすぎか…。」
少なくとも今、自分を脅かしてくる者はいない。
…過去にスラムで一人いたが場所が場所だったからだろう。
ホルダーから手を放してズボンのポケットに突っ込む。
それでも安心はできなかった。
この島に住む不思議な能力を持つ人々には、絶対に敵いっこないと。
■やなぎ > そして立ち向かうならそれ相応の力を持たねば太刀打ちできないのだと、
考えてしまった。
なぜなら機械の少佐が龍になるぐらいなのだから。
それぐらい不可思議な所なのだ、この島は。
足早に暗闇へ走っていく。
■やなぎ > そしてまた繰り返す。
前に進めない毎日を。
ご案内:「歓楽街」からやなぎさんが去りました。