2015/09/12 のログ
ご案内:「歓楽街ゲームセンター」に蓋盛 椎月さんが現れました。
蓋盛 椎月 > 「は~~溶けた溶けた」
光と騒音眩いゲームセンター。
やれやれ、のポーズを取ってシューティングの筐体に
そっぽを向く白衣の女――蓋盛。
ゲームセンターという場にはいささか合わない風体であるが、
今ではすっかり馴染んだものだ。

常人のクリアは不可能とまで言われている、異常なまでの難度を誇るSTG『紅蜻蛉』。
その二面のボスにすべての残機を飲み込まれたのがついさっきだった。

「……でも割と今回は調子良かったな。
 『白蛇』は上級者向けらしいけどあんま関係ない気が……」

『白蛇』というのはプレイアブルキャラのひとつであった。

蓋盛 椎月 > 財布をまさぐる。小銭が足りない。
どちらにせよ『紅蜻蛉』への挑戦は今日はこのあたりにしておこう。
あまりのめり込むのは危ない。何事もそうだ。

「あと五年ぐらいやってりゃクリアできっかなあ」
このマニアック中のマニアックといえる弾幕STGの筐体が常世島以外に置かれているかは知らない。
そして、五年後に常世島にいる保証もなかった。
つまり一生クリアできないのかもしれない。

まあ、そういうゲームが人生の中にあってもいいかもしれない。
すべてのゲームがクリアされるために存在しているわけでもないのだろうし。

『紅蜻蛉』の筐体から離れ、両替機へと向かう。
他のゲームを遊ぶにしても、小銭は補充しておかなければならない。

ご案内:「歓楽街ゲームセンター」にヨキさんが現れました。
ヨキ > (腕に巻きつけた銀のバングルやら革のブレスレットがじゃらりと鳴った。
 ひとり店内を見渡しながらのんびりと歩いて、並ぶ筐体の画面を眺める。
 気に入りの格闘ゲームの新作でも遊んでやろうかと見当をつけたところで――

 目と鼻の先に、見知った教師の姿を見つける。
 思わず、いわゆる『首を痛めたイケメン』のようなポーズで足が止まった。
 学内でのローブ姿とは違った意味で、ヨキの服装は限りなくチャラい)

「蓋盛。君とこんなところで会うとは……。
 ……まさか君、『紅蜻蛉』を?」

蓋盛 椎月 > 「…………」
知った顔と知らない服装に一瞬固まる。

「ヨキ先生、随分と当世風の着こなしもなさるんですねぇ」
蓋盛は学内で見せるような姿のヨキしか見かけたことがなかった。
あれはなんというかフォーマルな装いだったのだろうか?

「ええまあ。さっき財布の中の硬貨を徹底的に極殺されてきたところですが……。
 ひょっとしてヨキ先生も果敢に挑戦を?」
離れかけていた紅蜻蛉の筐体へちらりと首だけで振り返った。

ヨキ > (ヨキが着ているのは、無地のTシャツといってもざっくりとした風合いの、見るからにお高そうなやつだ。
 首筋をぽりぽりと掻いて、自分の格好を見下ろす)

「郷に入らば、だ。ヨキとて服装に区別はあるでな。あれで出歩くのは、『表』の街までだ。
 ……かく言う君は、どこでもその格好なのか?」

(蓋盛の白衣姿を見遣る。
 ボトムのポケットに手を突っ込み、小銭を探る)

「『紅蜻蛉』って、ものすごく難しいやつだろ。
 前にやって、運よく四面まで辿り着いたのが精々だったな……。
 もともとヨキは、あちらが専門でな」

(隣の通路へ振り返り、格闘ゲームの類が並ぶ辺りを指差す。
 それにしても、四面。それが獣人の視力ということらしい)

蓋盛 椎月 > 「ええ、教師として振る舞う必要のある場所ではどこでも。
 ……でも、実は同じ白衣じゃないんですよ。
 学校用と、外出用と、普段着用の三着があるんです。
 これが蓋盛椎月108の秘密のうちのひとつ」
ナイショ話をするように人差し指を唇の前で立てた。

「へへえ、さすがですね。
 あたしは数ヶ月のあいだ三面を拝めずに止まっていますよ。
 あたしが教員やってる間はエンドロールは拝めなさそう」

両替機で小銭を補充しながら、指さされた格闘ゲーム群に視線をやる。

「なるほど、ヨキ先生のイメージ通りですね。
 あたしはあの『紅蜻蛉』が専門ってことになるのかな。
 ……まあ、遊ぶっていうか、賽銭入れてるような気分に近いんですけど」

苦笑して。

ヨキ > 「はは。108つ程度で収まる秘密ならよいがな。
 確かに学校で見る白衣よりは、身体のラインが綺麗に出ている」

(冗談めかして低く笑い、鷹揚な足取りで両替へ向かう蓋盛の背後に回る。
 服装のテイストと同じく、学内で見せるよりは些か軽薄な所作でその背中を見た)

「へえ?だが二面のいいところまでは行ける、という訳か。
 人間にしたってなかなかの腕前だと思うがな。
 ……そうしたらヨキも、久々に拝んでやるか。賽銭が弾めば、何か見返りもあろう」

(『紅蜻蛉』へ足を向ける。
 スツールに腰を下ろして、迷わずコインを投入した。
 蓋盛を待たずしてキャラクタを選び始めるあたり、手馴れた様子が窺える)