2015/11/14 のログ
ご案内:「酒場「崑崙」」に片翼・茜さんが現れました。
片翼・茜 > 「崑崙」のカウンター席で、茜はグラスの中の琥珀色の液体を回していた。
回すばかりで飲もうとはしない、そしてその目はいつにも増して気だるげだ。

その理由は、何時間か前に茜が参加した集まりにある。
「不死者がより良く生きるために」それがそのセミナーの題だった。
本当に軽い気まぐれで、仕事以外に何もない自分の生活に変化でも生まれるかと思って参加したのだが、それを今茜は死ぬほど後悔している。

片翼・茜 > 死ぬほど退屈なセミナーの内容をまとめるとこうだ。
あなた方が死なない体なのは神がそうされたからだ、伏して神に祈りなさい。
失うことを恐れず普通の人間の友人も作りなさい、友が死んでも友と過ごした時間は永遠だ。
あとは人体実験に協力しろだとか、そんなところだ。

家でこの時間になるまで寝ていたほうがよほど有意義だった。というのが正直な感想である。
茜は教会の唱えるような唯一絶対の神など信じていないし、自分の記憶は砂で出来た城よりも簡単に崩れ去るのを知っていた。

つまり茜にとっては全く実になる話はなかったのである。

片翼・茜 > 経済学的に言えば、セミナーの内容があらかた掴めた時点でさっさと退席して別のことに時間を使うのが賢い選択ではあったのだが。
早く来すぎて最前列に座ってしまったがために、席を立ち辛かった。

その結果精神的な疲労の極地に陥ってしまったためにそのまま家に帰ることも出来ず、今こうしてやけ酒という人間の真似事をしているのだ。
といっても、茜の体は普通の人間がするような消化吸収をしないので、酒で酔うようなことはない。だから先ほどから口に運ぶことなく、ぐるぐると回し続けている。

片翼・茜 > どれほど時間が経っただろうか、ちびりちびりと飲み始めて、グラスを空ける頃には、なんとか家に帰れるぐらいの気力が戻ってきた。
ゆっくりと立ち上がり、会計を済ませて、立ち去った。

ご案内:「酒場「崑崙」」から片翼・茜さんが去りました。