2016/04/14 のログ
ご案内:「歓楽街」に久藤 嵯督さんが現れました。
久藤 嵯督 > (―――で、結局つかいっぱしりにされていると)

下手に先輩方の面を拝みにいけば、いつの間にやらこんなことに。
混乱に乗じて行われたいくつかの窃盗事件……その追跡調査を指示されたのだ。
主にひったくり、たまに強盗、それから他にも色々と。

既に8割がた片付けてはいるが、優秀な人員をわざわざこっちに回すというのは如何なものか。
ひとつ、ふたつと痕跡を辿る。こんな初歩中の初歩、錬度不足の委員にやらせておけばいいものを。

久藤 嵯督 > 後回しにした案件には、逃走の時間を多く与えている。
目撃情報などあってないようなもの。
チンピラを絞めて聞き出した情報は消費期限切れ。
目撃情報はいい加減。

ならばどう探す? 簡単だ。『におい』を辿ればいい。

嵯督の五感は、常人のそれよりも遥かに高い力を備えている。
たとえば嗅覚。意識を集中させ、被害者の”におい”を探る―――

久藤 嵯督 > (―――うッ! こ、この香り……)

香水のキツい女性とすれ違った瞬間、露骨なまでに顔をしかめ、鼻をつまむ。
こうならないよう、普段はある程度身体機能を制限しているのだ。

(クソ……はぁ、盗品の匂いは…)

気を取り直して再び嗅覚を研ぎ澄ます。
それを頼りに夜の街を歩いていく。……化粧の濃い人間には気を付けながら。

久藤 嵯督 > いくつかの角を曲がり、そしてホテルとジャンク屋の間へ。

排気の漂う影の道を進んでいけば、鉄製の扉を中央に添えた小さな広場が。
周りには十数名の荒くれ者。ある者は金棒を担ぎ、ある者は手に炎を灯している。
ここにいる連中のほとんどが異能か魔術を使ってくると見ていいだろう。

「よォ……おまわりさん。お勤めごくろうなこって」
「おォおォ! また怖いもの知らずが来やがってよ! ヒヒ!
 一人歩きは危ねぇって、ガッコで習わなかったか? こんチリカスがァ!」

纏まりのない思い思いの動作で嵯督を取り囲む荒くれ。
そんな中でも、嵯督は眉ひとつ動かさなかった。

ご案内:「歓楽街」に十六夜棗さんが現れました。
久藤 嵯督 > 「おいよォ、何か喋ってみろって。何、ビビッてんの? えぇ~?」

耳にピアスを付けた金髪ロングの痩男が、嵯督の顔を覗き込む。
それでも距離は遠い。その手の炎を見るに、遠くから攻撃するタイプなのだろう。

「……おい、嘗めてんのか。ああ! 嘗めてんだろがテメェ! あぁ?
 シカトぶっこいてんじゃねーしよォテメェ! テメェよォ!」

金棒を持った肩パッドの男が、スキンヘッドをぎらつかせながら直径2m・厚さ15cmのそれを振りかぶり、近づいてくる。
筋肉量に対して重量が大き過ぎる。大方怪力能力の類か。

他には腕が五つあるナイフ使いに、発光するメリケンを装備した男、
紫色のオーラを纏った刀使いに、巨大なスリングショットを構える者、
タッチパネル式の携帯端末を弄りながらこちらを見つめる女、両手でハサミを回している女
両腕が異様に肥大化した女、角に電撃を纏う亜人の男
光を反射しない黒い球体で遊ぶチビに、足腰を震わせながら逃げる準備をしている男。

そして……特に何もせず座ってこちらを見つめている男。

十六夜棗 > 一方その頃ジャンク屋の中。

各種パーツを見定めて持ち歩ける小型のハッキングツールの部品を厳選してそろそろ帰ろうかと言う所。

なにやら店の近くが騒がしい。

店員の表情を見ても、関せずの様子。

この店が事件に巻き込まれて官憲等に注目されると少々困る。

「……仕方ないわね。」

買った品物を店員に一時預けて様子を見に店の外へ。

久藤 嵯督 > 総勢十三名。得体の知れない一名を除き、いずれも対処可能と判断。
店の裏から入り口前にかけて、大男の無駄に大きな声が響いてくるだろう。

「ヤッチャオラァァ!!!」

そして今、巨大な金棒が嵯督に振り下ろされようとしていた―――

久藤 嵯督 > バガァアアアン!!!
十六夜棗 > 声の出所を見に行った時には時既に遅し。

「どこの世代のチンピラよっ!」

思わずそう突っ込みを入れざるをえない大声に頭を抱えながら現場を覗きこむ。
流石に初撃の妨害に間に合う距離ではないし、なんとなくやな予感のする制服ではあるものの、だからと言って逃げる訳にも行かない。

「あーったく、雷よ、雲より高き空より――!」

詠唱を開始、狙うは大男の頭上。

久藤 嵯督 > 爆発音にも似たような音と、圧倒的な質量攻撃に揺れる大地。
常世島……歓楽街の一区画は、揺り戻し含め本日三度目の地震に見舞われた。

―――しかし

「ン、だとォ???」

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久藤 嵯督 > 金棒を軽く撫でるように、手を添える男が一人。
巻き上がる土煙の中から姿を現した。

「―――フン、運動能力がまるで効率化されてないようだな。
 肉体派の癖に、動きに無駄が多過ぎるし、叩き方なんて素人にも劣るぞ。
 能力任せに生きているいい証拠だ……」

風紀委員・久藤嵯督―――健在。
何食わぬ顔でその場に立っていたかと思えば、金棒の荒くれの腹に手を添えた。

「―――貫」

そのまま一つ踏み込めば、荒くれの体内に絶対貫通の衝撃が迸る。

「う、げェ……」

内臓を直接殴られたかのような痛みを前に、荒くれは失神してしまう。
その様子に他の荒くれは狼狽えて、座っている男は目を見開いた。

「……で、まだやるつもりか?」

その言葉を聞いて真っ先に動いたのは……
スリングショットの男、それから五本腕のナイフ使い、それから炎手の痩男。
どうやら遠くから一斉攻撃をかけようとしているようだ。

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