2016/05/25 のログ
ご案内:「歓楽街」にセシルさんが現れました。
セシル > 風紀委員の新人は、かくも鍛錬で忙しいものである。
セシルは早々に、魔法剣以外の身体を動かす講義を減らした。
風紀委員の鍛錬があり、業務があり。
そこに剣の鍛錬と個人のトレーニングが加われば、流石に体力が厳しかったのだ。

(体育は委員会の鍛錬で補えるにしても、筆記も落とせんからな…)

筆記は、この世界の理を知るための「理科」と、この世界の道を知るための「社会」の、義務教育レベルと、後は数学。
数学は最低限駄目でもこの世界の順応には困らないかと逃避しかけて、流石に自らを律した。
この島の風紀を守る者として、講義にもそれなりの姿勢で向かうことは義務であろうというのがセシルの考えである。

セシル > 夕刻、講義が概ね終わった後の歓楽街は本当に賑やかで、まばゆい光に彩られている。
道の交差が複雑で迷いやすいといわれる歓楽街だが、文明がこのような形で発展していない世界から来てしまったセシルにとっては、このまばゆい光の方がよほど厄介だった。
最近、ようやっと慣れてきたところだ。

(しかし…本当に何なのだろうな、この区画は)

学生にも息抜きが必要というのは分からなくもない。
しかし…このまばゆい「虚飾」と、その裏にある「誘惑」は、学生生活のバランスを崩して余りある危険性がある。
セシルには、そう思えてならなかった。

セシル > 先ほど通りがかった「ゲームセンター」とやらでも何やら諍いが起こっていたが、彼らは風紀委員の制服を着た自分が顔を見せるだけで矛を収めてくれた。
歓楽街の警邏でいつも何かしらあるわけではないし、何かあったとしても、分署に連行するレベルの「こと」になる事例は少ない。

…それでも、この喧噪に、セシルは不穏なものを感じずにはいられなかった。

セシル > 誘惑に負ける人の業、人の業を手玉に取って利を貪ろうとする強欲の影。
まばゆさと喧噪の中に、それらがちらついて見える。

(これだけの文明を保持しながら、子どもが踊らされるのを限界まで容認するか…
…この世界の「道」は、いささか理解しかねるな)

そんなことを考えながら、歓楽街を見回る。

セシル > この日は、「ゲームセンター」の諍い以外は何事もなく警邏を終えることが出来た。
寮に帰れば、セシルは遅れて実感する暑さにどっと体力をもっていかれていることだろう。
歓楽街の警邏の度に抱く疑問を、またひとたび忘れて。

ご案内:「歓楽街」からセシルさんが去りました。