2016/06/16 のログ
■久藤 嵯督 > 色褪せぬ賑わいを見せる、夜の歓楽街。
その中にある大きなゲームセンターの前に、警察車両が停まった。
何事かと見物人が集まってきて少しして、歓楽街の路地裏から人影が這い出てくる。
まず最初に、顔面がぼこぼこの軽薄そうな生徒が両手を後ろに回しながら出てきた。
その両手には、金属の糸のようなものが巻かれている。
二人目、三人目も同様に、両手を縛られながら出てきた。
最期に出てきたのは白金の髪をした風紀委員と、その隣にいるボロボロの制服を着た男子学生。
一般生徒同士での揉め事……もといリンチ行為。誰も彼もが仲良しこよしとはいかないのが世の常。
パトロール中にそれを発見した久藤嵯督が取り締まったのであった。
■久藤 嵯督 > 待機していた委員が加害者三名に手錠をかけたことを確認すると、左手を軽く振って糸を解く。
きゅるきゅると手首のモーターが糸を巻き取り、先端のアンカーがグローブの指先に装着される。
後は任せたと言わんばかりに、無言でその場を歩き去っていく。
男子生徒が礼を言えば、背を向けたまま右手を挙げて応えるのであった。
(……また、「やり過ぎだ」とか言われるんだろうな)
過剰な暴力は控えるよう言われてはいるが、こんな連中に時間を割いてまで手加減してやろうとは思わない。
治療後も傷が残らない程度に痛めつけて、それでおしまい。
それでも被害者よりはずっと苦痛は少ない筈だろう。鼻を曲げられなかっただけありがたく思ってほしいものだ。
見飽きたB級映画に時間を割いた後のようなため息を、一回。
そして嵯督は巡回を続行する。
ご案内:「歓楽街」に不凋花ひぐれさんが現れました。
■久藤 嵯督 > ただ歩いているだけでも、嵯督は自身に対する認識を窺い知っている。
自分の事を知らない人間は、こちらを見ても大した反応は示さない。
自分のことを知っている人間は『げっ』という顔をして、近くを通りすがった時に大抵後ずさる。
自分に恩がある人間は、軽く会釈をする。
そんなものだろうな、と、開き直っている部分はある。
……そしてここに、もう一つのパターン。
■不凋花ひぐれ > はたして夏が迫り来る前の淑やかな季節。涼しげな空模様を一度眺めた後に歩み出す。
からんころんと下駄を転がし、丈夫な刀の鞘で方向を確かめる。
行き当たりに気配を見つけたのは偶然にも進行方向が同じだったからか、興味本位で近づいたのか。
「……あぁ、失礼しました」
そうと口にしたのは、巡回中に沈む彼と突き当りから出たところでぶつかりそうになったものだから。
後ずさることもなく、正すでもなく。しかして――少なくとも手前にとって――知らんでもない存在。
挨拶もせず、首を傾げて云って見るのだ。
「こんばんは、如何なさいましたか、同属の方」
既知の匂いにつられた娘が問うた。
重苦しい溜息を先刻ついていらしたようだから、そう続けて聞いてみるのだ。
ご案内:「歓楽街」に金良 楽さんが現れました。
■金良 楽 > 夜の歓楽街を、猫を引き連れ歩く男が一人。
鞄を背負い、ギターケースを持ち、小さく鼻歌を歌いながら行く
「さわやかな夜だね……ちょっと無粋な事があったらしいケド」
パトカーのサイレンを聞きつけ、興味を惹かれて来てみればどうやら喧嘩があったらしい。
「もう少し平和にできないものかなぁ……」
そんな事を呟きながら、フラフラと歩くのであった
■久藤 嵯督 > 大抵はこちらから避ける必要がなかった……というのもあるが。
知らんでもない気配と下駄の音には気付いていたはずだ。雑魚を相手にしていた所為で、少々気が緩んでいたか。
テレビの調子を整えるように、後頭部を二度叩いて。
「……お互い様だ、不凋花」
長く話したことはないが、顔と名前が一致する程度には知っている。
ため息を聞かれていたのだろう。それゆえの問いかけだ。
あまり弱みを見せるべきではないのだが、腐っても同僚。この程度のこと、別段隠すようなことでもあるまい。
「別に大した事じゃない。つまらない仕事を一つ、片付けてきただけだ」
いつも通りにな、と付け加えて。
■不凋花ひぐれ > 「さいで。少々喧しい音がしたものなので、パトロールの様子見がてらこちらに来た次第でしたが」
やっかみごとは本当に大変です。次いで労いの言葉を語りかけながら彼の人を見上げた。
このあたりは小さな小競り合いや黒い部分の話が絶えない。だからこうして警備をしてみれば大概小さな魚が網にかかる。
実働担当なのでそこまで面倒ごとは皺寄せにならないが、一塩に面倒だろう。
「あまりご無理は為されないように。このような小さな案件にまで出張るのもお辛いでしょうに」
そう口添えはしてみるが、およそ効果はなさそうな気はした。
ふと顔をぐるっと巡らせれば猫の音がした。別段珍しくも無い音なのだけど、人間に連れそう猫をここで耳にするのは少々、珍しいと思ったから。そう遠くは無いらしかった。
■金良 楽 > 「にゃーお」
とてとてと早歩きで久藤たちの元へ猫が行く
「あ、おーいピート、どこ行くのさ」
旅の相棒を追いかけて、楽も走る
何やら会話中らしき男女の元にいたピートを抱き上げ、二人に軽く頭を下げた
「すいません、うちの猫が……ご迷惑おかけしてませんよね?」
■不凋花ひぐれ > 猫の音に首を傾げるつかの間、人懐っこそうな音色の響きに自然と顔は下に向かれた。
眼を開かず顎を引いて観察していると、飼い主らしき発言主がやってくる。
「いえ、特には。随分と旺盛な猫ですね」
社交辞令としてそんなことを娘はのたまい、口元を緩めた。
■金良 楽 > 「誰に似たのか勝手にフラフラと言っちゃう事がありまして……
あ、僕に似たのか」
アハハ、と笑う楽
気ままな根なし草気質な楽が元々猫っぽいだけ
という気もしないでもない
「さっきケンカがあったらしいんですけど、お二人が解決したんですか?」
猫を抱き抱えながら二人に尋ねる
■久藤 嵯督 > 「”辛い”とは違うな。”退屈”と言った方がより正しい。
辛かろうが退屈だろうが、風紀を守ることは我々の責務だ」
異能・魔術・武力―――それらを行使してくる相手に、一般生徒を守らなければならないのだ。
無茶・不可能・絶望―――だから、それらすべてを覆す気で臨まなければ、とてもやっていられない。
例え全てを捨てることになろうとも―――少なくとも嵯督はそう思っている。
「……その気持ちはありがたく受け取っておく」
真正面からの好意を、真正面から返すことはまだ難しい。紅の瞳から目を逸らしながらも、意思だけは伝えた。
直後、鈴の音がこちらに近付いてくるのを感知する。
音のした方向……の、下方を見れば、トラ猫が走ってきていた。
間もなくして飼い主らしき男が猫を抱き上げて謝罪の言葉を並べていたので。
「見ての通り、何事もない。だが……こんな街中で”相棒”から目を離すことは感心せんな」
もっとしっかり見ておけ、と厳しめの意見。
そういう部分も、飼い主の責任というものだろう。
「いいや、俺が手柄を独り占めにした」
■不凋花ひぐれ > 「はぁ、退屈ですか、如何ともしがたいですが」
然り、大事もなければ致命に至る事象もない。巨悪から守るべく妥当せしめんとするのが我々、だが。
そんな相手もおらねばマンネリもしようて。しかしだからこそ彼の言う辛かろう退屈だろうが守るのが仕事である。
いざ戦う時に不抜けた態度では示しがつかない。
合同演習でも設けてみたらどうだろう、なんて思い至りもした。戯れ程度に口添えしてみる。
「久藤先輩は素直ではありませんね」
くすぐるよに揶揄る言葉を選んでみながら肩をすくめる。再び平時同様、大切な宝石を仕舞わんと閉じられた瞳。
「フラフラと歩くクセがあるのですか。このような酔狂な場に出でるのもまたそのような理由でしょうか」
風の向くまま気の向くまま、当人とて猫のよな気質だろうて、彼もまたその猫のように人馴れした感触がする。
耳に聞き及ぶものだけならば好青年、とも。
問われた言葉にふるると首を横に振る。髪がまとめられた鈴付きの簪が、呼応するように揺れた。
「はい、独り占めされましたわ。ですが無事な解決が出来たようなので、安心しております。」
冗句交じりにのたまう一言。否、そも自分から解決する気など毛頭もないものだから。
■金良 楽 > 「ええ、まぁコイツもヤワな奴じゃないんで
そう簡単にけがはしないと思いますけど」
スタッ、と楽の足元に着地した
「ええ、あっちへフラフラこっちへフラフラ
簡単にいえば根なし草なんです、僕たち」
島をあちこち気ままに旅する一人と一匹、たまに学校に顔を出すが
それ以外はあちらこちらで弾き語りをしてみたり
山で野宿をしてみたりと悠々自適である
■久藤 嵯督 > 「ハ、悪かったな」
言葉で脇腹を突かれて、そのくすぐったさを誤魔化すように笑い飛ばす。
しかしやはり、これ位生意気なことを言ってくれる方がずっとやりやすい。
合同演習については「たまにやっている」「よければ不凋花も”歓迎”してやるが」などと叩いておいた。
「ほう。察するに学生のようだが、何故寮に通わない?」
(ここでは大してあてにならない)外見年齢から、目の前の男が学生か、それ位の年齢の者だということは推測できる。
■金良 楽 > 「いや、一応寮は有りますよ?
でも、まぁ元から放浪癖って奴がありまして……
こっちに来てからそれが悪化した感じですね」
あまり褒められた物ではないだろう
「一応学校にも顔は出してますよ?」
こう見えて頭は悪くないらしく、テスト期間には顔を出してそれなりの成績を収めている
■不凋花ひぐれ > 「まぁ恐ろしい」
既に既出の提唱だったらしい。彼ならばそう、実にスパルタというか、バイオレンスというか、そんな光景が容易に想像付くもので。
あぁでも傷つくのは嫌だし、でも傷つかなければいいわけで。
「末席に加えていただく機会があれば」
悩んだ挙句そんな生煮えの言葉を返していた。
「自由奔放、風来坊。実に楽しそうではありませんか。
野宿となると山菜や川の水でやりくりしたりするものなのでしょうか」
風紀委員たる義務的なことは彼が訪ねてくれているので、手前はその自由さについて聞いてみたくなった。
■金良 楽 > 「そそそ、風来坊って奴なんです」
気の向くままに行動するさまはまさに風来坊である。
「山菜を取ったり……あとは農業区に行くと
所謂普通の農家があったりして、手伝いをしておすそけしてもらったり
あとはコイツ(ギター)で弾き語りや流しなんかをして稼いだり
その日暮らしって奴ですね」
呑気者だが意外とやっていけているようだ
■久藤 嵯督 > 多少含みを持たせたとはいえ、あっさり見透かされていて。
パッとしない手応えを前に、肩を竦めた。
「……まあ、卒業見込みと進路設計が出来ていれば……それでいい。
だがな、放浪に関しては問題となる部分がある。寮長に連絡し、了解は取っているのか?
門限以降の無断外出は、こちらとしても取り締まらなければならんが」
あくまで、秩序者の立場を崩さない。
目の前にいる自由人にはきっと、堅苦しい印象を与えることとなるだろう。
「連絡は、しているのか?」
■金良 楽 > 「ま、公衆電話からボチボチ……」
頬を掻きながら答える、実は嘘である……
というか割とバレバレだ
「ま、そんなにこわばらないで
肩の力を適度に抜いて行きましょうよ」
呑気者でもピンチは感じ取る、トントン、と二回足を鳴らして相棒を近くに呼ぶ
■不凋花ひぐれ > 「実地体験をしながら自身の心身を養う機会を得ているのはとても素晴らしいことだと思いますけれど」
それは勿論一定の学を修め、一定の良俗に即してこそ。
形状、持ち運んでいた際の細やかな音や端々のワードからしてギター。なるほど、随分とある自由な人である。
余裕も見えてモラルも良好。勉学を一定以上修めてあって――まぁ風紀のほどは、傍にいる秩序を保ち是正する彼が人が進めてくれるだろう。
「一応、ルールはルールですから。していない場合でしたら、厳罰とはいかず注意喚起で済まされるでしょうが」
声が言いよどんだ。嗚呼、嘘と付いているように見える、十中八九そうだろう。嘆息を返しながら同属たる彼に眼を向けた。
「……この人はそこまで甘い考えは通用しませんので。睨みの利かせた警察に気楽にと仰っても本気の返答しか返ってこないでしょう」
■久藤 嵯督 > 「ハァ……誰のせいで眉間のシワを増やしていると思ってんだ」
本日二度目となる溜息。幸せが逃げる、とはよく言うがこれにはリラックス効果があるのだ。
風紀としての不凋花の対応は……”いい警官”としてなら悪くないものである。
嘘だ、嘘じゃない、などと問答を繰り返していたって仕方がないので、手っ取り早く解決を図ることにする。
テレホンカードを取り出し、自由人の男子生徒に向けて差し出した。
「……この際どっちでもいい。今ここで、俺に真実を見せてみろ」
すぐそこにある公衆電話を、顎で指しながら。
「余った分はくれてやる」と付け加えつつ。
■金良 楽 > 「はぁ……すいませんウソでしたやってませーん」
両手をあげて降参のポーズ、説教で済むなら受けておいた方がよさそうだ。
「それにしてもテレホンカードとは……
ある意味古風なもの持ってますね」
隣のピートはと言うと、主人の無様な姿をあきれ顔で眺めていた
「にゃーご(情けないぞ、主よ)」
■不凋花ひぐれ > まだ若いというのにそう爺めいたことを口にしていると辛かろう。
厳格で過度な力を振るう分、精神的にきつそうだ、とは思う。
こんな光景を見ていると、昔みた警察のドキュメンタリー映像を思い出す。
「素直なのは良いことです。手間も省けますから」
しかしそんなドキュメンタリーの世界の住人と違って、彼は物分りが良くて助かる。
「あって損は無さそうですよね、そのカード。中々眼にする機会も減りましたけど」
それよりもまだ常世島にもあったんだ、そんなのくらいの印象である。
なんでもない下らん話を交えながら肩を竦めた。
■久藤 嵯督 > 「何を言うか。テレカはまだまだ現役だろ」
携帯端末というものをあまりアテにしていない嵯督にとっては、ほぼ常備のものであった。
それをこうも物珍しそうな顔で見られていると、少しだけ寂しく思う。
しかしこの男は連絡先の番号すら把握していないのか、と。思わず頭を抱えた。
どうやらこのトラ猫のせいで、またつまらない仕事が転がり込んできたらしい。
「そうだな、不凋花の言う通りだ。その調子で、大人しく男子寮までご同行願う」
自由人の肩をぽんと叩く。
まずは寮長と顔を合わせて、放浪行為についてみっちりと話し合わなければならない。
■金良 楽 > 「あらら……ま、了解です
……っつっても一応、この放浪癖は知ってるはずですけどね」
最初のうちは本当に連絡入れていたが……こうした習慣は徐々にめんどくさくなってしまうのが人の常。
いつの間にやらおろそかになっていたのだ。
「大人しくついて行きまーす
……行こうかピート、久々の我が家だ」
「にゃふぅ」
あきれ顔のピートは、仕方なしに付いて行くのだった。
■不凋花ひぐれ > 災害時や電子的テロが発生した際には有効そうだし、使い方が分からんでもない代物だ。
どうせなら1枚くらい持ってて良いかもしれない、テレカ。
密やかに後で購入しておこうと思った。
「私はこのままパトロールを継続してますので、何かありましたら連絡ください」
公衆電話で。含む口に遊びも嫌味も無い。
さながら本当に警察組織に連行される未成年者のようで――いやこんな光景なんども見ているけど――少しばかり面白いと思ってしまう。
彼らを見送る形として、自分はパトロールを継続するべく本来のルートへと向かっていくことだろう。
ご案内:「歓楽街」から不凋花ひぐれさんが去りました。
■久藤 嵯督 > そこはケータイでもいいとこだろ。
流石に常日ごろから使っている訳ではなく、ただ”念のため”に持ち歩いているのだ。
後は……個人的な趣味の問題でもある。
「心得ている。そちらも気をつけてな」
見送る不凋花に背を向けて、自由人を連行していく風紀の男であった。
ご案内:「歓楽街」から久藤 嵯督さんが去りました。
■金良 楽 > 「どなどなどーなーどーなー・・・ってね、トホホ」
まさに今の彼の状態にピッタリな歌を口ずさみ繁華街を後にする
ドナドナドーナドーナー
楽を引き連れて~
ドナドナドーナドーナー
風紀委員がゆく~
ご案内:「歓楽街」から金良 楽さんが去りました。