2016/07/03 のログ
ご案内:「歓楽街」にセシルさんが現れました。
■セシル > 夕刻。あまり集中の出来ない様子で警邏をしている風紀委員が数名。
その中に、セシルもいた。
「最近この辺りで物騒な話が増えているとはいえ、何も試験期間中まで警邏の頻度、人員を維持せずともな…」
「まあ、試験日程に配慮があるなら、手当が出る分には構わんが」と言うセシルに対して、他の風紀委員が
『セシルはあんまり難しい講義取ってないからそんなこと言えるんだろ』
『ほんとだよ…私熊谷先生の経済数学マジやばいのに…』
『いや、風紀委員とあの課題量を両立出来ると思う方がアホだろ』
と適当に乗ったり。
セシルは苦笑いを浮かべながら、
「…まあ、こちらの世界でのものの考え方や社会常識を学ぶ授業は、貴殿らから見れば簡単には違いないだろうが。
…風紀委員の職務に当たる時間を増やしてから、講義前後の時間を活用するようにしたんだ。分からないところを最低限潰しておくだけで、一人で悩む時間は随分減るぞ?」
と応えた。
風紀委員で忙しいからといって、最低限の学業すら放り投げる気は、セシルにはないのである。伊達に、元の世界でも学生をしていたわけではない。
■セシル > 『先生に直接かー…オレ、研修で公欠取るときくらいしか声かけねーなぁ』
風紀委員の一人がそうぼやく。セシルは、
「学生の本文は勉強だろう。我々は自身の未熟を自覚し、精進せねばならん」
と、きっぱりと言い切った。
■セシル > 『未熟、ねぇ………まあその通りだけど、お堅いよなぁ、セシル』
ぼやいた風紀委員が認めつつも呆れたように息をついた。
セシルの口は、真剣そのものの一文字調だ。
「…力を振るう意味を、軽く考えるわけでもなかろう?
我々は権力の一部を委託されたからこそ、その行動に責任を持たねばならんし、正しい「責任」のあり方を、学び続けなければならん」
『…ラフフェザーさん、魔術とか異能とか寄りの世界から来たって聞いてたけど、その辺の考え方、凄くこっちのプロっぽいよね』
別の風紀委員が、感心したようにしみじみとセシルの顔を見る。
■セシル > しみじみと顔を見られて、セシルが…少しだけ、焦りを見せた。
「何、元の世界でも力を振るう「責任」についてはよく考えさせられただけだ。
…それと、私の顔よりは街の方を見るべきだろう。試験期間中の時間をわざわざ警邏に割いているのに、見落としがあってはまずいのではないか?」
そう言って、道の横、建物の陰を見るかのように顔をそらす。
元の世界の、昔の戦争で起こったこと。その「闇」。
それらを経て、この世界にさほど遅れをとらないレベルの戦争法を確立したセシルの故郷。
…しかし、それらの「闇」の歴史を、こんな場所で話に出す気にはならなかった。
■セシル > 慌ててセシルが顔を背けた方の路地には、特に何もなかった。
『ラフフェザーさん、そんなに焦っちゃってどうしたの?』
同行する風紀委員の一人に聞かれるが、
「…いや、大したことではない。
こういう場では、話しづらいことなだけだ」
と、何でもない風の声の出し方で応えてみるが…その顔は、彫りの深さがいつもより際立って見えるような雰囲気を纏っていて。
それでも、別の風紀委員が警邏の途中で何かに気付いたらしい。
『マジかよ、あっちのゲーセンで何かもめてるくせぇ…
試験期間中に暇なやつらだなチクショウ!』
悪態をつくが、その顔は平凡な学生とは別のものになっていて。
■セシル > 『おい、お前ら何じゃれてんだ行くぞ!』
問題の方角に駆け出しかけて、後方にいるセシル達に声をかける例の風紀委員。
「ああ…今行く!」
セシルも、気まずい話の流れが切れたことに感謝しながら、彼の後に続いて事態を収めに向かうのだった。
ご案内:「歓楽街」からセシルさんが去りました。