2016/08/11 のログ
やなぎ > 常世学園は現在夏休み真っ只中だ。
その生徒の一人、長い髪を結い、夏なのに黒い軍服をだらしなく着た青年がこの酒場に入ってきた。

中は混んでおり、忙しそうな従業員に待つよう言われるが、
彼は相席でいいと伝えると、一人分あいている席があると案内された。

「…どうもこんばんは。あの、ここいいですか?」

先にいた人物の事をジロジロみながら、控えめに挨拶をしてみる。

クロリア > 「んあ?」

次は誰から情報を得ようかと周りを見渡していたクロリアは、
今度は逆に自分が声をかけられ、思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
目の前に立つのは、一目見て気弱そうだと分かる青年だ。
大した情報を持っているようには思えないが……

クロリアは
1.「いいぜ」と心よく相席を受け入れる
2~3.「んー、何か奢ってくれるならいいぜ?」といたずらっぽく笑いかける
[1d3→2=2]
クロリア > 「んー、何か奢ってくれるならいいぜ?」
困っているところを追い打ちするのは忍びないが、
これぐらいの交渉は酒場では日常茶飯事だろう。
ただ、あくまでも不快にならない程度に、いたずらっぽく笑いかける。

やなぎ > 目の前の人物にそう問われると、やなぎはびくっと肩を震わせた。

「えっ!?じゃ、じゃあ一杯だけなら…」

思わずそう答えてしまい、先に後悔が出た。
これなら別の酒場に行くべきだったと。

彼か彼女か、今まで見たことのない変わった格好の人物に恐怖を覚える。
(ヤクザだったらどうしよう!)
兎にも角にも言ってしまったのでは後の祭りだ。
若干覚悟をキメつつ、言葉を続けた。

「それでその、混んでるので席がなくて…」

クロリア > 「おーサンキューな!」
憤慨される可能性もあったが、目の前の青年はコロっと落ちた。
奢られたなら飲まなきゃ損と、運ばれてきた酒を豪快に飲む。

青年は、酒を奢らされたにもかかわらず、座るのを躊躇しているようだ。
そんな青年の様子を見て、クロリアはいじめっこのように、にやりと笑う。
「んー、座りたいのかぁ?どうしようかなー」

暫くニヤニヤ見つめたが、怯える青年を見ているのが耐えられなくなり盛大に吹き出し、満面の笑みで笑い声を上げる。

「なんて嘘だ嘘!さぁ座れよ!ここは酒場だぜ?楽しくやんなきゃよ!」

やなぎ > 「い、いいんですか。では失礼します……。」

かれに豪快に笑われさらなる恐怖を覚えながらも、おずおずと椅子に座った。

そして運ばれてきた酒をちびちびと飲みながら相手を観察する。
肌は人の色ではないように見え、目も特徴的に思える。
一体何者なのだろうか?
ヒト型ではあるが、得体の知れない人物だからこそ恐怖は拭えない。

やなぎは未だ硬い表情のまま、ぼそぼそと話しかけてみることにした。

「えっと…よくここにいらしてるんですか?」

クロリア > 「いや、この酒場に来たのは初めてだな」
未だにオドオドしている青年をみて、失敗したかな、とクロリアは思った。
これが酒場で飲んだくれているオッサンなら、笑っておけば場が丸く収まるのだが、気弱そうな青年相手では逆効果だったかもしれない。

「というか、この世界に来てからもまだ何日も経ってないな」

相手を落ち着かせるために少しトーンを下げ、ゆっくりと話す。
酒を煽りながら青年からを見ると、チラチラと表情を窺っているのが分かる。
この場合は、「見た目を」か。

「この世界の奴らは皆『異物』を見慣れてると思ったんだが、
 そうでもないみたいだなー。
 それかあんたも、異世界から来た口か?」

やなぎ > 「そ、そうですか…あは」

今の笑顔はじつにヘタクソだっただろう。
ただ、こうして人の多い酒場に来ている以上、悪い人物ではないはずなのだが、どうしても警戒が抜けきらない。

ともかく、このまま自分だけ気まずいままでいるのも相手に悪いな、と思い、緊張をほぐすためぐいっと酒を煽る。
するとすぐに両頬が赤く染まり始めた。

「まぁ、はい。こっちでは変わった人はいましたが、あなたみたいな人は初めてです。
わたしのいた所では機械兵器がたくさんいましたから。」

人が変わったかのようにしゃべり始め、
硬かった表情もすぐさまほぐれて笑みを見せる。

クロリア > 「機械兵器って、機械が意思を持って動くのか?見たことねーな。
 機械ってあの鉄の固まりだろ?
 土塊に魔力を与えて作るゴーレムみたいな感じなのか?」

自分の知らない情報を得て、クロリアは考えを改める。
パッと見はただの気弱な青年だが、
思ったよりも修羅場をくぐってきているようだ。

これならもしかしたら、お宝に関する情報も持っているかもしれない。
とりあえず、未だに自己紹介をしていなかったことに気づき

「俺はクロリア。いわゆるトレジャーハンター、お宝探しが趣味だ。
 あんたは?」

と軽く相手を探る。
青年は先ほどよりも表情がほぐれているため、色々と情報が聞けるかもしれない。

やなぎ > 「ええ、機械…化学兵器なるものですが、奴らは確かに意思を持ちます。体は鉄や硬い鉱石でできてたりしますねえ。
むしろ土のゴーレムのほうが見たことないです。それでは銃器で簡単に崩れてしまいそうですしねえ。」

さっきの臆病さはどこに消えたのか、彼は饒舌に語りだす。
手にもつグラスの中身はまだ半分残っているが、彼はすでに出来上がっていると言っても過言ではないくらい顔が赤い。

「よろしくクロリアさん。わたしはやなぎです。えっと…」

ただ、かろうじて脳は働いているようだ。
名乗られれば返さなくてはならない、が、自分の本職を明かすまでにはまだ至らない。

「常世学園の生徒です!」

酒場の客たちに一瞬チラっと怪訝な目で見られたが、気にせずやなぎはへらへらと笑っていた。

クロリア > 「へぇ、兄さんもここの生徒だったのか。
 じゃあ俺と同じだな。と言っても、まだも学校を見たことすらねーんだが」

やなぎの発言を冗談交じりで返しながら、何かを隠してるな、とクロリアは感じとった。
自分の身分を晒したくない理由があるのだろうか。
だが、秘密を持つ人間というのは都合がいい。
一つの秘密を隠すことに執着して、他の情報を出すことを渋らないことが往々にあるからだ。

「ところでやなぎの兄さんは、何か『お宝』について知ってることはないか?
 怪しい場所とか、そういう噂があるとか、何でも良いぜ」

回りくどくするとまた警戒されるだろう、とクロリアは直球勝負に出た。

やなぎ > 「あっ、そうだったんですか。じゃーこれから入学されるおつもりでー。」

間延びしたような言い方で返事をした。
そして酒を飲み干すと、物足りなそうな顔をしてメニューを手にとる。
それに目を落としながら首を捻った。
『お宝』よりも酒のことで頭がいっぱいだ。

「う~~~ん…」

直後にあっ、と声を出す。

「異邦人街なんてどうです?怪しい場所でもないのですが、
わたしたちみたいな別世界から来た人たちが集まってるよーなとこで、
そういう場所にあるお店になら、別世界のへんなものとか売ってるかも。掘り出し物とかもあるかもしれませんよ。あと何か頼みます?」

とメニューを差し出しながら提案した。

クロリア > 「へぇ、異邦人街なんてもんもあるのか。
 異世界のものか。それは少し楽しそうだな」

隠れた名店で掘り出し物を探す、というのはダンジョンでのお宝発掘
とは別種の楽しみがある。
しかし、今は先立つモノがない。
どこかで金を稼ぐか、対価となる物・情報を手に入れなくては
もしレアな物品を見つけたとしても、涙をのむことしか出来ない。

「ああいや、俺はちょっと懐が寂しくてな。やめとくさ。
 ……それにしても兄さん、酒弱そうに見えるが大丈夫か?」

少し困惑しながら、やなぎへとメニューを返す。

やなぎ > 「楽しいですよ!
でっかいもふもふの店員がやってる店に行ったことがありましてねー。
変わったものが売ってました。あんまり買わなかったけれど」

目を閉じながら思い返すようにまどろんだ。
返されたメニューを受け取ると、また開く。

「そうれすか?うぅーん、そんなにお酒弱そうに見えあう?」

すでに舌も回らなくなってきたが、クロリアにそう言われると、
少ししょげたように眉をハの字に下げた。

「…まえ、スラム街の酒場で飲んだ時、酷い目にあったんれすよねえ…
もう酒はやめときあす。」

パタンとメニューを閉じると、元会った場所に戻した。

クロリア > 「スラムでベロンベロンになるまで酔うなよ……」
呆れながら、水を勧める。

しかし、こんなすぐに酔えるとは、少し羨ましい。
一度死んでから、『酔う』という感覚は久しく味わっていない。
味覚を感じる機能は生きているものの、アルコールに関しては耐性を得てしまったようだ。

「んじゃ、俺はもう行くけど、大丈夫か?
 ちゃんと一人で帰れるか?」
まるで子供をしつけるようだが、酔っぱらいとは尽く子供より厄介なものだ。

やなぎ > 「れすよねぇ~…」

気落ちしながらも渡された水を一気に飲み干す。
頭が少しばかり冴えたような気がした。

「今回は大丈夫ですよ、眠いけどちゃんと家に帰れます。」

以前にスラムの酒場で酔いつぶれ、本当にひどい目にあいかけたことを思い出していた。
場所は違うがここも治安の良い場所ではないのだ。

「気を付けて帰ってくださいね。
…と、そうだ。お宝があるかどうかは知らないけど、海には海底遺跡があるとか。丁度海開きしてるのでどうですか?」

と思いだしたかのように付け加える。
実際に行ったことはないのだが、風の噂ではそのようなものがあるらしい。

クロリア > 本当に大丈夫か……?と思いながらも出口に向かう。
しかしその途中、『海底遺跡』という単語が聞こえ、思わず歩みを止める。

「ちぃとばかり、情報を貰いすぎだなぁ……」
少し逡巡するが、ポケットに手を突っ込み、
ありったけの大小様々なコインを器用にやなぎへと放り投げる。

「それでまた上手い飯でも食ってくれ!じゃあな!」
コインはやなぎの顔面へと放物線を描いていったが、
彼がそれを捌けたのか、はたまた直撃したかを確認する前に、
酒場を出る。

未開拓地区の遺跡に、異邦人街の店、そして海底遺跡。
情報は十分すぎるほど得た。

クロリアは鼻歌を歌いながら、上機嫌に手のひらの金属を弄ぶ。
それはやなぎが飲んでいた酒の封をする、金属で出来た栓であった。

「まーこれも、出会いも、お宝ってことで」

そうして人混みに消え、クロリアは闇夜へと姿を消した。

ご案内:「酒場「崑崙」」からクロリアさんが去りました。
やなぎ > 「わぶっ」

コインはいくつか顔面に直撃するも、両手を受け皿にして受け止めた。
そして去っていくクロリアに急いで声をかける。すでに姿はみえない。

「あっ、ええ、さよならっ!」

不思議な人だ。かれはこの世界にあるかもしれないお宝を見つけにきたのだ。
もし見つけたのなら、是非話を聞いてみたい。

そうして会計をさっさと済まし、期待を胸にふくらませて帰路へとついた。

ご案内:「酒場「崑崙」」からやなぎさんが去りました。