2016/10/04 のログ
ご案内:「歓楽街」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > …最初に彼らが憑いてから結構立つように思う。
黒い塊、妖怪モドキ、悪霊、思念体。そんな風に呼ばれる名前のない彼ら。
もう既に薄れて微かな想いを、望みを残すだけの放っておいても消えてしまいそうな彼ら。
そんな彼らの望みを果たし、或いは宥めて最後に残ったただ一つの望み。

その望みは彼らが望むいくつかの中でのかなりの難度を誇るもの。
多くの人を助けてきた真乃真であっても容易にこなせるものではない。

「例えその思いが時間と共に自然に消えるものであっても僕は君達を助けよう。
 例え誰が覚えていなくても、誰も覚えていなくても僕は君たちを助けよう。
 僕の手を伸ばして届くなら、僕の近くで嘆くなら僕は君たちを助けるとも!」

だが、いかに困難であってもいかに不可能に近くても自らの手の届くところで
困っているなら!嘆くなら!それを放っておけるわけがない!!
黒く染まったタオルを握りそれに宿った彼らに言うように宣言して歩き始める。

さあ最後の望みをかなえよう!!

真乃 真 > …数分後そこには直角に近い角度で女子生徒に必死に頭を下げる真乃真の姿が!!

「頼む!お願いだ!初対面の君にこんな事を頼むのはおかしいとは分かっている!
 それでもだ!それでもお願いする!少し胸を揉ませてもらえないだろうか!?
 いや、本当に非常識なのは分かってる!正直!自分でも頭おかしいと思う!
 一回!一回だけでいいかっぐはっ!」

必死に頼み込む真に突き刺さる複数の魔法の矢。
…上手く致命傷にならない場所を狙ってくれている!
とても、正確なコントロールだ!苦痛に呻く真を尻目に女子生徒は歩き去っていった。
うん…強い子だな。攻撃に一切迷いがない!
地面に倒れ伏したままそんな事を思う。

とんでもなく情けない姿であった…。

真乃 真 > 「だが、これくらいでこの僕が真乃真が諦めると思ったら大きな間違いだ!
 ああ、本当にどうしよもない間違いだね!」

そう、言いながら立ち上がろうとするも身体が動かない。
どうやら先ほど放たれた魔法の矢に何らかの付加効果があったらしい!
…強かな子だな!
地面に縫い付けられたような格好のままでさっきの女子生徒の評価を更に上げる。
あの、死角からの魔法の矢と言いこれといい!かなりできる!!

この道を通り過ぎる人たちはなんだろうかと真を一瞥するも目を合わせず通りすぎていく。
さっきの現場を見ていたにしても見ていないにしてもこれは風紀委員を呼ぶ案件ではないのだろうか?
10:0で真に非があるし、呼ばれたらとても困るが呼ぶべきではあると思う!

真乃 真 > そんな事をおもいつつ数十分の時が経つ。
もうこのまま床の一部になるのではないかなと思った辺りで体は動きを取り戻した。
ひとしきり準備体操しながら考える。
狙う相手は気が弱そうでない女子生徒!気が弱そうな子に頼むのはあまりに酷い!
…いや、こんなこと知らない女子に頼む時点で酷いとは思うが!非道だとは思うが!

「誰かを助けるためには誰かを不幸にしなくてはならないのか!!だけど!」

苦悶の表情を浮かべながらも道を進む決意をしていると不意に黒いタオルが強く波打ち始める!
そこまでソレらを思う強い意志によって救われたのだろう。
黒く染まったタオルから光が空へと向かっていく。それに導かれるようにして上に上がっていくソレら。

きっともっと楽な方法はいくつもあっただろう。
もっと正しい方法もきっとあったに違いない。
この道は最短で無く、正解でない。自己満足で選んだものだ。
それでも感謝のような或いは別れのようなそんな言葉を残しながら還るそれらを見ればこれで良かったのだと思えるのだった。

「…また、困ったことがあったら僕の名前を呼びなよ近くにいたら助けるから。」

光を背にして無駄にカッコいいポーズを取りながらそんな事を言うと
その白く異様に長いタオルを靡かせて集まってきた野次馬を掻き分けながら落第街の道を行くのだった。

ご案内:「歓楽街」から真乃 真さんが去りました。