2016/10/17 のログ
化野千尋 > ああ、そんな具合で見てるんですねえ。
……ザ・種明かし、みたいな感じですね。……なんて。
そんな異能がなければぼったくられちゃうこともなかったでしょうに。

(ふふ、と小さく一人で笑いを零して。眉を下げて笑う。)
(どうにもこの少女は、冗談を言うのが下手なようだった。)

あ、ええと、さいとうさん。
化野です。あだしの、ちひろ。ついこの間この島に来たばかりの一回生で。
だから余計に、気にしちゃいますよ。異能のあるなしも、種のあるなしも。
難しいことを考えたがるお年頃、というやつです。

(返ってきた回答には、なるほどと小さく頷いた。)
(確かに、目の前で自分が観測できる範囲内では種に気付けるか気付けないかくらいの違いで。)
(――正直、種に気付けないのだから違いという違いはないのだろう。)
(やる側の視点と見る側の視点が違うという指摘には、「なるほど」と。)

やる側になってみたらば、何かしら思うことがあったりするんですかね。
……ある朝突然、口から火を吹けるようになったりとかしたら。

(周囲一帯が拍手に包まれる。)
(丁度の瞬間を綺麗に見逃していた。数瞬遅れて、大道芸人に拍手を送る。)

斉藤遊馬 > いいんだ。俺が、今も演者の努力にただ乗りしてるんだから。
最初のあれは、授業料だし、先払いの見物料だと思うようにする。
というか、そう思わないとやってられないし、この見てる間の罪悪感薄れる。
(少年は腕を組んで、うむうむ、と尤もらしく頷いた。)
(相手の自己紹介、一回生と聞けば、片眉上げて、それから笑って。)
そ。さいとう あすま。今年でここ二年目。
……来たばっかりで、よくこんな胡散臭いエリアに来たなぁ。
そういうお年頃、とか自分で言うもんなのか?
(おかしなやつ、と。少年は笑みを深くしてから、数度頷く。)
でも、ま、ちょっとわかるよ。どうなってんのこれ、って思うこと、この島だと多いもんな。
俺もまだびっくりすること多いし。……きっとずっと、目新しいことだらけなんだろうと思う。
(異能に溢れた島の中、そこに魔法やらまで加われば、全てを把握することなどできるはずもない。)
(それを、楽しみにしているような。不安に思うような。そんな声色。大道芸を見る少年の瞳の中、感情が揺蕩う。)
思うこと、なぁ。
……個人的には、できなかったことができるようになるのは、嬉しいと思う。
それが自分の努力故のものでなくても。年を取ってできることが増えていくのと、同じように。
(少年は、視線の先、最後の一瞬を見逃さず。周囲に合わせて、拍手を始めた。)
(隣から聞こえてきた、遅れた拍手。そちらに視線をやれば、相手の表情見て。)
……見逃した?

化野千尋 > (罪悪感、という言葉にやや胸を刺される。)
(あとで五百円だけお捻り入れておこう、なんて胸中思案を巡らせた。)

わたし、家がこの奥なんですよ。落第街の、少し手前。
帰り道というか、いつも通る道で。たまに立ち止まっちゃうんです。

(真新しいことばかり、と聞けば「そうなんですよ!」と、勢いのいい相槌をうち。)
(わからないことだらけで、毎日が遊園地の中になってしまったような島の中で。)
(夢じゃない!なんてことも、夢だったらよかったのに、なんてことも多い。)
(メリーゴーラウンドのほうが幾らか緩やかな日々を過ごす少女の双眸には、不安が満ちていた。)

……なるほど。確かに、それは嬉しいかもしれないですけど。
なんだか、ずるをしてるみたいで、その――……

(向いた視線から逃げるように苦笑いを浮かべて。)
(誤魔化しきれなかった拍手は大きめに。拍手も疎らになった頃合いに――)

……見逃しました。

(またひとつ、苦笑いの色を濃くした。)

斉藤遊馬 > この 奥。
(少女の言葉を反芻するように、少年は一度繰り返して。)
(それから、いやいやいやいや、と首を振った。)
何?お金ないの?大丈夫?いや今のところ大丈夫なんだろうけど。
女子寮とか入ったほうが良くない……?
(心配するような様子見せて。難しい表情。)
まぁ、なんだろ。
それじゃあ天性の才能はずるくない?親が沢山お金を持ってることは?
逆に孤児は?ある日突然病気で動けなくなったら?異能が発現したら?
どれも結局は運で、ずるとはちょっと違うかな、と俺は思うよ。
(あくまで個人的にだけど、と。言ってから、肩を竦めた。)
(少女の苦笑見れば、少年は、しょうがないなぁ、と笑ってから。)
ほら。あそこ。
(少女に身を寄せて、相手の目前に、右の手を寄せた。)
(人差し指一本立てて、指差した先は、大道芸人の方向。)
あそこ。大道芸人の前。まだ外だと小学生くらいの女の子、いるだろ。
大道芸人がさっき持ってた大きなステッキが、あの子のポケットの中からするする出てきてさ。
だから皆びっくりして、そしたら。
(ぽんっ、と。小さな音と共に、少女の目前に掲げていた少年の手の中。)
(気づけば、赤いバラ一輪。指先に挟まれていた。)
ご協力ありがとうございました、って感じで、女の子にバラ渡して、おしまい。
(はい、と。バラを相手へと差し出しながら。)
あげる。

化野千尋 > いえいえいえ。

(「違うんですお金がないとかでは」、と全力で否定して。)

兄が、住んでいるので。そこで一緒に暮らしてるんですよ。
なので、安全安心です。今のところは大丈夫なので、多分大丈夫です。

(確証なく大丈夫、と繰り返し、続いた言葉には視線を逸した。)
(どれもその通りで、その通りだからこそ、どうにも真正面から受け入れたくない事実たち。)

平凡だからこそ、わたしは羨ましいのかもしれません。
ずるいな、とか、それこそ妬ましいな、なんて思ってしまって。
……これも視点で違うもののひとつ、なんですね。

(近づいた距離に、わ、と小さく声が漏れる。)
(「どれですか」と、小学生を目で追って。)
(次の瞬間、目の前で開催された小さなマジック・ショーにわかりやすく驚いて。)

え、え、あの、ええと。ありがとうございます。違う。
ええと、あっと、……大道芸人さんだったんですか? じゃなくて、どこから今出したんですか!?

(手の中のバラを、まじまじと見つめる。)
(上から下から、左から右から。そして、最後に少年の顔を見上げた。)

斉藤遊馬 > あぁ、家族もいるのか。それならまぁ、安心…安心ではないが…
うーん…なんかあったらちゃんと風紀に相談しろよな…?
ほんとこの島、危ないとこは危ないからな…?
(眉間に皺を寄せて、自分としては最大限の忠告をして。少年は唸った。)
(無理矢理に相手の住居を移転させる権利があるわけでもなければ、本当に大丈夫かを確認する術があるでもない。)
(相手の言うことを信じるしかなければ、はぁ、と一息吐いて。考えることを辞めた。)
(そして、もどかしそうにも、悔しそうにも、或いはそれがまぜこぜになったようにも見える相手の様子。)
(少年は目を閉じて、んー、と声一つあげてから。)
俺頭悪いし、化野の気持ち全部わかるよ、とはいえないけどさ。
俺だって女子のレディースデー羨ましいな、とか考えるし。
自分にないものは須らくうらやましく見えるものなんだろうな、とも思う。
でも、それをちゃんと羨ましいって言えるのなら、化野は健康だよ。
(そう言って、目を開いて、笑った。)
(相手がバラを受け取れば、少年は花壇の縁に下ろしていた腰を上げて。)
どういたしまして。いや?大道芸でお金稼いだりはしてない。ショバ代がそもそも用意できなさそうだし。
どこからって、お前、それは種も仕掛けもないんだから、秘密だよ。
(からからと笑う様子、素直に驚いてくれた相手に満足そう。)
(少女から視線を離して向けた先、既に目をつけていた大道芸人は、皆撤収している。)
(少年は一度伸びをして。それから、少女の顔を見下ろして。)
異能で出したか、そうじゃないのか。わからなくても、バラはバラだろ。
そんじゃ、またな。
(そんなことを言い置いて、その場を後に。背後の少女に向けて、ひらり手を振って去った。)

ご案内:「歓楽街」から斉藤遊馬さんが去りました。
化野千尋 > 健康。……健康、ですかあ。

(唸った。どうしたものかと考え込みながら、ううん、と唸り声を上げていた。)
(レディースデーの例えなんか納得しかできなければ、確かに、と同意をしてしまう。)
(どこが頭が悪いのか、と不満げな表情を浮かべながらも、口元は楽しげで。)
(手元のバラの花弁をひとつ、ふたつと撫でる。)

えーーーーっ。秘密なんて、そんなひどいこと。
すっごく、すっごく気になるんですがっ。バラはバラでも、その、違うじゃないですか!
さいとうさん! あの!

(余裕げにひらひらと手を振っていった少年に、悔しげに視線を向ける。)
(嬉しいような、悔しいような複雑な表情を浮かべて。)

また! 次、仕掛け絶対おしえてくださいね!

(下ろしていたリュックサックを背負って、小さく頬を膨らませた。)
(少年が去った方向と逆側にゆっくりと歩みを進めながら、少女はぶつぶつと独り言ちる。)
(手にはバラを持ったまま。千切れるか千切れないかの瀬戸際で引っ張って、手遊ぶ。)

……羨ましいのが健康なら、不健康はどういうことになるんでしょうか。
んんん。それよりも。……異能? 手品が趣味……?

ご案内:「歓楽街」から化野千尋さんが去りました。