2016/12/24 のログ
ご案内:「歓楽街」にセシルさんが現れました。
■セシル > この週末は、この世界において重要なものであるらしい。
夕暮れの歓楽街はいつにも増して賑々しく…心なしか、ペアで行動している人間が多いように見える。
風紀委員にも非番を要請するものがいくらかいて、この週末の警邏はそういう要請をしない異邦人の割合が幾分高くなっていた。流石に、酷く偏るまではいかないのだが。
「…そういえば、この世界の歴史上の偉人にまつわる祭日なのだったか?」
『らしいね。その偉人さんと縁が深い宗教圏だと家族と過ごす日らしいけど、この島とか、近くだと恋人と過ごす日だったりするみたい』
セシルは、一緒に警邏に回る異邦人の同僚(少し風貌がこの世界の人間と異なるようだ)とそんな会話をしながら、歓楽街の通りを行く。
■セシル > 「…そうか、休みを取った者達はそのために…」
『強がってわざと休んでる人も紛れ込んでるとは思うけどね、絶対。
…どうせ暇なら仕事手伝えよ、って思うんだけど』
真顔で受け止めるセシルに対し、こちらに来ていくらか長い同僚は辛辣だった。
「ははは…一応一般学生は休みのタイミングなのだし、そこで休みを合わせたい気持ちは分からんでもないぞ」
セシルはそう言って朗らかに笑うが、
『そうは言っても、賑やかな分私達の仕事は増えるんだから人手は多いに越したことはないよ。
…ほんと、ラフフェザーさんって無駄に朗らかだよね。ちょっとくらいはやっかんだりとかしても良いと思うのに』
と、同僚は微妙な顔をしている。
■セシル > 「やっかむ?何をだ?」
『………ラフフェザーさん、「天然」って言われない?』
「…不本意ながら、何度か」
やっかみのポイントを掴まない…掴もうとしないセシルに、溜息を吐く同僚。
かけられた言葉に、微妙な顔で答えるセシル。
それから、
「いや、実際、「特別な関係」など、無理をして作るものでもないし、やっかんでも仕方が無いだろう?
………それに、元の世界に帰ることを考えると、こちらで特別な関係を作る気にはなれんからな」
と、弁解をした。
■セシル > 『…そっか、ラフフェザーさんは元の世界に帰りたいんだ』
「貴殿は違うのか?」
『…ヒミツ』
「………そうか」
一口に異邦人といっても、元いた世界への思い入れや、事情は様々だ。
相手が口に出すことを望まないならば、踏み込まないのもこの学園都市に生きる者の礼儀だろう。
セシルは、深くは追求しなかった。
■セシル > 歓楽街でこの週末を楽しむ者達の姿は、その多くはこの世界の若者男女に見えるが…そうでない者も、混じっているように見える。
『あーあ、私にもいい人いないかなぁ』
隣で同僚がそうぼやくのが聞こえ、セシルは少しだけ口元を緩めた。同僚が気付いた様子はない。
…だが…
「…あちらで何やら諍いらしい声がするな」
『本当?ラフフェザーさん耳良過ぎ』
セシルは再度表情を引き締め、同僚とそんな言葉を交わしていると、何かが割れるような甲高い音が聞こえてきた。
今度は同僚にも聞こえたらしく、露骨に顔をしかめた。
『ああもう、なんだってこんな日に騒ぎを起こすかなぁホント!』
「予期された事態だ、仕方あるまい…!」
二人は、音の発生したと思しき方角へ駆けていった。
ご案内:「歓楽街」からセシルさんが去りました。