2017/09/02 のログ
■笹貫虎徹 > 「……ん~…?」
何かが背中にぶつかる感触。交わそうと思えば実は交わせたが、面倒臭いのでそのまま受け止めた。
気だるそうに背中にぶつかってきた相手へと振り返る。制服、パーカー、同年代ぽい見た目…多分同じ学園の生徒だろう。
とはいえ、学園に親しい友人も居なければ、人の顔や名前を覚えるのも得意ではない。
少なくとも、小さい脳みその記憶の中を探る限り、該当する人物は居らず…つまり初対面だ。
「…あぁ、別にお気にせずー…余所見は誰だってあるだろーし…」
そして、何時もの感情が全く篭っていない、淡々とした口調でそう返すのだ。
目つきも目つきだ。年頃の覇気や快活さ、明るさといった陽の部分が全く無い。
…ただ、暗い、陰気とは違う。言葉に直すなら存在そのものが影法師のようだ。
そこに確かに居るけど何処か曖昧。存在感が希薄というより生のオーラが希薄すぎる。
■和元月香 > 「...いやごめんねまじで」
もう1度謝り、軽い笑みを浮かべて顔を上げる。
...見知らぬ生徒だが、年は近いようだ。
(...ウワーッ...)
しかし彼の顔を見て、月香の笑顔がほんの一瞬固まった。
社交辞令的な言葉、だが感情の起伏さはほぼ皆無。
覇気の無い目は、少なくとも高校生がする目ではないだろう。
「.....君、大丈夫なん?」
その上存在と気配の希薄さに、月香は憐憫の感情、
ではなく興味が湧いたようで、そう問いかける。
■笹貫虎徹 > 「…んーや、別にぶつかったくらいは大した事じゃないしさぁ…気にしないでホント」
と、口調だけ見れば軽口…なのだが、その淡々とした棒読み口調で台無しになっている。
気のせいか、僅かに目前の少女の笑顔が一瞬だけ強張った気がする。
が、それを考察するのも面倒臭いと思ったのか、直ぐにそれは見なかった事にして。
「……?…まぁ、一応健康体だけど…。」
体の事を突然気遣われたと思ったのか、少年は不思議そうにしつつそう答える。
実際、食生活はまぁ規則正しいとは程遠いが健康体で病気知らずだ。少なくとも現在体調に問題は無い。
自らの持つ独特の『薄い空気』の自覚があるのか無いのか。
ただ、一つ言えるのはそれが少年の自然体だという事。――おかしな話だが、不自然さが無いのだ。
口調、目つき、空気、どれもが高校生とは程遠いというのに。何故か少年はこの空気が当たり前なのだ、と思わせるようなものがあって。
■和元月香 > 「...ならいいけど?」
棒読みな口調にへらっと笑い返す。
しかしながら心中は(もうちょっと感情というものがあってもいいんじゃないかな????)と激しく疑問を持っていたり。
でも正直棚上げなのだが。
「...そうじゃなくて〜...。
まぁ、元気ならいいんだけどね」
どうやら無自覚らしい。
面倒そうに肩を竦めながらも、
月香はじっと相手を見つめて観察した。
...特筆する異様さはなし。
なんというか、違和感さえ覚えない。
(...ふむ)
月香は顎に手をやり頷いた。
そして少し考えた後、相手に向かって笑顔で切り出した。
「今暇かな、おにいさん?
わたし今凄い暇でさ、良ければ一緒に暇潰さない?」
歓楽街の道の真ん中で、堂々とナンパもどき。
周りの往来は目もくれないが、仁王立ちで普通なら目立つに決まっている。
■笹貫虎徹 > 「…んーー…。」
何か言おうと思ったが、肝心の言葉がどうにも出てこない。
コミュニケーションが下手、というより若者ぽい会話が苦手だ。
正直、自分から話を広げて相手を楽しませるタイプには程遠く。
「…あ~…そーいう事ね。…まーこれが平常運転?だから気にしないでー」
無自覚、というよりも分かっていて放置してるに等しい。つまり自覚していても直す気が無い。
やる気が無い、と言ってしまえばそれまでだが。観察されてもほぼ無反応だ。
違和感さえ覚えない。つまり凡人も凡人。没個性、脇役Aみたいなものだ。
勿論、この島の住人らしく逸脱した部分は例外なく彼にもあれど…それが見え辛い。
「……こういうの逆ナン…だっけ?まさか俺がそれをされるとはねぇ…別にいーけど」
どういう意図なのだろう。自分と暇潰しして何か得する事が果たして彼女にあるだろうか?
ああ、考えるのも面倒臭いので深く考えるのは止めた。こちらも暇潰し程度に考えればいいか、と。
そして、ここまで本当に高校生らしい態度が全く出ていない。ある意味で徹底されている。
まるで人形や機械が人間のフリをしているような、そんなイメージもあるか。
「……んで、暇潰しはいーけどこれからどうするン?」
■和元月香 > 「そっかー...。
ちょっと心配になるぐらい棒読み口調だね」
ストレートに気になった点を言った。
悪びれもせずに笑顔のままで。
心配しているのは嘘だが。月香に限ってそれはまず無い。
「まぁそう思ってくれりゃいいよ!」
相手とは真逆に、明るい笑顔でそれを曖昧に肯定する。
一歩間違えれば胡散臭いだろう。
にこにこ笑ったまま、
月香は彼の言葉に答えた。
「お散歩でもしよーぜ、あとおしゃべり。
君、この辺りに来たの初めてに等しいよね?」
■笹貫虎徹 > 「…んー…俺は普通に喋ってるつもりなんだけどねぇ…まぁ、直すの面倒だしこのままでヨロシク」
ストレートに笑顔で指摘されても、矢張りというか淡々とした棒読み口調で返す。
無論、心配されようがされまいが少年にとってそれはどうでもいい事だ。
「……うーん、最近の女子は積極的なんだなぁ」
と、呟くように口にする。その学生らしさに乏しい態度は笑顔の少女とほぼ真逆に近い。
とはいえ、見た目だけは少年ではあるのである種滑稽だ。見た目と実年齢が違う輩もこの島には多い…が。
少年は特殊な生まれではない。至って普通の人間だ。むしろ、普通より劣ると言ってもいいくらいの。
「…んー…まぁ、落第街に暇潰しの散策繰り出す時の通り道に通過する程度…かなぁ。じっくり歩くのは今夜が初だね」
隠す事でもないし、理由も無いので淡々とぶっちゃけながら頷く。
ともあれ、突っ立っていてもしょうがないので、自然と少女と共に一先ずは歩き出す形に。
■和元月香 > 「あ、不快に思ったらごめんね?」
よく考えれば失礼なのではないか、と考えたらしく
ちょっと申し訳なさそうな笑顔で。
相手は気にしてはいないようだが、一応。
「いつの時代も女は獣だぜー。
あと一応単なるお喋りだからー」
今に限ったことじゃないよ、と少し遠い目をしながら。
もしかしたら相手よりも年相応かもしれない笑顔だな、
と何だかそう思ってしまった月香だった。
「あそこ一応危ないから気いつけなよー。
.....やっぱりね!」
相手が落第街に出入りしていると知っても、
特別咎めずに、一応忠告だけはしておく。
歓楽街とは言え夜の街を度々出入りしている
自分が言えた立場ではないのである。
そのまま2人で歩き出し、
建ち並ぶ妖しいお店を眺めていた月香は、
ふと気づいて振り向いた。
「そういえば自己紹介まだだったね。
和元月香、よろしく!」
相手を少し見上げて、へらりと笑う。
■笹貫虎徹 > 「いんや、それは特には無いからヘーキ。そもそも事実ではあるんだろーしね。
…ま、直すのも面倒臭いから俺はこのままでいいよってだけだし」
ちょっと申し訳なさそうな笑顔と謝罪の言葉に、ゆるーく首を振って。
本当に気にしていないのか、その表情や態度からは分かり辛いかもしれない。
「…獣ねぇ。まーーこの前は辻斬りガールさんに襲われたりもしたし、確かに獣かもなぁ」
比較対象が違う気もするが。内面は背景は兎も角、この二人をパッと見れば彼女の方が人間らしいのは確かだろう。
むしろ、少年にどうにも欠けている部分が多すぎる、というのもあるのだが。
「あーー…まぁ、そこは自己責任だし分かってるさ。死んだら死んだでただの肉の塊になるだけだし?」
達観している、というより自身の生き死にはそれこそどうでもいい、というニュアンスの切り返し。
矢張り、色々と人間として無くてはならないものが欠けているようだ。
言うなれば――欠陥人間。誰しも欠陥はあるものだが、少年の場合それが全体に滲み出ている。
それでいて、凡人として溶け込めるのだからある意味で器用でもあるのか。
暫く、そういうやり取りをしつつ歩いていたが、自己紹介にあぁ、と思い出したように。
「ん、俺は笹貫虎徹。今年入学した新1年…年は15歳。まーそんな分けで適度にヨロシク」
と、相変わらずの態度で自己紹介をするが…15歳でこの雰囲気や空気。
色々と将来がもう駄目かもしれない。むしろ将来が来る前に死にそうなフシすらあるが。
■和元月香 > 「.....ん、もうツッコまないでおくわ」
彼がどう思ってこの言葉を発したかは分からないが、
あまり言及しても無駄だと気づいて大人しく口を噤む。
「辻斬りガール!?な、なにそれ」
ぐりんっ、と勢いよく振り向く。
目を剥いてはいるが、興奮に顔を僅かに紅潮させていた。
「辻斬りまでいるとかこの島マジファンタスティック!!」
何故か叫ぶように吐き出した。
所詮は他人事。月夜にとってはかっこいいものにすぎない。
「あー、確かにそうかもね。
でも自分の体は大切にしなさい」
彼とはまた違うベクトルで、命をあまりにも軽く見ている少女。
感情だって立派に欠落し、歪みきった思考から月香はもしかしたら
___ 【欠陥人間】なのかもしれない。
「15...?
私17だよ」
雰囲気が大人びすぎてるな。
軽くそう思って、隣の笹貫の顔を見る。
相変わらず、覇気の無い表情だ。
■笹貫虎徹 > 「…それがいいんじゃない?俺にツッコミ所が多そうっていうのはなんとなーく自覚もしてるしねぇ」
肩を緩く竦めてみせる。自分が周りからどう見えるのかを薄々察してはいるらしい。
が、面倒臭がりな気質もあって直す気が全く無い。自分がどう見られようがどうでもいい、という感じだ。
「…ん、名前はいちおー伏せるけど落第街の路地裏で襲われた。
で、数日前に再会したけどね。その時は…あー何か組織?部活?みたいなのを潰す事になったけど」
歓楽街…風紀委員がそれなりに巡回している場所なのだが、それにも構わずダラダラと、しかし堂々と語る。
彼女の方をチラリ、と見れば何か凄い食いついている…辻斬りが面白いのだろうか?
「―――そういう事を言う本人が、案外一番大事にしてないってパターン?」
彼女の素性も心境も知らないしさして興味も無いが、首を傾げて一言。
彼女を責めている訳でも侮辱している訳でもない。ただ何となくそう感じた。それだけ。
「…あーー年上なのね。んじゃ月香ねーさんで。」
先輩、でもさん付けでもなくまさかのねーさん呼び。勿論、少年に特に他意はない。何となくだ。
■笹貫虎徹 > その後も、多分あれこれとてきとーに雑談でも交わしながら、当ても無く歓楽街を歩こう。
感情も何もかも希薄な少年だが、暇潰しには十分すぎる時間だった…と、思いたい。
後は、多分帰り道は途中までは一緒だった…かもしれない。
ご案内:「歓楽街」から笹貫虎徹さんが去りました。