2017/09/10 のログ
ご案内:「酒場「崑崙」」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > 「……今日は一日よく走り回ったな……」
夜。カウンター席に独り座って、くたびれた様子で息をつくヨキの姿がある。
「全く、彼奴らもむやみに手を広げてはならんと言うに」
“表の学生街へ魔手を伸ばす悪”がヨキの粛清の標的ならば、その一方で“裏の貧民窟の秩序を揺さぶる正義”もまた抗するべき対象である。
薬物、暴力、窃盗、殺人……その他諸々の行為がスラムの中のみで行われている場合、それはヨキにとって“死力を尽くして守るべき常世島の日常”であった。
だからといって、(ヨキからすれば)行き過ぎた正義感であっても、彼らは委員会の職務を彼らなりに全うしているに過ぎない。
教師として、正規の委員を罰する訳にもゆかず――ヨキの取れる方法はといえば、姿を隠しての攪乱と妨害のみである。
「――うむ。とりあえずカミカゼを頼む。
それからナッツとドライフルーツ、それと軟骨の唐揚げを」
心身を擦り減らして疲れた夜は、酒も食欲も進むというものだ。
■ヨキ > 供されたカクテルで喉を潤し、乾きものを少しずつ抓む。
「うまい」
美味いんである。
ヨキは平素から味覚に関するネガティヴな語彙を持たないとまで見える男だが、崑崙はまた別格だ。
「……うまい……」
隠密行動が得意なくせ、その表情は物言わぬはずの背中にまでありありと見て取れる。
疲弊に塗れた後ろ姿が、いっぺんに弛緩する様はよく目立った。
■ヨキ > 穏やかに談笑するカップルや、独りで本を読む女性や、煙草を片手に酒を飲む男――静かな店内で、みな思い思いの時間を過ごしている。
「ええと……野菜のグリルと、牛肉の赤ワイン煮を」
アルコールと落ち着いた空気に安堵すると同時、腹が鳴り出す。
注文するヨキの顔が、はにかんでふにゃりと緩んだ。
■ヨキ > カミカゼを飲み干し、代わりに頼んだ日本酒の一式と食事が揃えば、先の疲れもすっかり吹き飛ぶ。
絵に描いたような恵比須顔で手を合わせ、酒を注いだグラス片手に料理を頬張った。
まるで誰か隣に連れでも居るかのような幸福感を振り撒いているが、どう見ても独りだ。
舌に乗せ、口を閉じた途端にとろけるような肉の食感に、でれでれと酒も進む。