2015/08/05 のログ
ご案内:「落第街大通り」に夕霧さんが現れました。
夕霧 > コッ、と靴音をならして日の沈み始めた怪しい店の立ち並ぶ一帯を進む。

先日魔術の媒体として使った金属片の買い出し。
彼女が何時も使うのは落第街のこの一帯で販売されているものを使っていた。
今回はその為に来たのだが。

「……」
何時も贔屓にしていた露店が見当たらない。
露店であるが故、場所などもまばらに変わっているが見当たらない、と言うのは初めてだ。

特に休む日は無い、と言っていた気がしたのだが。
試しにその辺の露店の店主に聞けば。
さあわからない、最近この辺りでは見ない。
との事。
「……弱りましたねえ」
口ではいうものの、顔はそれほど変化も無く、頬に手を当てて少しだけ思案する。

最近見ない、と言う事は河岸を変えた可能性もある。
一度辺りを見回して、少し息を吐き、道を更に進む。

夕霧 > 露店通りから外れて商売にはならない気もする。
そうは思いつつもこの街である。
【何が起きるか分からない】。

理由はわからないが露店通りで出せない理由もあるかも知れない。
などと希望的観測ではあるが思いつつ。
別に、金属片自体はその露店から買う必要は無い、とはいえ。
どうせなら馴染みの店で購入したいというそんな心だ。
真贋見極める修練にもなる。

とはいえ、道を進んだ所で。
露店なぞある訳も無く。
あるのは人の視線のみ。
まばらにある露店は怪しさのみに突き抜けており、流石に何かと言うものもない。

その結果に再度息を吐いて立ち止まる。
この先行った所で意味はあるのかと。

夕霧 > 先を見る。
ただ暗い路地が続き。
そして先日の使った金属片の理由を逡巡する。

今、それを逡巡する意味は無いはずだ。
「……」
立ち止まっていたが、先へと進む。
妙に視線が刺さる。
そう感じているだけかも知れないが。

夕霧 > 少し歩けば、もはや露店は無く。
既に辺りは暗く、かろうじて設置されている等間隔でも無い電灯が切れそうにチカチカと明滅を繰り返す。

時間的にも、立地的にも。
完全に徒労であったという結論を下しても、いいだろう。
一時的なモノであってほしいという僅かな祈りだけをその場に無言で捧げた。

願わくばいつかまたあの場所で露店を再開してくれますように―――と。

結局、ただ夜歩きしに来ただけになったがそれも一興である。
思えば随分と……。
「ま、ええですやろ」
その先の思考を中断した。
【個人的見回り】と言う事にでもしておこう。
などと目を細める。

夕霧 > ぶらりと歩くことにする。
今日、わざわざここに出向いて、徒労で済ませると言うのは何となく抵抗があった。

ならばせめて、またこの懐かしさだけを堪能して帰ろうと。

そして思考を切り替え視線の理由を考えれば。
何のことは無い、あっさりと大体の理由に思い当たる。
以前の大立ち回りが一つ。
この場にしては小奇麗な女が混じっていると言う異端が一つ。
これも以前注意されたな、などと少し笑いながら。
つまり目立っているのだな、と再認識するに十分であった。

理由さえ結論付ければ。
もうその視線は気にならない。
コツ、コツと靴音をいつも通りの気軽さで道を歩く。
折角なのだ。

「……何が折角なのでしょうなぁ」
苦笑する。
随分と、ズレが戻ってきた感覚。

夕霧 > ズレ。
このズレは戻しては行けないズレ。
学園に居る以上は、余り必要ではないモノだ。
本土に居た頃は必要だったが。
今は必要ない。
いや、この場に至っては必要なのかも知れないが。

歩いて居たが少し立ち止まった。
先ほどの露店通りがあった場所。

既に人の姿はほとんど無かった。
夜になれば露店は流石に商売もしにくい。
早々に引き揚げたのだろう。

夕霧 > 夜歩きを楽しみつつ、戻ってきた時にたまたま、というそんな淡い期待も十分に打ち砕かれた。
ここ最近見ないと言っていたので余りにも当然である。

「……ふう」
今日何度目かの息を吐く。

十分か、と言わんばかりに。
更にしばらくすれば、残っている露店も次々に店じまいするだろう。
何となく、それを見届ける気になり、座れる場所へ座った。

夕霧 > しばらく。
見続けた後、ほぼ全ての露店が店じまいするのを眺め。
一つ伸び。

媒体となる金属片はストックはあるとはいえ、しばらくは露店の復帰を願いつつ別の所で確保する必要があるだろう。
そう結論をつけると。
立ち上がり、その場を後にした。

ご案内:「落第街大通り」から夕霧さんが去りました。