2015/08/18 のログ
ヨキ > 「……そうだな。
 君のように親切な地球人の在ることが、異邦人にとっては救いだ。
 異邦人同士が手に手を取り合って身を守り続けるには、聊か限界があるでな。

 …………。まったく途方に暮れるものだ。
 この一件を意にも介さず、地球人と異邦人の関係は揺らがずに済んだと……
 我々異邦人は、既にそれだけの地盤を固めてきたのだと、せめて信じたい」

(粗悪なネオンの派手な光に照らされた顔で、ふっと笑った。
 煙草を吸い終え、次の一本に火を点ける)

「勿体ないな。若い娘には、きっと君の造作の良し悪しが判らんのだろう。
 ヨキは美術教師だからな。下手な世辞は好かんよ。

 …………、酒。いいのか」

(抑えきれない笑いが、にやあ、と漏れる。
 ちらちらと酒瓶を見下ろして、取り分け強い一本を指差す)

「……それ。開けないか。
 つまみでも煙草でも女でも、いくらでも払う」

サイエル >  
「あっはっは!!!!」

大きく大きく笑って、タバコを噛み潰した。
何がおかしいのかお腹を抱えて。

「――数は、暴力。よく言ったものですね
 えぇ、もしかしたら私のように人種などというのに”無関心”である人間は少ないのかもしれません
 とりあえず、親切ではないですよ。私は。そんなものの以前に――」

”命”のほうが大事ですのでね

なんて告げて。にぃっと。鮫のような表情で。

「むしろ――壊れてもいいくらいの気持ちが必要かもしれませんよ?
 なんでしたっけ? 破壊と創造は表裏一体でしたっけ?
 壊れたものを直す力があるのだと、私は”今の異邦人”を信じたいですな
 よりよくしてくれると――」

壁に背中を預けて。静かに静かに。
そう願うように。

「あっはっは。ではありがたくお褒めを頂戴して
 その代金に、酒を出すことにしましょ?」

指された酒を、開ける。あいにく、上等な切子やグラスは持ってない。
だから――瓶のまま、渡した。

「どうぞ? モヤモヤとした気持ちを飲み干す感じで飲めるところまで」

ヨキ > 「権力も、秩序も、法も、『暴力』が知恵を得、姿を変えてきたものに過ぎない。
 ……命あっての物種というやつでな。
 命を乞う姿勢が結果的にヨキへの親切と映るならば、その真意は問わん」

(息継ぎをして、煙草を吸う。
 宙へ向かって煙を吹き出し、頬を掻く)

「……異邦人の流入と、異能の顕在化によって、一度壊れたようなものさ。この地球は。
 今はそれを築き直している段階なのだと、ヨキは考えている。

 壊れる前の地球の姿を、ヨキは知らん。
 ただ異邦人を信じているがよいと、さもなくばヨキのみぞ信じておれと――それだけだ」

(差し出された瓶を受け取る。
 片手に煙草、片手に酒瓶――見るからに裏通りの住人のような様相)

「ありがとう……馳走になる。
 だが独りというのは、どうにも寂しいな。
 ……『一緒にいかがかね』?」

(銀のリングを嵌めた左手の指先を、くるりと一回し。
 すると若葉が芽吹くかのように、手のひらにむくりと銀色が湧き出でる。
 銀色は円を描いて――猪口ほどの大きさの、二つの小さな酒器に変じる。
 そのひとつを、ほれ、とサイエルへ差し出した)

サイエル >  
「まぁ、そうでしょうな。知性がなければできなかったことでしょう……
 ほうほう――では……」

――先生を信じるとしましょう。そのほうが面倒じゃない

指で、タバコを咥えとんとんっと灰を落とす。
出てきた酒器――……

「そのほうが、サボれて。実に楽です」

それを受け取り便利ですねぇっと、目を見開く。
ではご相伴に預かって。なんて告げながら。

「まま、では一杯」

とかいいながら、器に清水を注ごうとする。

「みんなにして、仕事しすぎ何ですよねぇ。もっとサボればいいのに」

ヨキ > 「君がサボれて、それが君のウィットを富ませるのならば、ヨキはいくらでも君をサボらせてやりたいね。
 学園の運営に支障のない範囲――でな」

(笑いながら、注がれる酒に愉快そうに笑う。
 煙草を消し、サイエルに酒を注ぎ返してやりながら、乾杯もせずに自分の杯を煽り出す。
 猥雑なネオンの下、昼間の陽光でも浴びているかのように笑う顔は、至って自由だ)

「人間には煩いが多すぎる。
 獣にあるのは、ただ営みばかりだ。
 この十年と少し、ヨキは一度も『仕事』をしたことはないぞ。
 生徒を教えるのも、街を見回るのも、女に睦言を囁くのも――みな日々の営みに過ぎん。
 君がサボりを善しとすることと、たいした違いはないのさ。 

 我々はどうやら、自由の御旗の下にあっては同志らしい。なあサイエル」

(愉快そうに笑いながら、瓶と酒器を手にした両手を大らかに広げる)

サイエル >  
「やったー……って、えー……運営に支障出たら働かせるんですか……」

舞い上がって、バンザイしようとしてこぼしそうになった酒器を
おっとっとと、口をつけて啜る。
危ない危ないと内心冷や汗を書きつつ。
喉がいい感じに焼ける――

「いやいや、そんな。そこまで高尚なものではないですよ
 ええ。実に、先生らしくて素敵なお言葉だ。そんな風に
 飾って言えればいいんですけどね……私はそこまでこの口が動いてくれないもので」

相変わらず先生は、とても口が達者ですね……
と零しながら――
美術をしてるってかんじですと、付け足した。

「勉強になりますねぇ……」

ヨキ > 「はは、何を言うか。ヨキは学園に仕える忠犬ぞ。
 何事も程ほどにしておくがよい」

(杯を傾けながら、にんまりと笑む。
 ぺろりと唇をなめる舌は。正しく犬のように平たく大きい)

「ヨキの言葉は……嘘を吐かぬ代わり、辺り構わず火を点けて回るだけだ。
 奮い立つ者あれば、煩わしさを感じる者も居るだろう。喧嘩を売られたと感じる者も。
 いずれも正しい。ヨキは繋がっていたいんだ、この島や、島の者たちと。
 それがどんな形であれ」

(手酌で酒を注いで、また煽る。水のように)

「君だって、生徒たちの話を聞くのが役目だろう?
 ヨキはカウンセリングの手管を知らんのでな」

サイエル >  
「役目を果たしてるじゃないですか……同志ならもう少し、こう――
 甘くしてくださいよぉ?」

がくんっと肩を落としながら。
あぁ、困った困ったなんて、適当に言葉を吐いて。

「いいじゃないですが。孤高を気取っているよりもよっぽど
 いきものらしいですよ? 強くもあり、弱い感じが出てる先生――
 いやぁ、もてるなぁ。こりゃ、女が放っておかないなぁ……」

なるほどなるほどと頷いて。
実際、美術を嗜む男性として、寄ってくる人々もいるだろう。
そしてその才能に、胸躍らせるものもいるだろう。
しかし、女性の、人の心をつかむのはこの――

「いえ、サボるのが役目です、間違っちゃ行けませんよ?
 生徒たちの話をきくことなんかこれっぽっちも経験アリませんから
 片手で数えるくらいじゃないですかねぇ」

なんて、からからと喉を鳴らして。
同じように、煽って自分で継ぎ足した

ヨキ > 「ふふん。ヨキはサボりではなく、『自由』に対する同志だからな。
 学園に従うことが、ヨキの最たる習性であるぞ」

(ほとんど屁理屈だった。
 目を細め、嘯くように)

「女だけでは全く足りないな。
 ……いや、惚れた腫れたの話ではなくてな。
 男も女も、もろとも魅せねば満足出来ん。
 ヨキは我が侭な性分なのでな」

(冗談めかすようなサイエルの眼差しを、街灯に照らして透かし見るように覗いて)

「サボりを至上としながらに、それでいて学園に籍を置き続けている君だ。
 どこに爪を隠した鷹とも知れん。
 この学園の保険医は、どうにも油断がならなさそうであるからな」

サイエル >  
「……うげぇ……」

うんざりとしたように悲鳴を出した。
口でも勝てそうにない。

「ひぃ、そっちのケは全くありませんからね! いいですかー……
 ってあぁ、なんだそういう意味で。たまにじゃあ一緒にサボりますか―?
 バレたら大目玉ですけども。まぁそのへんはこっそりと」

なんて、誘ってみて。はぁ、参ったなぁと頭をかく。
いや、どうしてこうも男だろうが女だろうが
綺麗どころが多いんだか――

「やめてくださいよぉ……ほんと、そんな若く無いですから……
 突かれてもなにも出ませんって。ええ、出ませんともさ
 酒くらいしか!」

いやぁ、お酒美味しいなぁって言いながら速度が上がって
ごくりと喉をテンポよく鳴らして

ヨキ > (げんなりとした様子のサイエルに、くつくつと楽しげに笑う)

「当たり前だろう、ヨキとて男を好く趣味はない。
 サボるかどうかは別にしても……君は随分と好ましい。
 君の保健室は、さぞ居心地が良さそうだ。
 そのうち邪魔させてもらうとしよう」

(量を減らしつつある酒が、瓶の中で揺れてたぽんと鳴る。
 頬が赤くなることはないが、口調は常より僅かに明るんでいる。
 残りの酒をちょうど半分ずつ、互いの杯へ注いでやろうと)

「酒が出るなど、えらく羽振りが良いではないか?
 それならばヨキは、君をいくらでも褒めてやる。
 君の美点を、余すところなく見つけてやろうぞ。
 この異界のごとき常世にあって、老いも若きも関係あるものか」

サイエル >  
「はいはい……歓迎しますよ、我が城に
 しかし、あれですよー? 働けとか野暮なことはなしでおねがいしますよ
 私は今ので少し先生が苦手になりました」

注がれておっととと受け取って。
軽口を叩きながら、静かに立ち上がって。

「褒め殺しって知ってます? いいことだけでも人間は死ぬんですよ
 異邦のそれは知りませんが、地球では死にます。間違いなく」

ふぅっと、空を見上げて。
そろそろ、いい時間か。

「……大分、落ち着きました?」

にぃっと、笑みを深めて顎をじょりっとさすった

ヨキ > 「なに、ヨキとて持て成され方くらい心得ている。
 興を削ぐようなことは言わんよ……」

(『多分?』と、わざとらしく小首を傾げてみせる。
 最後の酒をいやに勿体ぶって飲み干して)

「褒めに褒めて高みに登らせ、いつの間にか崖の上よ。
 見晴らしがよいと喜ぶか、足を踏み外して死ぬかは、ヨキの知ったことではないなあ」

(平然として、悪びれもせずに。
 『旨かった』と礼を告げて、互いの酒器が空っぽになったことを確かめる。
 もう一度指を一回しすると、銀器は魔法のようにするりと縮み、氷が解解けたかのように忽然と掻き消える。
 顎を擦るサイエルへ向けて、半眼になって笑い返す)

「ああ、随分と気が晴れた。
 有難う、サイエル。ヨキの愚痴に付き合ってくれて」

サイエル >  
「もてなしもお忘れなく
 この国では、最中の下に小判をいれて差し出したそうですよ?」

くつくつと笑い。
続く言葉を聞けば、またうなだれて

「ひぃ、おっかない……子供を崖から落とすライオンですか
 実は獅子の類のそれだったりするんですか? 先生」

皮肉を交えて返して。
器が消えれば――

「いい、器でした。こちらこそ、酒がうまく飲めるものを
 貸していただけて、助かりましたよ――では……また学校で?」

ひらひらと、手を振りながら。短くなったタバコを灰皿に入れて。
そっと、シガレットを口にはさみながら。

「たまにはいいですなぁ、こういう日も」

ヨキ > 「任せておきたまえ。
 大判小判も思いのままだ……サボって横たわる君を、存分に扇いで心地好くしてやろう」

(獅子の類、と言われれば、犬の形をした肌色の耳をぴらぴらと摘んで揺らして笑う)

「さあ……少なくとも、ネコ科であったという意識はないな。
 それもまた、単なるヨキの趣味だと思うぞ」

(再び、にやり。
 ぱ、と耳から指を離して)

「どう致しまして。せっかく二人で居るに、独りで飲むのは忍びないからな。
 また付き合ってくれ……酒でも、煙草でも、それらを抜きにした会話でも」

(手を振り返す。
 職員寮と研究区、方角の異なるそれぞれの住居へ向けて)

「……必要さ。こんな日こそが。
 不穏と怪異に満ちるばかりの、現世に在りながら『常世』と銘打たれたこの島には」

(笑い掛ける。ではね、と短い挨拶を交わして別れる。
 歩き慣れた様子で――落第街の人波を刺激せぬほどの、軽い足取りで)

ご案内:「落第街大通り」からヨキさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からサイエルさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に平岡ユキヱさんが現れました。
平岡ユキヱ > 揃いの赤い制服、風紀の特別攻撃課・挺身隊仕様と呼ばれるそれをまとった集団が
大通りのビルの一つに整然と集まる。スラムには明らかに不釣り合いで目立つその集団は、あまりに浮いていたか。

流れるような手さばきで、みるみる建物の周囲の道を黄色いテープと簡易バリケードでもって
封鎖していき、隊員の何人かが彫像のように立って交通整理を始める。

その中から金髪の女子がすっと出て、拡声器を持って大声を上げる。
「違反部活検めである! ビルの中の奴ら全員動くな!」

ご案内:「落第街大通り」にアーヴィングさんが現れました。
平岡ユキヱ > うるせぇ! とか、死ね!とか罵倒が窓から帰ってきた。
火炎瓶もどきやらイスや机を窓から投げて抵抗している。
7月の検挙で昇格できなかった、札付きの二級学生たちが違反部活を結成し、
くすぶって凶悪化しているというのは、本当のようだ。
ギャングなりヤクザなり、反社会組織の末端の末端のようであるが、看過はできない。

「おぉ…ブッダよあなたは寝ているのですか」
こいつらどうしようもねえ。と頭を掻きながら落ちてくるものを呑気に眺めている。

アーヴィング > ちーっす、援軍デース
(はーい、どいてどいてー?と周囲を囲む隊員をかき分け入り込んでくる男が1人
 仕立てはいい物の派手な装いの服装は彼女達とは違い、とてもこの場に馴染む類の物で
 投げられた火炎瓶もどきを腕で払うと炎が撒き散らされ……そして腕を振るう動きで巻き取られ、霧散する
 魔術に詳しい人間が見ればより上位の魔術に下位の魔術がかき消される光景に似ていると感じるだろう)

どーも、嘱託委員のアーヴィング・ヴァン・オルブライトだ
お邪魔でなければ御一緒させちゃくれませんかね?せんぱい
(うっすら浮かべた笑みは余裕からか、闘争を楽しんでいるのか
 どちらともとれるような雰囲気を撒きながら、軽い調子で挨拶を一つ
 手帳型のケースに収められた学生証を開き、記された身分は彼の主張が真実であると裏付けている)

平岡ユキヱ > 「むっ…お前は」
学生証と不敵に笑っているような顔を見比べ、すぐに決断する。

「空から落ちてきた転入生だな! 噂は聞いている。
 一年の平岡ユキヱだ! よろしくどうぞ!」
名乗るや否や、手早く自己紹介と任務の概要を知らせる。

「違反学生たちが部活…まあこれも違反なんだが、を結成していてな。
 逮捕した上で本土の警察機関に引き渡す事になっている。
 故にあいつらはどうしようもない連中だが…身柄の確…」
途中で、風紀の怒号が響く。 RPGーッ! と。
対戦車擲弾発射器、ゲームではない。

「前言撤回。なるべく殺すな」
RPGの弾頭が迫り来る中、腰に掛けた刃にゆらりと手をかけた。

アーヴィング > おう、気持ちいい即決っぷりだ
噂になってるたぁ面映いね
(ニィ…と唇の端を吊り上げる笑みを浮かべて説明を聞く
 傭兵扱いの部外者に対しても度量が広い、気風が良く礼儀も正しい
 隊長格として信頼できる要素は十分を一周半は満たせるような相手と認識した)

OK了解した
要はあれだ、武装した犯罪者だが庇護すべき学生でもある
優しくぶちのめしてとっ捕まえて反省を促せと、そーゆーこったな?
(頷き、言葉を噛み砕き、自分の解釈を口にし意思の確認を
 そうして向こうがなにやら騒がしくなれば姿勢をただし、胸の前に炎を浮かべる)

戦闘スタイルは強襲近接型、中距離攻撃も出来ない事はねぇが閉所にはむかねぇ
得意技は……剣と炎を少々、だ
得物は…日輪剣、ザハリト!
(胸の前に浮かぶ炎からズルリと一本の大剣が引き出される
 刀身には無数の魔術文字が浮かび紅いラインが巡るように刻まれ
 鍔は羽を広げた鳥を模し黄金色に鮮やかに輝き、柄頭からは朱色の飾り布がたなびいている
 アーヴィングの魂に宿る異界の魔剣であり、騎士としての象徴、魂装具
 周囲に開放された魔力の圧を散らしながら…構えた隊長殿の対応を見守る
 無論、なにかあれば即座にカバーに入れる構えで)

平岡ユキヱ > 「炎ね…アツい男は嫌いじゃないわ」
同じくニヤリと不敵に笑い、彼の前に。
キィィィンと黒光りする鞘が甲高い不協和音を響かせる中、低く構える。

「…『千刃訓』、抜刀軌道」
カチカチカチカチッ、と鞘についたトリガーを4回弾く。
通称:マナーモードで刃体を射出したそれが。

「うりゃぁぁぁッッッ!!!」
弾頭を真っ二つに切り裂いた。
余った勢いのまま竜巻のように回転すると、ぴたと止まり、どやぁ?
とアーヴィングの方をいちいち見ている。

―が、そのドヤ顔もつかの間。
屋内で爆音と閃光、窓から先に突入した風紀が何人か落ちてきた。

「被害報告!」
ミニガンです! と血を吐きながら隊員が叫ぶ。

「誰だあのバカどもに変な玩具を渡した奴は!」
異能でなく、魔術でなく。科学という暴力で武装した集団は、
決して二級ではなく、一級の厄介ごと。
「…いくわよ。アーヴィング」
お手並み拝見、と最後に微笑む。

アーヴィング > おう、アツいとこ見せてやんよ
俺も……気合の入った女は嫌いじゃねーぜ
(見事に弾頭を切り裂き無力化したのを見れば輝かんばかりのドヤ顔に対し、感心したような笑みを返す
 あの武器の詳細は判らないが、発射された瞬間の周囲の反応を見ればどの程度ヤバい物か想像は付く
 それに対して全力で振りきり、ぴったり合わせた
 なるほど誇るだけの事はある)

OKOK、任された…ぜ!
(足裏に光のリングを浮かべると、そこから暴力的な推力を生み出す魔力光が放出、アーヴィングの身体を突き飛ばすように加速させる
 直接、先ほど生徒が飛び出してきた窓へと
 赤い航跡を宙に刻みながら、ザハリトの切っ先を前に向けると光のリングが形成される
 そこを突き抜ければ服装が青い騎士服へと置き換えられていく
 足先までそれが通り過ぎ、完全に服装が置き換われば 胸、両腕、両脚に光が集まり
 それが凝縮すればそこに胸甲、手甲、脚甲へと変化する)

アーヴィング > (最後に風もなく髪の毛がたなびけば藍色の髪は真紅に染まり、スカイブルーの瞳には燃えるような赤が灯る
 これぞ騎士の戦闘装具、魂装態)
オラオラオラァ!風紀嘱託委員、アーヴィング・ヴァン・オルブライト!武装違反生徒に対し…武力介入を行う!
てめぇら神妙にしやがれ!
(突入と同時に純粋熱量を凝縮させたフロギストン弾を形成、狙いを定めずに射出
 室内に爆風と衝撃を巻き散らしながら素早く状況確認
 巨大なシリンダー状の武器を見定めれば、知識は持たないが直感でアレだ、と狙いを定め)

天睨流騎士決闘術一之太刀 経ツ風
(口にすると同時に全力加速
 春の始まり、レガリア本土を端から端まで抜けていく強い風の名を持つ剣技の術理は単純
 全速力で加速し、トップスピードで剣のスイングをジャストで重ねる、ただそれだけ
 基礎にして深奥の一閃はミニガンを切り裂き、担い手を蹴り飛ばすことで一気に減速し)

クリアー!
(外に向かって大声で伝える)

平岡ユキヱ > 「速いな!」
おおっ! と風紀が沸き上がり歓声を上げる。

「嘱託に遅れを取るな! 高機動戦闘の出来る者は壁伝いに窓から入れ!」
確保ー! と号令をあげると同時、バッタのような跳躍力で
次々と隊員たちが窓から突入を開始する。

大型バスを改造した護送車も到着する中、次々とビルから違反生徒たちが連れ出され。
事件は収束するかに思えた…が。

「ッ!!? 閃光…ふせっ…!」
爆音。 バス一台が吹き飛ぶという大惨事が起こる。
死傷者怪我人不明、煙がもうもうと吹き荒れる中、ユキヱは確かに見た。
建物から建物を跳躍する、背景の微妙な歪み、光学ステルスという奴だろうか。

「多脚型戦車だ! 8時の方向!!」
砲塔の動く音を耳にした。

「狙われてるぞ! アーヴィング !」
ドン! と対異能者炸裂徹甲弾が爆裂する音が夜の落第街に響く。

アーヴィング > こっちじゃそうでもねぇようだが…
うちじゃ騎士は空を翔けるもんなんだよ!
(群がってくる違反生徒どもを蹴り飛ばし、グリップで殴り飛ばし、剣の腹で薙ぎ払う
 そうして突入してきた後続に場を譲り、すばやく飛び上がり周囲の哨戒を……
 次の瞬間、風が硬質化する『音が聞こえた』
 爆炎、熱風が吹き荒れる中、騎士の本能から咄嗟に魔力を吹かして現在位置から離脱
 ハーフループを切りつつ周囲を見回し…)

ハッ……おもしれぇ、蜘蛛のバケモンか?
騎士を捕まえれると思ってんのかよ……フラットランダーが!
(地べた這いという意味のスラングを口汚く吐き捨てつつ
 飛翔する風の唸りを色として聞き、回避運動に入る
 両足をひねりベクタースラストのように扱い
 足を振り回しフレキシブルスラスターバインダーとして用い
 最新鋭のFCSが導き出す軌道予測に対し、複雑な戦闘機動を描いて次々と砲弾をかわして行く
 近接信管が作動し、しかし捕らえ切れずに夜空に爆華を散らし)

教えてやんよ…空は…騎士の領域だ
(空に無数の曲線を航跡として刻み、一時も同じ場所に留まる事無く騎士は飛ぶ
 その中で炎の力を収束させ、凝縮されたフロギストンにさらに螺旋の運動を加え…4発の炎の槍を生み出し、射出
 一発、素直に真っ直ぐに飛ぶ槍は回避され、廃墟の一つを貫通
 二発、三発、回避軌道予測上に置かれたそれは一発が至近を擦過し、爆裂
 爆風に煽られたところに最後の一発が着弾
 貫通力を高められたそれは、しかし現代の複合技術で支えられた装甲を抜く事は出来ず…
 しかし、繊細な計算を必要とする光学迷彩が、剥げる)

捉えたぜ!ユキエ!
(異世界人らしく、微妙に発音を再現し切れていない呼び声で、名を呼ぶ)