2015/08/19 のログ
■平岡ユキヱ > 「応!」
抜刀の構えのまま、建物の壁を蹴り上がりながら跳躍する。
「『千刃訓』…絢爛軌道!」
跳躍、ターン、ステップ。重力を盛大に無視しながら、踊るように機銃の雨を掻い潜りながら剣士が跳ぶ。
「そこがコクピットか…」
スローと感じる程に加速した世界の中、戦車の腹を捉え、
カチリ、とトリガーを一回弾く。
刃体加速装置、最大出力。
青白い残像を残しながら、ギン、と大気を裂く音が空に響き渡る。閃光。
「…! …むっ」
大地に着地跡を数m程描きながら、四肢をついた体勢のまま止まる。
制御装置を破壊された戦車が空から落ちてくるのを背景に、鞘と刀身がボロボロになって瓦解した。
「強度不足か…」
ダメだこりゃ、と大きく息を吐いた。
■アーヴィング > ははっ!すげーなお前!
空を翔ける奴とはさんざっぱらやりあったが…
空を駆けるやつぁ初めて見た!
(空を足場にするタイプの飛行魔法も無いわけでは無い
しかしそれも異世界の術理で磨きあげられたもの
地上戦闘の術技が過去の物となった世界では、あのように空を駆ける技は存在しない
ああ、今は仲間だというのに、騎士の決闘が存在したのは天蓋の遥か彼方だというのに
心が躍る、共に飛びたいと、比べあいたいと…本能的に彼女の動きの攻略法を思考しようとする頭を振り払い
高度を落とすと彼女の隣に着地する)
よっしゃ、今のがアチラさんの最大戦力ってところか?
つーか、剣壊れちまったが…大丈夫か?
(見たところ並の代物には見えなかった
それが崩れ落ちるという光景には些か驚きを得て、心配そうに声を掛ける
そうしながらも風の声…三次元知覚能力のレンジを最大に、周囲の状況を全周囲知覚しながら警戒は怠らず)
■平岡ユキヱ > 「あー…まあいいのいいの。これ試作品だし」
壊りた…と悲観とは別方向の苦笑いで。しかし瓦解したとはいえ機密情報が多いのか、破片は回収する。
「あんだけ派手にブチのめしたんだからまー、流石に懲りたでしょ?
あー…こちら平岡です。回収お願い。試作品もぶっ壊れたんで、技研班もね」
インカムを取り出すと、そう応援要請を飛ばし、改めてアーヴィングに向き直りニヤリと笑う。
「…只今ノ空戦機動見事ナリ。ってね。
空飛ぶ相手には手こずってたから、ホント助かるわー!」
あ、一緒に回収の車で帰る? 一杯やってくか的なノリでゆるくなっていくユキヱさん。
■アーヴィング > はぁん、そういうもんか
俺の相棒は一生の付き合いだかんなぁ
(刀身を肩に担ぐようにして乗せたザハリトをこんこん、と拳で叩いて見せて)
あれ見せられて懲りねぇような根性の持ち主なら
こんなとこで捻くれてねーでもっとでけぇ事をやるだろうよ
(はん、と皮肉げに笑い残骸を横目に見やる
中枢を斬撃された戦車は動力を停止し、熱を失っていくだけ
それを確認すればふっと息を吐き、鎧と剣を光の粒子に分解させ、魂の座に格納する
己を内側から燃やす魔力の励起が収まれば髪の毛も瞳も元の色に落ち着いて)
お褒めに預かり光栄だね
そちらさんも…空を切り裂く剣呑な舞、思わず見惚れたぜ?
試作品っつーならよ、テストの相手がいねーなら俺を呼んでくれや
お前の剣閃は心が躍る
(楽しそうに声を弾ませながら、子供のようにテンションを上げて語る
それはまるでついさっき見た映画の名シーンを語るような無邪気さで
誘われれば頷き、車の方へと向かう)
■平岡ユキヱ > 「人からもらった大事な得物はあるけど…。
ま、それとは別にね、…まー女の子には色々あんのよ! わはは!」
謎の理論で強引に片づけにかかると、豪快に笑っていた。
要請を受けてすぐに撤収および事後処理用の応援要員と、
ユキヱさん回収用の装甲車が来ると、軽快に車両に乗り込む。
「そりゃあ願ったり叶ったりだけど…。
…ちと痛いわよん?」
ニヤリと不敵に笑う。試作品テストの話などをしながら、共にこの場を去っただろうか。
ご案内:「落第街大通り」から平岡ユキヱさんが去りました。
■アーヴィング > 女の子っつー可愛らしい表現の割には豪快に笑い飛ばすねお前…
(見た目はふわふわしてるくせによ、なんて付け足して苦笑を浮かべる
まあ、キャラの濃い異性は珍しく無いので呆れにまでは達しないが)
バッカ言え、そりゃ当てられたら痛ぇよ?
そうなんねーようにぶっつけあうからテストになんだろが
俺も地上戦闘の経験つみてーしな
(と、ポケットに手を突っ込み楽しそうに語り合いながら回収者に乗り込み…
こちらの顔を知らない本部職員が腕章も付けていないアーヴィングを護送されてきたグループの1人と勘違いして一悶着あったのだが、それはまた別のお話)
ご案内:「落第街大通り」からアーヴィングさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に薬師寺 瀬織さんが現れました。
■薬師寺 瀬織 > 紺色の髪をなびかせ、少女は一人、夜の路地を歩く。
彼女が歩を進めるたびに、制服の上からでも容易に視認しうる豊満なバストが、柔らかさと重みを感じさせるように大きく揺れ動いた。
その左手に握られているのは、『IX』の刻印を持つ旧式のオートマチック拳銃。
つい先程、この落第街の銃火器店で購入した、安価で標準的な性能のものである。
そして左脚の太腿には、革製のホルスターが巻かれていた。
あらかじめ店での試射を行い、基本的な使い方は身についている。
巨大な装甲義手の太い指では引鉄は引けないので、引くのは左手だ。
■薬師寺 瀬織 > 少女――薬師寺瀬織は普段、落第街を訪れない。
学園で生活していれば、落第街の危険性については嫌でも耳に入ってくる。
そのため、かつての瀬織はそのような場所を態々訪れる必要はないと考えていた。それは一種の自己防衛でもある。
だが今日この時、瀬織にはこの街を訪れる目的があった。今の瀬織には――『力』が、必要だった。
容易く手に入った、小さな力。いざとなれば、これで自らの身ぐらいは守れるだろう。
客観的に見れば、齢十六の少女が持ちうる力としては十分なものにも思える。
しかしそれは、瀬織が求める、超常の暴力にも対抗しうる『力』には、遠く及ばない。
「……足りないわ。この程度では、まだ……足りない」
まじまじと見つめていた黒い拳銃をホルスターへ仕舞い、抑揚のない声で呟く。