2015/09/13 のログ
ご案内:「落第街大通り」に超退魔美少女『烈雷』さんが現れました。
超退魔美少女『烈雷』 > 闇夜を見上げよ、そこに居座るのは白き月
今宵もその月光が夜の街を照らし…影を!闇を浮かび上がらせる!!

闇夜に浮かぶ不気味なブドウのように違法番組を配信するパラポナアンテナが大量に括り付けられた鉄塔の上に一つの赤い影があった
素顔は見えない…赤龍を模した仮面の下で鋭い目が輝く
その者こそ超退魔美少女『烈雷』神出鬼没の謎の退魔士にして美少女である

夏が終わり秋の訪れを感じさせる冷たい夜風
ふぅと仮面の隙間から白い息が漏れる

彼女はいったい何を探しているのだろうか

超退魔美少女『烈雷』 > 腕を組み猥雑な落第街を見下ろす
最近この街に現れた謎の妖魔…闇夜と共に高笑いを上げながら現れ
落第街に住む人々の首を人知れず狩り落としている…
この街で誰が死のうが気にする者は誰も居ない
新陳代謝の激しい街だからこそそぎ落とされる老廃物に気を止める者はいないのだ
弱ければ利用され踏みにじられ…そして死ぬ

烈雷自身無慈悲にもその通りだと考えている
本土に行こうがこの島に居ようが異能使いが跋扈する以上
避けられないリアルなのである。

風紀委員の声が聞こえてきた、でかい声だ…
歴史ある品物が盗まれたとかなんとか、奴らも大変なもんだ、とため息を漏らしたとき
胸の谷間に挟んである紙がじりじりと焼けた
退魔組織『百鬼夜行』からの解析結果が送られてきたのだ
紙に浮かび上がる文字は『飛頭蛮』
珍しい、大陸の妖怪である
種類が割れれば探すのは容易い霊粒子を探知することのできない自分でも
匂いと味で簡単に見つけることが出来る

感覚を研ぎ澄まし息を吸う
夜風に紛れる血の味を異能を使い吟味する
流血沙汰の血がいくつか…この街の日常である
その中に一つ、『苦味』を含んだ血の味を察知した
それは紛れもなく『穢れ』の味
真っ直ぐにこちらに飛んできている!!

超退魔美少女『烈雷』 > 「飛んで火に入る夏の虫とはこのことか…さぁこい!!」

あえて鋭い殺気を放ち飛頭蛮を誘う
風を引き裂き、けたたましい笑い声を上げて飛来する妖魔

その姿はあまりにも異形!!
本来の飛頭蛮とはその名の通り空を飛ぶ不気味な生首
しかし飛来したそれは通常のものとは違う…

おぉ、見よ!!月明かりに照らされたその不気味な姿を!!


 空 飛 ぶ ギ ロ チ ン を !!


先程の風紀委員の怒鳴り声を思い出す
歴史的な品物の盗難があった、と
探しても見つからないだろう、それは笑い声を上げて空を飛んでいるのだから!!

息を吸い異能で相手を探る
空気に乗って流れてくる相手の情報
≪ジョン・P・スカッター卿のギロチン≫
≪3000人の首を斬り飛ばした500年前の処刑機具≫
≪常世オークションにて競売にかけられる前に盗難される≫
≪盗難者は……≫

そこまで読み取ったところで火花を散らしギロチンを受け流す
退魔刀『紫電桜』を咄嗟に抜き放ちギロチンの刃を跳ね上げた

「!」

刃が…欠けた!!
恐るべしギロチン!!
3000人の怨念がさらにその鋭さを増し凶悪させているのだ!!

何という事だ!

ギロチンの刃は遥か天空のかなた!!

月の光を乱反射し!

真っ直ぐに烈雷に向けて落下していく!!!

ギロチンにとって、否飛頭蛮にとって必勝の型!!

垂直落下の3000人の怨霊超特急だ!!!

『HAHAHAHAHAHHAHAHAHAHAHA!!!!』

超退魔美少女『烈雷』絶体絶命のピンチか――――!!!

超退魔美少女『烈雷』 > ゴゥゥウウウンン!!!!

衝撃波が鉄塔を!廃ビルを大きく揺らす!!
その衝撃で無数のパラポナアンテナが崩れ落ち
違法ラジオ、違法番組、プロパガンダの配信が一斉に途切れた!!

ギロチンの驚異的な垂直落下の処刑斬を…何と言う事か!!
烈雷は驚異的な鍛錬によって鍛え上げられた肉体で受け止めたのだ!!
しかしその一撃は重く、発生した衝撃波によって薄く肌に張り付く退魔スーツが所々裂け白い肌が露わになった

空飛ぶギロチンの落下エネルギーは減衰することを知らず
圧倒的な重量で烈雷を押し斬らんと笑い狂う!!

おぉ、見えるだろうか…その不気味な姿を…
目を凝らせば3000の怨念が!!生首が血を滴らせ浮かび上がる!!
不気味な葡萄のように、それぞれが笑い声を上げながら!!血を迸らせながら!!
押し潰す!!

貴様も仲間になれと!!!

この不気味な集合体!圧倒的な数の暴力に!!流石の烈雷も抑え込まれる!!

刀に亀裂が入る…

超退魔美少女の物語はここで終わってしまうのか!!!

超退魔美少女『烈雷』 > 「食い散らかせ…紅飛沫…」

低く、不気味な声が嫌に響いた
刀が裂け、擬態が解かれる…おぉ、なんと言う事か!!
薄紫の桜の様な波紋が裂け、牙を剥く!!
亀裂は、最初から入っていたのだ!!
美しい刀身は歪に姿を変え、おぞましい鋸刃が露わになる!!

バキリ バリ バリッ ボリボリ

何という事だろう!!業魔刀『紅飛沫』の底なしの食欲!!
無差別にすべてに突き付けられるその衝動は!!
ギロチンの刃を貪り始めた!!

垂直落下は止まらない!!
怨念の集合体のうちいくつかがこの異変に気付き悲鳴を上げる!
自分たちを一つ一つ飲み込み咀嚼する飢えた地獄の門が開かれたのだ!!
笑い声は悲鳴に代わり、血の涙を零しながら助けを求め始める!
しかし落下は止まらない!!
ばりばりと妖刀の口の中に飛び込みひとつ残らず喰割れていく!!!

最期の一つの生首をぞぶり、と熟れたトマトのように啜り食うと
この満たされない飢えに苛まれる妖刀としては珍しくげっぷをして唸った

3000人分の怨念など滅多に食えるものではない、さぞ満足しただろう
見れば牙の形が鋭くなり、刀身も力強くなっている
滅多にない御馳走の山を平らげ成長したようだ

「フン、人を恨むからこうなるのだ…」

一人呟くと刀に纏わりつく瘴気を払い夜の街に飛び立つ
超退魔美少女の戦いは終わらない…この世に人の闇がある限り!!!

ご案内:「落第街大通り」から超退魔美少女『烈雷』さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に夕霧さんが現れました。
夕霧 > 夜。
ゆっくりと歩く。
歓楽街から落第街に続く闇市やら露店を覗いていれば、いつの間にか時間は過ぎている。
公安的には看過しては行けないものも多数あるのだろうが、ひとまず目を瞑る。
幾分かその看過できない店は利用しないものの、その近場のものなどは利用する事もある。
道具を手に入れるには中々悪い場所では無い。
わざわざそこに行きにくくする理由も無いし。
そういった『手』が入った時の情報を手持ちに持っておくだけでも十分、そう考えている。

そして目当てと言えば特に無く、ただ見て回っていた。
正確に言えばあるにはあったのだが、やはりというかその露店は見つける事は出来なかった。

そうしている内に時間は夜となり。
今はただゆっくりと落第街を眺めながら歩いて居るだけだ。

「……」
ふう、と一つ息を吐いた。

夕霧 > 物騒ではあるものの、物騒な者さえいなければ、物騒と言う訳ではないのだ。

居るから物騒なのであるが。

街が物騒で物騒な者が寄りつくのではなく、物騒な者が寄りついて街が物騒になる。
物騒な者が街を物騒にするから更に物騒な者が寄りつく。

そして此処を居とする者は書類上は『居ない』。

居ないものが居る街。
起きた事が起きた事にならない街。

ゆっくりと荒れ果て錆びついたベンチに腰掛けたまま、そんな事を考える。
だから何だ。

夕霧 > そう思いながらも思考を続ける。

二級学生の引き上げ。

居ないはずの所から居る事にする。
悪い事ではないはずだ。

存在が認められると言う事。
それは認められたものにとっては代えがたいもの。

しかし簡単な事ではない。
無かったものが有る事になるのだ。
そこにはどれほどの労力があるのか。

本人だけでは無い。
組織もだ。

考える。

まず引き上げられるほどの何かが無ければならない。
そして『この環境』に居ながらにして染まりきっては行けない。

組織は受け入れねばならない。
身分、居。その他諸々。
慈善事業では無い。
そこには必ず掛かる。
『費用』
ではその費用は何処から出るのか。
当人からはまず出せない。
ではどうする。
当人の持つ『何か』が必要になる。
何でも言い。
組織の『利』にさえなればいい。
その『利』が『無かったものを存在させる』と言う『害』を越えれば。

夕霧 > 至極簡単な結論。

ではそれに満たないモノはどうするか。

どうもしない。
どうにもならない。
そもそも居ないのだから。

だからここは在る。
いや無い。

―――。
「……」
周りを見渡す。
整備もロクに行き届かない環境。
電灯は消えかけ、今座っているベンチも錆び付き、少し体重を掛ければ錆びつき軋む音。

なればここに居る事自体死んでいると言う事だ。

ここが存在するのは。
存在していたものがここで―――。

「やめましょう」
は、と少しだけ嗤う。

それこそだから何だ。

夕霧 > ……。
吹いた風が埃を飛ばし、髪を靡かせる。

数名、引き上げられ学園生活を送っていると聞いた。
それはとても喜ばしい事だ。
彼らには引き上げられるほどの何かがあったと言う事だ。
埋もれさせるには惜しい人材だったんだろう。
奥底は歪み切っていなかったんだろう。

そこで次の思考へ。
では―――。
存在しており。
存在しながら。
存在するに値しないものが学生として居るのならば?

夕霧 > 歪み切っているものがここでしっかりと存在を認められているというのならば。

それはきっと上手く隠れているのだろうし。

結局。

運がよかったんだろう。

庶民に生まれた事と富豪に生まれた事。
それだけで結局その『何か』と言う奴は違う。
あるとない。

生まれと言うものは。

結局何処までもついて回る。

夕霧 > それは『この世界の出身ではない』と言うだけでも。

立ち上がる。

意味があったように思えない思考を中断して。
結局考えた所で、彼女に何が出来る訳でも無い。

それでも、そこそこの時間考えていたようだ。
辺りは先ほどよりも深みを増し、灯りの無い路地はまるで人が迷い込んでくるのを待っている人喰い怪物の口のように。
ぽっかりとその口を開いて待っている。

夕霧 > なんて。
「……少し芝居がかりすぎですなぁ」
くすり、と少しだけ嗤い。
その口へと彼女は自ら進んで行く。

姿は口に闇に飲まれ。
ただコツコツという靴の音だけが遺された。

ご案内:「落第街大通り」から夕霧さんが去りました。