2016/05/03 のログ
”望月満月” > 手と腕を見ていて、前があまり見えていなかった。
だからか

どん   

と音が鳴った次の瞬間。

大男に襟首を掴まれていた。

口々にはやし立てる大男の取り巻きのせいで言葉として聞き取れなかったけれど、だいたい雰囲気でいちゃもんをつけられている事はわかる。

自分の前方不注意にしては男達が幅を取りすぎている。
何も大通りの真ん中付近まで広がらなくても歩けるだろうに。

”望月満月” > 周囲の状況を視線でそこそこ把握し、声が多すぎて聞き取れないから聞き返そうとした途端。

大男が腕を振りかぶっていた。

プログラムを意識内で組み立てるも、遅い。
左頬に鈍い痛み。

その痛みを堪えて、手に組み立てたプログラムを魔法として仕込む。

ノーガードで一撃返す狙いに絞った。

ご案内:「落第街大通り」にソラとルナさんが現れました。
ソラとルナ > じっと。

薄汚れた建物の影から視線を感じる。

落第街には似つかわしくない白い服の子供が約二名。

一人は金色の髪の少女。赤い瞳で無邪気に騒動を見つめている。
一人は銀色の髪の少年。青い瞳で静かに騒動を見つめている。

落第街の住人は騒ぎに自分から関わろうとしないものも多い。
仮に遠巻きに眺めていたとしても火の粉が降りかかる前にさっさと離れていく。

二人の子供は騒動の中心にそこそこ近いところからそれを眺めている。
落第街の闇をよく知らないのか、それとも知っていてなお近くで眺めているのか。

”望月満月” > 人が離れていく気配を感じる。

まぁ、大抵はそういうものだし、だからこそそう言う輩で成り立つ社会は、嫌いだ。

なのに、視線を感じる気がする。
集中を途切れさせない為にそれ以上を探る事はできないし、
それに何より、視線を感じる方向に取り巻きのうち三人、サングラスの男、咥え煙草のスキンヘッド、銀色の髪の少年に息を荒立てているマッチョが向かっている。

『おじょうちゃんたち、これは見世物じゃないぜ』『……』『おにーさんといいことしないか?』


そちらに気を取られた所で、大男にもう一発、頬を殴られ、赤く腫れた。

ソラとルナ > 二人の子供は逃げない。

銀の髪の少年は無表情で。
金の髪の少女は笑顔で。

けれど、銀の髪の少年はほんの少しの危機感を感じていて。
金の髪の少女はそれを感じていない。

ただ、男が近づいてくると、少女は少年を守るようにその間に割って入った。

”望月満月” > 殴られて横向きになった時、視界に三人と少年少女の姿を目の端に捉えた。

そういう幻覚にしては、この状況では意味がない。

「っ…なさいっ」


前半が言葉にならない言葉をかけ、…顔を大男に戻す。
サングラスの男もスキンヘッドも少女の様子を見て笑っている程度だが、マッチョは違った。
『どきな?おじょうちゃんはあぶないぜ?』
ククク、と笑いながら両手を少女の肩に伸ばす


その状況に、私はやや急ぐ。狙いは頭部だ。
隙を狙う為に、

「…にがも…きよ…」

かすれた声で、言葉を放つ。

ソラとルナ > がぶり。


少女と三人の男の間にやや気まずい沈黙が流れる。
ほんの少しあきれた様な、どこか諦めた様な眼で少年はそれを見ている。

少女は、肩に伸ばされた手に躊躇いなく噛みついた。
歯も立てておらず、噛みついたというよりは咥えただけに近いだろうか。

先ほどまでの笑顔は薄れ、やや不機嫌な顔で男の手を咥える少女。
今は相手も呆気に取られているだけだが、相手が状況を認識すれば逆撫で待ったなしの行動。

少年は彼女から目をそらし、捕まっている学生へと目を向けた。

”望月満月” > 大男が何言ってるんだ、と聞き返そうとした途端。



沈黙していた男達のうち、噛まれた当人が最初に再動した。
『何すんだ!そっちの子ならごほうびだがお前は違え!』

遅れて二人の男も溜息をついて、少女をサングラスは左、スキンヘッドは右から捕獲に回り、それぞれ両肩を抑えに向かう。
マッチョはそれを待っているようだ。



その様子に気付いた大男が余所見をしたのを機とみて、左側頭部にフック。
一撃狙いの意識を飛ばす魔術をフックと共に打ち込む。

外したらそのまま霧散するものだけど、余所見させてくれたおかげで当てる事はできた。

大男はその直後にぐらついて……襟元を掴んだまま横に倒れ。

掴んでいた手を巻き込まれながら何とか振り払う。
2撃の拳が効いていて、ふらつき、周囲の確認でまだ手一杯。

ソラとルナ > 相変わらず危機感を感じていない様子で手に噛みついている少女。
両側から捕まれそうになった瞬間、完璧なタイミングで少年が少女の襟を掴み、後ろから引っ張った。

少年に引かれて少女は口を離すと、離れ際に恐らく男性の体で蹴られたら最も痛いであろう場所に蹴りを入れる。
どうも少年に危害を加える可能性がある相手には手厳しい様だ。
他の二人には見向きもしない。
小柄な少女が放ったとは思えない重い音と共に急所に蹴りが刺さる。

”望月満月” > マッチョが何やってんだかとかわされた二人に呆れ、離れたから今度こそと言うタイミングで、モロに大事な所に蹴りを貰って膝から崩れ落ちた。
余談だが、ズボンの上から大きく何かが目立っていたように見える。

『てめぇ!あれやれ!』『あいよ!サンフラアアアアッシュ!』
サングラスの男がポケットに手を入れ、スキンヘッドが頭部を少年少女に向け頭部をまばゆく光らせた。



周囲を確認してた折に、光を見てしまい。

「……逃げなさいっ!」

一声かけて、目が回復するまでの間に脇の路地へと駆け込む。
あってるといいんだけれど、とあてずっぽうに。


他の取り巻きたちはフラッシュと大男が沈んだ事で、混乱中だ。

ソラとルナ > 目くらまし、の、はずだった。

光の中で聞こえたのは少女の笑い声。

少年の小さなため息。


光が消えたときにそこに二人はいなかった。
男たちが周囲を探しても見つからない。

何かの異能か、魔術か。
隠れているのか、それとも逃げ出したのか。

それさえ判断がつかない。

ただ、二人が立っていたその場所に。

僅かに光の粒子が漂っていた。

”望月満月” > 光と共に、三人とも消えた。
男達は周囲を捜すと共に、
急所一撃を喰らったマッチョとなぜか一撃で気を失っている大男の様子を見て、ぺちぺちと頬を叩いている。
光の粒子に気付いても、何かと繋げるだけの発想も無かったようだ。



何とか路地に逃げ込み、口の中でぶつぶつと小声で呟きににた詠唱を始めている。

子供二人は逃げ切れただろうか。
探せっ、起きろと、声は聞こえるから捕まってはいないのだろう。

ならば追っ手がこちらに来たときに備えて、離れながら迎撃の準備をするのみ。

このまま誰も来なければ、今日は逃げて帰る事になりそう、か。

ソラとルナ > 逃げ込んだ路地の先。

かすかな笑い声が聞こえた。

笑い声の方向を見ると、確かに先ほどの子供たちの姿がある。

金髪の少女は笑いながら軽く手を振って。

銀髪の少年は無表情のままじっと。

路地裏に逃げ込んだ女生徒の姿を見て、今度こそ姿を消した。

”望月満月” > 笑い声?まだちょっと頬が痛くて微かな音を聞き取っても空耳との区別がつき辛い。

でも、追っ手かもしれない、と目を向けて。

逃げ切ったんだ、と。ほっとした。

小さく手を振り返して、消えた子供たちの周囲をみて。

首を振って、路地の闇から、帰路へとついた。

あの子供達が何だったのかは、今はわからない。

ご案内:「落第街大通り」からソラとルナさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から”望月満月”さんが去りました。