2016/06/15 のログ
ご案内:「落第街大通り」にテオさんが現れました。
テオ > 「あれ? おかしいな……。」

この場には相応しくないであろう迷える子羊が現れる。
不安そうに辺りを見渡すそのサマは実に頼りなくて住民から奇異の目で見られているだろう。
そんな事を知ってか知らずか手にしていた鞄から地図を取り出し現在地を確認しようとしている。

「ここが歓楽街……な訳ないよな。どこで道を間違えたんだ?」

誰に言うわけでも無く、ぶつぶつと呟いていた。

テオ > 「んー……参ったな。何かここ怪しい店が立ち並んでるし、それに妙にジロジロと見られているような……。」

ようやく自分が置かれている立場に触れるスーツ姿の男。
妙に目つきの悪い連中から熱い視線を受けていることに気付いているものの怖いのでスルー。
兎にも角にもこの場所から抜け出さないといけないが、現在地すら割り出せていない始末で……。

「ああ、困ったな……。」

ホラ、何か怖いオジサンがニヤつきながらこっちにのっそのっそとやってきてるし。

テオ > 「あ、あはは……えっと、ハ……ハロー?」

ニヤつくオジサンに声を掛ける男。もしかしたら友好的かもしれない、人を見た目で判断してはいけないのだ。
そう自分を奮い立たせつつ勇気を出して声を掛ける。

『よう、兄ちゃん。ここは初めてかい?
どうやら道に迷って困ってるみてえだな? どれ、一つ道案内してやるよ。』

相変わらずな態度で接してくるオジサン。やはり人は見かけによらない。自分の考えが──

『何、ちょっとばかし貰うものは貰うけどよ。ま、当然だよな。』

ああ、はい。分かってました。

ご案内:「落第街大通り」に霧依さんが現れました。
霧依 > おっさんの更に向こう、デニムのジャケットを着た女が、煙草の煙をふう、と吐き出し、視線をチラ、と送ってくる。

………目線と顎で、そのおじさんを指して。
指でゆっくりと☓を作る。

言うまでもなく感じ取っているであろうけれど、まずはゆっくりと意思を伝えて。


「……そこにいるのはシカノスケかい。 久しいね、やっと来てくれたんだ。」

めちゃくちゃテキトーな名前をつけながら声をかけ。
おじさんには、悪いね、と流し目を一つ。
ついでにポケットに紙幣をねじ込んでおく。まるで慣れた仕草の自由人。

「この辺りは道も入り組んでいるからね、探していたのさ。」

……当然相手のことなんぞ何も知らないけれど、目線で伝えてみる。
さてはて、伝わるのだろうか。

このおじさん、この女が通る時には無視をしている。 つまりはきっとそういうことなのだろう。

テオ > 「あ、ああ! ハイハイ! ワタクシ、シカノスケデス!?」

目の前までやってきた女性の意思を汲み取りその話乗った、つもり。
お世辞にも演技とは程遠いそれだが、オジサンは彼女のからの贈り物を受け取ると大人しく下がっていくだろう。

「い、いやー! 久しぶりだね、ジェーン!」

こちらも適当に名前をでっち上げる。

霧依 > 「久しぶりだね、シカノスケ。
 こんなところで立ち話もなんだし、歩きながら話そうじゃないか。」

おじさんの視線を感じれば、するりと、艶めかしく腕を絡めとって、身体をこすりつけるような仕草を見せる。
デニムの分厚い生地の上からでも身体を押し付けながら、………香ることのない甘い香水の匂いがするかのような足取りで角を曲がって。


「………危なかったね、あのおじさんは男の人ばかりに声をかけていたから。」

しっとりとした声を少し落として、優しく囁く。

テオ > 「本当に助かりました……あなたに助けて貰っていなければ今頃地獄のフルコース待ったなしですね。」

安堵した表情で語るシカノスケ。だが、それもすぐに崩れた。
先程の危機で感じ取る余裕が無かったが、ふと思い出したように柔らかい感覚が腕から伝わってくる。
間違いなくそれは人の身体で、そう言えば甘い香りもするような……。

「あの、すみません……腕をですね……。」

照れ隠しにゴホンと咳払いしつつ彼女へお願いをする。
顔はトマトの様に赤く色づいてはいたが。

霧依 > 「それはどうだろう、もしかしたら未知の世界の扉が開けたかもしれない。
 そう考えると、余計なことをしちゃったかな。」

ウィンクを一つ返しながら、相手の言葉に少しだけ考えて。

「腕を? ………………折るのはそれこそ骨が折れるなあ。
 頼まれればがんばるけれど。」

くすくすと微笑みながら、気がつく素振りを見せずに首を傾げて。

「それで、シカノスケは何処にいこうとしていたんだい。」

テオ > 「う、うわあ……さすがの僕でもそれは遠慮願いたいな……。」

思わず苦笑いを浮かべる。あのまま彼にゆすりたかりで一夜を過ごすだなんてとんでもない!

「いやいやいや!? その、えっと……そ、そう! なんか熱くないですか!?」

慌てた様子で手をぱたぱたと扇ぐ。マズいと彼の本能が警告する。
本音を言えばこのままこの感触を楽しみたい、楽しみたいけども!
色々とあるんです、やんごとなき事情が。歩き辛くなっちゃうし。

「ああ、失礼。僕はテオって言います。常世島にはビジネスで滞在してまして……。
歓楽街にあるホテルを目指していたのですが……。」

気を紛らわせようと彼女の質問に答えるテオは[世界のガイド 常世島 '16~'17版]を取り出してビジネスホテルが載っているページを見せた。

霧依 > 「そうかな、……いやまあ、確かに暑いといえば暑いかもしれないね。
 ビジネス、ね。 ビジネスで歩くにはここは不向きかもしれない。

 どうやら、ここは危ない所らしいよ。
 僕も初めて来たんだけれど。」

歩きながら話す女は、相手が求めなくなればするりと離れて、ちょっと微笑む。
男の取り出した本を見つめれば、ふぅん、と唸り。

「僕は霧依、この島に滞在している、そこらにいる女の一人さ。
 歓楽街はここから少し歩くけれど、大丈夫かな。
 偶然僕も用があるから、案内することは問題はないけれど。」

テオ > 「ほっ……。いやあ、参りましたよ。ビジネスを終えてホテルに向かっていたら相変わらずこんな場所に迷い込んでしまいまして……。」

ははっと自嘲気味に笑うテオ。どうにも迷うのはいつもの事らしい。
そして彼女の身体が離れるとき、ちょっとだけ残念に思ったり。ちょっとだけ。

「そこらの一人って……いやいや、霧依さん程の美貌とスタイルだったらそこらにいるようなレベルじゃないですよ!
っと……案内して頂けるのですか!? ありがたい! どうにも道に迷ってしまいまして……。」

キラキラと期待に満ちた目で霧依を見つめる。

霧依 > 「地図と磁石は持っておくといい。
 この島は、島と言えども思ったよりも広いのだからね。」

ゆったりと歩きながら、もう一本煙草を取り出して、ん? と相手の声に振り向いて。

「その言葉で何人のジェーンを堕としてきたのか知りたいものだね。
 二桁……行ってるかな?」

なんて、含み笑いを浮かべながらゆるりと歩く。
この場所にずっといるかのような馴染み方をしながらも、前に立って歩き始め。

「僕は自分勝手に歩いているだけだから、ついてきたいならついてくるといい。
 案内になるかはともかく、ホテルの前は通ると思うよ。」

ざっくりとした言葉は、言い方はともかく優しさはある。

テオ > 「ええ、そうする事にします。」

それで効果があれば良いのだが。
ふと、前方を歩く霧依が煙草を取り出したのを確認してそっとライターを差し出して笑顔で言った。

「その程度でジェーンがなびくのなら良いのですが。残念ながら未だに成功したためしはありません。
ああ、そうだ。ジェーンではありませんが僕の同僚の妹が家出をしてしまいましてね。」

先導する霧依に並んでついていきつつ家出娘の特徴を伝えるテオ。
140cmぐらいの栗色のセミロングにトレードマークの大きなリボンを身に着けているらしい。
名前は[雛元ひより]と言うそうだ。

「ご存知ではありませんか?」

彼の表情は真剣そのものであった。余程、その娘が心配なのか。

霧依 > 「……嗚呼、ありがとう。」

穏やかな表情でその火を貰って、ふう、っと小さく息を吐きだして煙がくゆる。

「雛元さん、か。
 残念だけど僕もこの島にそんなに長くいるわけではないんだ。
 ここ最近、来たばかり。

 ただ、その名前は覚えておくよ。
 家出なら、こういう逃げ場の無い島ではなく、他の場所に行きそうなものだけれど。

 この島にいるってことは、確実なのかい?」

尋ねる。
こちらは言葉には相変わらず熱を帯びない、穏やかにゆるり流れるまま。

テオ > 「そうですか……いや、来たばかりと言うのであれば仕方が無いです。
彼女がこの島に居るのはほぼ確実でしょう。
同僚と一緒にこの島で暮らしていたそうですし、この島から出るとなると手段が……。」

冷静に、努めて声色を変えないように言うテオ。
そして改めて霧依に礼を言うのだ。

「助けて頂いただけでなく、人探しの協力までして頂いて……ありがとうございます。
おっと、やっと辿り着いた……やっと休める。」

そうこう話している内にホテルに到着したようで、嬉々とした様子のテオ。
重ね重ね霧依に礼を言いつつテオはホテルへと姿を消すだろう。

ご案内:「落第街大通り」からテオさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から霧依さんが去りました。