2016/09/25 のログ
ご案内:「落第街大通り」に不知火 械徒さんが現れました。
不知火 械徒 > 「だーいぶ、過ごしやすくなっては来てんのかねぇ」

落第街大通りの一角。
持参した三脚椅子に腰かけて、ぼけーっと人の往来を眺めながら呟く。
傍には荷台に乗せた「全自動芋焼き機」があり、看板には「100円」と明記されていた。

「んま、いつものこった。…あっちち…」

アルミに包まれた焼きジャガイモを頬張りながら、閑古鳥はいつものことと足を伸ばしていた。

ご案内:「落第街大通り」に一樺 千夏さんが現れました。
一樺 千夏 > 往来の人の波から、頭一個抜け出る赤毛。
咥えタバコのまま通りを闊歩し、ふと焼き芋の字が目に止まった。

(そろそろ涼しくなってきたし、たまにはいいかもしれないわねー)

そんな気持ちを覚えて近づいていく。
目を引くのは機械そのものの右手だろうか。
明らかに人間よりも大柄で無骨なデザイン。
よく見れば瞳も左右で濃さが違ったりするのだが。

「ハァイ、お兄さん。 とりあえず三つもらえるかしら?」

不知火 械徒 > 「………こいつのテストも兼ねてるっつっても、流石に芋も飽きてくんなぁ。」

毎日の動作確認と手入れは怠ってはいないが、流石に芋に囲まれた食生活にも
飽きというものがどうしても産まれてくる。
少し考えるべきかもしれないと思っていると、近づいてくる人影に気付いて椅子から立ち上がる。

「あいよー、3つだな。サツマイモとジャガイモと選べるけど、どうする?あと、プラス50円でバター付けられるぜ。」

裏からサツマイモとジャガイモを一つずつ取り出して、女性へ見せながら聞いてみる。

(にしても、でけぇな…つか、右腕のは…機械だよな。へぇ…)

内心では、女性の身長の高さと右腕に興味を惹かれていたけれど。

一樺 千夏 > 「あー……そうね、サツマイモ2個とジャガバター1個お願い」

財布から小銭を取り出してとりあえず準備。
右手は滑らかに動いている ように見える。

「ここらで商売して長いのかしら?
 ほらこの辺てアレじゃない。ショバ代どうとか言われてない?」

どうやら堅気に見えているらしい。

不知火 械徒 > 「うい、サツマイモ2つにジャガバタ1つね。350円になりまーす。 …ま、できるまで5分くらい待ってくれ。」

女性からの注文を聞いて、慣れた手つきでサツマイモ2つとジャガイモ1つを機械へと放りこむ。
スイッチを入れると、少々物々しい駆動音が機械から響き始め、その音を聞くとまた椅子に腰かけた。

「ん?いーや、つい最近。出す日も時間も場所も気分次第だから、要求されたことはねぇなー
 ま、ショバ代出せーって言われてねぇのは、ツいてるってことなんかね。」

気分で場所も時間帯も何もかもが変わると膝に頬杖をつきながら答える。
そう言いながら、視線は女性の右腕に向いていた。

一樺 千夏 > 「先に代金渡しておくわねー」

ジャラと音を立てて代金を左手で渡す。

「って、作り置きしてるんじゃないんだ。 珍しいわねぇ……」

徐々に良い匂いが立ち込めてくるのなら辛抱たまらん状態になるだろう。

「それは運が良いわねぇ。
 あいつらしつっこいから面倒なのよ」

吸い掛けのタバコを右手で握りつぶしてポイっと捨てる。

「で、やっぱりこの右手 気になるかしら?」

不知火 械徒 > 「へい、まいどありー。
 まぁな、こいつのおかげで焼き立てほくほくの芋が食えるってわけだ。」

手渡される代金を受け取り、そのまま白衣のポケットへと突っ込む。
女性の言葉には、親指で機械を差しながら得意げな笑みを浮かべて答える。

「ふーん…ま、これからも見つかんねぇようにやってくかね。
 めんどくせぇ事になるのは、御免被りてぇからなぁ」

良い事を聞いたと、言葉を返した所で機械からチーンと音が鳴り、焼き立ての芋が出てきた。
それを古新聞紙で一つ一つ包んで、ポリ袋へと入れる。尚、バターは一口サイズをジャガイモに乗せておいてある。

「へい、お待ちー。あー…まぁな、目立つし、機械弄ったりする立場だし。」

ポリ袋を渡しながら言葉を返した

一樺 千夏 > 「そりゃ、結構なことだわ。
 この手のものは作りたてが一番美味しいものねー」

商品を右手で受け取る。
どれだけ熱くても何も問題は無い。

「あー、これこれ。この匂いよね。
 幾らでも食べられそうで怖いわー、その分、運動しなくっちゃ。
 また食べたいし、ついでにここら辺の“掃除”しておくわー」

顔には不敵な笑みが浮かんでいる。

「よく似た違う世界の技術ってやつよ。
 アタシの見立てだと後10年もすりゃ、コッチで作れると思うけど。」

商品を左手に移し持って、右手を大袈裟に動かして見せる。
実に滑らかに動いている。

「もっと仲良くなったら、中身も見せてあげるかもよー」

不知火 械徒 > 「だろ?んで、俺はその焼き立ての芋を100円っつー破格の値段で売ってるってーわけだ。オプション付きでな。」

100円で焼き立ての芋が食べられるということを得意げにアピールしてみせる。

「ははは、まー、贔屓にしてくれんなら有難いわ。
 あー…それと風紀委員にチクんのも止めてくれると助かるわ。」
(掃除って何するつもりだ、こいつ…)

へらへらと笑いながら女性へと言葉をかける中、
女性の"掃除"という単語に何をしでかすつもりなのだろうと内心でハラハラしていた。

「はぁー…そりゃアレか。異世界のなんちゃらって感じの奴か。
 うへ、10年もかかんのかよ…かー、差ってのを感じんなぁ…」

実に滑らかに動作する女性の右手と、10年という言葉にかっくりと頭を垂れる。
が、中身を見せてあげるかもという言葉にバッと頭が上がり、目を瞬かせる

「マジで!?見せてくれんのか!?」

一樺 千夏 > 「本当よね。材料費と燃料費と人件費考えたらねー。
 正規の場所で許可とって、女子寮前とかで売ったら繁盛するわよ?」

女子にとっては禁断の果実なのだ。焼き芋は。
甘くてホクホクで。

「あー、アタシも風紀は苦手だから言わないわよ。
 だから……この辺りで“何があっても”とぼけてくれるとありがたいわー。
 壊すつもりは無いんだけどねー」

もう荒事をしでかすのを隠そうともしなくなった。

「派手な戦争とかありゃ、もっと短くなるかも。
 サイボーグやフルボーグが一般的になる程度の差だから小さいもんよ」

それが良いことかは別にして。

「もっと仲良くなって、アタシがアンタを信用したらね。
 極端な話だけど、腕一本残っただけで技術が大幅に進んじゃう事だってあるのよ。
 どっかの古いSF映画みたいにね」

サツマイモを一個右手で掴んでそのまま頬張る。

「……あっつ!?」

不知火 械徒 > 「あー…その方が売上的にゃ良いんだろーけどなぁ…
 俺がちぃーっとばかし風紀委員に目を付けられちまってるからさぁー…?」

女性の言う通りにした方が、当然売上も伸びるだろうことは容易に理解できる。
だが、それが出来そうにない立場に自分がいると視線を逸らしながら答える。

「オーケーオーケー、助かるぜ。
 そりゃー、"見てもいねぇもんに関しちゃ何も言えねぇ"さ。」

どうやら荒事をしでかすと理解すれば、そう答える。
兎も角、風紀委員へと通報だけは無くなったと安堵していた。

「あー…そういうアレか。
 興味はあるけど、戦争してぇわけじゃねぇしなぁ。」

両手を頭の後ろで組みながら、息を吐きだして答える。
別に戦争をしたいわけではないので、ちょっと悩むような態度を見せる。

「なーんだ。ま、当たり前のことだから仕方ねぇけどさ。
 そりゃ、躍起になって研究するだろうしなぁ。俺もするだろーし。
 …焼き立てっつったろ。大丈夫かー?」

焼き芋を頬張った女性がその熱さに悶えてるのを見れば、一応気遣う言葉をかけておく。

一樺 千夏 > 何かを喋りたそうにしているが、数分はホフホフと齧った芋と格闘している。
やっとの事で芋を飲み込み言葉を紡ぐ。

「目ぇつけられてるなら仕方ないわね。
 ちゃんとした籍があるなら、一度絞られたほうが楽になるかもしれないわよー?」

茶化しはしたが。

「チンピラに絡まれたら、アタシの名前だしゃいいわ。
 余計にエスカレートするかもしれないけど、ヘタレならそれで引くから」

そして名前を名乗った。

「『一樺 千夏』よ、次にあった時はもっと仲良くしましょーね」

やや危険な笑みを浮かべて、もう一度芋を齧ろうとして少し躊躇した。
結局まだ熱いからと諦めて。

背中を見せて歩き去る。
そのデカイ右手をヒラヒラと振って。

ご案内:「落第街大通り」から一樺 千夏さんが去りました。
不知火 械徒 > 「まー…一応、あるっちゃーあるんだけどなぁ。
 俺はやりたいことだけやってたいんだよ。機械弄りだけやってたいの。」

女性からの茶化しに、苦い顔をしながら答える。
楽にはなるかもしれないが、どうせ機械弄り以外もやれと言われるのがオチだと。

「…エスカレートしたらどうすりゃいいんだよ。
 一樺千夏か、うし覚えた。俺は不知火械徒ってんだ。よろしく頼むわ。」

女性の名前を出す時は、相手をちゃんと見てからにした方が良さそうだと判断する。
そして、自分の名前も名乗ってから、その後ろ姿を手を振りながら見送った。

「………さて、今日はそろそろ店仕舞いすっかね。」

椅子から立ち上がり荷台を引いて、その場を後にするのだった。

ご案内:「落第街大通り」から不知火 械徒さんが去りました。