2016/10/21 のログ
ご案内:「落第街大通り」に櫛鉈 蛟さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」にルチアさんが現れました。
■櫛鉈 蛟 > さて、今夜はとある友人…と、言っても問題ないだろう…友人の一人に落第街の場所を幾つか案内する約束にて待ち合わせ。
とはいえ、落第街で直接待ち合わせは、まだ地理が慣れていないであろう相手にはキツいだろう。
なので、歓楽街のセーフハウス…彼女に貸しているその前で待ち合わせという事にした。
そして、合流してからは歓楽街の更に奥まったその地区へと足を踏み入れる訳で。
「――で、ルチア。ここが『落第街』。表向きは歓楽街の一部にされてるが…まぁ、ぶっちゃけこの島の”暗部”だな。
そんで、この大通りがこの落第街のメインストリートになる。
路地裏とか人気の無い場所よりはまぁ、多少だけど治安はマシだぜ」
『多少は、だけどな…』と、苦笑い気味に付け足しながらサングラス越しに隣を歩く女性を一瞥し。
今回はこちらからのお誘いだ。彼女にはプラスになるであろう場所の案内。
お世辞にも安全とは言い難い場所にあるのが難点だが、彼女ならまぁ覚えておいて損は無いだろう、と。
「で、ルチア…さっきこっそり見せて貰った銃だけどさ」
声を僅かに潜めて、けれどごく自然体で話し出す。周囲に気取られないように。
ちなみに、合流した時に”確認”の為に、彼女から軽く武装を見せて貰ったのだ。
「――整備とか弾薬の補給はどうしてる?」
■ルチア > このような場所でも物珍しそうにキョロキョロしないのは、この様な場所にそれなりには慣れているだからだと言うことが解るだろうか。
歓楽街のセーフハウスから移動して、その向こう――公の光が届かない、名実ともに薄暗い場所へと足を踏み入れながら、
話しかけられた言葉には一つ頷いた。
「“暗部”か。
要するに、“色々”と“都合がいい”場所……と思って差し支えないのかな。
まあこう言う場所は人気がない場所ほど危険なのは何処でも同じだけど、
うん、そうだな。
覚えておく。不用意に足を踏み入れたりはしないよ」
繰り返された“多少”の言葉と投げられた視線に頷いて、サングラス越しの瞳に返す。
ここに連れ込んでどうのこうの、と言う心配はしていなかったし、
初めて来る機会が信頼できる人と共に、と言うのは良いことだろう。
「まいったな。
整備は出来る範囲で、といった所だけど、弾薬についてはお手上げなんだ。
まあいざとなれば無くても何とかはなるんだが、どうしようかと思ってたところだったんだ」
見抜かれてるなぁ、と苦笑しがちに告げて。
その様子は、ちょっとした失敗を見つかった子供のようで、武器の話をしている雰囲気はないが、声は同様潜められている。
それから
「――そう言う物資を扱っている店、と言うことかい?」
なるほど、それならこう言う場所なのも納得だ。
■櫛鉈 蛟 > この男は人をさり気なく観察する癖がある為、こういう場所で彼女がどういう立ち居振る舞いをするのか興味があった。
故に、先ほどから歩きながらもそれとなく彼女の様子を確認しているのだが――…
(成る程な、こういう場所もそれなりに場慣れしてるって事かね…)
決してこういう類の場所に来た事が初めて、といった感じではない。
それに、暗部という例えに返ってくる言葉は、色々と敢えて端折られているが的確だ。
「そうだな、そう思って貰っていいぜ。風紀委員会…この島では警察機構の代わりだけど。
連中も定期的に警邏とか取り締まりとかしてるようだが、多分それくらいじゃここは潰れないだろうなぁ。
ま、発展した場所ではこういう場所はそれこそお馴染みってヤツだろーさ。
まぁ、ルチアは少なくとも荒事とか場慣れしてるだろ?なら、派手にやらかさなければ何とかなる。」
不用意に足を踏み入れない、というルチアの言葉に気楽に笑いつつ…
『そういえば、ルチアの世界でもこういう場所っぽいのあったか?』と、そんな質問をしてみる。
どうも異世界、というより並行世界か来たと思しきこのアルビノな美女。
辿ってきた歴史などは差異があれど、似たような光景はもしかしたらあったのだろうか?
「ん、さっき見せて貰った二丁の銃は…特殊な感じがすっけど弾丸そのものは実弾使うぽいし。
だったら、どうしてもこちらの世界に来た事で弾薬とかメンテナンスに難が出るだろう、ってな?
なら、弾薬の補給と定期的なメンテナンスのツテはあった方がいいだろ?
それに、丁度俺も銃を1丁預けてたから、ルチアの案内ついでにそれを受け取るって事さ」
肩を竦めて笑ってみせつつ…足を止めたのは、大通りから少し外れたとある廃屋、にしか見えない建物。
「…着いたぜ。見た目はコレだけど偽装魔術(カモフラージュ)が掛けられてる」
そういいつつ、古びた扉を、何やら一定の間隔とリズムでノック。ガチャリ、鍵が開いた音。
そのまま、ルチアを伴って内部へと足を踏み入れるだろう。
■ルチア > 変に堂々としているわけでもなく、怯えている風でもない。
足取りは至って普通。
表通りを歩いているのと変わらない自然さである。
ここに居るのが当然、のようなそんな気配すら。
とは言え、変な隙きもない。
そんな気配で歩いているのが、この異世界に着てやっと3週間程の女である。
「うん、その説明は受けたよ。
結構な規模の広さもありそうだし――それこそ都合がいい人間にとっては重要な場所だろうしね。
それもそうだけどね。あえて手を入れられてないのか、手が入れられないかは場所場所だろうけれど。
まあ、ね。派手に暴れるのは色々面倒だしなぁ」
逆を言えば用意や用事があれば足を踏み入れることも吝かではない、といった所だ。
質問にはまあね、場所にも寄るけど。
そんな軽い返答を返した。
この場所は、自分も知っているにおいがしているのは事実だ。
「本当に参るな。触っただけで解ってしまうなんて。
構造自体はごく普通の銃なんだけれど、あまり雑な扱いをすると拗ねてしまってね。
そうだな、正直を言って助かるよ。
ありがとう」
此方も緩い笑みを浮かべて礼を言う。
正直を言えばメンテナンスは何とかなっても、弾薬についてはどうしようかと思っていたところだった。
使う予定は今のところないが、使った場合、消耗品なのだから減る一方でアテがない。
心強いよ、と更に続けて。
廃屋の前で同様に立ち止まって、目を細める。
一目で看破できるほどの魔術の才は持っていない。
「へぇ……。凄いな」
一定の間隔とリズムに注意を払いつつ、開かれた扉の向こうへと彼と共に踏み入れた。
■櫛鉈 蛟 > 彼女の”自然体”は有り難い。変に好奇心丸出しや、逆に警戒心が強過ぎる訳でもなく。
リラックスしながらも隙は見せない。それを当たり前のようにこなしている。
彼女と出会った日から今日まで確か3週間程度…多分、異邦人でも順応性が早い方だろうルチアは。
なまじ、並行世界の如く似た世界から来訪したからかもしれない。知識や一般常識に共通部分も多いだろうし。
「ルチアは派手に暴れるタイプではねーだろうなぁ。
むしろやられたら適度に返して、面倒は避けるタイプだろうし」
なんて軽口じみたノリでそう笑って告げつつ。軽い返答が小気味良い。
矢張り、多少でもこういう場所に慣れてくれていると話が早くて助かるものだ。
それに、どうやら彼女の居た世界も矢張りこういう暗部な場所はあったようだ。
「俺も銃火器に詳しい訳ではねーんだけどな。どっちかというと知識より感覚で撃ってる感じだし。
拗ねるってこたぁ…自我みたいなのがある感じかね?それは興味深いねぇ」
ふーむ、と唸りつつも、彼女からの礼には笑って「その分はディナーでな」と、答えてみる。
別にハードルを上げている訳ではなく、単純に美女との食事が楽しみなのだ。
「今の扉のノックが魔術の解除のキーになっててな?少しでも間違うと…まぁそこは割愛だ」
と、敢えて間違ったらどうなるかは黙りつつ。『あ、これノックの回数とタイミング』。
と、ルチアにメモを渡す。ついでに、覚えたら処分してくれ、とも。
ある意味で会員制に近い銃砲店なこの店。扉の「鍵」は広めたくないのだ。
ルチアに渡したのは、勿論彼女にちょくちょくここを利用して貰おうという魂胆。
「うぃーーっす、おやっさん。クシナダだけど例の銃は整備できたか?あと、今回美女が来てるんでよろしく!」
と、廃屋の中とは思えない店内は広く、やや薄暗い。しかしビッシリと壁やショーケースに並んだ数々の銃、銃、銃。
それに、弾薬等もカウンターの向こう側の棚に一通りの口径が揃っている。
彼女の目的としてはそっちになるのだろうが。カウンターの前には、何やら禿頭のイカついおっちゃんが銃の分解整備をしている。
『…何だ、貴様か。…女連れでここに来るとは珍しい。そっちの嬢ちゃんは…面白い銃を持ってるようだ』
と、作業を止めたその男は鋭い視線をこちらに向けてくるだろう。
しかも、見せても居ないのに彼女の得物の特性を端的に見抜いているようで。
■ルチア > 事実、この世界と然程――と言ってしまうには大きな差ではあるけれど、
似た世界からの異邦人であり、そこまで苦労することもなく馴染んでいる。
言語も見知ったものであったのも幸いだった。
喋るについてはこの島であれば苦労しないとは言え、読み書きで新たに習得するとなると、そのストレスはかなり高いものになっただろう。
「必要があればそうするけれど、あくまで必要があれば、だな。
元々が専門職だし、専門外も手伝ったけれど、基本は避けるよ。
特にここではそれで金銭を稼げるわけでもないしね」
ああ、そうだ、バイトも決まったんだ。
そんなことを返しながら、歩いて行く。
非日常の会話に交じる日常の会話。
「私もマニアとかそういうわけではないしなぁ。ああ言うのは身体で覚えるものだしね。
自我はあるよ。気に入らない人間が必要なく触れると癇癪を起こす」
さらっと己の銃のことを言いながら、返ってきた答えに
とびきり楽しいディナーにしないと。なんて。
軽口の範疇であるのはわかっているし、ハードルが上げられているとは思っていない。
「ああ、了解だ。
それはちょっときついなぁ。こんな感じかな?」
割愛された内容が気にならないわけではないけれど、質問を重ねるでもなく。
彼の腕を指先で書かれたリズムを叩いてみる。
問題がなければメモはその場で飲み込んでしまおう。
広めたくない意図は理解したので、処分はその場でしてしまったほうが安心だろう。
こんばんは、と彼の後ろについて足を踏み入れる。
薄暗いが、自分は特に問題なく店内を見ることは出来る。
圧巻、としか言い様がない銃の数々に少しばかり喉が鳴る。
ここまでの量の銃器を見るのは初めてだ。
それから弾薬。これだけあれば、自分の銃に合うものもありそうだ。
それから――店主らしき男性と目が合った。
鋭い視線に怯えることもなく、緩やかに笑ってみせる。
「はじめまして、ルチアだ。
――よく解ったな、まだ出してもいないのに。
少々自我が合るんだ。それから幾つか特性もある。
お見せしたほうがいいのだろうか」
■櫛鉈 蛟 > そういえば、メールの文面で分かった事だが、まだ読み書きは少々難儀している様子。
とはいえ、学習能力は高いだろうし異世界に来たストレスもそこまで積み重なっては居ないだろう。
心に余裕が出来れば、元々似た世界なのだし読み書きも然程遠からぬ内にマスター出来るかもしれない。
「あー吸血鬼狩り、だっけ?まぁ、この島にもそういう連中や同じような特性を持ったのも居るけど。
そいつらとルチアがドンパチやらかさないのを願うよ…主に向こうが」
肩を竦めてみせる。ルチアは自分から喧嘩を売るような女ではないだろうし、相手次第だろう。
とはいえ、彼女の吸血鬼狩りの腕前を見てみたい気もする。が、そこはグッと堪える。
何でもかんでも好奇心を優先させていい訳でもないのは当然理解している。
「お、確定したのか?学園にも通えるようになったし、生活基盤は大分整ってきたみたいだな」
うんうんと頷いて。後は、余裕がある時にでも学園や島のあちこちを巡ってみるのがいいだろう。
それと、後は知り合いや友人を増やしていけば安泰だろうか。
日常の会話を非日常の中でこなすのは、自分達からすれば慣れたものか。
「…あー俺とルチアって、基礎だけ習って後は場数と経験と独学で覚えるタイプだな。
つぅか、さっき見せて貰った時に触らなくて正解だったなぁ、それ」
癇癪、という言葉にケラケラと笑いつつ。自分が触れたら元が元だ。癇癪で済むかどうか。
そして、ディナーはあくまで庶民的な敷居の低いお店を行きたいノリの男。
美女と二人でお食事!とはいえ格式ばったものは苦手だ。多分ルチアもそうだと思いたい。
「おぉ、何か美女に腕をツンツンされるって新鮮な感じが……ん、そんな感じでオッケ。
流石に覚えるのが早いなぁ。読み書きマスターしたら秀才で通りそうだな学園で」
等と茶化しつつ、彼女がメモを飲み込むのを一瞥してから…さて、禿頭の店主との対面だ。
『…そうだな。”見せて貰うだけで構わない”。…整備やカスタムの希望なら直に触る事も必要だが。
…あと、小僧。お前のはコレだ。代金はもう前金で貰ってるし、さっさと受け取れ』
と、何か微妙に対応に差がある気がしつつも、禿頭の店主から一丁の銃を受け取る男。
見た目は”黒いコルトガバメント”だ。特に過剰なカスタム等はされていない。
「おーサンキュー、おっちゃん。あ、コレ銘とか…え?無い?んー…あ、ルチア」。
いい事を思いついた!とばかりに振り返って笑顔。で、言い出しのが。
「この銃になんか銘付けてくれねーか?適当でもいいんだが、俺だとセンスねぇからなぁ」
■ルチア > 彼の推測どおりで、慣れないことが続いてそれなりに疲労はあるが、
過度なストレスまでは感じていない。
今はとりあえずこの世界に――いや、島に慣れること優先しているのが実情だ。
いつまでここに居るのかも――もしかしたら一生――居るのかもしれないし。
「ああ。直接話したわけでもないけれど、気配は感じるなぁ。廊下を歩いているときや、街を歩いている時とかね。
必要がなければ、ね。
降りかかる火の粉があれば当然払うことになるけれど」
この世界で金銭を得る手段にならない以上、吸血鬼狩りは開店休業中だ、まして彼らにだって人権なるものが存在することもあるのだ、不用意に銃を向けるわけにも行かない。
「異邦人街の喫茶店だよ。大分ね、当面の生活費は貸与の支度金だけど」
そう言う制度を使ったのだと告げつつ。
まだあちこちを回って見ることはしていないが、そこら辺は追々で良いだろう。
友人知人もまだ多くはないので、それも念頭に入れつつ。
「基礎はみっちり叩き込まれたな……それこそ命に関わることだから。
ふふ、どうだろうか。案外どちらも君のことは嫌っていないようだ」
当然彼の正体など知らないが、自身は彼のことを好ましく思っているし、自分の武具もとりわけ嫌悪は発していないように思われた。
ディナーについては肉かな……、とぼんやりとしたことしか浮かんでいない。
あと飲みそうなので居酒屋あたりか。
そこまで敷居の高い店は此方も考えていなかった。
「嘘だろう? 色男なんだから。 じゃあこれはこれで、と。
どうだろうか、学校に通うのは初めてで――」
と軽口をはさみながら飲み込んだメモ。少ししかめっ面になりながら。
当然不味い。
「ありがとう。貴方が只者ではないのは“彼ら”もわかっているから嫌な顔はしないと思うが、
そうしてくれるとありがたい。
“アベル”と“カイン”だ。
整備は自分でできるから、出来れば道具を一式売ってくれると助かる」
そう言って、どこからともなく、2丁の銃を取り出してみせる。
店主によく見えるようにカウンターの空いたスペースに置きながら、
彼が受け取った銃をちらりと横目で見る。
見たことがある銃だが、そこまで銃に詳しいわけではないので、名前までは解らない。
そして、振り返られて、笑顔を見て。一瞬動きが止まった。
「銘、かい? いや良いけれど、私も対してセンスは無いぞ?
ああ、ちょっと待ってくれ、今考えるから――」
そうして、視線を宙に飛ばしつつ考える。
ご案内:「落第街大通り」に櫛鉈 蛟さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」に櫛鉈 蛟さんが現れました。
■櫛鉈 蛟 > 学園に入学して学生証を入手した。女子寮に入居した。アルバイトも決まった、そして弾薬の補充の宛ても出来る。
と、なれば生活の基盤などはほぼ整っているといってもいいだろう。
…いや、一つ疑問が。そう、彼女私服はどうしているのだろう?
「まぁ、お互い不干渉なのがベストだろうなぁ。無理に敵意向け合う必要もねーんだし。
まぁ、落第街(ここ)なら兎も角、そんな街中や学園でドンパチはならんだろ。風紀も動くだろうし。
…と、それよりルチアは私服とかは買ったのか?女子は特に入用だと思うんだが」
と、素朴な疑問を付け足してみたりもしつつ。そして、ルチアの”本業”の出番は…
あるとしても、多分この島の基準で言えばかなりの緊急事態となりそうだ。
「喫茶店……え?ウェイトレスの格好とか?それは一度行かないとマズいな…目の保養的な意味で」
真顔でキリッとした表情をする男の呟き。顔は凛々しいがセリフで台無しである。
まぁ、女好きだから当然、そういう格好とかにも反応したりするのだ。
そういえば、貸与の支度金の制度はあったなぁ、とか思い返しつつ。
「俺も基礎だけは習ったけど、基本は銃より短刀…ナイフ主体だからあくまで予備的な扱いだな」
と、腰に提げた短刀と、小型の鉈のようなそれを示して笑う。ちなみに堂々と腰に提げており隠す素振りはない。
あと、ディナーはどうにも居酒屋とか庶民的なバーしか浮かばない男である。
『あ?別に色男じゃねーって。単なる女好きだよ』と、笑ってそう返すのは忘れないが。
で、禿頭の店主とルチアのやり取りを見つつ、さらにはカウンターに置かれた銃をまじまじと眺めてた。
こちらは、ホルスターごと受け取って腰に提げており。
『…成る程、少し待っていろ』
と、銃を見ただけで分かったのか、少ししてから彼女の2丁の銃に最適な弾薬の箱を持ってくる。
更にはクリーニングロッド等の分解・整備用具一式もだ。
『…これでいいだろう。…嗚呼、銃はもうしまってくれていい。代金は――』
こちらを見る禿頭の店主に、男はケラケラと笑って頷いた。
「ああ、俺持ちで構わねーよ。代金分は今度ルチアとお食事する時にでもサービスして貰うさ」
などと楽しげに語っており。あと、ルチアの考える名前にもこっそり期待しつつ。
財布を取り出して言われた代金をササッと支払うスマートさである。
■ルチア > とりあえずは順風満帆。
順調に物事が進んでいるのは単に幸運に恵まれたからだ。
神の加護をことさら祈るわけではないが、流石に天に――否、親切にしてくれた人に感謝は絶えない。
「そうだね。良き隣人になれるか、と言うと大分怪しいし――不干渉が一番だとは思うな。
流石にそんな所でやらかしたら色々拙すぎるよ。面倒事は避けたいしね。
――必要最小限は。元々そこまで衣服に気を使う方じゃなくってね」
制服は着ないつもりだったし、私服も変えに困らない程度にしか買い揃えていない。
着飾ることを知らないわけではないが、そこまで興味がある方でもなかった。
“本業”に関してはまあ、出番が無いことを祈るだけである。
荒事で稼ぐ必要も今のところ無いのだし。
「いや、普通にエプロンなんだ。期待に添えなくて申し訳ないね。
でも食事は相当に美味いよ。ハンバーグシチューが特に美味しくて――」
特に申し訳なさそうでもなくそう告げて。
呟きと顔の凛々しさのギャップに小さく笑い声が鳴る。
「刃物かぁ。使えないわけではないんだが、そこまで得意でもないなぁ。
私はやっぱりメインは銃器でね」
隠す気も無さそうなそれをちらりと見つつ。彼を見るに俗に言う業物なのだろうかとも思うが、真偽は知れぬ。
恐らくはディナーというよりはもっとシンプルで庶民的なモノに落ち着くのだろう。
女好きなら、女の子の居るお店でも良いかもしれない、とかちらりと思いもしたが。
一見二丁の銃は格段変わったことのない銃器であり、特筆すつるようなことは無いのだが、
どことなく、本来は“物”にあるはずのない“気配”があるのは、恐らく店主と男には解るだろう。
息を潜め、二人を観察するようなそれ――。
「ありがとう。
ああ、出来れば袋か何かに――、
そんな訳には、ああ、もう、クシナダ。
これは本当に参ったな。
とびっきりのサービスするしかないじゃないか」
当然武器に関わることだとは聞いていたので、それなりの金額は持参してきていたのだが。
しかしながら財布を出す暇も与えないスマートさ。
恐るべしである。
ありがとうの代わりにそんな言葉を告げて。
それから、銘については――
「“ゲオルギオス”でどうだろうか。
ドラゴン退治の伝説を持つ聖人の名前から頂いた。
日本的ではないのは、勘弁してほしいのだけれど」