2016/11/07 のログ
ご案内:「落第街大通り」にクローデットさんが現れました。
クローデット > 華やかな常世祭が、今年も幕を開けた。
そんな「表」と比較すると、「裏」は代わり映えしないように見える。
しかし…そんな時だからこそ、警戒は重要なのだ。
島の外部からの出入りが増えるということは、調査にかかっていない人物が増えるということでもあるし、何より、これだけ人が増えている中で「何か」が起きるというのは、いつも以上にまずい。
…少なくとも、常世学園の体制の中枢の立場で言えば。

そんなわけで、クローデットも委員の一人として、「裏」の巡回に回っているのである。
…もちろん、個人的にスポットライトを当てたい案件についての調査も兼ねているが。

クローデット > この島に来た「表の」目的が次の段階に進み、忙しさを増したせいもあって、クローデットは「デザイン・美術」に連なりうる展示で、「表に出して良いもの」を用意することが出来なかった。
現在進行形の研究の、改良前の設計図データを利用して
「工業部品に術式を書き込み」
「電力を魔力に変換する装置を用いて」
「魔術師の介在を最小限にして大量生産出来る」
「重工業的魔術道具」
の設計についての研究の一端を研究区の研究発表ブースの展示の1つに仕立て上げた程度だ。

電力を魔力に変換する術式は、既に論文が上がっているオーソドックスなものだし、新奇性には乏しいだろうが…「魔術と既存の地球の技術との共存」の答えの、1つのあり方としては意味のある展示であろうと思う。

クローデット自身は、世界そのものを憎んでいるわけではないのだ。

クローデット > 委員会の職務があるのもあるが…今年は、去年よりも展示を見に行く機会が減りそうだと、クローデットは考えていた。
…今は、あまり、人の多いところにいたくないのだ。

《クローデット》
《クローデット》

「大切な人」が、自分に呼びかけてくる。何かを、求めるように。

クローデット > 「大切な人」の声が、言葉が、これほどに重かったことがあっただろうかと…クローデットですら、自問したくなった。

特に、この「裏」の街のような…「ヨソモノ」「バケモノ」の中でも特に性質の悪いもの達が集うような場所では、特に声が重く響くのだ。

正直、いつまでこの地で委員会の職務が全う出来るのかも、不安で仕方がない。

《…わたしはおいていくのに やつらをたすけるの?》

身体も弱って、枯れきったはずの声が、強く響く。
クローデットは一端足を止めると、頭痛をこらえるかのように整った眉を寄せ、こめかみにそっと指を当てた。

…それでも、何らかの手段を用いて頭の中の「声」を遮断するという選択は、クローデットにはない。

それは、許されない、裏切りになってしまうから。