2017/09/14 のログ
飛鷹与一 > 「…課題はやっぱり方向転換かな…うん…。」

加速速度は申し分ないが、方向転換が課題だ。無理すれば出来ない事も無いが…モツ、もとい中身がエラい事になりそう。
幾ら限定的な不死になったといっても、別に再生能力が高まった!とかではないのだ。
彼女からの忠告は勿論ちゃんと覚えている。無茶はしない……つもりだが多分ついしそうな気がする。

(…集中すると周りが見えなくなる時あるしなぁ…気をつけないと…)

と、考え事をしながら歩いているのでぶっちゃけ帰り道からちょっと逸れている。
同じく借り出されていた同僚に道案内くらいは頼むべきだったかもしれない。迂闊だ…。

飛鷹与一 > 「……まぁ、地道にやっていこう。うん、何時も通りだ」

あと、出来れば狙撃ヘルプされるのはもう少し控えて欲しいが矢張り人材不足なのか結構駆り出される現実。
そろそろ気分転換とか、こうしたいなぁ、と思う。なんとなくスマホを取り出し…悩む。

「……まぁ、あっちに時間があればという事で…うん」

ぽちぽちと「師匠」にメール送信しつつ、スマホを仕舞って…辺りを見渡す。何処やねんここ。

(…あ、これ迷ったパターンかもしれない…)

ヤバい。歓楽街とかならまだマシだが落第街で風紀委員が迷うとかちょっとキツい。
とはいえ、変に動揺を態度に出さないようにしつつ堂々と歩く。
感覚的に道を大きく外れているとは思えない。

飛鷹与一 > 「…こういう時、役に立つ技能が無いのが辛いなぁ」

異能…論外、魔術…難しい、勘…余慶に迷いそうな気しかしない。
なので、スマホを再び取り出して同僚にヘルプ。幸い近くに居たのか10分程度で合流できそうだ。
なので、下手に動かず待機しておく事に。

「……やっぱり単独で帰るのはよそう…」

しみじみと呟きつつ、やがて迎えに来た同僚と引き上げるのだった。

ご案内:「落第街大通り」から飛鷹与一さんが去りました。
ご案内:「地下闘技場」に笹貫虎徹さんが現れました。
笹貫虎徹 > ――さて、どうしてこんな事になったのだったか…正直覚えていない。
フラリと落第街を徘徊し、何か因縁を付けられ、適当に切り抜けたら何故か地下闘技場に連行されていた。

…連行?まぁよく分からないが、とりあえず分かる事は何かストリートファイトの延長戦になったという事。
地下にこんな広大な空間があったのか、と当事者でありながら他人事のように周囲を見渡す。
ギャラリーも思ったより数が多い。何でか盛り上がってるのは…多分、少年が9人抜きしているからだろう。
次でちょうど10人目。今まで相手は異能やら武器やら魔術やら使ってきたが、どれも”一撃”で少年は下していた。

(……暇潰しにはなるんだろーけど、見世物になるのもなぁ)

と、溜息。まぁ次に勝ったら賞金?そんなのが出るぽいし、まぁ小遣い稼ぎとか臨時収入と思えばいいか。
私服姿に凡庸な面立ち。覇気も生気も無く、ただ死人のように機械のように佇む。
次の相手はさて――と、思っていれば、何やらゴツいシルエット。おや、と思いつつその姿を見遣り。

「…異邦人……かな。えーーと、…うん、ゴツいなぁ」

イメージで言うならオーガだろうか。持ってるゴツい棍棒…いや金棒か。
アレで殴られたら普通に死ぬと思う。そもそも殺人はご法度がここのルールと聞いたが。その辺りどうなんだろうか…。

笹貫虎徹 > 『おい、あのガキは何モンだ?さっきから全員素手で相手を下してるが…』

『つーか、あの小僧、動きそのものはそんな大して速くは見えなかったが…』

『見た感じ、異能とか魔術を使ってる感じではねーな…武器の類も特に持ってなさそうだ』

『あ!つーかアイツ知ってるぜ俺。確か例の【血腐れ】と組んで違法部活を丸々潰したっつぅ…』

『あ?あの素手で壁を破壊して暴れまわったっていうイカれた奴の事か?』

と、外野のざわめきの中に幾つか聞き捨てなら無い会話が混じるが、まぁどうでもいいか…と諦める。

目の前のオーガ(仮)さんは殺る気…もといやる気満々だが、生憎と少年はやる気は特に無い。
そもそも、見世物にされてる時点で詰まらないし滑稽だ。賞金が出るだけマシなんだろーか。

「…んーーー…。」

見た感じ怪力、あと速度もありそう。筋肉の付き方がただの怪力一辺倒には見えない。
流石に10人目ともなればかなりの実力者なのだろう。油断するとヤバい…まぁ、少年はただ茫洋としているが。

笹貫虎徹 > (…むしろ、さっさと帰って寝たいんだけどなぁ)

と、ボンヤリ考えていたら勝負開始の合図。オーガ(仮)さんが金棒を振りかざし間合いを詰めてきていた。
真っ直ぐに突っ込んでくるだけかと思いきや、微妙に歩幅を変えて緩急を付けている。

対して少年はといえば、まず1歩を気楽に踏み出す。続いて2歩目。ここで相手の呼吸を把握する。
そして3歩目。高速で振り下ろされた金棒を半身でスルリ、と無造作とも言える動きで交わしつつ…。

「――じゃ、失礼して」

無造作に右の拳をオーガ(仮)さんの『心臓』部へと突き出す。最小限の動きでのカウンター。心臓打ち。
一瞬、呼吸が乱れたのかオーガ(仮)さんの顔が苦痛に歪む。4歩目。右手の拳から血が滲むがどうでもいい。
左の拳で更に正確に心臓へと重ねての打撃。真っ直ぐ打ち込むだけでなく衝撃を”通す”。

そのまま、後はオーガ(仮)さんの横をすり抜けるようにして歩く。背後で彼が倒れる地響き。

(…んー…手応えが浅かった…や、手応え深いと心臓止めるから駄目か。難しいなぁ)

周りが『オイ、あのガキ10人抜きしたぞ…何モンだ?』とか騒いでいるが、雑音としてそれらは無視する。
取り敢えず賞金とか出るんだろうか?飛び入りが無いならこれで終わりだと思いたいが。

笹貫虎徹 > そこで、やっとこそ右拳から血が滲んでいる事に意識が向いた。周囲の盛り上がりを無視して右手を握ったり開いたり。

「……打点が少しズレたせいかなぁ。…感覚的に1センチ弱くらいか」

まぁ骨が折れている訳でもないし、別に”痛みを感じない”のでさして問題はあるまい。

(…と、ゆーか早く賞金プリーズ…無かったら無かったでさっさと帰らせて欲しいんだけども)

と、ボヤく少年の視線の先、アナウンス役の男が何か挑戦者を募っている…が、面倒だから誠に止めて欲しい。
そして周囲の注目が面倒臭い。異能、魔術、武器、銃火器、暗器など一切使わず、ただ体術のみで連勝しているからだろう。

とはいえ、少年は筋肉ムキムキでも無ければ異様に速い訳でもない。だからこそ逆に注目されるのだろうが。

(…こんなの、ウチの『爺さん』に10数年叩き込まれれば”誰だって出来る”んだけどなぁ)

そもそも、体術の才能があるという訳でも無い。言うなれば少年は非才なのだ。努力したというより叩き込まれただけ。
まぁ、”そういう風に育てられた”とも言えるし、今更それに疑問を覚える事も無いだろうが。

――所詮、自身は機械や死人と大して変わらないのだろうし。そもそも生の渇望が彼には致命的に足りない。

(賞金貰ったらー…うん、どっかでリッチに外食でもしてこう)

笹貫虎徹 > 「―――んや?」

何かが聞こえた…気がした。周囲の歓声やざわめきを他所に、あらぬ方角をボンヤリと眺め…直ぐに顔を戻した。
気のせいだろう。どうにも疲れてるのか幻聴が聞こえたようだ。

ともあれ、挑戦者が出て来ないことにアナウンス役も諦めたようで、取り敢えず金一封を少年に手渡す。
それを受け取れば、もうここに用は無い。定期的に参加して欲しいとか色々言われたが、そもそも面倒だ。

(と、いうかもっと強い人なんて幾らでも居るだろーに…ただの無能者に何を期待してるのやら)

一般人…逸般人の方が正しいか。紛れも無い人間だが何処かズレた存在。笹貫虎徹とはつまりそういうモノ。
とはいえ、落第街での少年の知名度がまた一段階上がる事になった…少年自身は望んでないしどうでもいいのだが。
こういうのは、得てして周りが勝手に盛り上げるもので、多分尾ひれが付いて少しずつ広まるのだろう。

変な幻聴を聞いたせいか、己が心臓がから聞こえる歯車のような音が耳障りに思える。
噛み合った規則正しい動きは乱れない。ただ無情に正確に鼓動と時間を刻んでいく。
一度、血塗れの右手を己の心臓へと当てながら一息。ぽっくりここで逝くのは流石に困る。

「…ん、貰うモンは貰ったし引き上げよう」

ノンビリと歩き出す。帰りに変に喧嘩を吹っ掛けられない事を祈ろう。
相変わらず、耳の奥に残る歯車の音を聞きながら少年は立ち去るのであった。

ご案内:「地下闘技場」から笹貫虎徹さんが去りました。