2018/09/14 のログ
ご案内:「落第街大通り」にアガサさんが現れました。
■アガサ > 落第街。公的には歓楽街の一角であって名前など存在しない場所。
危険地帯と称されて、けれども日が高い所為もあってか級友の間で噂される悪所の気配は漂わず、
散見される悪趣味なネオンサインが酷く場違いにすら思える。
「やっぱり夜中とか裏路地とか、そういう所が危ないんだろうね。普通の街と変わらない変わらない」
秋を感じさせる陽気の中、羽織ったケープの裾を翻すように周囲を見回し嘆息をする。
確かに歓楽街の方と比べたら全体的に建物は老朽化が進んでいるし、道の舗装も歪だし、路上で寝ている人とかもいる。
やっぱり級友が実しやかに囁くような場所には映らず、彼方此方の店頭に並ぶ品々や、露天商の取り扱う品々は大層魅力的に映った。
それでも最近は色々とあって活気やら治安やらは悪くなったそうだけど、結局の所噂は噂。
存外、首の無いゾンビが居るなんて話も夏を惜しんだ誰かの怪談話なのかもしれない。
「……極端な楽観もまあ、危ないものだけど」
ただ、長居をする気にはならないし、してもならないとも思う。
細路地へ続く道は建物同士の影となって、昼でも尚暗いのだから。
■アガサ > 「うーんグアド翁が元気そうなのは良かったけど、暫くお店を閉めてしまうと言うのは困ったね。
でもまあ仕方ないかあ。閉める所に遭遇出来ただけ良かったし、落ち着くまでは素直に他のお店に行こうっと」
大通りを行き、途中の小路を曲がった所にある小さな乾物屋。
まるで魔法使いのようなフードローブと髭が印象的な、禿頭の老齢の男性が営むお店。
店名の看板は擦れて良く読めず、管理不行き届きが窺えてしかし商品は良質で値段も安い。
だから時折ドライフルーツなどを買いに来るのだけど、久し振りの再会に際して苦言を呈されてしまった。
危ないから来てはいけないよ。と、今まで言われた事も無い相手に言われたら流石に少し、考える。
「お店の新規開拓をする良い契機だと思えば良いよね。今度アリス君でも──」
それならそれで、友人でも誘って異邦人街でも行ってみようかな。
なんて紙袋を提げた私が暢気に呟く背後から、何か、動物の唸り声にも似た音と男性の悲鳴が聴こえた。
……ような気がした。
■アガサ > 「──……」
背後は路地の奥。翁の店は既にシャッターが閉じられていて、不思議と人の気配は感じない。
「………………き、気のせい気のせい」
行ってみようか、と思ったけれど止めた。
今し方翁に窘められたばかりだもの。年長者の意見は聞いておくべきものだ。
そう自分を納得させて、私は其処から足早に立ち去った。
ご案内:「落第街大通り」からアガサさんが去りました。