2015/06/06 のログ
■ヴィクトリア > よー、てんちょー。今日のアガリどーよ? イケてるー? へー、ほーぉ、ふーん。
いーんじゃない、やるじゃーん?
ま、今日はいつもどーりでいいよ、サービス。たまにはウマ味もないとなァ♪
【黒服共と場所代の回収がてら様子見をかねて挨拶。
このあたりは違法部活に違法組織、不法入島者に2級学生のオンパレードだ。
情報と権限でいい金づるになる。そんな連中がゴロゴロしている
学校などよりこういうところでふんぞり返って偉そうに振る舞うほうが気持ちがいい。
だから、適度に嫌われない程度にこの辺りの連中に恩を売っておいて金で回収していた。
逆らえないやつからありがたがられるのは、悪くない】
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に『室長補佐代理』さんが現れました。
■ヴィクトリア > さーて、コレでだいたいは済んだし。
あとはアレか。取り立てはめんどくさいなァ……ヤなんだよなあ、あいつら。
さっさと始末してお金にしようか迷うなぁ、カネになんないならあとはどーでもいいし。
【場所代の回収はすんなり終わって上機嫌だった少女の顔が、急激に不機嫌になる。
そう、債務の取り立てだ。
基本的に、このエリアを支配するものは基本的に金と権利と暴力である。
このウチ、暴力はどうでもいい。暴力は金や権利より弱い。金や権力で暴力は買えるからだ。
重視するのは金と権利。
この2つがあればだいたいの連中は従う。
……問題は、持たざる連中だ。
金も暴力もなく、他人の金を当てにしてたかる連中。】
■『室長補佐代理』 > 派手に取り巻きをつれ、二級学生を侍らせ、違法の徒を繰るその女王。
夢の島にも似たその街並みの中、金子の輝きは極彩色の恍惚となり、街の毒すら塗り潰す。
この世の社会的な問題は概ね、根源的には暴力で解決可能であり、その暴力は権利にひれ伏し、権利は金で買える。
そんな弱肉強食の社会の様相を縮図として押し込んだ、小さな箱庭。
その物影の暗がりから、滲み出すように男は現れ……頭を垂れた。
「御無沙汰してます……局長」
染み出すような、汚らしい笑みを隠しもせず、会釈する。
■ヴィクトリア > 【棒付き飴を口の中で転がしつつ、思案する】
……よっし、カネにしよう。あいつら生きてても仕方ないし、しょーがないよね―?
あいつら生きてるだけで他人のカネ食いつぶしてボクを苛立たせるってんだから、それじゃー、しょうがないよねー?
もらったらもらったぶん以上に増やして返すのが当然だもんな!
【路地裏でたむろしつつ行動方針を決めた矢先……面倒くさいのが現れた】
あン……?
なんだよ代理じゃんかよ。久しぶりー。
ボクになにか用かよ。用なんだろ?
だいたいお前がボクんトコわざわざ来る時ってのは面倒くさいこと持ってくる時だもんな?
まー、手土産欠かさないから、そう言うところはわかってて嫌じゃないんだけどサー。
【基本的に少女は子どもとあまり変わらない。
なだめすかして持ち上げて礼をかかさず必要な物与えてやればそれなりに言うことを聞く。
ただおもちゃがちょっといろんな連中に魅力的すぎるだけだ】
■『室長補佐代理』 > 「はい、無論です。今日は局長と歓談をさせて頂きたいと思いまして」
そういって、袖の下に『何か』を滑り込ませる。
ヴィクトリアにとって都合のいいものである。
「しかし、いきなり仕事の話を切り出すほど私も無粋ではありません。まずは食事かお飲物でもいかがでしょうか?」
そういって、自然と傍らに立つ。
圧倒的な身長差であるが、影を踏まない斜め後背のその位置は護衛の立つ位置である。
■ヴィクトリア > ま、いーや、こっちもちょっと返ってくるアテのない取り立てやんなきゃでクサクサしてたんだ。
んじゃせっかくだから明日に回してどっか食べ行こっかー。いーよな別に。
で、どっかイイ店あるの? 特に無いならボクがいきたいとこテキトーに選ぶけど。
【正直こいつとウマが合う気はしない。
まー、こいつはよく分かってるけどそれがムカつく。
ムカつくぐらいに分かってるから、ミスを犯さない。犯さないから蹴れない。そういうのもムカつく。
正直ここまでされると慇懃無礼に近いレベルな気がするからこいつは嫌いだけど、嫌な気分にさせないとかって意味では有能だし一流なんだろなってのもわかるから余計ムカつく。
旨い店をよく知ってるのもムカつく。ボクより知ってるのがムカつく。
結局コイツがやりたいようなことやらされるからなァ】
■ヴィクトリア > 【それでも、取り立てよりかは明らかにマシだし、こいつが連れて行く店は大体特別で美味かった。畜生。】
■『室長補佐代理』 > 「本日は局長のために数件ほど抑えてあります、フレンチ、イタリアン、中華、和食、変わり種でブラジル系と東南アジア系の店も見繕ってあります。甘味の質でいえばフレンチが妥当かと思われますがいかがでしょうか?」
柱のような影を作りつつ、ヴィクトリアの後ろをついていく。
笑みは陰ることはなく、そして歩幅もヴィクトリアとはまるで違うはずでも、同じ速度で歩いている。
慇懃は瑕瑾があるからこそ無礼となるが、それが無ければ、それはただの徹底された慇懃となる。
男はヴィクトリア……明確な目上に対してはそれを守っていた。
■ヴィクトリア > んー。じゃ、デザートでフレンチ。
結局うこうやって誘導されんだもんなぁ……いーかげんにしろよなお前。
【好みを押さえられているだけあって、どうにも逆らえない。
いいようにされてるにもかかわらず嫌と言えない気持ち悪さはあるが、それでも従うしかなかった。
結局、好みには勝てないのだ。
むくれた顔でチュッパチャップスを転がしつつ、不承不承ながら期待をふくらませていた】
■『室長補佐代理』 > 「畏まりました」
二重の意味で承り、恭しく頭を垂れてから、目的の店に向かう。
落第街の片隅にあるには不釣り合いなほど豪奢な佇まいのその店。
後期ゴシック建築を踏襲したレヨナン式のレストランは、カトリック系列の煌びやかな教会建築の拵えと内装を併せ持ち、店の前に立つだけでも異世界を演出して已まない。
何故こんなところにこんなものがあるのかといえば簡単な話で、この手の違法街にある高級店は、最初から訳ありの高官同士の密会に良く使われるからである。
少し気取った言い方で、敢えて偽善的に表現をするのなら――必要悪というものである。
扉を先んじて開き、宮殿の回廊を思わせる通路を抜け、VIPルームにまでエスコートする。
ここまで、いつものことである。
「どうぞ、局長」
椅子をひいて、ヴィクトリアをテーブルへと案内してから自分も対面の席につき、会食を始める。
最初に出てくるのは食前酒。当然禁制品の超高級品だ。
その後、季節の前菜、新鮮かつ島で入手しづらい野菜のサラダと続き、スープにまで落ち着いたところで、男はようやく声をかける。
「お味はいかがでしょうか」
■ヴィクトリア > 見りゃ分かんだろ、お前の連れてきた店にボクが文句も言わずに黙って喰うんだから美味いに決まってるだろ、畜生。
ったく、こういう食べ方が好きなのまで分かってやがるしな。全くムカつくよお前。
【パンをちぎりながらぶすっとして応える。
少女は、その気ならマナーは守れなくはない。貸し切りやVIPルームでもなければ守らないと他の客がむかつくから、どうしても行きたい店がある時には従わざるをえないからだ。
が、マナーとかどうでもいいから好きに散らかしながらテキトーに、和食のように食器を手で掴んで、立膝をつきながら行儀悪く食べるのが好みだった。
故に正面というより、やや斜めを向きながら食べている。
ムカつくと言いながら、勧めに従うあたり、そう言う付き合いなのだとも言える。
ある意味では信用してるのだ】
でさァ。
そろそろそーゆーのいーから、本題入れよ。
お前がそつがないことは分かってんだから、もうそういうのいいから。
ぶっちゃけ面倒くさいし。
【むしろ話にはいらないことに焦れて自分から促す。
コレもいつものパターンだ。
こいつはそれを待ってるとわかっていながら根負けする】
■『室長補佐代理』 > 言質をとったことを確認してから、いつものようにニヤリと深く微笑む。
スープをこちらも飲み干し、パンを乱暴にかじる。
そして、魚料理が並んでから話を切り出す。
「恐らく御想像の通り、公安と風紀のあれこれの問題の話でしてね。順調に公安委員会の評価は下がり、ロストサイン壊滅で稼いだ、一連の活躍分の『リード』は消し飛びました。『上』の望むパワーバランスの安定はこれで第一段階が完了したことになります」
白身魚のソテーを、ヴィクトリアに合わせるようにガツガツと喰らい、乱暴に咀嚼してから口元をハンカチで拭う。
「しかし、今度はそのせいで『良い子』をしすぎている風紀が目立ち過ぎてしまいましてね。尻尾切りは恙無くできそうなんですが、このままだと勢い余って公安その物にまでメスを入れてきかねない。それでは、折角の努力も水の泡だ。主役と敵役の配役が変わるだけになってしまう。それでは面白くない。そこで……」
魚料理を食べ終えたところで、丁度並べられたソルベにスプーンを突き刺しながら、いつものように不敵に嗤う。
「適当なところで、生徒会のほうから『釘』を刺して欲しいのですよ。それとなくね。まぁ、全部終わってからでいいんですがね……一先ずは非常連絡局の件が片付いてからのほうが、お互いに都合もいいですしね」
■ヴィクトリア > ……どーせボクにはあいつら頭上がんないだろ、生徒情報握ってるのウチなんだからさ。
特に2級生徒なんてあいつら何もフォローできてないしね。
だいたいあの西園寺なんなの? ロストサインの功労者だかなんだか知らないけどえらそーにさ。
アイツ2級生徒使いまくるからボクの縄張りにちょっかいかけてるようなもんだからこっちでも把握してるよ?
ガウスブレインとか言ってたけどドコに向かって計算してんだかね。ま、いいけどね。
最適解ってなら、結局なるように上手くなるでしょ。ボクやお前が動くのも計算済みだと思うね。
適当にやりたいようにやれば、過程はどうあれ結果は決まってるんだろ。
今回はきっと、向こうにやりたいことが強すぎて強引な手段になってるだけで。
もしくは求めてる最適解がなんか代償差し出さないといけないってだけだ。
……で、お前がボクのところに来るってことは、その結果から絞れるだけ絞りたいんだろ。
お前、ゴールドラッシュでツルハシ売るのうまいもんな?
あー、畜生やっぱお前の店は美味いなぁ。
【だいたいを察し、一気にまくしたてつつ。べつに食べるのをやめるわけでもないので食べながら話す
2級生徒のIDは把握している以上、何かあったら網に引っかかるのだ。
めんどくさくなったら取り立てようと思ってたが、こうしてこいつがディナーおごってくれるって言うなら都合がいい】
■『室長補佐代理』 > 「お褒めに預かり、身に余る光栄です、局長殿……まぁ、この世の中、多すぎて困るものはそうありませんからな。欲ですら、無いよりはあったほうがいい」
ソルベのあとに運ばれてきた、血の滴るようなレア・ステーキを乱暴に咀嚼しながら、瞳を細める。
「副委員長は実際に優秀な人材ですよ。あらゆる意味でね。そして、きっと誰よりも強い正義感を持っているのでしょう……だからこそ、同時に誰よりも強い悪にもなってしまう」
ろくに切り分けもせずに乱暴に喰らったステーキと一緒に、チーズたっぷりのグラタンをフォークで突き割る。
中から湯気を上げながらベシャメルソースが滴り、器の縁を濡らす。
「個人的には好ましい人材とはいえるのですが……まぁ、今回の舞台では……結果は揺らがないでしょうな。ならば、せめてこれ以上利益が毀れないようにするまでの事……今回も、御助力頂けますかね? 局長殿」
■ヴィクトリア > 正義感なんて犬に食わせればいいじゃんねー。
あーゆーのは正義感じゃなくて独善なんだからさ。つまり単なる自分勝手じゃん?
ボクはそーゆーのに興味ないね、どーでもいい。ほんとにどーでもいいってか、ウザい。
だいたい自分の都合でボクを煩わせようってのがウザい。ほんとウザい。マジで。
あ、コレお前のこともそうだからな?
【ステーキはレア。ややミディアムレア寄りの焼き具合が好みだ。ブル・レアはさすがに勘弁。
大きめに切って、長くもぐもぐやって味が出るのにはコレぐらいがいい。】
まー西園寺が優秀かどうかは、結果が決めるだろ。
運が良ければ本人の望んだ最適解になるんじゃない?
ここまで動いて潰れるよ―なら、優秀って言うよりうぬぼれだね。
で、どーせお前が来るってことはそーしたほうがボクに得なんだろ、わかってるよ。
ぅ熱……っ、うー!
…………舌、やけどしたかも。
【猫舌故に熱いのは苦手だ。グラタンは充分冷ましたつもりだったが、中はまだ熱かった。
しばらくお休みモード】
あー、うー……んで、見返り何よ。
勢力じゃなく、ボクのな。
どー考えてもお前相当好き放題拾ってくだろ。ココ金鉱彫りばっかだもんな。
【水で舌を冷やしつつ。涙目で見上げるように。
威厳もへったくれもないが、個人的な見返りを要求した】
■『室長補佐代理』 > 「流石局長殿。その深謀遠慮に私は賛辞を惜しみません」
痛罵と賞賛を同時に受けながら、男は笑う。
清も濁も包み隠さず伝えるヴィクトリアのそれを悦ぶかのように、深く、深く、笑う。
「見返りについては当然、十分なものを用意してあります」
涙目のヴィクトリアのコップに冷水を注ぎながらも、眼は逸らさない。
蒼穹を思わせる青瞳を、そのまま飲み込むかのような伽藍洞の黒瞳が覗きこむ。
歪む男の虹彩が笑みを象るものであると即座にヴィクトリアにわかるのは、一重に二人の付き合いが長いからである。
しばらく、視線が粘つくように絡んだ後、ヴィクトリアの今の都合にあわせるかのようにフルーツが運ばれてくる。
「来季の運営会議で採決される『例の件』……それの票田のほうを私のほうで都合させて頂きたいとおもっていますが……如何でしょうか?」
運営会議の決定を意図的に左右できるということである。
それによって、生まれる利益がどれだけのものであるのか。
想像するのも一種、馬鹿らしい。
■ヴィクトリア > 【だが、その言葉を聞いた途端、突如として不機嫌になる。
もしかしたら仕掛けかもしれないとは思いつつ、感情が抑えられないのが彼女の欠点でもあり長所でもある】
おぉい、目先に眩んだかテメェ……ざけんなよ、ナァ?
お前がボクをいつでも操れると思ってんだろーし実際そーだしさ。
ンでも、ギリギリのところで嫌だけどイヤじゃないから飲んでんだよ。
なのにお前さァ、それ条件になってねーよ。
聞きたいのはその続きだよ、もしくは別個。
どーせお前はボクはお前のコマなんだからさ、それはほっといてもやるだろーがよ。
……んで、なに用意してくれてるのよ。
いくら都合のいいコマって扱ってるからって、温厚なボクもさすがに怒るよ?
【それは、放っておいてもこいつならやると踏んでる。
こいつはボクを使うことでさんざん利益を得てるはずだ。
それも都合のいい手駒として使ってるんだから、そーすればこいつは公安だけじゃなく権力を得られるんだから。
そーするに決まってる。ナメてんのか。
だから、前置き、もしくはわざと怒らせに来てるんだろうってのもわかる
……こいつには口でかなわないんだからさ。
むかつくが、ならその中身、もしくは別の見返りがあるはずだ。
もったいぶりやがって畜生。
こいつは絶対ボクが蹴るところまでのことを怒らせない、すげえムカつく】
■『室長補佐代理』 > 丁度、ヴィクトリアの激昂に合わせるかのように、ケーキとコーヒーも運ばれてくる。
恫喝を前にしても相変わらず男は、まるで愛おしいものを見るかのような目で微笑んで、コーヒーを啜る。
自分のケーキには手を付けない。
というか、毎度毎度ヴィクトリアに自分の分までデザートは差し出している。
「都合の良いコマだなんて……滅相もない」
コーヒーと同じ色の淀んだ瞳は、怒りの中にあっても輝くヴィクトリアの瞳から……決して視線を逸らさない。
この男は、少なくとも一対一で人と喋るとき……絶対に自分から、眼を逸らさない。
そのまま、ケーキを目前に置くため、歩いてくる。
長身の男が数歩歩いただけで、既にそれはヴィクトリアの目前に現れる。
フォークロアに現れる幽鬼のように、男は背を屈め。
誰にも聞こえないように……ヴィクトリアの耳元で囁く。
「俺と、アンタは……いつだって、共犯だ。安心しろよ。アンタが望む通りの『強さ』くらいは常に持ち合わせている」
そう、泥沼の底から響く、魔性を思わせる声色で呟く。
光源を遮られた相貌を伺う事は、難しい。
そして、離れ際に渡したのは、小さなデータチップ。
ヴィクトリアには、恐らく一目で分かるだろう。
それは、島では一般的には使われていない次世代保存媒体。
「票田の都合は、もとよりそれの為です。それを、次の会議で提出できるのは局長のみ。そして、その票田を都合するのは私……そういう筋書きでどうでしょう」
中身は見るまでもなくわかる。
次期予算の草案だ。
何処から入手してきたのかしらないが、これで少なくとも公安予算は自由になる。
しかも、金の流れは隠したままだ。
つまり、その気になれば計上予算の不透明な部分を、ほぼ全額ヴィクトリアの財布に移すことも原理的に可能となる。
もちろん、本当にそんなことをすれば足はつかずとも怪しまれはするが……逆にいえば、怪しまれないラインでならいくらでも好き勝手が出来るということだ。
それだけも、裏社会の財源のそれとは、額からして桁が違う。
「他にも何か条件があるというのなら、無論出来る限り都合させて頂きますが……いかがでしょうか? 局長殿」
■ヴィクトリア > ……ほらな。
コレがなけりゃ机蹴ってるところだけどさァ。
まぁいいよ。乗ってやるよ。
コレ以上はケーキがまずくなるしな。
【しょーがないな、と思いつつ、ケーキに手を伸ばす。手づかみだ。】
……ったく、いちいちボクを怒らすなっての。
どーせお前の描いた図のとおりなんだぁらさァ、ボクが怒るだけ馬鹿らしいじゃんかよ。
ま、どうせそんなことだろうと思いましたよ。ええそうですよ、フーンだ。
【いちいち拗ねながらチップを受け取る。
つまりこいつ、ボクの言うことに従ったってお題目がほしいだけなんだ。わかってるよ。
口の周りをチョコで汚しながら、拗ねつつケーキを頬張る。
ケーキは味わうより頬張るほうが好きなのだ。
こういう食べ方が出来る場なのが余計腹立たしかったが、こいつには腹の探り合いで勝てないのはわかってる
だから余計わがままを言いたくなるのだ。】
……んでさァ。
デザートには珈琲や紅茶がつきものだと思うんだ?
そのへんどーなの?
■『室長補佐代理』 > 「ご理解いただけて嬉しい限りです。いつもありがとうございます、親愛なる局長殿」
先ほどの態度が嘘のように、また元のただ不気味な笑みに戻る。
その怒る顔もまた、味わうように、男の瞳はヴィクトリアの相貌を捉えたままだ。
遅れて運ばれてきた自分の分のプチフールも一つ一つ差し出しながら、そう問われれば……一度だけわざとらしく頷く。
「申し訳ありません、気付くのがおくれました」
そういって、『自分が先ほど既に手を付けた』カップを差し出して、頭を下げる。
これもまた、いつものように。
「局長殿にはいつも、お世話になってばかりですな」
わざとらしく、慇懃に、それでいて、最大限の賛辞をこめて……深く、微笑む。
■ヴィクトリア > どーもさァ。高級店はコレがいつも不満なんだよなァ。
ほら、コーヒーってさ、マグで飲みたい時っての、あるじゃん?
でもこういうとこだとそーも行かないってか、どこもお上品でさ。足りないんだよな。
欲言うと、コレでも2杯じゃ駄目なんだってのなー。一杯で最後味が少し変わるのがいーんだよ。
コレさえなけりゃなぁ……ボクとしては言うこと無いんだけどなぁ
【ま、仕方がない。
コレは自分なのがわがままなのはわかってる
わかってるから余計言いたいのだ。
それにどーせコレも読まれてる】
ん、なんだよお前。いつも思うけど時々そーゆー目するよなお前。
なんつーの、こう、なんかキモいって感じ?
それ他所のやつにはあんまそういう目しないだろ、なんなのそれ気持ちワリィ。
そんなボクの顔に今更なんか気があるわけでもなんでもないだろ? ナンなのそれ?
【少女にはこの、彼が時々向けてくる、この視線の意味がわからない。
別に気にしないといけないモノだとは思わないが、どうもこの目、こいつが他人に向けるような目じゃない気がする】
■『室長補佐代理』 > フルコースがプチフールで締め括られ、いよいよ宴も酣。
語るべきことも語りつくし、あとに残るは歓談のみ。
苦言を頂戴しても、男の笑みが絶えることはない。
「局長殿とは日頃から懇意にさせて頂いていますので、その親愛と友愛の情が視線に現れているだけのことかと」
のらりくらりとそう伝え、左肩だけで肩を竦める。
「私も人間ですからね。見慣れていようがなんだろうが、美貌に目を奪われるのは不可抗力というものですよ」
冗談めかすように嘯いて、また瞳を細めて少女を見る。
問われている間すら、ただの一度も男は目をそむけていない。
「まぁそれに、私はこれで結構寂しがりでしてね。古い友人でもある局長殿には、己でも形容し難い感情を抱いているのかもしれませんな」
■ヴィクトリア > あー、美味かったなぁ……またなんかあったらよろしくな?
……しかしよく言うよ。ボクなんかお前の使い勝手がなくなったらポイのくせに。
だいたいこんなちんちくりんのボクが美しいとか目が腐ってんじゃないの?
そーゆー趣味ってわけでもないだろーに。
お前そんなんだからボクぐらいしか友達いないんだろーがよ
……ま、もっともボクだって似たよーなもんだけどさァ?
巧すぎてすぐ勢力図にするもんだから、どーせ八方美人で周りは敵と味方ばっかなんだろ?
お前さァ、ボクが言うのもナンだけど口先三寸で生き急ぎすぎなんじゃねェの?
なに目指してるのか知らないけど、目的のもの手に入った時には崖っぷちだぜ、多分。
【椅子の上で立膝を抱えつつ、残ったもう片方の、ピンクと白のストライプのニーソに包まれた足をぶらぶらさせる。
ん?なんだよ?なんか顔についてるのかよ?という感じのちょっとめんどくさそうな拗ね気味の顔を上目遣いで見せながら不思議そうに覗きこむ。】
……お前さァ、もう少し余裕持たないと死ぬよ?
どうせ時間足りなくて必要な手しか打てなくて、必要な場所にしか顔出してないんだろ?
意味が無い行動がなさすぎて、どっかで掴まれるぜ?
お前が死んだらボクだって面倒くさいことになるんだからその辺頼むよホント。
【膝を抱えながらコーヒーをすすりつつ、またこいつなんか用事がないとボクんトコこないんだろうなーと。
そういう内容のことを言った】
■『室長補佐代理』 > ヴィクトリアの言葉の数々は、辛辣ながらも概ね真実であった。
彼女はそれを偽らない。
彼女はそれを謀らない。
彼女はそれを……裏切らない。
覗きこまれた顔を、さらに覗き返して、男は笑う。
その不気味な笑みは、汚泥のように相変わらず濁っている。
その汚濁の向こうを見押しても、あるのはただの伽藍洞。
空疎極まる黒を歪めて、男は少女の苦言を聞く。
ただ敬って。ただ畏まって。
一字一句、逃さず聞き終えてから……男は静かに頷いた。
「ご安心ください。局長殿」
不遜にして不敵な笑みを、力強く。
「私は慣れています」
少女の好むような、一種の傲慢な強さと共に……変わらずに浮かべる。
「周囲が二元論に支配された敵と味方であることも」
「口八丁手八丁で生き急ぐことも」
「目的をぎりぎりで達成することも」
「猶予がないことも」
「意図が掴まれることも」
「友人らしい友人が少ないことも」
「――だいたい慣れていますよ。死ぬこと以外はね」
「だからまぁ、安心してくださいよ。使い勝手がお互いにあらゆる意味であるかぎりは……ね?」
皮肉気にそう笑みをうかべてから、一度だけ馴れ馴れしく、ヴィクトリアの肩を叩いて、横をすり抜けていく。
「近々また来ますよ。その時は、またお食事に付き合ってくれると嬉しいです」
そういって、男は去っていく。
おそらくは、用事がなければ作ってでも、男は現れるだろう。
それすらもまた、いつものように。
「本日はお付き合い頂き、ありがとうございました。それでは――良い夜を」
ご案内:「違反部活群/違反組織群」から『室長補佐代理』さんが去りました。
■ヴィクトリア > まぁ、さァ……前がいいって言うならいーけどさァ。
それでもしボクに面倒事持ってきたり邪魔作るってなら、知ったことじゃないよ?
……お前がどーしよーと構わないけど、せめてボクを困らすなよな?
【肩越しに、振り向くこともしないまま挨拶。
……違うだろバカそんなんじゃねーよ、ふざけんなってんだこいつ!
そしてしばらく俯いて……突然、机を蹴りひっくり返し、椅子を投げつける】
……ッざけんなよあの野郎ッ!
お前がそんなバカだからボクが使われるんじゃんかよ……!
なんでボクがお前なんかにつきわあなきゃいけないんだよ! そんなの一人で勝手にやれよ!
……ボクをお前に巻き込むなよ!
ボクの眼の前にその笑顔で立つなよ!
なんかボクに期待持たせたり心配させたり友人ヅラすんなよ!
なんでボクより偉いくせにボクより下に収まろうとすんのさ!
ふざけんなよお前も、ふざけんなよホント、どーしてお前も、お前すらわかんないのかよ!
なんでお前ら皆、ボクを一人にすんだよ!
友人だって言うならなんでお前らみんなボクに傅いてボクのわがまま聞くんだよ!
わかってんだろ!分かってんのになんで!なんで!なんで!
なんでこんな目に合わすんだよお前ら、いい加減にしてくれよぉ……ほんと、いいかげんに……
……おまえら……ホント……
……いいかげんに……ボクを……こんな……目に……合わすなよ……
……………………ちくしょう。
【投げつけた椅子を何度も何度も何度も何度も蹴り、調度品を投げ、泣きながらひたすらあたり散らす。
……ちくしょう。もうこの店もダメだ。美味しかったのに、またやった。いつもこうだ。
……札束を取り出すと、投げ捨てるように部屋に投げつける。
修理代には充分だろう。
涙を拭いながら、何も言わず店を後にした】
ご案内:「違反部活群/違反組織群」からヴィクトリアさんが去りました。