2015/07/08 のログ
ご案内:「違法宗教団体の施設」に黒い虎さんが現れました。
黒い虎 > 廃ビルの屋上に、鈍い金属のフックがカシンッと引っかかる。
ギシ、ギシと擦れる音がして、人影が屋上に音もなく降り立った。
周囲を確認し、何もないことを確かめる。

(カメラでもあるかと思ったが、杞憂だったな。
さあて、排気口は……と)

警戒しながら忍び足で進む。

黒い虎 > やがていくつも並ぶ排気口を見つけると、胸ポケットから図面を取り出し、ルートを再確認する。

(屋上の出入口は警備装置あるからな、入るとしたらここしかない。
が、一応調べておくか)

ペンライトに搭載した小型センサーを、コードを伸ばして降ろす。
電波妨害の可能性を考えると、優先のほうがこの場合有効だ。

黒い虎 > (各種トラップなし、と。
よし、入ろう……その前に)

時計を確認する。
今は昼だが異様に曇っていて暗い。影も多いし、潜入には都合がいい。
しかし、念には念を。この男のもっとも得意とする時間帯まで、あと8分。

黒い虎 > 詠唱時間は余裕をもっているが、体に刻む呪紋──ちょうど心臓よりすぐ下に左手を当てて、呪文を唱える。
それは召喚儀式。この男の肉体を依代とし、呪紋を魔法陣として、ある悪魔を呼び出し融合する秘術。

時計の針が、カチリと午後三時をさしたその時、男の体が跡形もなく“消えた。”
排気口のフィルターがゆっくりと開いていき、静かに傍らに置かれる。

黒い虎 > 魔拳【風衝】で壁に接触せずに天井裏を音もなく進み、空き部屋の一つの真上に到達する。

(よし、潜入成功。
たしか、事務所は2階…と見せかけてダミー、本物は3階からだったか)

現在の位置状況を確認する、今いるのは7階。
5階は警備システムが集中している管理室なので、まずはそこへ行こう。

黒い虎 > しばらくして、警備室天井を見つけ、下から覗くと、3名ほどのいかつい黒服が張っているのが見える。ジャケットのポケットが膨らんでいるので、拳銃の類は所持しているとみて間違いない。

(3人だけか?まだ居てもおかしくないが……)

天井の通気口からは部屋のすべてを見渡すことはできない。
とすると、3人と決めつけるのは危ないだろう。
とりあえず通りやすいようにフィルターを外し、催眠ガスを流し込んだ。

黒い虎 > バタバタと人の倒れる音がする。
静まり返ったのを確認して、中をのぞき込めば、件の黒服3人のほかに、窓際にローブの男が2人、さらに入り口側にローブの女が2人が倒れていた。

(ひゅー、危ない危ない。
恰好からして魔術師がいるな。こりゃあ魔術トラップ、どっかにあるぞ)

静かに部屋に降り立つと、魔力の痕跡がないか調べる。

黒い虎 > 部屋の4隅と中央に痕跡を発見する。小さく透明なシールが貼ってあるので剥がそう。

(お、あったあった。
じゃあ久々にやりますか、解除魔術──【法陣突破】)

小さく唱えて左の中指をシールに向けると、粉々に霧散する。
それを5回繰り返せば、ほっと息を吐いて、警備システムに手を付ける。
ここの警備システムを取り扱っている会社は、すでに買収してある。
マスターキーを入力して、すべての部屋の警備装置にその場限りのIDをねじ込むと、
黒服たちの目が覚めないうちに、5階を後にした。

(さて、あとは3階の事務所だな)

黒い虎 > 階段を駆け降りるのではなく、浮きながら下りる。
いよいよ3階に到達すると、先ほど登録したコードを入力し、部屋に入った。
傍から見ると、急にドアが開いたように見え、中にいた6人の職員がいぶかしげに眼を向ける。開いたドアの向こうには何も見えないが、職員の一人が魔力を感知し、警戒態勢をとった。

(あーあ、防衛用の結界も張ってないのか。
警備システム頼りってーのは、お粗末だな)

不可視状態を利用して背後に回り、1人ずつ意識を落としていく。
魔力検知の出来る職員は流石にできるようで、空気の流れから此方の位置を割り出し、泥の魔法を放出してきた。

黒い虎 > 飛んでくる泥団子の一つが当たり、汚れた人影が宙から滲み出す。
しかし次の一手を構えるために護符を取り出したところで、その職員は水の魔力を纏った手刀で首を撥ね飛ばされた。

(やっぱ魔術師いるとめんどくさいなあ)

切断面から汚れないように、素早く凍らせ固める。

机や金庫のロックをこじ開け、書類を服の隙間にねじ込むと、もうこの場所に用はない。
遺体をまとめてロッカーにぶち込むと、時限着火装置を設置、起動。
扉を閉めてロックをかけ、悠々とビルを後にした。

黒い虎 > しばらく歩くと、背後から煙の臭いがしてきた。

(ちょっと今回はミスがあるな、でも、重要なものは奪取できたしいいか)

不可視状態を解除すれば、全身に泥をかぶった目出し帽の男が現れる。
大きなため息を一つつくと、着替えるべく暗がりに進んでいった。

ご案内:「違法宗教団体の施設」から黒い虎さんが去りました。