2015/07/29 のログ
ご案内:「場末の酒場」にパーゼルさんが現れました。
■パーゼル > (深夜。男が一人むせび泣くジャズをつまみにウィスキーで咽を焼いていた。
フードを被った男たちがひそひそと雑談している。会話の内容はかすかにしか聞き取ることができない。
男は夏場というのにコートを深々と被っていた。
涼しい音を立てて氷がひび割れる。グラスを傾けて一口飲み込む。背中は丸く哀愁に満ちていた。
煙草を灰皿に押し付けて火を殺す。
酒場の中で体格のいい白髪交じりの男は酷く浮いていた)
■パーゼル > 「待ち人は来ないか……」
(男は呟くとピントを遠くに合わせた。
待ちぼうけ。いつものことだった。いつだって待たされる。約束をすっぽかされる。人望が無いのか。肩をすくめて酒を味わう。一人酒は味気ない。
音楽を美女のかわりにちびちび酒をすすめる。
咽を焼く香りにむせそうになった。
フードを被った男たちがチラチラとパーゼルの背中を指差している。男は異物だった。危険な臭い漂う酒場で堂々と呑んでいる男も男だった)
■パーゼル > (フッ。鼻で己を嗤うと懐から手紙を取り出した。古風な封印を施された紙切れがあらわれる。
男は手紙をビリビリに破り捨ててしまった。
渡す相手が来ないならばゴミに等しい価値しかない。
捨ててしまうほうが己の為だった。
『ついで』に渡すにしては酒場は不適切なのだが。男は思う。)
「無価値だな。ああところで最近じゃ化け物を体内で飼うのが流行なのか」
(男はフードを被った男二人組みに振り返らず声をかけた。
瞬間、酒場の空気が緩慢なものから鋭利に尖ったナイフのような角度へと変貌する。殺気立っていた。男という異物ひとつだけのために。
男は相変わらず酒を嗜んでいた)
「異能も魔術も持てずいよいよ化け物に変貌するしかないやからがいるらしい」
(背後からフード姿が襲い掛かる。
おぞましい、黒く捩れた腕で)
■パーゼル > ( ダァン ッ )
(座椅子が捩れた腕を拘束していた。
男が足で椅子を持ち上げて腕と己の間にすりこませたのだ。座椅子は金属製。捩れた強靭な腕といえど破壊するには足りない。座椅子の細工に絡まっている。
パーゼルが身を翻した。腕を捕まえている座椅子を放すと、肘を叩き込み、すかさず胸倉を掴んだ。)
「マスター。お会計だ」
(カウンター台に頭をブチ込む。フード姿の男の意識は吹っ飛んだ。
二人目のフード姿が襲い掛かる。
同じような腕。両腕が伸張するやパーゼルの頭部目掛けて爪を伸ばす。
ガキッ。金属音がした。パーゼルの腕を守るガントレットが爪の一撃をそらす。
腕と腕の間に体をねじ込むと顔面にウィスキー入りのグラスを叩き込む。口にねじ込まれてたまらずフード姿が喘いだ。)
「病院食はまずいらしいぞ」
(足を引っ掛けて転ばせる。無防備な頭部に額を叩きつける。二回三回。
怯んだ所で、足元に転がっていた酒瓶で頭部を地面に打ち付ける。
フード姿を圧倒したパーゼルは服の乱れを直しつつ酒場を後にしようとする。
ガードの胸ポケットに札をねじ込む。
しわくちゃな目元にさらに皺を寄せる。へたくそなウィンク)
「世話になったな。掃除代だ」
ご案内:「場末の酒場」からパーゼルさんが去りました。
ご案内:「違法部活『イレブン/イレブン』」に惨月白露さんが現れました。
■惨月白露 > 「で、次の相手は誰だよ。」
漂う穢れきった、色んな意味で穢れきった空気を、
少しだけ乱れた呼吸で吸い込む。
『今日はなんだか、この汚い空気が心地いいな。』
コップに入った水で口をゆすいで、
その水を吐き出した口元を手の甲で拭う。
『へぇ、今日はえらく素直じゃないか』という『部長』に
「うるせぇ。」と一言言うと、休憩用の簡素な椅子に座った。
「―――やな事があったから、
『気持ちいい事』で忘れてぇだけだよ。」
それを聞けば『部長』は下卑た笑声を漏らす、
『残念ながら、次の指名は入ってないなぁ。少し休憩してていいよ。』と言うと、奥へと消えて行った。
その背を見送ると、虚ろな瞳を自身の手に向ける。
何故か、小さく笑い声が漏れた。