2015/08/02 のログ
ご案内:「魔術結社『エグリゴリ』第3支部」に群青色の男さんが現れました。
群青色の男 > 『流れ星』の紋章を看板に掲げた廃ビルの一室に、数名の人影が集まっている。
その中央には、小さなテーブルを囲んで3つの影。
外は小雨が降っている。
梅雨も明けたというのに、じめじめして蒸し暑い。

「また、雨だ。
あの…カビ生えるんで程々にしてくださいやせんか」

群青色のマントに、痩せた青白い能面のような顔の男。
長い、長いため息をつき、向かい合う2つの影を遠慮がちに見つめる。
対するは黒いローブに、これまた黒い覆面をした蒼眼の女性と思われる者。
そしてその傍らには青いポンチョを頭からかぶり、ゴーグルをつけている男。
周囲には、麻袋のようなものをかついだ数名の人影が見える。

群青色の男 > 「御免なさいね、次からは気をつけますわ」

覆面の女が穏やかな口調で言うと、能面のような男は慌てたように手を振る。

「いえ、いえ、首領が謝ることじゃあ。
ただ、そこの雨男に自重してほしいんで」

ポンチョの男が口を開きかけるが、覆面の女に手で制される。
能面のような男は、ゴーグルの奥からじろりと睨む眼光から首を背け、ところで近況なんですが、と話し始める。

「それでですね。
例の一斉引き上げとごたごたによって、第3支部は少々動きにくくなりまして。
具体的に申し上げれば、これまで雑踏に紛れて動きやすかったのが、人数が減ったことで難しくなりまして。
ちょっとした出来事でも大きく取り上げられる可能性が出てきたんですわ。
この場所自体は隠蔽してますが、まだ根を張って深く潜る必要が出てきましたんで、“検体”の提出は次回に延ばしてもらえますか」

覆面の女が頷いたことで、了承を得られたと受け取り、能面のような男は深く頭を下げた。

群青色の男 > 「それでは引き続き、ここはお任せしますわ。“Linker-sr”」

しばらくして、廃ビルから覆面の女が、ポンチョの男に傘をさしてもらいながら、どこかへと姿を消すと、
その様子をビルの窓から眺めていた能面のような男──“Linker-sr”と呼ばれた男は、先ほどの遠慮がちな態度から一転し、両手をパンパンと叩いて麻袋を担いでいた部下をせかす。
乱暴に投げ出された袋からひっぱり出されたのは、引き上げから弾かれた二級学生の一部。幸か不幸か、異能や魔術をもたないが故に底辺から抜け出せずにいた連中だ。
呻き声を上げるが猿轡をかまされて言葉も出ない。

「さァてさて、ようやく君たちの出番ですよォ。
ああ、身体が汚れてますね、すぐに湯を沸かせましょうか。
その後晩餐会と行きましょう。
なあに、とって喰いはしませんよォ?
ちょっとお願い事がありまして、資金や装備も用意してありますので」

くっくっく、と笑い、懐から金色の脈動する拳銃を取り出し、学生たちに見せる。

「君たちに、これを受け取ってもらいたい。
学園の治安機構を担うバケモノ共に一泡吹かせてやれます。
……まあ、この話は後にしましょう、今は体を清めなければ」

“Linker-sr”は、これから始まる祭りを思い、口元を三日月のようにゆがめ、不気味に笑った。

ご案内:「魔術結社『エグリゴリ』第3支部」から群青色の男さんが去りました。