2016/07/02 のログ
ご案内:「違反部活群 廃ビル」にパドマさんが現れました。
パドマ >  目を閉じて瞑想に耽るは平常時の装束ではなく、体に張り付くような薄いボディスーツを身に纏った姿の女であった。
 肢体修復を行ったのがある意味では敵対する少女であったことに上層部が腹を立てたらしい。回収され徹底的に元通りにされてしまっていた。
 より強く、より早く。つまるところ異能を地球上から一掃するために作られたそれは、システムのアップデートを実行中であった。秘匿回線を通じ、己のAIの改良用データを受信している最中であった。
 傍から見ればひたすらに瞑想に耽っているようにも見えるであろう。

パドマ >  脅威を排除することは難しい。
 何せ異能を持つ人間はどこにでも潜むことが出来るからだ。感知できる能力ならば良いとしても、感知できない能力など腐るほどある。同時に、悪も。正義の人間と悪の人間を事前に感知し排除するような仕組みでもあればパドマなど必要ないのだろうが。
 瞑想に耽っているかのような女の瞳が瞼の奥で激しく動いていた。夢を見る人間のように。

 「…………起動」

 ゆらりと腰を上げる。幽鬼のように廃ビルの壁へと歩いていった。無論壁があった場所ということだ。鉄骨剥き出しのそれは、床と天井だけしか残されていなかった。足を踏み外せば地面へと転落するだけだ。
 足が鉄骨のへりにかかった。ゆらりゆらりと揺れつつ、前髪を掻き分けて面を上げた。

 「……起動完了。パドマ オンライン」

 夢から覚めたようだった。辺りを見回し、眼下を望み。

パドマ >  そうして背中を向けると、大の字で落ちていく。
 淡い翼を背中に宿し滑空を始めて。
 滑空はやがて角度を付けて上空へと持ち上がる。白い頭髪姿が両腕を広げ飛び去っていくのにかかった時間はものの数秒足らずであった。

ご案内:「違反部活群 廃ビル」からパドマさんが去りました。