2017/12/04 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
狗隠 > 無数に点在する違反組織…その中でも凡そ中堅の下位程度に属する組織のアジトだった廃ビル。
しかし、その組織もついさっき、更に巨大な別組織との抗争に破れ、血みどろの様相を呈していた――のは少し前の話だ。

人の姿に擬態した、黒い狗の怪異がフラリとその場に姿を現した時には既に死体の群れのみ。

「……成る程、この感じだとつい数時間前に決着が付いたようだ…。」

その場に突っ立つのはボロボロの衣装を纏った長身痩躯に赤い瞳の青年で。
辺りをザッと見渡しながら中に足を踏み入れる。そうしながら、死体の山から何かを吸収していく。
無論、意識せずにしている事だ…それは彼らの魂、というよりも想念。怪異である彼を構成する要素。

余す事無くそれらを吸収して行きつつ、目的――使えそうな武器や銃火器の類を探す。
死体が握り締めたままの刃物、拳銃、マシンガン等を一つ一つ見て回るが中々良さそうなものがない。

(…ふむ、矢張り中堅とはいえ下位の組織では装備も少々心許ない感じか)

狗隠 > そうして、いつの間にか最上階まで辿り着いた。ここのボスはどうやら逃げ出したようで死体も見当たらない。
ただ、慌てていたのかほぼ私物らしき物が残ったままだ。…金目の物は殆ど持ち去られているようだが。

「……ふむ、今回も外れ…か。仕方ない、適当に拳銃とマガジンくらいは拝借を――…む?」

フと、怪異だからこそ気付いた違和感。壁の一角、何の変哲もないそれを凝視する。
そちらへと歩み寄れば、しばし軽く手で触れたりコンコンと叩いたりして違和感の元を確認。

「……何か隠してあるようだ…ならば」

風の魔術を刃物のように形成し振るう。その壁の一角だけ綺麗に切り取れば、案の定壁に埋め込まれた隠し金庫らしきものがあった。

(…金銭…は、あまり興味がないのだがな。だが妙な気配を感じる)

金庫のロックは頑強そうだが、それも風の刃を更に圧縮して硬度と切れ味を増して切り裂いてしまう。
中には、お決まりの宝石やら札束やら…それに…大型のリボルバー拳銃が1丁。弾薬もある。

更に、置くには布で包まれた細い物体。取りあえず、それに手を伸ばして布を解けば――…。

「……これは…。」

現れたのは一振りの精緻な造りをした日本刀だった。
艶のある黒に紅葉のような柄が散りばめられた鍔、金色の狐が稲穂を咥え同じく紅葉の柄が施された鞘に収まっている。
――分かる、これは業物だ。同時にただの日本刀ではない。

「……妖刀……いや、むしろ逆か。霊刀の類か」

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
狗隠 > 「……怪異の俺が触れても平気なようだが…人の想念の集合体みたいなものだから、か?」

どちらかといえば、妖刀の方が自身のイメージに近いと思っていたのだが。
ともあれ、軽く鞘から刀身を引き抜いてみる。…こちらも見事。刃毀れ一つなく刃紋も綺麗だ。
チンッ、と澄んだ音を立てながら刀を納めつつ、再び布で包んで小脇に抱える。

「…掘り出し物かもしれんな。あと数時間も経過しない間に、風紀委員会もやって来るだろう。
…このリボルバーと弾薬も頂いておこうか」

ネコババ、墓荒らし、家捜しの類なのは理解しているが武器は正直必要なのだ。
取りあえず、この霊刀と大型リボルバー拳銃は使わせて貰う事に決めた。
どうせ、風紀委員が発見しても押収物として倉庫か何処かに放り込まれるだろう。

幸い、ホルスターもガンベルトもあったので、右腰にそれらを装着して弾薬はコートの内ポケットに放り込む。
刀は、少し迷ったが改めて布包みを外して左腰へとベルトで挟むように捻じ込んだ。

(……うむ、悪くない。後は衣服の新調か…これが一番難題な気がしてきたが)

ご案内:「違反部活群/違反組織群」に狗隠さんが現れました。
狗隠 > さすがに金銭に手を付けると足が付くだろう。なので、その手のモノには一切手を出さない。

そもそも、衣服の新調に金が必要とは分かっているが、この後に風紀委員が踏み込んで来ることを考えれば無策すぎるだろう。

取りあえず、自身の痕跡を風の魔術で消しながら廃ビルを出る。周囲の音と気配を確認してから一息。

「…取りあえず、刀と銃が手に入っただけでも十分だ。悪くなり寄り道だったな」

呟けば、左腰に下げた刀と右腰に下げたリボルバーを眺めて。
そのまま、身を翻してから足早にその場を立ち去る怪異なのであった。

ご案内:「違反部活群/違反組織群」から狗隠さんが去りました。