2018/09/01 のログ
ご案内:「崩壊した工場」に至境さんが現れました。
■至境 > とある崩壊した工場。そこにフラリと足を踏み入れる一人の少年。
服装は特に特徴もなく、首元に巻いた包帯くらいか。髪の毛や瞳の色もこの島では珍しい、という訳でもおそらくは無いだろう。
ライト一つ持たずに工場内を繁々と見渡している…ここに来たのは偶然で、特に目的があった訳ではない。
(…何かの工場…機械に…あれは銃器か。やたらと沢山あるけどどれも放置されてそれなりに時間が経過してる)
ゆっくりと工場内を歩き回り、何かを確かめるように一通り時間を掛けて工場内を散策する。
機械には人並みの知識しか無いが、この工場はまだ”死んではいない”ようだ。
(――利用者も居ないだろうし、既に手入れされた痕跡がある、となると”好都合”かな)
この場所や機械を利用する――つもりは全く無い。むしろ利用するコネも頭も無い。
工場の丁度中央。全体を見渡せる位置へと歩を進めていき。一息。確認は済んだ。
■至境 > トントン、ととある少年から貰った付箋の調子を確認してから声に出す。何時もなら念じる所だが声に出すのも悪くない。
「出ろ――『饕餮』…」
瞬間、少年の傍らに黒い靄が発生したかと思えば、次の瞬間に一体の異形が出現する。
ガッシリとした体、鋭い爪を持つ四肢、捩れた二本の角、鋭い牙。低い唸り声を漏らすソレは少年の異能の一端だ。
「――饕餮…”全部喰らい尽くせ」
己の異能の一部たる異形に命令を下す。次の瞬間、獣の口が開いたかと思えば辺りの機械や銃器、機能が死んでいるのも生きているのも関係なく全て吸い込んで行く。
どう考えても異形の口より大きな機械すら構わず吸い込んでしまう。
異形の口の奥はポッカリと底なし沼かブラックホールのように真っ暗で何も無い。
そうやって、工場内部の目ぼしい物を片っ端から――全部食わせてしまう。
”食事”が終われば、下品なゲップと共に異形がやや上機嫌そうに唸り声をグルル、と漏らす。
その異形の顔をポンポンと叩く。我が異能ながらこの食欲、というか悪食には恐れ入る。
「――満足したか?最近まともに食事させてなくて悪かった。…戻っていいぞ饕餮」
そう告げれば、異形は再び黒い靄に包まれて少年に溶け込むように姿を消した。
後に残るのは、すっかり空っぽになった工場だけで。流石に壁や屋根などは食わなかったようだ。
(…まぁ、饕餮は食べる気みたいだったけど、見てくれだけでも残しておかないとね)
ご案内:「崩壊した工場」に至境さんが現れました。
■至境 > (饕餮はいいとして…”他の3体”も偶には具現化させたりしないとなぁ)
とはいえ、目立つのはなるべく避けたいし自身の異能を積極的に使うのは避けたい。
手の内は出来る限り隠しておきたいし、そもそも少年の肉体にはあるハンデがある。
「……っと。」
久々に使ったせいか軽く貧血を起こしてフラつく。少年はとある人体実験の被験者…その生き残りだ。
肉体は既に人外と渡り合える程に”弄られて”いるが、当然代償は存在する。
それが、今のような貧血や頭痛だ。完治する法は現在の所は見つかっていない。
これに声を出せないハンデも加わるが、そちらは付箋の数というリミットがあるとはいえ克服はしている。
(…あの組織はまだ完全には潰れてないんだろうな…俺が潰したのも”支部”に過ぎないし)
勿論、跡形も残さず消し飛ばしたが今は多分、落第街らしく何か別の建物とかで埋まっているんだろうな、と。ボンヤリ思い。
■至境 > 「…まぁ、これで誰か利用しようとしてもアテが外れるだろうし…。」
違反組織や違反部活が目を付けていたとしたら、アテが外れてこちらとしては愉快だ。
貧血の症状が治まるまで待ちたいが、空っぽの工場跡に一人佇んでいるのは不審者以外何者でもない。
(…落第街の連中や風紀の関係者が来るまでに退散しようかな)
貧血でフラリとしつつも持ち直し、周囲の気配などをきっちり探り索敵は怠らない。
強化…散々弄られた肉体だが、こういう危機管理には割と役に立つ。
そのまま、工場を密かに出れば闇に紛れてその姿は消える事だろう。
ご案内:「崩壊した工場」から至境さんが去りました。