2018/11/23 のログ
ご案内:「某違反組織のアジト」に玻座真 至境さんが現れました。
■玻座真 至境 > 落第街の一角、とある古い工場跡地…今はとある違反組織のアジトの一つとして機能している建物。
三階建て程度の高さだが横幅が広く、何かの材料か部品がガラクタの如く散乱している。
――突如、その建物の3階の数枚の窓が纏めて内側から外へと粉々になって吹き飛んだ。
次いで、人影が一つ闇に紛れるようにそのまま窓枠に足を掛けて跳躍…3階という高さにも関わらず見事に着地する。
普通の人なら足を痛めるか骨折しそうなものだが、その人物は直ぐに身を起こして物陰に身を隠す。
(……参ったな…あれが最近出回ってるっていう異能薬の効果か…)
心の中で呟きつつ、物陰からチラリと顔を覗かせ――直ぐに引っ込めた。一瞬前まで青年が顔を出していた場所を一条の赤い極太のレーザービームのようなものが走り抜けて。
(……成る程、個人の異能の性質や適性にもよるけど一定の増強は出来る訳か…相手の異能次第では厄介、かな)
内心で呟いて一息。さて、どうしたものかと考える。自身の異能なら建物ごと纏めて殲滅も可能だが…。
反動で頭痛などが悪化したら目も当てられないし、あまり派手に騒ぐと風紀やその他の連中を招きかねない。
■玻座真 至境 > 『その動きと見た目…テメェが≪暴食≫か!とうとうウチらのシマにも来やがって!』
何やら窓から顔を覗かせたスキンヘッドの男が叫んでいる…物陰で軽く溜息を零す。
どうやら一部にはこちらの顔は割れているらしい…あと、暴食とは失礼な。そんなけったいな異名を名乗った覚えは無い。
…おそらく、青年の異能の形態の一つである”トウテツ”の能力からそう名付けられたのだろうが…。
(…俺はどちらかというと少食なんだけど――ね!)
物陰から不意に飛び出し、さっき倒した別の組織の下っ端から奪った自動拳銃でスキンヘッド目掛けて連射。
流石にあちらも手練れなのか身を隠し、お返しとばかりに今度は細かいレーザーの乱れ撃ちをしてくる。
それを、人間とは思えないような速度とジグザグの不規則な軌道で駆け抜ける事で交わし別の物陰に隠れて。
「………。」
やっぱり拳銃程度じゃ駄目だよなぁ、と。”手加減”しつつ制圧って難しいなぁと思いつつ。
■玻座真 至境 > 『おい、テメェら!制御薬を運び出せ早く!今夜は大事な取引があんだぞ!!』
と、スキンヘッドが残りの仲間に指示するのを聞きつつ目を細める。
…正直、自分がこれ以上出張る必要も無いのだが…仮に潰しても風紀に貸しを作れる訳でもない。
(――合理的な理由は不必要に街を混乱させるな…不条理な理由としては…お前”ら”が気に入らない、と)
淡々と自身が今宵、このアジトを潰そうとしている理由を反芻しながら苦笑を僅かに浮かべて。
――さて、いい加減に動かないと異能薬…制御薬が正式名称か?分からないが運び出されてしまう。
後を追跡するのは面倒だし、あのスキンヘッドはここを任されているボスなのだろう。
(――仕方ない、人的被害は最小限に抑えたい所だけど)
拳銃を投げ捨てれば、軽く首や肩をゴキゴキと鳴らして一息。スキンヘッドの位置は把握している。
…工場の内部構造も先ほど、中で一暴れした時に大まかに把握している。
確か裏手に搬入口のシャッターがあった筈だ。運び出すならあそこからだろうか。
■玻座真 至境 > 右手を軽く一振りすれば、その軌道に沿って空間が黒く裂ける。そこから染み出すように黒い靄が溢れ始めて。
(――”トウテツ”、目標はあの男だ…一瞬で食い殺せ)
言葉を発せられない青年だが己の異能との意思疎通などは言葉を発せずとも可能。
黒い靄の中から、やがて禍々しい仮面で顔を隠し、しかし鋭い牙と巨大な顎を供えた異形の怪物が出現する。
―既に僅かだが頭痛が発生しているが問題ない。最後に軽く顎でクイッと「やれ」という指示を。
次の瞬間、物陰から一陣の黒い風が飛び出し――…。
『なっ…!?テメッ…!!』
男が気付くも遅すぎる。彼がアクションを取る前に異形の黒風が男を丸ごと一瞬で食らい尽くす。
それを見届けた上で物陰からゆっくりと歩み出ればトウテツに戻れと指示。手元に戻ってきた黒風はそのまま青年の影に溶け込むように消えて。
■玻座真 至境 > (…さて、これで後は残りの手下連中を……っ…!)
フラリと視界が揺れて体が傾くのを慌てて立て直す。貧血の症状が出てきたようだ。
慢性的な頭痛と貧血、そして声帯の損傷。それが青年が過去に受けた実験の後遺症だ。
(――今日はこれ以上異能は使わない方がいいな…とはいえ、このコンディションだとな)
連中を逃がしてしまうが…まぁ、ここの頭は潰したからいいとするか。
連中は意図的に見逃すとしよう。取引があるなら、風紀の誰かか他の連中が情報を捉えているだろうし。
(…これ以上目立つのも御免だしなぁ)
証拠を残さない違反組織潰し…その何も残さない徹底さから暴食などと呼ばれているが。
それはそれで目立つ要因で、正直憂鬱だ…もっと穏便にスマートに済ませたいが。
生憎と、暗殺者や殺し屋ではないのでそんな鮮やかに事を済ませられる筈も無い。
■玻座真 至境 > 頭痛や貧血が治まるまで目立たぬようにまた物陰で蹲っていたが、シャッターが開く音と慌しい足音や怒号が聞こえる。
…みすみす逃がすのも正直悔しいが、今の自分の状態を何とかするのを優先する。
(…深追いし過ぎて思わぬ反撃で返り討ち、なんてイヤだしね)
ふぅ、と呼吸を整えつつ手下連中が制御薬を運び出して逃げ去るのを敢えてそのまま見逃し。
――手下連中が逃亡してから少し後、頭痛と貧血がやっと収まってきた。
それと共に懐から一本の小瓶を取り出して。ちゃっかり1本制御薬をくすねていたらしい。
(…まぁ、使う気はサラサラ無いけど色々と探るのには使えそうだし)
■玻座真 至境 > 少しの間、ジーッと制御薬を眺めていたがそっと懐に戻す。
過去に人体実験を散々受けていたのでそれなりに薬物などの知識はある。
少なくとも、落第街やスラムの薬物や毒物の流通には無意識に気を配ってもいるが。
(…出所というか大元までは中々分からないんだよなぁ)
まぁ、あまり前に出すぎて風紀や他の裏社会の連中に目を付けられても面倒臭い。
取り合えず、ここのボスは消したし建物は…まぁ、ぼちぼち風紀が嗅ぎ付けてくるだろう。
下手に後始末をすると逆に目星を付けられそうなので、そのままゆっくりと歩き出す。
どのみち、中で小競り合いした時も証拠の類は残さないようにはしていたし。
(…まぁ後は周りの出方次第…なんてね)
どうにも締まらない襲撃だったなぁ、と笑いながら青年の姿は闇夜にひっそりと消えていき。
ご案内:「某違反組織のアジト」から玻座真 至境さんが去りました。