2018/11/28 のログ
ご案内:「違反部活群/違反組織群/倉庫」にパンデミック(殺人ムカデ)さんが現れました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群/倉庫」にイレイスさんが現れました。
■パンデミック(殺人ムカデ) > 違反組織群、倉庫。
ここでは一昔前に違反組織が使って居た広い倉庫がある。
少し前まで、居心地が良く、隠れやすい為二級学生の溜まり場になっていたのだが、
最近、ここでは妙な虫が湧くようになったと言う話が出始め、
それからめっきり立ち入りがなくなってしまった。
どういうわけか、この倉庫では不気味な事ばかりが起きており、
虫が巣を作り出したのを始め、ここに入った人間が帰って来ない、
或いは…この倉庫から、真っ赤なゾンビが出てくるところを見た、など。
季節外れの怪談話は、落第街からそれを面白がって、学園まで届いていく。
入り口は既にボロボロであり、外側からでも中を覗ける。
その中には、手入れが成っていない部屋の様に、雑多に汚れた空間が広がっている。
それに、倉庫には多数の穴が開けられているようだ。
■イレイス >
さて。謎のアーマード・ヒーロー、イレイスとして活動している竹村浩二は
普段はただの常世学園用務員である。
よって掃除はお仕事なのだ。
そう自分に言い聞かせ、緑の服を着た男が違反組織群の倉庫に向かう。
「ううっ、寒……」
寒がりの男は身震いをしながら進んでいく。
煙草に火をつけると、歩き煙草スタイルで雑に歩いていく。
「害虫なら駆除しなきゃーならねぇなぁ」
独り言を言いながら、なんてことはなく倉庫の中を歩いている。
さて、鬼が出るか。
■パンデミック(殺人ムカデ) > 倉庫には…小さな虫がうようよ湧いているようだ。
見る人によっては生理的嫌悪感を催そう光景が広がっている。
どれもこれも、色は赤色。
パンデミックに感染し、その被害が広がったらしい。
カサカサ…
這いまわる音は突然大波の様にブワーッと広がり、倉庫の穴から羽根虫が飛び立ち、
羽根を持たぬ虫は倉庫から一斉に離れていく。
辺りは一瞬、静まり返る。
そして…。
「キシィァァァアアアァァァ――――ッッッッ!!!!!」
倉庫の片隅、金属製の箱を軽々と吹っ飛ばしながら竹村浩二の前へと躍り出たのは、巨大なムカデ。
金属製の光沢を思わせる全身の煌めく連結した赤黒い甲殻と、蠢く100を越える足。
弱点である頭部を防護するかの様に、クワガタのように発達したノコギリの触覚。
なにより人間4人分はあろうかという体長が見る者を威圧しようか。
殺人ムカデ。
それは、とある異世界で作られた対人用軍事兵器である。
人を殺す事と、戦線を混乱させる事に特化した改造昆虫。
足先と触覚から滴る毒液と、鋭く毒を塗り込むノコギリがなによりそれを証明している。
他人を殺し、味方を得る事が行動理念のパンデミックとの悪夢のコラボレーション。
「ギシイイイイイィィ―――ッ!」
その巨体からは大凡想像もつかぬ快速で飛びかかれば、
竹村浩二の首目掛けて毒の触覚を抉り込もうと襲いかかった!
■イレイス >
虫を踏み潰しながら歩く。
パンデミックの虫。一匹残らず駆除する必要がありそうだ。
「……キモいな…」
そう言いながら紫煙を吐き出す。
いっそ焼き払ったほうがいいくらいの大量の蟲だ。
そして、羽虫が逃げ、小さな蟲も這い出ていなくなる。
異様な気配がした。
「なんだ……!?」
その時、出てきたのは。
巨大なムカデ。古来、空を飛ぶ巨大ムカデの妖怪がいたと聞いたような。
なんてのんきに考えている場合でもない。
「うおわぁ!?」
大きなリアクションでムカデの攻撃を回避し、異能でベルトを取り出す。
「っぶね、調子こいて変身前にやられたらアホだぜ!」
腰にベルトを当てると、自動的に巻かれていく。
そういうシステムと、お約束だ。
「変身!!」
そう叫ぶと、安全装置が解除され、機械音声で『Joint on!』と鳴り響く。
全身を緑の装甲が覆い、赤いエネルギーラインが全身を巡る。
「さぁ……害虫駆除のお仕事始めますか!」
特撮モノの変身ヒーローのような。
そう言い表せる姿になった男は、奇怪なデザインとカラーリングの銃を抜いてムカデを撃つ。
次元圧縮された弾丸を撃ち込む次元銃イレイスバレットだ。
■パンデミック(殺人ムカデ) > 「ギシイイイイイィィ……」
目の前でヒーローと化す竹村浩二、こと変身ヒーローイレイス。
攻撃を避けられ、体勢を立て直しながら…しかし、未だに消えぬ生命の気配を、
緑の装甲の向こうで感じるのであれば、パンデミックはその殺害に向かう。
「ガギイイイッ!!!」
パンデミックはゾンビだから、柔らかいと言うのはあくまでも一般論でしかない。
この様に、硬化された蟲の重金属のような装甲を前には、楽器を奏でる様な音が鳴り響くばかり。
イレイスバレットの連射を甲殻が弾き、そして、グワッと身体を跳ね上がらせて、
自らその弾丸に向かって、それをものともせず真っ正面から飛びかかってくる。
ギラリと輝くノコギリの触覚が、まるで次元圧縮された弾丸をまるでシュレッダーに掛ける様に粉砕する。
その瞬間、彼は悟る事が出来ようか。如何に、この殺人ムカデで弱点をカバーされた生物であるか。
要塞の様に難攻不落な装甲の前に、
真っ向勝負で向き合うのは、
正面から突破するのは、
至難の業である。
「ギッシィイイイイ――――!!!」
その巨体を生かし、次は回避の余地を与えずに、広い攻撃範囲で巻付こうと襲いかかった!
■イレイス >
弾かれる次元圧縮された銃弾。
いくらなんでも最近この銃の戦歴がひどすぎるが?
自分の作ったものなのでなじることもできない。
「嘘だろ……!」
なんという重厚な外骨格、サイズに見合った防御力だ。
これを倒すのはなかなかに骨が折れる。
「ぐおお!!」
締め付け攻撃に体が軋む。
「本当に骨が折れたらダメだろ…!!」
ぎし、と装甲が軋む音。
このままじゃまずい! 殺られる!?
「うおおお……!!」
異能で亜空間から剛大剣イレイスブレイドを取り出し、矢鱈にムカデに突き刺す。
このままじゃ、間違いなく、死ぬ。
■パンデミック(殺人ムカデ) > 緑の鎧をねじ切るように掴んだ赤い金属甲殻。
剛大剣イレイスブレイドはその名に恥じない強力な武器。
しかし…この状況で、悪あがき染みた振り回しを、
そしてなによりこの巨体に対しては、確かに…この金属甲殻すらも押しのけて刺さる。
だが、刺さるだけで、切断出来たわけでもなければ、
痛覚が死んだゾンビ、パンデミックに痛みを与えられたわけでもない。
「ギシイイイイイィィ…イイイイイィィ…。」
唯一、良かったのは鎧を身に付けていた事だろう。
このパンデミックは足と触覚から毒液をダラダラと垂れ流している。
もし、全身を覆って居なければ人間の身体は今頃耐えられていない筈。
だが、この甲殻で押し潰されるのも時間の問題。
鎧ごとペチャンコにしようとますます重圧がかかっていく…!
■イレイス >
「うおおおおぉ……!!」
全身に痛みが走り、人口筋肉にダメージが入ったのか、内部のセンサーにアラートが鳴る。
まずい、このままでは。
意識が遠のく、イレイスブレイドを握ることさえ…
「……ねない…」
頭の中に浮かんだのは、一人の女の顔。
「死ねないッ!!」
腕時計型変身アイテムを取り出し、手首部装甲に装着する。
「俺は……そう簡単に死ねないんだよォ!!」
エクスタイマー。最近完成した、ディザスターフォームへの変身アイテム。
それも今の環境で正常に動作するかはわからない。
ぶっつけ本番で高コスト実験機とは……
震える指でエクスタイマーのスイッチを押す。
手元で鳴った『Disaster on!』という機械音声が、どこか遠くに聞こえた。
次の瞬間、歪んだ光と熱が際限なく放射される。
黒の外装甲が全身を鎧(よろ)う。
「これが俺の……ディザスターフォームだッ!!」
■パンデミック(殺人ムカデ) > 新たなる黒の鎧を身に付けるヒーロー、イレイス。
新たなるディザスターフォームへと切り替わり、爆炎のようなエネルギーが放射される。
しかし、パンデミックは、そのムカデは光熱を前にして、彼に巻き付いたままだった。
「ガ、ギィ…ギシイイイイイィィ…ッッ!!」
彼を押し潰すまでは、あと少し、あと少しだったのだ。
今からどれだけ変わろうと、優勢は変わらないとでも言っているのか、
殺人ムカデは巻き付いたまま…じわりとそのノコギリをイレイスの首筋に近づける。
イレイスバレットすらも引き裂く、処刑台のような鋭いアゴ。それを思わせる輝きが近づく―――!
■イレイス >
自分の首筋に顎門が近づいた時。
「おい」
まるで犯罪者にそうするかのように鋭く語りかける。
「そろそろ離れてくれねーかな……鬱陶しいんだよ!!」
左手でムカデの首筋を押さえ、死の顎門を押し留めると、右手一本で拘束を引き剥がした。
凄まじい硬度を誇る金属、オリハルコン製の外装甲。
精緻に組み込まれた強化人口筋肉。
それらを十全に動かす機構。
それらは、今までのイレイスとは桁違いのパワーと装甲を発揮する。
「死ぬところだっただろ? てめーも再殺してやる、ゾンビムカデ野郎!!」
超加速し、連続攻撃。幾重にも拳を叩き込む。
その一撃一撃が重く、鋭い。
■パンデミック(殺人ムカデ) > 「ギイイイイッ?!」
別人に成り変わったかの様な圧倒的なパワー。
そして、これ以上は潰させまいと言わんばかりの強固な装甲。
そんじょそこらの金属とは比較にならない圧倒的な防御力は、オリハルコン…現世にはない幻の金属によるもの。
たった片手で、この巨体を引き剥がした。そう、人間10人以上もあろうこの重金属のボディをだ。
「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!」
それからの攻防は一転、殺人ムカデが一方的に、しかもその金属装甲を容易に穿つようなパンチで殴られるばかりだった。
強化された筋肉と、圧倒的硬度から繰り出される超絶威力の、しかも連撃。
戦車砲に何度も撃ち抜かれた様にボコボコになり、身体がグシャグシャになっていく殺人ムカデ。
このまま全身を殴りつける事が出来たなら、イレイスはこの殺人ムカデをペシャンコにしてしまい、
無力化させることが可能だろう。
…そう。このまま殴りつけられたなら。
「ギッシイイイァァアアアアァァアアアアアアア―――!!!」
パンデミックは連撃の途中で、最も強化された頭部をイレイスに向けた。
そうであっても、この拳はパンデミックを軽く吹っ飛ばすほどの威力を発揮し、倉庫の向こうへと弾き飛ばし―――
―――たわけでは、ない。
イレイスの圧倒的な破壊力のある拳の勢いを、その身体に乗せて回転させる。
ムカデの長い身体で円形を作り、タイヤの様にぐるぐるして走り出す。
―――床を這い、加速!!
倉庫の端の壁面に達する。
―――壁面を水平から90度の角度で這い、更に加速!!
倉庫の天井へと達する。
―――天井さえも滑走路にし、水平180度でグルグルと周り、加速!!!!
タイヤと化した100を越える足が織り成す爆発的な加速度。
それは再び天井から壁を伝い、床を伝い―――
「グシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
この後止まる事など一切考えないで、
倉庫を一周、地震の様に施設を揺るがしながらイレイスの背中目掛けて迫りくるッ!!!
■イレイス >
拳が唸り、何度も何度もムカデの金属装甲を殴りつける。
パンデミックであり、戦闘兵器でもあるその毒と死に満ちた巨躯を破壊せんと吼える。
「うおおおおおおおおおぉぉ!!」
攻撃。攻撃。攻撃。
その猛攻はついに、殺人ムカデを弾き飛ばした。
と、思っていた。
が、違う。
虚を突いて襲い掛かるそれは、三次元角度からの圧倒的質量攻撃!!
「!!」
振り向いて受け止める。
両手でがっしりホールドしながらも、摩擦で火花を散らしながら後退していく。
止まらない、だがこのまま逃がせば手負いの魔虫はどんな災厄を齎すかわからない。
いや。
違う。
災厄は、自分自身だ。
こいつにとっての。
「痛ぇなこの野郎ッ!!」
打ち下ろしの肘を叩き込む。
その直後に天井を突き破って跳躍。
マフラーをエネルギーに変換しながら、遥か眼下のムカデに向かって蹴りを放つ。
イレイスの必殺技は、このフォームになっても一切変わることなく。
いや、その威力は。
「ディザスタークロス!!」
もし、この災禍の一撃をまともに受けたなら。
地面に十字の亀裂を生じながら、必殺の衝撃をまともに食らうことになるだろう。
■パンデミック(殺人ムカデ) > 「ギッシイイイァァアアアアァァアアアアアアア―――!!!」
足元から火花を散らしながら猛回転する殺人ムカデ。
両手で受け止めながらも押し込み、隅へ追い詰めようとする!
しかし、肘打ちでその猛回転を抑え込まれ、そして、その僅かな合間を縫って高く飛び上がるイレイス!
ディザスターの必殺技は、災禍の名を示すように蹴りかかり。
巨大な衝撃を、十字の衝撃を殺人ムカデに刻み込まんと猛回転と拮抗する!
散る火花は益々増え、ムカデの身体を猛火に包み火炎車を作り出す。
「ギシイイイイイィィ…!!!」
パンデミックの行動理念は、より多くの殺害と、それによる仲間の増加。
殺人ムカデだって同じで、殺害という理念に基づき、最後までその身体を燃やしてだって彼を殺害しようとする。
しかし、異世界の軍事兵器、殺人ムカデは、ついにその行動理念を全うする事が出来ず、
身体を炎に包みながら、十の字を刻まれ、その圧倒的な防御力を誇った甲殻を4分割され、
「ギ……ギッ…ァァァァ…」
機能停止へと陥る。
裂けたパンデミックの向こう側、ディザスターフォームのイレイスの必殺技の証。
十の形の衝撃が倉庫の床に残っていた事か……。
■イレイス >
蹴りの後に後方に宙返りして親指を下に向ける。
「地獄に帰りやがれ」
戦闘終了。その直後、変身を解除しようとしてふと、思い立つ。
今の自分は毒まみれではないか?と。
「うげ……きったねぇ………」
下手に変身解除して毒を受けたり、下手したらパンデミックになったりするのは御免で。
となると、変身を維持したまま丸洗いと消毒コース。
格好つかない。
「くっそー。紛れもない強敵だったぜ」
のしのしと歩き出し。
「おっと」
地面に放り捨てたまま燻っていた煙草の火を踏み消し。
黒の災厄はその場を去っていった。
ご案内:「違反部活群/違反組織群/倉庫」からパンデミック(殺人ムカデ)さんが去りました。
ご案内:「違反部活群/違反組織群/倉庫」からイレイスさんが去りました。