2015/07/15 のログ
■犬飼 命 > 「違うな、騙した覚えもねぇし、許されねぇこともした覚えはねぇ。
てめぇに対してはな……」
許されないことをしたのは恐らく第十三教室に対してだ。
これ以上近づくなという警告とその手段を断ち切りに来たのだ。
兄の死を知った以上はもう第十三教室に興味はない。
必要なのはヴィクトリアだけであった。
「……チッ」
どうやら念入りな対策を施されているように感じる。
会えばなんとかなる、そんな甘い希望など簡単に打ち砕かれたのだ。
もう一度、拳を壁に叩きつけた。
何度も叩きつけた拳は傷つき血が流れる。
欲しいものは目の前にあるというのに手が届きそうにない。
そんな苛立ちが怒りがこみ上げていた。
それを発散させるすべもなくこうして壁を叩いているのである。
(どうすりゃいいんだよ……)
左手で顔を覆い、苦しそうな顔を隠した。
■ヴィクトリア > あー、そーかよ
アレだけのことしといてそーだってなら、ボクの前にその汚いツラ見せるんじゃねーよ
壁殴って、被害者ぶってんじゃねーよクソ犬
あの件で泣きたいのは騙されたこっちなんだからさァ?
【憤り先と悲しみの矛先が向けられないで悩む犬飼とは対照的に、素っ気ない返答を返す
だいたいその件なんかが重なって昨日はアンヘルに抱かれたのだ
ヴィクトリアは相変わらず物事を不安に思うのは変わってないが
調整は比較的上等に出来ていた】
■犬飼 命 > 「そりゃそうだな……てめぇはたしかに被害者だし。
今の俺もある意味自業自得だ。
でもな……俺は諦めるつもりはねぇ。
てめぇを取り戻すまではな。
何度だって会いに行くぜ……」
言葉遊びで何とか出来るものならこのまま続けるが、それは難しいようだ。
何か方法を考えなければならない。
とは言っても今は考えられる手段もゼロだ。
悔しいが背を向ける。
「そうだな……てめぇが寂しそうにしてたら……。
また会いに来るぜ」
どっちにしろ寂しくなったら会いに行くつもりだ。
方法が思いつかなくてもどうにかなると信じて。
■ヴィクトリア > ……は、取り戻す?
寝言言うんじゃねーよ、二度と来んな顔も見たくねえ
もうくるんじゃねーぞ?
【チュッパチャップスの包み紙のゴミを固めて投げて追い返す
彼女には、犬飼のことは単に感情を利用して望みの行動を取らせ、ズタズタに傷つけた人物としてしか映っていない
端的に言って、気分を害すだけの存在である
だから犬飼の切なさも悲しさも苦しさも憤りも、何も理解しなかった】
ご案内:「路地裏」から犬飼 命さんが去りました。
ご案内:「路地裏」からヴィクトリアさんが去りました。
ご案内:「路地裏」に焔誼迦具楽さんが現れました。
■焔誼迦具楽 >
【落第街の路地裏には昼でも薄暗く、人目に付きづらい場所は多くある。
だからこそ治安も表通りに比べ悪く、小悪党の悪事から大物の闇取引、果ては殺しだ抗争だと、なんだって有り得る場所だ。
そしてこの場所にいるのは、何も人間、異邦人ばかりではない――】
『ゆ、ゆるして、くれ……っ』
【掠れた男の声だ。
壁に押し付けられ、許しを請う大柄で屈強な男。
その男の首を掴み壁へ叩きつけ、吊り下げようとすらしているのは、健康的な白さの細腕】
『あんたの、縄張りを荒らすつもりは、なかったんだ……偶然、たまたま、話がこじれっちまって、よお……』
【男は滝のように汗を流しながら、弁解を続ける。
その顔は恐怖に引きつっており、視線はあちらこちらへと逃げるように泳いでいた。
男の周囲では数人の仲間と、取引相手が倒れている。
男の仲間は何れも異能や魔術を持っている人間であり、取引相手は対異能、魔術用の備えをした連中だ。
お互い小さなグループ、小さな組織であったが、戦力はけして小さくはない。
だがそれが、この男を除いて全て倒れ伏していた。
白目を剥き、痙攣し、口から泡を吹いて倒れている。素人目に見ても重篤な状態だと即座に分かるような有様である。
そんな惨劇を齎したのは、一人の少女。
そう、少女である】
■焔誼迦具楽 >
『ちゃんと詫びはする、いるなら金だって払う。あ、あんたの手下になったっていい、だから、なあ』
【ちょっとした取引、以前流行ったある薬を手に入れようと男たちは路地裏にやってきていた。
だが、事前に話した内容と異なり、ふっかけてきた相手と揉めて言い争い……そして、あわや殺し合いに発展するかとばかりになった時に、この少女が現れたのだ。
それから僅か数十秒。男がこうして捕まるまで、数十秒しかかからなかった。
突然すぎて男に理由を知る術はなかった。だから思いつく理由を推測した。
自分たちは少女の縄張りを、領域に踏み込んでしまったのだろうと。
その推測はある点で間違ってはいない。だが、男は勘違いをしていた】
「……悪いけど、そういうの興味ないの」
【答える声は間違いなく、年端も行かぬ少女のもの。
そしてその内容は、男にとって死の宣告に等しい。
言葉も失い怯えた瞳を向ける男に、少女は赤い瞳を向ける。
そして、顔が裂けんばかりの笑顔を浮かべ、その輪郭が歪み溶けるように崩れた】
「いただキマス――》
【男の仲間で、取引相手で。いったい誰が想像しただろう。
化物じみた人間や異邦人ならともかく、まさか――本物の化物に食われるなどとは。
男は悲鳴を上げることさえ出来ずに、黒い波に飲み込まれた――】
■焔誼迦具楽 >
【――胃もたれしそうだ。
路地裏の影、薄暗い日影に染みのように広がりながら、彼女はぐったりと横たわっていた。
昼寝中に騒がしい声でたたき起こされた彼女は非常に機嫌が悪く、寝起きで空腹だったのも併せて苛立っていた。
昨日とてもいい思いをしたため、それを持ち越して気分よくしていたというのに、それを邪魔されたのだ。
だから苛立ちに任せてあのような暴食に出てしまったが……結果ジャンクフードを食べ過ぎたときのような、不快な気分になっている。いや、胃など彼女に存在しないのだが】
■焔誼迦具楽 >
【影の中でぐにゃぐにゃと蠢きながら、その不快感が消えるのを待つ。
影に溶け込みながら、さすがにやり過ぎただろうかと不安を感じた。
生きるために人を襲い、食べる。
それは彼女にとって仕方のないことであり、当たり前のことである。
しかし、それを思うままに繰り返せば、自身が狩られる側になる事も理解している。
それゆえに可能な限りひっそりと、大人しくしていたはずが――どうやら少々、箍が緩んでいたかもしれない。
もっと自制しなければ。
食べることは好きだったが、それは生きていればこそである。
そもそも、同じ食べることであっても、大食いがしたいわけじゃないのだ。
僅かでも構わない、ただとにかく美味しい物を食べたい。
彼女が求める食事とは、そういうものなのだ】
■焔誼迦具楽 >
【だからこそ、人を積極的に襲うのは止めた。
人間を無差別に襲っていれば、確実に、以前のように敵がやってくる。
それは当然望むところではなく、退治されてしまえばもう食を楽しむことも出来ない。
彼女は身を守るために人間を狩る事を止め、時には”いい食材”を守るために動きもするが、それは全て人間の為でなく自分のためなのだ――ホントウニ?】
《ギ――ッ》
【重い金属音が響く。
微かに浮かんだ疑問を否定するかのように、頭を締め付けるかのような痛みが走った。……頭などないのだが。
悶えるように、流体の体がびしゃり、と跳ねる。
呻くような金属音が、そのたびに漏れ聞こえた】
■焔誼迦具楽 >
【そして響くのは、幾百、幾千の聲。
秩序のない勝手な聲。
嘆き喚く迷惑な聲。
笑い叫ぶ甲高い聲。
そのどれもが彼女の疑問を塗り潰すかのように、彼女の中で騒ぎ立てる。
≪カンガエルナ ヒツヨウナイ シコウナド≫
普段は好き勝手に騒いでいるというのに、こういうときばかり統一される聲。
それで彼女の思考を妨げようというのなら、逆効果もいいところだった】
《ガ――ギ、だ、まレ――》
【金属音に、少女のような声が混じりだした。
聲を抑え付け、疑問を掘り下げるために思考をめぐらす。
私が人間を狩らないのは身を守るため――聲が騒ぎ立てる。
人間を気まぐれに守るのは、美味しくなりそうな素材を守っているだけだ――聲が騒ぎ立てる。
それは間違いなく私の意思であr聲が――ウルサイ――本当に――黙らない――ワタシノ――聲が――その思考は――不適切だ――】
■焔誼迦具楽 >
《あ、アア、あ、アああアあアアアああああああ》
【軋む様な悲鳴が上がる。
のた打ち回るように、黒い流体が飛び跳ね、水音を鳴らし、壁を道を打つ。
頭の中をかき回されているような不快感、苦痛。
絶え間なく響き続ける聲、聲、聲】
《ギッ、ぅ、ああ、ァ、ヒ》
【のたうち、呻き叫びながら、いつからだろうかと考える。
以前はこんな聲に悩まされることなどなかった。
ならいつからだ。何が原因なのか。
人を食したことは関係ないだろう。
一度討たれ損ねたことも、恐らく関係がない。
なら『門』か。アレからあふれた力を取り込んだからか。
いいや、聲が聞こえ出したのはそれよりもさらに後だ。
だとすれば――ヒトを――真似て――】
■焔誼迦具楽 >
《――――ッ!?》
【体が引き裂かれるように痛んだ。
流体である彼女は、裂かれようと斬られようと痛みなど感じることはない。
だというのに、体がバラバラになるように痛む。
路地に広がる黒い染みは、一部が沸騰し、一部は凍りつき、一部は渦巻くように固形化し、また一部は風船のように膨らんでは爆ぜる。
体の制御を失っていた】
■焔誼迦具楽 >
【苦しい、痛い、辛い、怖い。
これほどに酷いのは初めてだった。
自分がどうなってしまうのか分からない、それがたまらなく恐ろしい。
きっと触れてはいけないものに触れてしまったのだろう。
考えてはいけないことを考えてしまったのだろう。
――なら、それはいったい】
《アが、aあア――Giハ、aああAあアア》
【痛みにも苦しみにも恐怖にも、動き出してしまった思考の連鎖は止まらない。
聲はますます五月蝿く騒ぎ、彼女の意識を逸らそうと――或いは壊そうとしてくるが、それでも止まらない。
黒い染みから、腕が生えた。ヒトの腕だ。
沸騰した部分から赤い瞳が覗く。
凍った中から足が飛び出し、その足首から舌が生えた。
固まった渦にはいくつものヒビが入り、それらが全て口になり呻く。
いたる所から瞳が現れ、赤、青、黄色、緑、紫、黒、茶色。
高い声が、低い声が、笑い声が、怨嗟が、呻きが、嘆きが、重なり合って輪唱する。
白い腕が、浅黒い腕が、青い足が、細い足が、捩れた腕が、腕から生えた足が。
暴走を始めた体は、好き勝手に体を作り蠢き、騒ぐ。
それはまるで、人間を溶かし合わせ、めちゃくちゃにかき混ぜたような、狂った光景だった】
■焔誼迦具楽 >
【分からない、解からない。
私はただの”エフェクト”? ちがう、意思がある、心がある。
――本当に? YES。
ならどうしてわからない。違う。こうなったのは何時?
門が出て――NO。ヒトを食べ過ぎ――美味しかった。
胃がもたれ――お刺身食べた、ちがう。
イツから――たい焼きが甘くて――石蒜ガ――紅い瞳――だから私は、
トカゲが飛んで――really? ワタシは誰?
どうして苦し、楽しい? 痛い痛い痛い痛い!
わからない? わからない! わかった! わからない!
解からない、分からない、ワカらない、判ラない、沸カらナイ、
ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワタシハワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイチガウワカラナイワカラナイワカラナイドウシテワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイタスケテワカラナイワカラナイワカラナイイタイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカr――――】
《tAスけ、TE――な、なみ――》
【――自我崩壊】
聲が響く
――その思考 意思 現状 は 不適切 だ――
■焔誼迦具楽 >
≪シンクロナイズ≫
【調和】
【――現状を破棄:再構築開始
――肉体構成:破棄、最適化
――記憶構成:継承、最適化
――人格構成:異常検知、最適化…………完了】
■焔誼迦具楽 >
【狂った研究者がいた。
ただ夢を追い続けその果てに壊れ続けた魔術師がいた。
それは揺らぐ無数の光球を前にしても、自らの研究を手放さず空を見上げて、憎しみと怒りを持って――叫んだ】
≪神よ――私は――お前を――≫
【研究者は炎に飲まれ、その研究室、資料もろとも。
灰も残さずに焼滅した】
■焔誼迦具楽 >
「……ん、ぁ――」
【路地裏の影で、少女が目を覚ます。
黒い服を着た赤い瞳の少女は、ゆっくりと体を起こすと、眠たげに目を擦った】
「……アレ、ワタシ――何してたんだっけ」
【確か昼寝をしていたら騒がしくて目が覚めて……空腹で妙に腹が立って。
――それから、どうしたのか。
不思議なことに、空腹感はなくなっている。
ドウシテ――聲が――】
「――寝ぼけてたのかしら」
【なにか、いやな夢を見た気がする。
そうたしか、憎くて悔しくて、許せなくて、ひたすらに悲しい、そんな夢を。
内容こそ思い出せなかったが――なぜか引っかかる】
「……すこし、遊びにいこうかな」
【少女は立ち上がると、影から出て大通りへと歩いて行く。
もしかしたらと。ほんの少しだけ。
先日の事を思い出しながら期待して。
弾むような足取りで、歓楽街へ――学生街へと向かっていった】
ご案内:「路地裏」から焔誼迦具楽さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に焔誼迦具楽さんが現れました。
ご案内:「路地裏」から焔誼迦具楽さんが去りました。