2015/08/12 のログ
ご案内:「路地裏」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 日陰に何が潜んでいるかも分からぬ落第街の裏路地。
その道の真ん中を、白衣の男が煙草を吹かしながら歩いている。
その姿はまるでこの場所には似つかわしくないが、彼は努めて普段通りに振る舞っていた。
「………………。」
足を止めて、後ろを振り返った……見た限りでは、先ほどと変化は無い。
尾行の感知のために術式を展開してはいるが、この路地に入ってからは暗闇に潜む人間の数が多すぎる。
獅南蒼二 > 男は再び歩き出す…静寂の団栗という架空の団体名義だったが、【レコンキスタ】が現在進めている研究に興味を示した。
研究の成果を秘匿することを条件に、相当な額の資金を援助すると連絡を寄越したのだ。
外部からの資金調達を禁止されているわけではないが、その額も組織も、この学園にとってあまり好意的に受け止められるものではないだろう。
視線を再び前へと向ければ、煙草を携帯灰皿へ入れる。
断る理由は無い。
獅南蒼二 > と言うよりも、断ることはできない。断れば組織の後ろ盾さえ失ってしまうだろう。
久しく使っていなかった連絡経路だが、維持しておいたのは賢明だった。
【レコンキスタ】などという過去の組織を、今更血眼になって摘発するほど、この島の公安や風紀は暇ではないらしい。
この路地裏の日陰は格好の隠れ蓑だった。
曲がり角の小さな飲み屋「アランスミシー」という小さな看板がかかった店。
白衣の男はその店に、何喰わぬ顔で入って行った。
獅南蒼二 > カウンターの端に座り、メニューも見ることなく口を開く。
「………【シャーリーテンプル】」
それはメニューにも載っていないカクテルの名前。
マスターはそれを聞き流すように、何も答えはしなかった。
「【ギブソン】に【ラモンジンフィズ】……いや、【カミカゼ】を。」
移り気な客だ。と、他に誰か居れば、そう感じただろう。
けれどマスターは特に何も気にする様子は無く、最後に告げられたカクテル、カミカゼを白衣の男の前に、静かに置いた。
獅南蒼二 > くくっとそれを飲み干し、グラスの下に封筒を置いて返す。
白衣の男は、それ以上何も語らず、何もせず…幾らかの代金を支払えば立ち上がった。
マスターは事も無げにそれを、どこか面倒臭そうに回収する。
「……また寄らせてもらうよ。」
そうとだけ言って、白衣の男は静かに、店の外へと出ていく。
店の前に立てば、取り出した煙草に火をつけながら…周囲を軽く、見回した。
獅南蒼二 > 煙草を吸い終われば、それを携帯灰皿へと入れる。
後は連中が上手くやってくれるだろう…やるべきことはデータベース上から研究概要を削除し,それを完全に秘匿すること。
特に難しいことではない…というよりも、企業の研究所ならどこでもやっているようなことだ。
周囲からの助言や情報提供は得られなくなるが仕方ない。
学園には…適当な理由を付けて研究の中断を申告すればいいだろう。
資金援助を棄却したのだから、それを理由にしてやってもいい。
ご案内:「路地裏」から獅南蒼二さんが去りました。